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日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 河内守國助 Kunisuke Katana

2018-03-03 | 
刀 河内守國助


刀 河内守國助

 拳形の互の目を躍動感のある刃文構成に表現したのが二代目國助。大坂の刀工であることから小板目鍛えの地鉄を特徴とし、小沸に匂の複合した明るい焼刃を施して人気が高い。この刀は、元来の寸法が頗る長かったために磨り上げられたものであろう、現状で二尺三寸強。地鉄は小板目肌。刃文は典型的拳丁子。互の目が三つ四つと寄り合って一つの単位となり、これが高低変化しながら連続している。とても綺麗な刃文であり、人気のほども想像ができる。








刀 和泉守國貞 Kunisada Katana

2018-03-01 | 
刀 和泉守國貞


刀 和泉守國貞

 國貞は堀川國廣の門流で、國助と共に大坂に出て大成した刀工。國廣のザングリとした肌よりも、小杢の肌目に沿った網目のような地景によって地鉄が躍動感に満ち、本作のように綺麗に起って見える特徴がある。刃文は互の目湾れと、このような直刃がある。本作は、特に直刃の綺麗な出来。単調な直刃ではなく、過ぎることのない小足が上品に入っており、この刃境から刃中向かって、地中から連続する肌目に沿った金線、稲妻を伴うほつれが入る。特に下半が顕著で濃密。地鉄と焼刃の美しさが際立つ作である。





刀 出羽大掾國路 Kunimichi Katana

2018-02-27 | 
刀 出羽大掾國路


刀 出羽大掾國路

 この刀は、前回紹介した脇差を長くしたような出来。もちろんバランスは異なるが、肉厚くがっちりとし、板目流れの地鉄に地沸が付き、互の目と湾れの複合になる刃文。刃中は沸強く、砂流しが金線を伴って流れ掛かる。帽子は湾れ込んで先尖って返る三品風。古風で、しかも綺麗な出来である。



刀 郷義弘 Go_Yoshihiro Katana

2018-02-24 | 
上杉家伝来の名刀から

刀 郷義弘

 磨上無銘の、穿鑿郷の号のある作。正宗の弟子の一人、郷義弘には在銘作がないとされている。特に地鉄が詰んで澄んで美しいところが見どころ。この刀も磨り上げながら深い反りが付いて元先の身幅が広く、覇気ある造り込み。小板目鍛えの地鉄は細かな地沸で覆われ、刃寄りに板目が現れている。しっとりとしたその様子は、新刀期の真改や助廣などの極上の地鉄にも通じる質感。虎徹が郷を目標にしたというのも良く判る。細かな沸と匂で深々とした刃文は、湾れから物打辺り大きく不定形に乱れ、上半には飛焼が盛んに入り、焼の深い帽子は強く乱れて掃き掛ける。

刀 南紀重國 Shigekuni Katana

2018-02-23 | 
刀 南紀重國


刀 南紀重國

 南紀重國の、本国大和伝の特徴が強く現れた刀。重國の作の多くが磨り上げられて生ぶ茎が少ない。本作は茎尻まで生ぶの健全体躯。身幅しっかりとして反りを控えた江戸最初期の姿格好。地鉄が柾目を交えた板目鍛えで、地景によって肌目が強く立ち、流れるような肌目の間を良く詰んだ小板目肌が埋め尽し、ここに、細直刃を焼いている。鍛え肌と焼刃によって刀身と平行に流れるような景色が生み出されている。この濃密な働きこそ大和物古作に紛れる重國の真髄。相州伝も上手で、時代から相州伝も多く遺しているのだが、このような本来の大和伝に大きな魅力がある。□





刀 越前守助廣 Sukehiro Katana

2018-02-21 | 
刀 越前守助廣


刀 越前守助廣

 二寸ほどの磨り上げで二尺二寸半ほどの扱い易い寸法とされている刀。焼が深いので地鉄の様子が分かり難いのだが、良く詰んだ小板目肌に柾目流れ状の肌が交じっている。焼が強いために柾肌に地沸が絡んで覇気ある景色を生み出している。刃文は強い沸を意識している大乱ではあるが、激しく沸の流れている中に、大きさの異なる互の目が連続しているのが判る。助廣の作の多くは沸の粒子が揃っているのだが、ここでは濤瀾乱に沸筋金線地景などの古典的相州伝を明示したものであろう。これも綺麗だ。





刀 播磨大掾忠國 Tadakuni Katana

2018-02-17 | 
刀 播磨大掾忠國


刀 播磨大掾忠國

 二尺四寸強。肥前刀らしい綺麗な姿格好。区も深く健全体躯であるから、なおのこと美しい。奇麗なのは姿だけではない。良く詰んだ小板目鍛えに細かな地沸が付いた、極上の肥前肌。これに焼かれている互の目乱の刃文も綺麗だ。小沸の粒子が揃って明るく、互の目は大小、しかも虻の目状の特徴もある。穏やかに連続する互の目から刃先に向かって射し込む足は左右に開き、これを穏やかな砂流しが撫でるように流れる。170□





刀 播磨大掾忠國 Tadakuni Katana

2018-02-16 | 
刀 播磨大掾忠國


刀 播磨大掾忠國

 忠國は肥前を代表する一人。その寛永十三年の作。即ち播磨大掾を受領したすぐあとの作。地鉄は小板目鍛えだから忠吉伝。これに地沸が付いて明るい。刃文が綺麗だ。互の目を複合してもこもこっとした感じ。でもよく観察すると、刃境に小沸が付いた互の目が二つ三つと連なっているのが判る。これが肥前刀の互の目と特徴の一つ。ここでは、互の目の高さも違えており、また焼頭の上に丸い飛焼を配しており、それらが小沸と匂の調合からなっている。さらに砂流し沸筋が所々に掛かって・・・とにかく綺麗だ。





刀 細川正義 Masayoshi Katana

2018-02-15 | 
刀 細川正義


刀 細川正義

 江戸時代の刀工の綺麗な刃文を紹介しているが、久々に、備前伝の綺麗な小互の目に小丁子交じりの刃文。正義は水心子正秀の弟子の一人で、師の復古刀論を実践し、この手の刃文を得意とした。小互の目丁子の刃文は定形化することなく出入複雑に変化し、足の入り方も左右に開いたり逆がかったり、長短変化に富んだりと多彩だ。地鉄は小板目肌が密に詰んでいる。





刀 近江守助直 Sukenao Katana

2018-02-09 | 
刀 近江守助直


刀 近江守助直

 助廣の弟子で、師の没後の大坂を代表する名工。その濤瀾乱刃。わずかに磨り上げられて茎も仕立て直されている。微塵に詰んだ小板目肌に小沸出来の刃文が美しい。写真では大小の互の目の連続が判るだろうか、沸深く明るいため、刃中は刃先まで全体が白っぽく感じられるが、この中に互の目が連なっているのだ。何て綺麗なんだろう。





刀 和泉守國貞 Kunisada Katana

2018-02-06 | 
刀 和泉守國貞


刀 和泉守國貞

 一寸強の磨り上げが行われて、現在は二尺二寸五分。勿体ない、惜しいとは言うものの、実際に、これに命を預ける時代には、自らの操刀技術に適した寸法にするのは当然だ。それでも、同時代には大坂を代表する名工である國貞の刀を惜しげもなく上げるのだから、所持者の地位は高かったのであろう。小板目鍛えに、焼に高さは高低変化は少ないものの、湾れが交じり互の目の幅に広狭変化のある華やかな出来。刃中には足が入り沸が流れ掛かる態も窺える。





刀 丹波守吉道 Yoshimichi Katana

2018-02-01 | 
刀 丹波守吉道


刀 丹波守吉道

 初代吉道の、覇気横溢の作。吉道は美濃出身で、父と共に京都に出て新刀初期の京都を代表する一人となった。時代に応じて相州伝を得意とし、独創を加味して一時代を築いた。特に刃文構成において独創的であり、後の助廣や真改などにも強く影響を及ぼしている。では美濃伝かというと、確かに地鉄鍛えは美濃で発達した鎬地柾目、平地板目に小板目交じりのところは美濃伝だが、刃文は相州伝。ここが江戸時代の多くの刀工が求めた技術と同じなのである。刃文は、焼刃土の置き方を工夫して変化のある構成とされている。大小幅のある沸の帯が流れるような刃文がそれ。帽子が湾れ込んで先が丸く返っているところに美濃伝の地蔵帽子の要素が残っている。





刀 備中国為家 Tameie Katana

2018-01-25 | 
刀 備中国為家


刀 備中国為家

 水田國重などで知られる呰部の刀工。沸の強い水田風の相州伝を焼いた作。沸の美観が魅力だ。ゆったりとした湾れ刃が鎬筋にまで達し、互の目が加わり、刃中に島刃が焼かれ金線を伴う沸筋が流れる。時代は寛永頃だから、戦国時代に活躍した武将がまだ生きていた頃。相州伝の好みは、このような古作写しに独創を加味した作風でも極まったようだ。とにかく美しい。沸が揃い荒ぶることなく濃淡変化に富み、刃先にまで沸が立ち込めているところが凄い。



刀 河内守正廣 Masahiro Katana

2018-01-16 | 
刀 河内守正廣


刀 河内守正廣

 これも二代目正廣。こちらの方が刃文構成がわかり易い。先に紹介した脇差と似たような出来である。互の目に小互の目が交じり、互の目の中に葉が配されているところは肥前刀の互の目の特徴。刃中には葉が断続し、刃文の出入りと共に新趣で複雑な景色を展開している。姿、地鉄、刃文、どれをとっても綺麗な出来である。







刀 河内大掾正廣 Masahiro Katana

2018-01-12 | 
刀 河内大掾正廣


刀 河内大掾正廣

 これも綺麗な刃文構成の刀だ。地鉄も小板目肌が良く詰んでおり、とにかく地沸が強い。その中に地景によって流れ肌がうっすらと見える。互の目が連れるような刃文構成は正廣などの特徴。刃境の沸は、さほど荒くは感じられないのだが、刃中には小沸と匂が淡い砂流となって流れている。