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日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 備前國住長舩祐定 天正八年 Sukesada‐Tensho8 Katana

2018-06-30 | 
刀 備前國住長舩祐定 天正八年


 
刀 備前國住長舩祐定 天正八年

 控え目釘の穴をあけていることから、そして寸法も長くがっしりとしていることから、戦場では激しく打ち合うことを想定して製作したもの。わずかに区送りで、常より茎が長く仕立てられている。地鉄は板目に杢を交えた備前地鉄。刃寄りに杢が現われて働きを生んでいる。刃文は直刃を基調に小足が入り、物打辺りが小互の目となる。帽子は乱れて掃き掛けて返る。刃境の働きが変化に富んだ出来。







刀 源兵衛尉祐定 天正二年 Sukesada-Genbeenojo-Tensyo2 Katana

2018-06-25 | 
刀 源兵衛尉祐定 天正二年


刀 備前國住長舩源兵衛尉祐定 天正二年

 刃文を見ただけでは戦国期の備前刀と思えぬ出来。殊に焼の深い刃中の沸が強く、砂流し、沸筋、金線が層を成している。地鉄は小板目状に緊密に詰んだ板目肌に杢目交じり。地沸が付いて杢目に沿った地景が窺える。乱の一つ一つを観察すると、確かに腰の開いた互の目に丁子が交じっている。帽子も調子を同じくして乱れて返る。





刀 備州長舩祐定 元亀八年 Sukesada-Genki8 Katana

2018-06-23 | 
刀 備州長舩祐定 元亀八年


刀 備州長舩祐定 元亀八年

 二尺三寸九分強、反り八分半。これもがっしりとした造り込み。板目鍛えの地鉄は、地景を交えて肌が強く立つ。一見則重を思わせる肌合い。刃文は湾れ調子で、刃形が不明瞭である点も則重風。帽子は特徴的な激しい乱れで火炎風。匂と小沸の複合になる焼刃は、肌目と感応した沸筋、匂筋、金線、砂流しなどが激しく交じり合って刃中を縦断、そのまま帽子へと連続している。戦国期における相州伝の影響は、ちょっと遡った勝光や宗光が皆焼出来の刃文を焼いて明らかだが、戦国時代末期にも別の形で相州伝の影響が現れているともいえる。因みに、戦国時代末期から江戸時代初期にかけて、他国でも相州伝が流行している。





刀 備州長舩祐定 元亀四年 Sukesada-Genki4 Katana

2018-06-21 | 
刀 備州長舩祐定 元亀四年


刀 備州長舩祐定 元亀四年

 二尺三寸二分強、反り六分半。鎬が張って肉が厚くどっしりとした造り込み。鉄砲伝来以降、武器は防具と共に大きく変わっていった。永正頃の刀と、元亀天正頃の刀を並べてみれば良くわかる。どちらが優れているというわけではない、戦闘の変化に応じて武器も変化しているのである。板目肌が詰んで綺麗な地鉄に、細かな地景が交じっている。刃文は直刃に湾れ交じり。帽子は、戦の後に仕立て直したものであろうが、特徴的に強く乱れているのが判る。匂に小沸を交えた焼刃は、小足が入り、物打辺りの乱れが強まり、一部湯走りを伴う。





刀 備前國住長舩祐定 永禄二年 Sukesada‐Eiroku2 Katana

2018-06-18 | 
刀 備前國住長舩祐定 永禄二年

 
刀 備前國住長舩祐定 永禄二年

 同じ永禄二年紀の、ほぼ同じ二尺三寸、反りはちょっと深めで九分弱の、茎も長く仕立てられた作。まったく同じ銘だが、切られた銘の形が違う。出来は同程度に良い。板目肌が地景で強く現れ、所々揺れるような流れ肌が交じり、総体に緊密。刃文は直刃に浅い湾れ交じりで、帽子は一枚風に深く、先端が掃き掛ける。刃中は匂に小沸が付いてほつれ掛かり、地中には湯走りが二重刃風に流れて迫力がある。一方刃中には小足が入り、刃境にほつれから食い違いが生まれるなど直刃の働きが顕著。







刀 備前國住長舩祐定 永禄二年 Sukesada-Eiroku2 Katana

2018-06-16 | 
刀 備前國住長舩祐定 永禄二年

 
刀 備前國住長舩祐定 永禄二年

 二尺三寸、反り七分強。伸びやかな姿格好。重ね厚く樋を掻いてはいるもどっしりと思い。与三左衛門尉祐定一門の作であろう、片手打ちのスタイルではない。茎も長い。地鉄は小杢が組み込まれた板目肌。刃文は湾れ調子。刃中は沸筋、砂流し、金線が層を成している。帽子は一枚風に焼が深く、この頃の特徴が顕著。一枚帽子とは、鋒部分の焼が深く、横手辺りまで焼かれている状態を指す。帽子の刃文は掃き掛け、わずかに返る程度。





刀 備州長舩祐定 Sukesada-Kyoroku3 Katana

2018-06-12 | 
刀 備州長舩祐定


刀 備州長舩祐定 享禄三年

 与三左衛門尉の時代の祐定の作。戦場で活躍したものであろう、だいぶ使い込まれており、研磨も進んで肌立つところがあるも、素性は優れた作。板目肌に地沸が付き、直刃を焼かれた出来。刃文は二重刃状に沸筋が流れ、喰い違いがあり、ほつれ掛かるなど、直刃の働きが豊富である。帽子は、片面は焼深く沸崩れているが、もう一面は丸く返っている。祐定にはこのような帽子がある。







刀 備州長舩祐定 大永六年 Sukesada Katana

2018-06-09 | 
刀 備州長舩祐定 大永六年


刀 備州長舩祐定 大永六年

 この刀も大鋒。身幅広く先幅も応じて広く、伸びた帽子と共に迫力がある。重ねは薄めの仕立てで、鎬が張り、切り込んだ際の抵抗がなくなるよう工夫されている。地鉄は板目が強く立ち、所々肌立つ感がある。映りが叢立ち、これも凄みある景色を生み出している。刃文は互の目が小模様だが、良く見るとやはり腰開きの特徴があり、互の目の中に複合された小丁子もあり、総体は祐定の刃文そのもの。乱れ返る帽子の先は未だ焼が深く残されている。





刀 与三左衛門尉祐定 大永五年 Sukesada-Yosouzaemonnojo Katana

2018-06-08 | 
刀 備前國住長舩与三左衛門尉祐定 大永五年


刀 備前國住長舩与三左衛門尉祐定 大永五年

 二寸ほどの磨り上げで茎の下端が切られ、銘が尉までしか残されていないが、上身の出来、銘の運びなどから間違いなく与三左衛門尉祐定。元先の身幅が広く、重ねは刃先の肉が削がれて薄手で、鋒は大きく伸び、棟の肉も削がれて刃の抜けが頗る良さそうだ。地鉄は杢交じりの板目肌がザングリと肌立つ感があり、これが斬れ味に影響しているのであろう、造り込みと共に良く切れそうだ。刃文は特徴的腰開き互の目に小丁子を複合した構成。刃境がほつれ、刃中にも肌に伴って小沸が流れるところがある。帽子も乱れ返りで特徴的。



刀 備前國住長舩祐定 永正十四年 Sukesada-Eisyo14 Katana

2018-06-07 | 
刀 備前國住長舩祐定 永正十四年


刀 備前國住長舩祐定 永正十四年

 個銘はなくとも、この時代であれば与三左衛門尉祐定であろう、極上の出来。一尺九寸三分だから、今の分類だと脇差の寸法だが、当時は明らかに打刀。抜刀と片手で打ち振るに適した造り込みだ。地鉄は板目に杢を交えて良く詰み、肌立つ風なく地沸が付き、映りが立つ。刃文は、腰開きの互の目に小丁子と小互の目を複合させた華やかな出来。刃境にほつれが掛かり、刃中では砂流しとなって流れ掛かり、所々沸筋状に太くなり、或いは刃中に溶け込むように淡くなる。帽子は激しく乱れて返る。次第にこのような乱れた帽子となり、戦国期の備前刀の特徴でもある。





刀 備州長舩祐定 Sukesada-Eisho11 Katana

2018-06-06 | 
刀 備州長舩祐定

 
刀 備州長舩祐定 永正十一年

 一尺九寸九分強、反り五分九厘、鎬がわずかに張って重ね二分三厘とされた、尋常な造り込み。杢を交えた板目肌が流れ調となり、地沸が付いて地景が交じり、縮緬状に揺れる肌と、流れ肌が表裏異なって激しい景観。鍛着は強く疵気がなく、良い仕上がりとなっている。刃文は互の目に小丁子交じりで出入りが複雑なところはこの工の特徴。帽子も小模様に乱れて足が入り、特徴が良く示されている。しかも研ぎ減り少なく比較的健全体を保っている。





刀 備州長舩祐定 永正九年 Sukesada-Eisho9 Katana

2018-06-05 | 
刀 備州長舩祐定 永正九年


刀 備州長舩祐定 永正九年

 備州銘ながら、かなり出来の良い作。備州銘は量産品であると言われているが、中にはこのように優れた作もある。銘だけではよし悪しが判断できない。この刀は、造り込みもしっかりとし、重ね厚く鎬が張り、特に優れているのが地鉄で、良く詰んだ杢目交じりの板目に地沸が付いて冴えた出来。鍛着が緻密で、地景の入った肌が刃境を越えて刃中に及び、淡いほつれとなって刃中の働きを成す。刃文構成は互の目に小丁子交じり、小足が入り、刃境のほつれから転じた繊細な景色が充満している。





刀 備前國住長舩祐定 Sukesada Eisyo9 Katana

2018-06-04 | 
刀 備前國住長舩祐定


刀 備前國住長舩祐定作 永正九年

 個銘はないが、彦兵衛尉祐定の作と思われる出来の良い作。二度の磨り上げで二尺二寸強、反りを控えて抜刀に適した造り込み。板目鍛えの地鉄が綺麗だ。良く詰んで小板目風となり、地沸で覆われ、映りも鮮明。刃文が特徴的な腰開き互の目の頭に小互の目小丁子を配して足の入る、複式互の目。所々が尖刃風になり、蟹の爪風乱刃も交る。匂口明るく、柔らか味があり、冴えている。帽子は浅く乱れて先尖り調子に返る。まだまだ帽子は整っている。





刀 祐定 Sukesada_Eisho2 Katana

2018-06-01 | 
刀 備前國住長舩祐定



刀 備前國住長舩祐定 永正二年

 永正年間は彦兵衛尉と与三左衛門尉祐定の活躍期。祐定の銘品には個銘が切られていると言われるが、時代の上がる作には個銘が少なく、彦兵衛尉祐定の次の与三左衛門尉祐定の頃から多くみられるようになる。この刀は二尺二寸強の片手打ち。板目に杢目を交えた地鉄は地景によって肌立ち、肌目は刃中に及んでいる。刃文は互の目の頭が二つに割れるように尖り調子となった、所謂蟹の爪風の構成。刃境にほつれ掛かり、刃中ではこれが沸筋砂流しとなって穏やかに流れ掛かる。物打辺りから乱れも強まり、帽子は強く乱れて返る。





刀 彦兵衛尉祐定 Sukesada-Hikobeenojo Katana

2018-05-31 | 
刀 彦兵衛尉祐定


刀 備前國住長舩彦兵衛尉祐定 文亀三年

 刃長一尺八寸七分、反り五分五厘。腰元に草の剣巻龍の彫物があり、上身には棒樋が掻かれている。上位の武将の備え。時代に応じた抜刀し易い片手打ちの名品である。地鉄は良く詰んだ杢交じりの板目肌だが、微塵に詰んでおり、肌目は焼の深さも加わって分かり難い。刃文は複雑に乱れた小丁子や小互の目尖刃などを複合した腰開き互の目。その焼頭が蟹の爪のように尖っている部分もある。祐定らしい出来だがもう少し時代の上がる盛光風のところもある。