もしあなたの商標が指定商品・役務以外で、他人に使われたらどうしますか?商標権がないからあきらめる?防護標章制度とは、著名登録商標を他人が指定商品又は指定役務と非類似の商品又は役務に使用した場合に出所の混同を生ずるおそれのある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章について防護標章登録を認める制度をいいます。
商標法は、登録主義(18条1項)のもと、商品又は役務の出所の混同を防止すべく類似概念を導入し、登録商標を中心とした類似範囲を出所の混同を生ずる範囲と擬制して、その範囲を限界として商標権の効力を認めます(25条,37条1号)。しかし、類似範囲は画一的であるのに対し、出所の混同を生ずる範囲は商標の著名度等により変動する流動的なものであるため、類似範囲を超えて出所の混同を生ずる場合がある。
他方、不正競争防止法によっても著名商標の保護が強化されているが、著名表示冒用行為(不正競争防止法2条1項2号)には刑事罰の適用がないこと、関税定率法による水際規制の対象とならないことから、保護が十分とはいえない。また、法4条1項15号では、他人の登録を排除できるが使用を禁止できないため、商標権者の保護が不十分となりやすい。
そこで、現行法(昭和34年法)において、商標権の禁止権の範囲を非類似の商品又は役務にまで拡大する防護標牽制度を珠用して、出所の混同を生ずる範囲をあらかじめ明確にすることで、著名登録商標に係る商標権者の業務上の信用を保護することとし(64条,67条等)、平成8年改正の商標法においても本制度を存続させることにした。
この制度はどんな商標でも適用されるわけでわなく、著名商標にのみ適用される。防護標章登録が認められることは著名商標の証でもあるわけで~す。例えば、他人がパンに「ソニー」という商標を使ったらソニーは困るでしょう。そこでソニーはパンの分野で防護標章登録(ソニーはパンは作っていない)をする。