種苗法と商標法はそれぞれ登録制度を有しております。種苗法では人為的変異又は自然的変異に係る特性を固定し又は検定した品種について品種登録が可能です。これに対して商標法では、種子類、苗、野菜、果物、農産物の輸送 苗の仕立てなどの商品・役務について商標登録が可能です。
法律上、両法律は権利の内容(客体)が異なるものの、名称部分で互いに他方の登録との重複した登録をさせないようになっています。ところで、商標法による品種名称の保護と種苗法による品種登録を受けた品種名称の保護は同一又は類似の名称は登録できないことになっています(商標法4条1項14号)。
商標法にいう異議申立理由(商標法43条の2)は、公報の発行の日から2カ月以内に何人も登録異議を申し立てることができる。特に“他人”は規定されていないことから、商標登録の出願人と種苗法の育成者権者が同一でも品種登録を理由に拒絶されることはあります。
そして、種苗法では出願にかかる品種名称について、出願品種の種苗に係る登録商標又は当該種苗と類似の商品やその種苗に係る役務の登録商標と同一又は類似のものである場合は、品種登録を受けることが出来ないものとされています(種苗法4条1項2号、3号)。
農水大臣は出願品種の名称が登録商標と同一又は類似とされるときは出願者に対し、相当の期間を指定して、出願品種の名称を登録商標に類似しない名称に変更すべきことを命ずることができます(種苗法16条)。
この名称変更は出願公表後でもその命令を受けることがあります。詳しくは、農水省のホームページをご覧ください。出願公表・品種登録については、官報に告示されますが、出願公表後の名称変更についても官報に告示されます。商標法と種苗法の2つの法律は二重保護的な部分があるかも?