周知商標と著名商標は違う?まず「周知」とは、「需要者の間に広く認識されている」ことをいい、一地域で又は特定の取引者・需要者の間で知られていれば、「周知」に該当します。なお、全国販売されるような商品の名称である場合には、1県だけでなく数県にわたって広く認識されている必要があります(東京高判昭58.6.16)。
例えば、上記裁判例では、コーヒー等の全国的に流通するものの名称は広島県だけでなく、隣接する山口県や岡山県等においても広く認識されている必要があるとされています。逆に菓子等の特産品の名称の場合には、1県内で広く認識されていれば「周知」に該当するといえます。
一方、「著名」とは、「周知」の程度が高く、日本全国に知れわたってるような場合をいいます。一般的には、「需要者の間に広く認識されている」商標といえば、「周知」の商標と「著名」な商標の両方が含まれ、「周知・著名商標」といった使い方がされます。
また、「需要者の間に広く認識されている」という文言は、商標法上、商標登録の要件(4条1項10号等)・先使用権の要件(32条)・防護標章登録の要件(64条)として出てきますが、防護標章登録の要件(64条)の場合のみ「周知」では足りず、「著名」である必要があるとされています。
なお、先使用権の要件(32条)としての「需要者の間に広く認識されている」については、商標登録の要件(4条1項10号等)としての「需要者の間に広く認識されている」よりも緩やかに解釈されるとする裁判例もありますが(東京高判平5.7.22)、同レベルと考えられています。実務では原則、著名商標の方が周知商標より登録性低いようです。結果、両商標は違う?