商標は公序良俗と認められる場合は登録できません。そして、商標法4条1項7号には「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録を受けることができないと規定されています。具体的には同号に定める「公序良俗を害するおそれのある商標」という規定は抽象的であり、何が該当するのか分かりにくいことは事実です。
そこで、7号に関する特許庁の過去の判断を見てみると、概ね以下のようなケースが該当する代表例と言われています(ただしこれらだけに限るものではありませんし、これらに該当するからといって常に登録が認められないというわけでもありません)。①差別的・他人に不快な印象を与えるような文字、図形等からなる商標
②国家資格等を表す又は国家資格等と誤認を生ずるおそれのある商標(「××士」等)③行政組織・各種団体との関連を誤認させるおそれのある商標④著名な故人・歴史上の人物名からなる商標登録出願⑤公共的利益を私的に独占させるような結果になるおそれのある商標
判例・審決例では、「KILL」商標 「殺す、殺害する」等の意味を有する英語として広く知られている「KILL」の文字を表してなる商標は、あたかも人命を軽視するかの如く他人に不快な印象を与えるおそれがあるから、これを商標として登録して指定商品に使用することは公序良俗を害するおそれがある(平成16年5月31日審決)。
「がんばれ日本」商標、本件商標出願行為は、あたかもJOCの協賛企業であると誤信させ、祉会的に貢献していることの企業イメージを得ようとする意図をもってされたものといわざるを得ないものであるから、社会通念上商道徳に反するものであり、公正な商取引秩序を乱すおそれがある(平成16年7月20日審決)等々。公序良俗に該当するか否かは結局最終的には裁判しかない?