今日は前フリについて話そうかな。
笑いの構造にフリとオチってありますよね。それです。
ただ、笑いに限ったことではありません。
すべての面白い話に共通の構造です。
オチは結論です。
前フリは、オチとは真逆の状態をいいます。
人間は変化に反応します。だから、話に変化をつけるわけです。
まず、結論を決めます。それで、真逆の話を最初の方に持ってくる。
これだけです。
ちなみに、よく言われる「緊張と緩和」もこの変化と同じ構造です。
緊張と緩和は真逆ですから。
じゃあ、たとえば、「仲が良い二人」を結論にもっていくとします。
何でもいいですが、
ピンクと水色のペアのパジャマが、ハンガーにかけられていた。
風に吹かれて、ゆらゆら揺れながら、くっついたり離れたりしていた。
その姿は、まるで仲良く寄り添ういつもの二人のようだった。
という文章を、作りました。
仲が良いの逆は仲が悪い、つまり、ケンカするですよね。
だから、前フリは、ケンカしている話です。
それで、ちょっと、作ってみました。
ある夏の日のことだった。
彼が帰ってきて、シャワーを浴びていた。
テーブルの上に置いてあるスマホが鳴った。
ラインの音だった。
見ちゃいけないと思ったが、嫌な予感がして、つい彼のスマホを見てしまった。
「お礼を言うの遅くなっちゃいました。この間の食事ありがとうございました。またおごってくださいね」
知らない女性の名前だった。
彼がタオルで頭を拭きながら、リビングに入ってきた。
「だれ、この女」わたしはスマホを彼に投げて言った。怒りが抑えられなかった。
「勝手に見たんだね」彼は冷静な声で言った。
「だれ、答えて」
「この間、徹夜で仕事したときのこと覚えていない?一緒に居残って手伝ってくれた女の子いたよね。そのとき、あなた、直接電話で話したでしょ。彼女と」
ああ、あのときの女の子か、思い出した。会社で二人っきりだと怪しいから電話をかけてきた。そのとき、その子と話した。
「それで、お礼に食事おごってあげたんだよ」
「ごめん」わたしは言った。
「あのさ、ちょっと駅前の漫画喫茶に行ってくる。スマホはここに置いておくから、好きなだけ見ていいよ。俺のこと信用してないんだね。まったく」彼はそう言うと、部屋から出ていった。
彼は相当怒っている。わたしには分かる。わたしたち、ダメになるのかな?
わたしは、ふとベランダに目を移した。
ピンクと水色のペアのパジャマが、ハンガーにかけられていた。
風に吹かれて、ゆらゆら揺れながら、くっついたり離れたりしていた。
その姿は、まるで仲良く寄り添ういつもの二人のようだった。
そうだ、謝らなきゃ。そして素直に話そう。
大好きだから妬いたんだって。
わたしは、彼のスマホを持って、彼のもとへ走っていった。
まとめです。
1、結論(オチ)を決める。
自分の心の動いた瞬間が良いと思います。
2、オチとできるだけ真逆の事実をかき集めて、話をつなげていく。
これが前フリになります。
もう少し例をあげましょう。
オチは悲しいことだとします。
親友が学校の帰りに交通事故で死んだのが、オチだとします。
前フリは、親友と楽しく遊んだ話を書いていきます。
たとえば、サッカーで、親友のアシストでゴールを決め、地区大会に優勝した話とか。
死ぬ直前の放課後、親友が好きな子に告白してオッケーをもらった。その時、二人でガッツポーズした話とかです。
楽しかった話をすることで、事故で死んだときの悲しみがより深く表現できるでしょう。