フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

人間の判断方法

2020年04月24日 07時00分00秒 | 日々の出来事・雑記

それは六十歳くらいの小柄な老人だった。私はこの老人をひと目見て、深い感銘をおぼえた。

そのまなざしには、なんとも言えない穏やかなものがあった。

こんな善良な心の優しい人間には、これまで会ったことはなかった。

彼は、政府によって、村の信仰を改宗させられた。そして、寺院の建築が始まると、それを焼き払った。

彼はその首謀者の一人だった。それは極めて重大な犯罪だった。それで、この流刑地に送られてきたのである。

彼は陽気な男で、よく笑った。

その笑いは、囚人特有の皮肉な笑いではなく、静かな明るい笑いで、その笑いには子供のような素直さがあふれていて、白髪の顔によく映った。

わたしは笑い方でその人間がわかるような気がする。

ぜんぜん知らない人にはじめて会って、その笑いが気持ちよかったら、それはいい人間だと思って差し支えないと思う。


これは、このあいだ読んだ「死の家の記録」の一節だ(ちょっと短くしてる)。

「笑い方でその人間がわかるような気がする」

僕もそう思う。

笑い方が好きなら、文句なしにその人を好きになってしまう。

男も女も。友情も恋愛も。

やっぱりドストエフスキーの洞察力は優れているなぁ。ほんとに。

コメント
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