白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―植物根での軍拡競争!―

2016年07月30日 | 土壌

植物根での軍拡競争、こんな表題の記事が、June 23, 2016付けの 「サイエンスデイリーニュース」に掲載されていました。 其処には続いて 「土壌バクテリアは、如何に植物根と戦って、その纏わりつくトラップから逃れるのか」と書かれて居り、その姿を描いた偽色電子顕微鏡画像に思わず見入っていまい、記事を一気に読ませて頂いたのです。これぞまさに、植物本来の持つ免疫作用での病原菌と闘う姿であり、農薬漬けが当たり前の日本の作物栽培の一般常識の中にあって、益々増える農薬依存を少しでも考え直す一助にもなればと思い、記事の概要を拙訳で恐縮ですが、一寸下記に紹介させて頂きます。

 

―バクテリア(青色)の捕捉を描写したトラップ(黄色)の偽色電子顕微鏡画像―

土壌の中は微生物で満ちています。植物根の上皮面では特質化した境界細胞が水分と栄養分を求めて土壌の中を伸長しながら、それらの土壌微生物を闘い落として行きます。

6月23日付けで発表された “PLOS Pathogens”誌の載った研究では、植物病原菌は如何にして、トラップ(ワナ)に掛ける植物の境界細胞からの粘りつく分泌物に向かって応酬するかを明らかにしています。

青枯病菌のラルストニア・ソラナセラムは、経済的に重要な作物であるジャガイモやトマト、それにバナナ等の広範囲にわたる植物に感染して、破壊的な枯死病をもたらす土壌生息の病原菌であります。

そのラルストニア・ソラナセラム、土壌に住んで植物根を嗅ぎ出しては其の傷口や自然の開口部から侵入し、やがて繁殖して広がって、結果的には水分輸送システムを阻害して植物を萎れさせて枯死させます。

 

-青枯病を発症したみじめなトマトの姿-WebImagesより

アメリカ合衆国のウイスコンシン大学マジソンからのCaitilyn Allenとその仲間の研究者たちは、エンドウをモデルシステムとし、亦経済的に重要な作物である自然の宿主トマトを使って、根部上皮の境界細胞とラルストニア・ソラナセラム病原菌との関係活動の研究を行いました。

根と土壌の界面に存在するBorder cell(境界細胞)は、さまざまな生態的な役割を担うのですが、其処で研究者が発見したのは、ラルストニア・ソラナセラムに感染すると、エンドウとトマトの両方の境界細胞の持つDNAが放出されて応答し、その結果、粘っこいトラップを形成して感染バクテリアに纏わり付くのです。

研究者が観察した結果では、バクテリアの約25%が絡め取られてトラップの中で殺されました。その反バクテリア活動は、細胞外のDNAとhistone H4抗体である、植物や動物の細胞に見られるDNA関連のたんぱく質の両方の存在に依るものであります。

研究者が幾つかの無害なタイプのバクテリアをエンドウの根に暴露させた時には、DNAからは何ら分泌されなかったのであり、その事は特定の有害な攻撃者に対して反応する事を示唆しています。

 

―ボーダーセル(境界細胞)のイメージ画像―WebImagesより

研究者は、根からの細胞外トラップ応答の引き金となる、特定信号の識別を追及する中で、ラルストニア・ソラナセラムの候補となるシグナルをエンコードした一連の遺伝子の中で、突然変異種を使っての研究を行いました。

突然変異の遺伝子を持つ2つの系統でのプロペラ―のような尻尾を持つバクテリウムは、失敗してトラップの形成をさせたのであり、此の構造では、いわゆる鞭毛と呼ばれるものが危険な信号として宿主に認識された事が示唆されます。

ラルストニア・ソラナセラムのゲノムには、二つの遺伝子(nucA 及び nucB)を包含し、それらがいわゆるヌクレオチド分解酵素と呼ばれる分子鋏をエンコードして、DNA分子をカットして切り刻むのです。

エンコードされたヌクレオチド分解酵素には、どちらの信号も含まれて居て、それがバクテリア細胞から送り出されて環境に放出されるように働くのです。

研究者は、これらのヌクレオチド分解酵素が、植物によってセットされたトラップを破壊できるかどうか試験するために、2つの遺伝子のどちらかが欠けているラルストニア・ソラナセラムの突然変異を作って調べました。

其処で研究者が発見したのは、突然変異種では無いラルストニア・ソラナセラムが、エンドウの根のボーダー細胞のトラップを素早く逃れる一方で、突然変異バクテリアは、両分解酵素共不活性のままで失っているおり、しかも突然変異バクテリアでは亦、自然宿主のトマトの根には妥協して侵入する能力を保持していたのです。

 

-農薬に頼らない青枯病を予防する高接ぎの知恵-WebImagesより

精製した分解酵素(NucA, NucB, 又は非バクテリア酵素)を添加すると、バクテリアはトラップから脱出する結果になりました。

これらの結果が示すのは、病原菌は宿主の根部ボーダー細胞によって発生する細胞外DNAトラップから免れるために分解酵素を利用すると言う事です。

「最大限の知識を以ってすれば、この事はDNA酵素が植物の病原性に貢献している事を示す最初の報告である」と研究者たちは言うのです。

 彼らは、明らかに同じような動物や植物のDNAベースの防御の独立した進化を論拠にし、議論をしています。

それは、植物ボーダー細胞と動物のマクロファージの両方ともに、DNAを包含している細胞外のトラップを展開して、病原菌を死滅させるのですが、それに応えて病原菌は、分泌される酵素を使ってDNAを破壊するのです。

植物根に於ける宿主病原菌との相互活動を理解することは、疾病に耐性を持つ植物品種の作出や栽培技術開発の助けになる事でしょう。


 以上ですが、皆さんはこの記事の話、どのような感想をお持ちになられましたか?

自然界の一員であるすべての生物は、人間を含めて自然に従うべき摂理があり、自然界の存在には一人勝ちは無いのです。農薬を以って作物の敵をいくら叩いても、所詮は自らを亦、滅ぼす事にもなる?兵器の軍拡競争でしかないと思われませんですか?‥‥。

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