歳をとると季節の巡りが一際早くなるように感じられますが、今年も早2月に入り日差しも若干伸びて、庭の梅の蕾が一際大きくなり、一輪、2輪と開花の始まる時節を迎えています。
園芸愛好家の皆さんは春から始める今シーズンの野菜園芸、今年は何から育てるか色々思いを巡らせて御出ででは無いでしょうか。
尤も、都会に住んで居られては、自宅の庭に充分な広さの菜園を作れる程のスペースを確保するのは中々容易では有りません。それで市民農園や貸し菜園等を借りて野菜作りされる方が多くなるでしょうが、自宅でも簡単に始められる家庭菜園と言えば、プランターや鉢を使った容器用土栽培があります。これならば、置き場所さえあれば簡単であり、誰もが直ぐにも始められます。
―清々しい白梅の開花姿―
其の「土」で育てる野菜作り、容器栽培は其の構造上用土容積が限られる為に、育てられる野菜の種類や大きさに制限があり、それに色々工夫しても充分な栽培効果を発揮させて満足できる結果を出すのは容易ではありません。
トマトやキュウリ、ナスなどの果菜類、キャベツや白菜等の大型茎葉野菜となると、思うような収穫が中々上げられないのですが、それなりの結果に妥協して自己満足する事が大切あり、己の未熟な技量と言い聞かせ、飽きず続ける事に野菜栽培の楽しさがあり、皆さんはどんな想いで、そんな野菜作りをされているのでしょうか。
―新プランター野菜栽培で一度に収穫した夏野菜―
生来の凝り性であって、そんな妥協も出来ず、自己満足では飽き足らず、趣味が高じて辿り着いたのが、「土」に替わる、高機能性培土を利用する栽培効果が格段に優れる容器栽培法であります。
新プランター野菜栽培と名付けて、多くの方にこの成果の上がる新しい容器野菜園芸を知って頂き、誰もがこの栽培法を楽しんで頂ける事に成ればと願って紹介を始めたのが、他でも無いこのブログで有ります。
以前から気に成って居りましたので先ずは、自然が作り上げた土の持つ力、固よりそれを侮るような積りは毛頭から無く、土から学んだからこそ可能になったこの栽培原理、其の事をはっきり申してからから話を進めさせて頂きます。
―土の話、始めたら尽きる事がありません!―
実は、3年以上前に書いた「土の保水メカニズム」と題したブログ記事が、今尚、掘り起こされて多くの方に読まれているのを先日知りました。それで「土」に触れての話、もう一寸加えて見たくなったのです。
今更、「土」の話など沢山と言われる方も居られるかも知れませんが、分かって居る様で居て、肝腎な事が分かって居ないのが「土」であり、これ亦、園芸マニア爺さんの一人善がりな戯言と思ってお読み頂いて結構です。
その「土」、良く生きていると言われます。また一方、「母なる大地」とか 「生命を育む大地」等と表現されます。
成程、作物や草木が豊かに育まれる生命の源は「土」にあり、農耕上の大切さを強調する意味であって、「土」を観念的に捉えての感性に基く比喩的な表現で、そう呼んで来たのかも知れません。
その「土」の構成々分で言えば、母材である岩石の風化した無機鉱物、様々有機物質に水、空気を含む集積物であり、且つ、其の中に棲む無数の微生物、土壌昆虫類に依る多様性な生物生態系が育まれている有機体物とその残渣、母岩無機体物の複合体とも言えます。
―土性とは、クレイ、シルト、サンドの構成比です!
その土の構成物割合は一定のバランス(均衡)が保たれているですが、それが常に変化して居り一定した状態に留まる事は無く、それを構成する無機体物、生体物のダイナミックな相互活動によって常に起こっている変化、その生きもの様な多様な挙動を指して土は生きていると表現されるのでしょう。
それを今日風に言い換えれば、“SWATS” Soil-Water-Air-Temperature-Sunlightの非生体要素に加えて、多様な土壌生物生態系を為す生体要素の相互活動があって形成されているのが「土」であります。
―土壌有機物の組成割合は変化する!―
従って、その「土」の生態系( Ecosystem)を守ると言う事は、先ず根幹要素となる非生体要素(Abiotic Factors)を守る事であり、以って其処に依存する生体要素(Biotic Factors)が守られるのであり、その健全な相互活動が維持される事が「土」の好ましい姿と言う事であります。
それには、「土」がどのような構成物であり、それがどのような役割を自然界で果たしているか構造と機能をしっかり理解して、「土」を利用目的に最も効果のある使い方をして行かなくてはなりません。
―自然の営みに果たす土の役割を知る!-
作物の栽培媒体となる「土」、その好ましい構造は其の組成に関係して決まるのであり、其の好ましい機能は適正な養水分の保持能であり、又其の供給能であり、根部の呼吸に必要な空気の供給能であり、其の根を固定する保持能であります。
それらの決め手となるのが、其の「土」の組成であり、其の結果生まれる、保水性、排水性、保肥性であり、それらの機能の担い手は、含まれる粘土鉱物と有機物残渣の腐植であると良く言います。
実は容器用土栽培で用いられる園芸培養土、要求に応える機能を持たせる為に、水持ちが良くて水はけも良いと言う、相反する性質を持たせ、合わせて保肥力があるように配合しているのですが、容器栽培である容量の制限因子が其処にはあり、其処に育つ作物に取って、果たして適正な利用に相応しい機能の保水性、排水性、保肥性となるかは、栽培環境や気候条件などで大きく違って来ます。
―土の中の多様は生物が土を作ります!―
唯、植物は抜群に優れる環境適応能力を備えて居り、多くのストレス要因の中に在ってもそれなりの生長を示すのであり、その結果、容器用土栽培での容量による制限因子、そのストレス要因の判別を難しくしているのです。
それでも多くの方が容器容量を大きくすれば、それだけ大きく育つと思って居り、25L、30Lの大きな容量の野菜栽培プランターが色々売り出されています。
容量が大きく成れば保水量が増えると単純に考えるのですが、肝腎なのは保水量だけの問題では無く、作物がどれだけ用土に保持されている養水分を容易に摂取出来るかが大切なのです。
容器栽培では作物の生長に合わせて鉢替えをする意味が良く理解されて居ないのでしょうが、容器用土栽培は一般の圃場栽培とでは根本的な違いがあり、それが何かと言えば、一寸理解しにくいでしょうが、「土の保水メカニズム」のブログ記事で触れた保水ポテンシャル勾配であり、一般圃場と容器用土ではそこに違いがあるのです。
―土を大切にする!-イメージロゴ
「土」は生きている話、飛んだ方向に行って仕舞ましたが、序に申しますが、農耕土壌で大切な粘土鉱物と腐植量、限られた容量で栽培する容器用土では、保水容量が少ないので度々給水する必要があり、経験から申しますと、殆ど其の効果に意味がありません。
容器用土栽培では、限られた根容積の中で、どれだけ高い根密度にして養水分摂取能力を持たせるかであり、それが媒体の機能構造で決まるのです。
―今需要を伸ばしているココピートー
最近ネット上で培養土とは言わずに「基盤材」なる用語が用いられて居るのを見掛けます。どんな素材を利用した培土なのか分かりませんが、度々の給水に向いた専用媒体のココピートでは無いかと思います。それならば、容量に限りの或る容器栽培にも適して居り、土より優れる媒体で養液栽培では広く用いられています。何方か試された方は居られましたら、感想をお聞かせください。
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