白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―施肥量の算出と均衡培養液―

2011年05月27日 | 肥料

肥料は、植物の栄養に供するために土壌に施されるものとされ、葉面散布などの植物に直接施されるものも含まれます。その肥料を、作物の栄養特性に応じて土壌条件や気象条件を考慮しながら、適切に与える事を施肥管理と言います。

 

その目的は肥料の利用率の向上を図る事にあり、適切な肥料の種類、施用時期、施肥量、施肥位置を作物毎に選択し、贅沢吸収を抑え、無駄となる流亡を少なくし、肥効を調節して生育ステージにあわせて作物の栄養を管理するとされています。

 

―世界初の人工肥料工場を作ったローサムステッド農業試験場― 

その基本は、肥料堆肥作物残渣や土壌灌漑水等、その肥料養分の供給量と、作物養分吸収揮散流亡不可給態化等、利用されない養分の損失量との均衡を取る事です。

 

肥料の与え過ぎは、土壌条件の悪化、生育不健全化、病虫害の助長、揮散や流亡による環境汚染、又、浸透圧が上がって、肥料当たりを起す濃度障害などが発生させます。従って、植物の根群域に適切な濃度で肥料分が存在するように施肥する必要があり、与える量と施肥位置が特に大切です。

 

尿素を合成したフリードリヒ・ヴェーラー

蔬菜類の品質と施肥の関係では、硝酸性窒素を少なくして、糖やアスコルビン酸の含有質率等の良好な香味成分バランスを維持させ、シュウ酸等を蓄積させない養分管理技術が求められています。

 

―最少養分律を唱えたリービッヒ

それには、肥効調節型の肥料の利用と窒素の施肥法に留意する事であり、一般に収量を落とさない範囲で、窒素の施肥量を減らす事が大切と言われます。

 

無機態窒素の発現には、アンモニア態窒素の割合が高くなるような施用方法が、有効性が高いとされています。作物の窒素過多による影響は、病害への抵抗性を弱め、軟腐病、疫病、青枯病、トマトの根腐萎ちょう病、つる割病、萎黄病等が助長され、又、窒素代謝の異常が吸虫害の発生を助長します。

 

―有機物の無機化の模式図―農業と環境No.102より

その窒素肥料ですが、過っては、自然界で固定された窒素化合物が生物などによって摂取され、その有機窒素がやがて分解されて、形を変え、アンモニウム塩や硝酸塩などの化合物の無機態窒素となる窒素循環の中で植物は利用して来ました。 

 

―アンモニア合成のフリッツ・ハーバー

しかし、現在では人類の偉大な発明とも言える化学的窒素固定によって生まれた窒素肥料が、地球生態系の最大の窒素供給源となっています。窒素は生物にとって不可欠の蛋白質を構成するアミノ酸の要素であり、DNAやRNAのような核酸にも含まれる生物の根源となる元素であります。

 

窒素肥料は施肥の中心とされ、ご存知のように化成肥料や複合肥料の表示でも3要素の窒素、リン酸、カリの順で示され、その窒素の不足は収穫量の致命的な減少に繋がります。

 

植物の必須要素はどれがかけても生育に異常を来たしますが、圃場作物では、リン酸やカリ等の要素量はさて置き、窒素が最少養分になっており、その施用量に比例してある段階までは直線的に収量は増加すると言われています。

 

ユリウス・フォン・ザックスー近代植物生理学の祖―

大切な事は、化学肥料とか有機栽培肥料とか議論する前に、窒素、リン酸、カリの3要素に加えて、カルシウム、マグネシウムの作物毎の養分吸収量に基く施肥量の算出です。残念ながら家庭蔬菜園芸の分野では、用土の質と量の関係もあってか、その施肥量の知見が殆ど生かされていないと申せます。

 

美味しくて、栄養豊かで安全な野菜の栽培には、健全な作物の生育となる適切な施肥量しかありません。そして、その鍵は、植物の栄養生理の研究から生まれた「“Balanced Nutrient Solution”=均衡培養液」にあると申せます。

 

―点滴灌漑装置の概観―地表面点滴エミッター農法―

それは土を離れる事で得られた知見であり、化学肥料の欠点である水溶性で即効性の為の過剰施用による濃度障害、残イオンによる土壌の酸性化、土壌の団粒化構造に寄与しない等の課題があり、それを解決する化学肥料の最も優れた施用法が均衡培養液施用であると申せます。

   

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