白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

消える台所生ゴミー堆肥の功罪

2012年03月03日 | 肥料

先のブログの「生ごみが消えるコンポスターガーデングルメ」にはアクセスも多く、生ゴミの堆肥化には多くの方が関心をお持ちの様子が伺えます。それでは皆さんは堆肥をどう理解されているのでしょうか。

 

堆肥の土づくりに果たす役割は大きいと言われていますが、有機廃棄物なら、生ゴミでも何でも良質な堆肥になると言う訳ではありません。前にも申し上げたように、未熟な生ゴミの「EM堆肥」等、家庭菜園であっても、其の儘投入するのは好ましい事ではありません。

また、菜園等で、前作の作物残滓を其の儘堆積しただけの堆肥では、その分解の程度にもよりますが病原菌等の感染源になる恐れもあります。

 

ーコンポスト作りの全てが解るコーネル大学有機廃棄物管理研究所サイトーhttp://compost.css.cornell.edu/science.html

 

その堆肥の功罪については、先にも紹介した日本の堆肥研究の第一人者である原田靖生氏(社団法人日本土壌肥料学会 現常務理事)は過っての対談の中で次のようにも申しています。

 

―コンポストは特性検査が肝心―

「土壌の物理性、化学性の改善など、土づくりに果たす堆肥の役割は大きく、土の基礎体力を維持するには、堆肥の適正施用は重要であり、その施用効果は、

①総合的な養分の供給源、
緩効的・持続的・累積的な養分供給効果、
土壌団粒の形成による物理性改善、
CEC・キレート作用・緩衝能増大など化学性の改善、
物質循環能・生物的緩衝能増大など生物性の改善、
等が挙げられる。」

「しかし、品質の悪い堆肥を多量施用した場合には、かえって作物に様々な害作用が生じたり、土壌環境を悪化させる結果にもなる。未熟堆肥の多量施用による影響は、

 

過剰の窒素による濃度障害・作物体中硝酸態窒素濃度の上昇・窒素の地下溶脱、
C/N比が高い堆肥の場合には窒素飢餓、(窒素不足)
フェノール酸や低級脂肪酸による生育阻害、
未熟堆肥の急激な分解による土壌の異常還元、(酸素不足)
カリウムや銅・亜鉛濃度が高いことによるミネラルの不均衡
等が挙げられる。」としています。

 

―堆肥化の一般開放式装置―

又、堆肥施用による土壌の生物性の改善については、「物質循環能や生物的緩衝能を増大する効果があると言われているが、よくわからない部分が多い。」とも申しています。

 

そして、「品質の悪い堆肥」の「カリウムや銅・亜鉛濃度が高いことによるミネラルの不均衡」の例として、
次のような話をされました。

 

―有機廃棄物の堆肥化は万国共通の課題―

「季刊雑誌「肥料」97号には、東京農大後藤逸男教授の「有機質資源リサイクル 言いたい放題」という記事が掲載されている。最近、立派な堆肥センターが多く建設され、すばらしい完熟堆肥が出来ている、だからこそ、逆に質が悪いと言う。つまり、完熟堆肥は窒素の効きが悪く、リン酸やカリ、亜鉛などが濃縮されており、多量に施用すれば、土壌養分のバランスを崩すことになる。このバランスをとるために、不足する窒素を尿素や硫安で補うのが妥当と考えられるのであるが、そうすると有機認証は得られないことにもなる。
後藤教授が指摘するように、有機物施用のみに拘った農法を進めれば、土壌中の養分バランスを正すのは困難になるだろう。」

 

―肥料の需給の安定に寄与することを目的とする財団法人

又、後藤逸男教授は2008年に、「高騰を続ける肥料原料にどう立ち向かうか」と、JAグループの「施肥コスト抑制全国決起大会」で行われた講演で、「長年にわたり土づくりを続けてきた野菜畑や果樹園、ハウス土壌にはたくさんのリン酸やカリが蓄積されている。作付前に土壌診断を行い、養分が多すぎれば施さなければよい。

しかし、この至極当たり前のことを実行できる人はそれほど多くない。それは、「肥やしは施せば施すほどよい作物がたくさん穫れる」「完熟堆肥はたくさん施すほど土がよくなる」等々、根強い土づくり迷信”“堆肥迷信に惑わされているからだ。
 これらの迷信を払拭し、土壌診断に基づき無駄な肥料を施さないことが、まず実践すべき肥料高騰対策だ!‥‥」と提言されています。

 

―農大式簡易土壌診断キットみどりくん―

実は、「消える台所生ゴミ」に行き着いたのは、10年以上前にある展示会で、カナダ製の解放型コンポスター「ガーデングルメ」を初めて日本で展示紹介していたカナダ人コンサルタントに偶々会い、「これなら、構造上からも日本でも必ず普及しますよ」と申した経緯があって、その後それを試す羽目となり、台所生ゴミを一年間、全く収集に出さずに「ガーデングルメ」での堆肥化実験を重ねました。その結果が「消える台所生ゴミ」だったのです。

 

その後、日本では「ガーデングルメ」のネット販売を始めた方が居られたようですが、堆肥を良く判らない一般の方の理解は得られなかったらしく不成功に終わり、今では国内で「ガーデングルメ」は入手できないようです。手元には、当時試験輸入した「ガーデングルメ」が、未だ5セット残っています。

もし、「自治体が無料で収集してくれる台所生ゴミを、手間ひま掛けても消滅したい」と思われる奇特な方が居られるのでしたら、当時の原価でお譲りしても結構です。

 

―園芸新知識、はなとやさいー

尚、堆肥に拘らずに、菜園の土作り全般についてお知りになりたいのでしたら、前記の東京農大の後藤逸男先生が、「タキイ」の会員誌、「はなとやさい」に、「なるほど土つくり」の表題で、2011年から1年間連載した恰好な記事が御座います。無料ですからネットで検索してPDFでお読みください。

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