先のブログで、アメリカで行われたコンポストを栽培媒体にして、イチゴを植え付ける農法の試験栽培の話を紹介しましたが、其のコンポスト、日本では「堆肥」と呼ばれ、肥料取締法で特殊肥料に分類されていて、市販に当たっては、原材料、主要成分の含有量、その他、品質についての表示が定められています。
―コンポストのイメージイラストよりー
肥料取締法の目的は、肥料の品質等の保全、公正な取引と安全な施用の確保、肥料の規格及び施用基準の公定、登録、検査等、農業生産力の維持増進と国民の健康の保護に、資することとあります。
又、肥料の定義は、植物の栄養に供すること、又は植物の栽培に資するために、土壌に化学的変化をもたらすことを目的として、土地にほどこされる物、及び植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物としています。
その中で、特殊肥料に分類される堆肥(汚泥を原料とする物を除く)には、稲藁や枝葉等の木質系を原料するものと動物の排せつ物等とがあり、その上に熟成度により品質のバラツキがあって、その材料の種類で品質を識別することが困難であります。
又、原材料によっての主成分の含有量は多様となり、成分量の多少のみでは、一律的な評価を行うことが出来ないのが堆肥であります。
しかしながら、肥料となれば、適正で一律な表示が必要であり、その為に特殊肥料としての品質項目が定められ、その表示義務が課されていると言う事です。
ーポピュラ―な高度化成肥料―WebIagesより
したがって、堆肥の原料に依って示めされている主要成分では評価出来ない違い、一寸評価し難い程、含有肥料成分が僅かな場合もあり、唯、有機物由来故に、その他の微量要素の補給が出来ると期待して漫然と多く投入される事になり、用法の適性な施用量も大変大雑把な数字になっています。
尤も、堆肥は肥料と言うよりも、土壌の改善効果と申される方も居られ、その施用量対効果となれば、更に評価が難しく、一層その効果は判然とはしないのですが、多く入れればそれだけ効果が高くなると思って居る方も多いようです。
どちらにしても、有機物なら何でも堆肥に成るとの考え方で、安直に原材料を特定せずに一般生ゴミや有機産業廃棄物等を堆肥に利用する事は考えものですし、市販堆肥では許されません。
特に危険なのは、有害な有機無機の汚染物質、重金属の混入や溶出等、土壌汚染の怖れであり、堆肥にするには原料が何より重要であります。
―堆肥は自然から学んだ知恵です!-WebIagesより
昨近は、家畜糞尿からの抗生物質の話が伝えらる等、様々な化学物質が一般家庭生活の場に入り込んで、知らぬ間に環境汚染元になる時代であり、喩え自給用の堆肥であっても、有機物だからと矢鱈に堆肥にすべきでは無いと事も知って置く事です。
扨て、以上から申せば、表示されている堆肥の品質基準、肥料として成分量は大変低く、如何選んだら良いのか一寸押し測り様が無いとも言えます。それでは堆肥の施用、専門的な見地からは如何捉えられているのでしょうか。
永年、土壌を離れた野菜の容器栽培で、堆肥とは全く無縁な野菜園芸を楽しんできた経緯があり、プランターやポットの培養土栽培であれば、その考慮も必要な堆肥の効用、観点を代えて一寸見てみたいと思い、其の捉え方の評価について、幾つかネット情報からで追って見ました。
-堆肥は本来自分で作るものです!-WebIagesより
堆肥に含まれる構成物に良く腐植と呼ばれるものがありますが、土壌中に集積する動植物の遺骸が腐敗分解して生じる、一般に黒色を呈する有機高分子物質と言われ、土壌の有機的成分として、土壌の性質や作物生産力に、重要な影響を与える効果を持つとされて居ます。
其の腐植、自然界では地表に落ち葉と微生物・(小)動物の死骸が長い時間をかけて少しずつ作られて来たものであり、土づくりの基本物質と言い、環境保全型農業に欠かせない要素ともされて居ます。
ところが、腐植成分が堆肥の品質表示は見当たらず、其の効用が今一つはっきりして居ません。
―完熟した堆肥を腐植と呼びます!-WebIagesより
その腐植の作用、一般に堆肥効果として下記のように言われています。
Ⅰ 植物の養分を供給する効果
1) 窒素、リン酸、カリ、その他の微量要素まで幅広い肥料成分を保持している。
2) 肥効がゆっくり、おだやかで長く効き、作物の成育に優れる養分供給となる。
Ⅱ 土壌を改良する効果
1) 土粒子の団粒構造を発達させ、保水性、通気性を高め、作物の良好な根の伸長をうながす。
2) 陽イオン交換容量を持ち、保肥力により化学肥料等の急激な肥効を緩和する。
3) 微生物の活動を活発にして、有益な微生物の種類や数も増える。
―全国土壌改良資材協議会(HP/2012/2)による『概要』からー
その特殊肥料である堆肥と腐植の関係、その直接的な施用効果と間接的な土穣の改善効果をイラストで示した恰好なサイトがりました。
それが上図であり、見ての通り、市販堆肥にはバーク堆肥、動物の排泄物堆肥類とであり、肥料と土壌の改善資材の中間に位置するものと捉えられています。
文字とおり、植物の栄養を与える肥料としての効果、土壌の農地としての生産力を改善する効果、その両方を持つ効果となれば、申し分ないのですが、実態は大変其の解釈が難しいのです。
言うなれば、堆肥の直接的な肥料効果は、有機物肥料を堆肥にする(ぼかし肥)で得られる効果として理解出来ますが、間接効果の土壌の生産力の改善となると、対象となる土壌で当然効果が異なるでしょうし、どの程度の質的改善、量的改善なのか、はっきりしません。
―適性量のコンポスト散布が大切です!-WebIagesより
有機物を堆肥にする目的は、有機物に含まれる炭素量を微生物作用によって減らす事、有機物の施用直後のガス害(酸欠)を、防ぐ為と言います。
堆肥にはその原材料の違いでバーク等の木質系堆肥と鶏糞や牛糞等の家畜糞堆肥があるのですが、本来、土壌の性質を改善する土作り作用がその目的であり、家畜糞堆肥は、更にチッソ、リン酸、カリなどの肥料成分の供給を兼ねると言います。従って判断の難しい、それが特殊肥料と言われる所以です。
営農者の観点からの費用対効果からすれば、選択判断に圃場土壌の専門的な知識や経験が求められる農業資材と言う事に成りますが、家庭菜園での堆肥の種類とその施用、皆さんはどのように選択判断されておられますか?
―トマト後作の旺盛に育った秋野菜のキャベツー
土壌を離れた新プランター野菜栽培、堆肥腐植の持つ土壌改善効果は考慮外ですが、収穫後のトマトの残根を其の儘放置して、数カ月経って掘り起こして見ると、すっかり根が分解され黒い微粒子状になった腐植?が出来ていました。
毎年トマトの後作の秋野菜、其の儘そこに植えても良く育つ事は経験済ですが、残根を除いて洗浄した場合と比較しても、その違いは認められません。
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