先日の東京新聞に、都内最多を誇ると言う練馬区産の秋とりキャベツを使った「野菜餃子」をご当地グルメとして売り出すキャンペーンの話が載っていました。
昔は練馬大根で有名な産地であった練馬地区ですが、都市野菜としての「キャベツ」、販路に事欠く訳でも無く、更なる付加価値を付けて収益の増大を図る試みのようにも見えず、何かすっきりしない思いが致します。
―キャベツ畑写真―Webphotoesより
何故ならば、大都市の最中にあって残された僅かな農地での資産維持目的で続けられる野菜作りであり、それが都内最多を誇るキャベツ産地とは大袈裟な言い方とは言え、なんとも情け無い話です。
―収穫期を迎えたグリ-ンキャベツーWebphotoesより
その比較的手の掛からないキャベツ栽培ですが、限られた農地面積で産地と言うからには、連作するしか無く、土壌消毒から多肥での農薬漬けとなるのは必定であり、見た目は立派で虫穴一つ無い完璧さであるならば、返って気掛かりなキャベツと敬遠されるのかもしれません。
―新プランター栽培の無農薬キャベツー
今では都市部でも、無農薬での「秋獲りキャベツ」を育てるのは大変難しく、区民農園等での経験ですが、土壌の根コブ線虫被害をはじめ、シンクイ虫、コナガ、モンシロチョウ、ヨトウガ、ハスモンヨトウ、オオタバコガ、タマナギンウワバと、何処から来るのかと思う程、油菜科特有の多様な害虫攻めに遭い、加えてナメクジの侵入もあり、病害が出れば、軟腐病や菌核病等もあり、やたらに放任栽培されたら、病虫害のデパートのようになって仕舞うのが実情です。
ー夜盗虫に食害されたキャベツータキイ種苗より
その「キャベツ」、1年中市場に出回るように成り、その産地は季節を追って春夏秋冬と違うキャベツであり、それが虫穴一つも無いとつい農薬漬けではないかと疑心暗鬼になり、有機栽培ならと探しても、一般には中々手に入らないのが現状です。それ故に、自家菜園でのキャベツ作りは欠かせないのですが、輪作と虫害を避けての春摂りキャベツの栽培に徹しています。
―タマナギンウワバータキイ種苗より
その「キャベツ」、欧米では食用と合わせて薬用効用が早くから認識されて来た野菜と言います。 知っての通り、野菜の健康調査ではキャベツは高い抗癌作用があり、その際立って優れた恩恵が明らかにされています。
癌発症のリスクを軽減する油菜科の代表野菜のキャベツの特徴は、ベータカロテンや豊富に含むビタミンC、ビタミンK等の特に優れた抗酸化作用であり、又、大切な抗炎症作用を持つポリフェノール類に加えてキャベツに多く含まれ、その持つ切り札と言われる抗癌作用の基となるグルコシレート類にあると言います。
―ホームメイドザウワークラウトーWebphotoesより
又、昔からキャベツ汁は胃潰瘍の治癒に優れた効果があるとされて来ましたが、消化器官全体の健康維持に効果が有る事が明らかにされ、週に1、2度は、キャベツを食べるべしと言います。
―ザウワークラウトーWebphotoesより
その健康維持には欠かせない優れた野菜のキャベツの歴史を一寸追って見ると、原産地はヨーロッパ大陸と言いますが、ケールやコラードのような結球しない野菜が原種であり、何時頃、何処で、結球する野菜のキャベツが出来たかははっきりしないようですが、時代が下ってヨーロッパ全体に栽培が広がった中世の頃と言います。
―白菜キムチーWikipediaより
それが、古代ギリシャ、ローマ時代には薬用植物とされて居たと言い、痛風やキノコ中毒の解毒に効果あるとも伝えられています。
―チャイニーズキャベツと呼ばれる白菜―
そのキャベツには、日本でお馴染みの白菜もキャベツの一品種であり、ポイントヘッドキャベツとも呼ばれたり、チャイニーズキャベツ、ナッパキャベツとも言います。
又、コルラビー、パクチョイ、ブルッセルスプラウトと呼ばれるヒメカンラン、日本では馴染みの少ないサボ-イキャベツ、赤キャベツがあり、赤キャベツに含まれるアントシアニンは、一般のグリーンキャベツを凌ぐ栄養価が注目されています。
―ブルッセルスプラウトと呼ばれるヒメカンランー
それにしても世界で多くの仲間が栽培されている油菜科のキャベツ、多彩な品種があるのですが、何と言っても頂けないのは、手間暇省く農薬漬け栽培であり、それを避ける為の輪作や完全防虫ネット栽培では、手間暇掛って一般市場価額では採算割れと言い、飽くまでも消費者の選択まかせです。
―縮緬タイプのキャベツのサボイキャベツーWebphotoesより
その所為か、単価を下げる為に、白菜等では1株を分割したカット売りが店頭に並んでいます。キャベツ類は分割されると含まれる大切なビタミンCが直ちに失われると言い、購入は控えるべきと欧米では言われて居ます。それに、冷蔵庫の野菜室にプラスチックバック入れて置けばビタミンCが失わずに、有に2週間以上は貯蔵できると言います。
―レッドキャベツはドイツ生まれと言うーWebphotoesより
キャベツや白菜は、外葉から1枚ずつ剥がして利用すれば、貴重なビタミンCも失わずに済む貯蔵野菜となり、週に2、3度は摂取すべきとする大切な食材の役割を充分果たせます。
それにしても、栄養面と味に定評のある赤キャベツと縮緬キャベツのサボイキャベツ、来シーズンは新プランター栽培で挑戦して見ようと思います。
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