白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―園芸用バーミキュライトの安全性?―

2014年11月14日 | 土壌

科学技術の最新情報を提供する総合WEBサイト 「サイエンスポータル」の11月6日付けで 福島の土がセシウム取り込む仕組み解明」と題するニュース速報が掲載されていました。

まず、その一部を下記に引用致します。

「福島県の土壌に多い粘土鉱物 「バーミキュライト」は、多量のセシウムを吸着して取り込む。その仕組みを、日本原子力研究開発機構の福島環境安全センターの元川竜平研究副主幹と矢板毅ユニット長らが解明した。放射性セシウムの環境移行予測や汚染土壌の浄化、減容化の技術開発につながる可能性がある。」

「東京電力福島第一原発事故で大量の放射性セシウムに汚染した福島県の環境を回復させるのに有用な基礎知識になる。高エネルギー加速器研究機構の遠藤仁准教授、電力中央研究所の横山信吾主任研究員、山形大学工学部の西辻祥太郎助教との共同研究で、10月10日付の英オンライン科学誌サイエンティフィックリポーツに発表した。」 

 「園芸用の土として広く販売されているバーミキュライトは福島県の土壌に多く存在している。厚みの薄いシート状の無機物が積み重なった構造を取っており、シートの隙間に陽イオンを取り込む性質を持っている。原発事故で放出された放射性セシウムのガスが阿武隈山地の山林や農地に降って、土壌中にしみ込み、セシウムイオンがバーミキュライトの層間に強く選択的に吸着されていることがわかっている。しかし、その詳しい仕組みは謎だった。」―以下略―

 ご存知ように、園芸培土の添加材として用いられているバーミキュライト、黒雲母が風化してヒル石 (バーミキュライト)という別種類の鉱物に変質したものであり、800℃程で加熱すると、膨張した発泡構造材となります。防音材・断熱材などに利用される他に、其の持つ優れる吸水保水性に着目し、園芸培養土の添加材として利用されています。

 そのバーミキュライトには、そうした土壌の物理性を改善する性質だけでは無く、ケイ酸塩2次鉱物の特有の結晶構造に依る陽イオン交換容量を備えており、それが土壌の保肥力を向上させる事が以前から明らかにされています。

 

―ケイ酸塩鉱物の苦土蛭石―Wikipediaより

実は、バーミキュライの持つ其の特性を「放射能汚染水の浄化に粘土鉱物を用いることを検討してください。」と元東京大学教授、元日本粘土学会会長であり、東邦大学理学部訪問教授の山岸晧彦先生が、其の仕組みを詳しく解説して居るサイトをネット上で見つけました。

 「‥‥原発事故で放出された放射性セシウムが阿武隈山地の山林や農地に降って、土壌中にしみ込み、セシウムイオンがバーミキュライトの層間に強く選択的に吸着されていることがわかっているが、その詳しい仕組みは謎だった。‥‥」と言う前述の記事の話、其の詳しい仕組みは、決して謎で無いと言う事です。

 そのバーミキュライト、一般には焼成発泡された形で販売されているのですが、原石の「ひる石」とよばれる鉱物には、原産地によって危険なアスベストが混入している恐れがあり、平成18年9月1日に労働安全衛生法の改正施行令が施行され、アスベストの含有量の基準が 「重量の0.1%超」へ強化され、その製造や譲渡等は禁止されました。

 それで、農林水産省は安全性の確保の為に、バーミキュライトの製造業者50社に対して、取扱製品がアスベスト含有率の新基準に適合することを確認したかどうか伺ったところ、いずれの業者からも確認済みとの回答が得られましたとあり、更に、バーミキュライトの製造業者等に対しては、引き続き安全性の確認を確実に行うとともに、その製品の安全性についての情報を利用者へ開示するようお願いしているところと発表しています。

しかし、その園芸用のバーミキュライト製品のネット上の広告を見ては、販売しているバーミキュライトの安全性を利用者に開示している様な情報は全くと言って良いほど見掛けません。

それでは、其のバーミキュライトの園芸培養土に対する一般に言われている効果、其の意味について一寸触れて見たいと思います。

 

―市販焼成バーミキュライトの袋詰めーWebPhotesより

土壌に様々な物性の添加材を配合する事で、作物栽培効果が向上する事が分かっています。それで、土壌の性質に由来する農地の生産力の増進と農業経営の安定を図ることを目的に地力増進法という法律が制定されています。

其の法律で添加材の適性効果を明らかにした政令指定土壌改良資材が定められていて、その中に土壌の透水性改善を主たる効果とする 「中国産焼成バーミキュライト」があり、政令指定土壌改良資材になっています。

其の目的は言うまでもなく、土壌の物理性の改善であり、園芸培養土に配合する効果で言えば、排水性が良くて適度の保水性が得られる事であります。

しかし、利用されている皆さんは、水はけが良くて、水持ち良く、軽いのでプランターや鉢の移動持ち運びに便利ぐらいで、どんな用土にどの程度配合したら良いのか、良く分かって居られる方は少ないと思います。

 

―市販のバーミキュライの形状―WebPhotesより

実は永年、趣味で標準プランターや園芸プラ鉢などの容積の限られた容器栽培条件の下で、果菜類や茎葉野菜類など、野菜の養液栽培をして来た経験から申しますと、バーミキュライト程、始末の悪い(使いにくい)培養土添加材は他に無いと申せます。

以前から申しているように、土壌の機能と構造の観点からは、用土の最も大切な要素が土粒子の構造体として持つ、孔間隙量間隙孔径とその分布であります。

簡単に言えば、用土の土粒子の隙間が全体でどのくらいあるのかの空間量、其の隙間一つひとつの大きさ、径とその分布状態がどうなっているかです。其の二つの要素の違いで、水はけと水持ちが変るのであり、其処に育つ植物の成育が違ってきます。

 

―土粒子の保水模式図―

植物は土粒子の隙間に根を張って自らを固定し、微細な孔間隙内に毛細根を伸長して養水分を吸収するのですが、バーミキュライトのような、ふあふあした板状の物性は、土粒子とは大変馴染みにくい形状であり、植物根の安定性にも欠け、其のもつ軟構造は好ましい条件とは言えず、土粒子の孔間隙の改善には、他にもより優れた改良材が色々あり、誰が培養土の添加に適すると考え出したか分かりませんが一寸その効果の理解に苦しみます。

 都市部では使い捨てに苦慮する園芸培養土、その意味では添加材として同じような効果を持つ自然にやさしい様々な資材が今ではあり、喩え微量であっても、危険がはっきり指摘してされている 「アスベスト」の混入している怖れのある園芸培養土など、先ず使わないに越した事は有りません。

 ところが皮肉な事に、高価な(品質も優れると思われる?)園芸培養土には、キラキラ輝く雲母片が混ざるバーミキュライト入りものが多くあり、知らずのうちに利用させられているのが実情のようであります。

それに値段が勝負の園芸培養土 「アスベストフリーのバーミキュライト配合」とは、決して書かれて居ないのは利用者の安全への配慮が無いのではなく、余計な情報となって風評被害につながると恐れ? 前述の農林水産省の言う安全性についての情報を利用者へ開示では、法定土壌改良材の「中国産焼成バーミキュライト」とあるのがネック?となって、「やぶへび」と言う事かも知れません。

 

―珪藻土焼成粒材―

尚、透水性改善効果を持つ政令指定土壌改良材には、「パーライト」と新プランター野菜栽培で紹介している「珪藻土焼成粒材」があります。中でも物性から、最も優れる「珪藻土焼成粒材」、コストが理由で培養土には殆ど採用されて居ないのですが、洗浄リユースできるメリットが理解されない。否!使い捨てでないから一度売ったら以後、買いに来ないと言う理由からかも知れません。消費者にはお気の毒なことです!

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