白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―「コウノトリ」に学べ!日本のコメ農薬禍―

2015年10月28日 | 農薬

一旦は絶滅した「朱鷺」を再び野生に戻す活動が佐渡で始まったのが引き金になったのでしょうか、今各地で 「コウノトリ」の放鳥が話題になって居ます。其の背景となって居るのは、何と言っても昔日本に有った豊かな自然を取り戻したいとする環境意識であり、これぞ世界―の農薬散布大国の汚名を晴らす良い機会ですから、さらに「コウノトリ」の放鳥が全国的に広がる事が強く望まれます。

 

―佐渡の朱鷺の飛翔する優雅な姿―WebImagesより

私事で恐縮ですが、親の代からの趣味が、実はバードウォッチングでは無く、バードハンティング(鳥猟)であり、雉(キジ)山鳥(ヤマドリ)に小寿鶏(コジュケイ)に鶉(ウズラ)等、水鳥では、カモ類、バン、田鴫(タシギ)等、鳥猟での山野を駆け巡った渉猟歴は50年を越したのですが、其れも故あって一昨年でぴったりやめました。

 

―マガモ(青首)のこんな姿は猟場では先ず見られない!―WebImagesより

其の間に、観て来た山野の自然環境の著しい変容振り、ゲーム(狩猟鳥)の減少は言う迄もありませんが、その生息状況の劣化と言うべき自然環境の変り様には筆舌では尽くし難いでものがあります。

一般に猟野と言えば、決して深山渓谷で無なく、集落に近い農地や林地を囲む里山地帯であり、餌場や水場となる田畑であったり、亦沼沢地であったり、それらに連なる河川や水田であります。

其処を住処とする多くの留鳥類、季節と共に移動する旅鳥や漂鳥類等、そのすべての鳥類を始め、野生動植物から昆虫類に至るまで、それらの自然生態系を大きく変えて来たのが人間であります。

 

―日本国鳥である日本キジのオスとメスのつがい写真―WebImagesより

その中で、自然生態系環境を大きく影響を与えて来た要因で先ず揚げられるのが、大切な食物連鎖の破壊と断絶をもたらし、其の生息できる餌場や水場となる諸条件を奪った来た過剰なまでの農薬使用に他ありません。

その自然環境を棲みかとする鳥類や野生生物類は、生存適応範囲が狭くなると忽ち其の数を減らし、やがて姿を消すのであり、それを如実に感じ取れるのは狩猟鳥類(ゲーム)の著しい減少であります。

それを知ってか知らぬか、鳥獣保護法でいち早く決めたのが、先ず日本の国鳥であり、代表的な狩猟鳥であるキジのメスの狩猟禁止でありました。其の後は多くが、狩猟そのものを締め出そうとする制限ばかりでありました。

亦、至近な例で言えば、本州の冬場の草地で良く番いで見掛けた狩猟鳥の野生鶉(ウズラ)、既に関東平野では幻の鳥となって居たのですが、数年前より、やっと狩猟鳥から外す処置がとられましたが、既にその生存環境は関東地方ではなくなっていたのです。

 

―野うずらを猟場で目視できるは珍しいWebImagesより

狩猟行政での鳥獣保護法で出来る事は、そんな程度の事と言えるのですが、今問題になって居る事は、自然破壊、環境異変がもたらした人災とも言える、イノシシやシカ、一部の帰化獣類も加わっての獣類の異常なまでの繁殖振りであります。

簡単にハンター不足等では片付けられない事態ですが、これぞ自然を人間の天下としてきた誤った認識へのしっぺ返しに他成りませえん。

 そのイノシシ、シカ、月の輪クマやヒグマなど、狩猟獣と言っても銃猟となればライフル銃の使用が主体となるのであり、狭くて人口密度の高い日本国内では、野外での発射は最大着弾距離から見て極めて危険な猟具でもあり、一般狩猟対象ゲームとしては相容れない鳥猟だけのモラルがあり、もとより決めて、獣猟には携わる気にはなれ無かったのです。それも獣類の増えた一因ですし、因みに千葉県ではライフル銃猟は全面的に禁止されています。

 

―千葉県で急増し農業被害を起こしているキョンーWebImagesより

そして今、千葉県は増えるイノシシと観光施設から逃げ出して野生化したと言う、シカの仲間の「キョン」の大繁殖で、深刻な農業被害に苦慮する事態に至っています。

 扨て、話を主題に戻しますが、かって佐渡から姿を消した朱鷺は、其の棲みかとする生息環境を失ったからこそ消えたのであり、其のエサとなるドジョウや子魚等、健全な索餌場所が容易に見つかる自然環境が充分回復している事が、野生復帰の鍵を握っていると言います。

 それを如実に示しているのが、全世界で生産されて使用され、公衆衛生を始め農業生産に多大な貢献を果たしたDDTなどの化学合成殺虫剤、殺菌剤などの農薬であり、結果的には生態系の食物連鎖の過程で生じる生物学的濃縮によって、野生生物の生存に重大な悪影響を及ぼしたのがその証左であります。

 

―1962年に出版された沈黙の春―WebImagesより

1962年に出版されたアメリカの海洋生物学者のレイチェル・カーソンがその著書、“沈黙の春”の中で、その実態が描き出され、人間活動が環境へ及ぼす影響の重大さを訴えて、自然環境への配慮の重要性を指摘した事で、それが世界中の従来の農薬の捉え方を一変させる転機ともなったと言われています。

 農薬の化学物質の脅威は、その成分が容易に水に溶けず、代謝を受けにくい事であり、尿などで体外に排出される割合が低いため、生体の膜系・脂肪組織・脳神経細胞などにある脂質中に蓄積されていき、これらの化学物質を含んだ生物を多量に摂取する捕食者では、体内での物質濃度がさらに上昇すると言います。

食物連鎖の過程でそれらが繰り返えさえる内に、化学物質濃度は上昇し続け、生態ピラミッドの最上位に位置する肉食動物では数千万倍から数億倍にも達するのが生態系の破壊に繋がる真の農薬禍であります。

 

―食物連鎖を示す画像イラストーWebImagesより

農薬や食品添加物などの化学物質摂取で先ず問題となる点は、活性酸素を生体内で発生させることであると言います。

生物が遺伝的に獲得した活性酸素消去能力を超えた活性酸素は、遺伝子DNAを含む生体内の様々な物質を酸化し、物質の変性とタンパク質合成系に攪乱を起こし、その結果、細胞のガン化、奇形や老化を進め、さらに損傷した遺伝子は遺伝毒性として次世代にも引き継がれると指摘されて居ます。

 

―活性酸素のイメージイラストーWebImagesより

此の事は何を意味しているか既にお気付きかと思いますが、従来の農薬使用の安全性の考え方の毒性成分濃度とは、異なる次元の潜在危険であり、環境破綻に至る物連鎖の過程で、人の生存環境から受ける重大危険を示唆している事です。

日本人は食物連鎖の頂点のクジラは食べるけど、ライオンやその他の肉食動物は食べる訳が無いと言えは其の通りですし、放鳥された朱鷺やコウノトリが、低毒のドジョウや子魚を摂取しても、無事生き延びられれば、それで善しと考えるならそれも結構です。

 それではもう一つの事実を申しますが、農薬で問題とされたのは1996 年に出版された“Our stolen Future”(私たちの奪われた将来)と言いましょうか、そこで明らかにされたのは、生態系に放出された農薬等に含まれる化学物質が内分泌攪乱に関与している事実であります。

 

-1996年に出版されたOur Stolen Future―WebImagesより

人間を含む野生動物の内分泌系に重大な攪乱を及ぼし、生殖、知性発達、強いてはその生存が脅威に晒されているメカニズムに言及したのです。

25mプールに一滴、濃度が1 兆分の一(ppt)レベルで、胎児の胚発生過程に重大な障害をもたらすとされる、外因性内分泌攪乱化学物質、日本では環境ホルモンと呼ばれ、一時は大きな反響を呼び、話題にもなりましたが、はっきりした結論も出ずに何時の間にか沙汰止みの感じです。

疑わしいとされる129 物質の内、殺菌剤19 種、殺虫剤38 種、除草剤23 種、農薬3剤で80 種、62%を占めていると発表されましたし、其のには、中国冷凍餃子で話題になった殺虫剤ジクロルボス(DDVP)も含まれると言い、著名な毒物であるダイオキシン、PCB、水銀、TBTO(酸化トリブチルスズ)などもあり、また、これらほとんどの物質が活性酸素発生にも関与していると言うのです。

 

―世界一の農薬使用量と言う日本のコメ生産ーWebImagesより

最後に此処で、一寸古いのですが、FAOが公表した、1986年度の「世界の米生産と農薬使用金額」と題する統計データでは、日本における米作付面積は230万haで全世界の作付面積1億4420万haの1.60%であり、日本の籾収穫量は単収が高いために、全世界の3.11%を占めていたとありますが、問題は1.60%の日本の水田で使用された農薬使用金額の多さであります。

  

―日本の農薬のイメージイラストーWebImagesより

日本で使われた農薬使用金額の占める全世界に対する割合を計算すると、除草剤62.1%、殺虫剤38.9%、殺菌剤69.8%、3剤合計で54.6%にも達していたとあります。

籾1kgを生産するために使われた農薬使用金額を計算すると、日本では12 円50 銭となり、この数値は、日本より単収の高い韓国の5.7倍、アメリカの6.1倍、世界最大の米輸出国タイの28倍、インドの50倍、中国の78倍になっていたと言いますから其の多さには驚きです。

因みに、2007年度の日本の場合と比べても、世界第一級の多農薬使用の実態は20年間変わっていないと書かれて居ます。

 

―豊岡市コウノトリ保護センター画像よりー

そんな日本の稲作圃場に朱鷺やコウノトリを放鳥して、農薬汚染土壌の蘇生を計ろうとする試み、やろうとすれば、出来ない事は無いと判っただけでも貴重です。

兵庫県の豊岡コウノトリの郷公園が参考例となったのでしょうが、特別に隔離された自然環境だけで無く、外部に飛び出してコウノトリが生き残れる環境作りが大切であり、未だ完全に結論が出た訳では有りませんが、自家菜園のある外房のいすみ市でも、一部の田圃でコウノトリを呼び戻そうと農薬散布を控える試みが始まろうとして居ます。

 

―豊岡コウノトリの郷公園画像よりー

コウノトリが生息可能な自然環境は、生物多様性の豊かで良好な健全である生態系の存在を示す証であり、其の水田系の摂餌場のピラミッドの頂点に立つ肉食の鳥がコウノトリであると言われています。

 兵庫県でのそのコウノトリの野生復帰、平成17年の試験放鳥開始にはじまり、約10年を経て、豊岡盆地内に約7ペアが形成され、毎年のように繁殖、幼鳥が巣立ち、現在では72羽が野外で生活するに至っていると言います。

豊岡で放鳥・繁殖した個体は、豊岡盆地や兵庫県内にとどまらず日本全国各地に飛来し、平成26年には初めて海外(韓国)へ渡ったことが確認されたそうです。

 

―豊岡コウノトリの郷公園画像よりー

こうした中で、野田市の始めたコウノトリの生息域を拡げる観点からの放鳥の試み、全国で最も人口が密集する関東地域において、はじめて野生復帰をめざすものであり、大きな意義と役割を果たすことになると考えられると言うのです。

 コウノトリは、採餌場所として「田んぼ」や「河川・湿地」を利用する鳥であり、人間の食糧生産の場である「田んぼ」であるからこそ、コウノトリが多くの安全安心な餌を食べられる環境づくりは、そのまま人にとっても安全安心な農作物の生産の証しであり、今コウノトリに学び、その棲める環境こそ、瑞穂の国、日本に農薬禍の無いコメ作りを取り戻す良い機会であり、誰もがそれを強く望んでいるに違いありません。

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