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白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

-元祖風布みかんで作る陳皮の話!-

2015年10月21日 | 健康

地球温暖化のお蔭でしょうか、今では東京の気候でも、温州ミカンは庭で立派に実を付けますし、特に手を掛けなくても、充分満足できる収穫が楽しめるようになりました。

東京の拙宅には、その温州ミカンの木が何本か植えてあったのですが、外房に菜園を作った折に移植できる木は全て堀り取って移動した為に、その殆どを現地の予想外の海風の影響で枯らして仕舞いました。

今東京の自宅に残っているのは、植えて20年程に成る宮川早生ミカン一本だけであり、それが今年もいっぱいに実を付けて早くも色付き始めて居ます。

 

―庭の色付始めた今年の宮川早生ミカンー

実は其の他に、移動も出来ない程の樹齢60年を越える日本固有の橘の類のコウジミカン(柑子蜜柑)がもう一本あり、これがすこぶる丈夫な木であり、毎年切り込むと、それ以上に良く枝が伸び出して手を焼いて居り、何時かは切り倒して始末したいと思って居りました。

其れが亦、憎い程に毎年良く実を付ける小みかんであり、ふかふかした外皮の中身はと言えば、種が多くて酸味が強く、不味くてとても取って食べられるような代物では無く、何十年も間、決して取って食べる事の無かったミカンであります。

 

―自宅門扉に被さる風布みかんの高木―

そもそも此のミカンの木、今から60年程前の事であり、先のブログ、「エアルームトマトの人気の秘密」の中でも一寸申しましたが、小学校長であった亡父が昭和29年に開校した「梅の木分校」の名前に因んで、記念樹にする梅の苗木を纏めて購入する為に産地で有った埼玉県の安行まで、買い出しに同行した折に自宅に植える梅の苗木の他にミカンの木が欲しいと買ったのです。

 其の当時の東京では、温州ミカンは寒くて育たないと言われ、埼玉県の寄居町の風布で作られている在来種の風布みかん」なら育つと言われて選んだのがそのミカンの木であります。

それ以来、長く庭の片隅にあって育つともなく生き延びて来たのですが、丁度30年程前に自宅を建て替えた折、左近の桜にとしだれ桜の苗木を駐車場の左端に植え、右近の橘と門扉右脇に植え替えたのが、今や移動も出来ない太さになった其の「風布みかん」です。

 

―風布ミカンの里の風景-webimagesより

先日、偶々今年の庭のみかんの話が出た折に、全くの放りっぱなしの在来種ミカンにも触れ、それなら其の皮で漢方薬になる「陳皮」を作ったらと息子に言われたのです。

成程それならば、庭の無用の長物のこのミカン、その利用価値がやっと見つかる事にもなり、早速「陳皮」作りのネット情報を見て廻って探し当てたのが、筑波山麓辺りで今も作られている 福来(ふくれ) みかん」であり、其の皮で 「陳皮」を作って七味唐辛子に入れて売り出されている話です。

 

―昔はミカン北限と言うふくれミカンーつくば食と緑の会より

調べて見ると 「風布みかん」はどう見ても 福来(ふくれ) みかん」とそっくりであり、それが気候変動のお蔭でしょうか、今では「風布みかん」の産地で有った風布では、多くが其の姿を消して仕舞い、今ミカン狩りが出来るのは 「温州ミカン」の系統種ばかりであり、残っているはほんの一部の在来種と其の名前だけの様であります。

それも其の筈此のミカン、日本古来の橘との交雑種と言われ、日本ミカンの代表種となった温州ミカンと比べたら、とても太刀打ちできるミカンでは無いのであり、今では「風布みかん」と聞いても本来のイメージは無く、誰もが1度は買っても2度とは買う気になれない、珍しさだけの話に聞くミカンでしか無いのです。

其れが期せずして自宅の庭に生き残り、元祖「風布みかん」で今なお鎮座して、陳皮」となる出番を待つ事になったのです。

 

―関東一の名山と言われる筑波山―webimagesより

扨て、其の陳皮ですが、戦前教育を受けた者なら何方でも、きっとご存知の神話の主となった、かの「田道間守(たじまもり)」、垂仁(すいにん)天皇の勅命により、常世の国(とこよのくに)から持ち帰ったとされる大和橘」の木、「非時香果」(常に香る果実)の木の事ですが、今ではかんきつ類の「橙」であったと研究者が発表されましたが、其の木の持つ不老長寿の薬効こそ、まさしく「陳皮」の事であったと容易に想像されるのです。

 

田道間守(たじまもり)ーWikipediaより

其れも其の筈、中国医学の3大古典の一つに数えられ、其の出典が2,000年を有に越える中国最古の薬物学書(本草書) 「神農本草経」では、365種類の生薬が薬性により上品、中品、下品に分類されて載って居り、その中でミカンは、生命を養う目的の養命薬とされ、体を軽くして元気を増す、不老長寿の作用のある、無毒で長期服用が可能な上品(上薬)に分類されていたのです。

 

―伝説の仙人の神農さんのイメージイラストーWebPagesより

其の効用では、今も変わらず漢方生薬として利用されている陳皮であり、一般家庭でも極簡単に作れるのですが、唯、市販の温州ミカンで作るとなればどれもが農薬漬けであり、自家栽培の無農薬でない限り、ミカンの皮の利用は憚れるのは言うまでもありません。

それに加えて、残留する農薬成分だけで無く、保存と見た目を良くするワックス掛けも亦、外皮の利用では気掛かりです。

 

―漢方生薬となった陳皮―WebPagesより

其の点で、此の「風布ミカン」、丈夫で病虫害の心配が一切なく、無農薬は当然であり、外皮の利用には全く支障が無い上に、これ亦橘原種ミカンであって香りが強く、薬味として利用するのにも最適です。

 

―これが日本古来のミカン、大和橘の実です!-WebPagesより

其の陳皮の作り方は極めて簡単であり、唯全体を軽く水洗いして剥いだ外皮を天日乾燥するだけです。又其の利用法ですが、薬味にお茶に入浴剤と幅広く、古く成れば更に薬効が増すと言いますから良い事ずくめです。

 それに漢方薬としては、健胃作用、去痰作用、鎮咳作用、整腸作用、発汗作用、血圧降下作用 とあり、副作用や注意点は特に無いとありますから、自己判断で何時でも自由に利用できる家庭常備薬にも陳皮は成りますし、その元の陳の意味、古い事であり、貯蔵されたもの程効力が増すと言うのです。

 

―ふくれミカンの皮で作っていると言う陳皮ーWebPagesより

60年前に苗木を買って庭に植えたミカンの木、其の後は何十年もの間、決して其の実を利用する事も無く、毎年毎年野鳥が食べ散らかして落ちるまで放って来た庭の元祖の「風布みかん」、60年も経って日の目を見る事になり、やっと陳皮作りで用立てるとは、それが喜寿を越しての話では、恥ずかしいやら、情けないやら、人が聞いたら多分笑い出すくらい愚かな話です。これぞ亦、先のブログ同様に――少しの事にも、先達はあらまほしき事なり―ですね!

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