白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

生ゴミが消えるコンポスター「ガーデングルメ」

2012年02月18日 | 肥料

自宅に花壇や菜園があれば、台所からでる生ゴミをコンポストにして家庭菜園や草花の栽培に利用したいと思われる方は多いでしょう。各自治体も収集する生ゴミを減らしたいと堆肥化を奨励しています。生ゴミの堆肥化は、微生物による物質循環処理ですから、環境保全からも大変望ましく、それで腐葉土や堆肥を買う必要もなくなれば経済的で一石二鳥です。

生ゴミを入れるだけで堆肥になると、プラスチック製の釣り鐘のような伏せ形のコンポスト容器が、日本で売り出されたのは30年以上前からであり、利用されている方も大変多く居られます。しかし、この容器、実際に生ゴミを入れて見ると、その内容物にも依りますが中がぐちゃぐちゃになって腐ったり、悪臭で蝿が発生したりして困った経験をされている方も多い筈です。又、入れるものによっては堆肥として利用できるまでにはたいへんな日数が掛かる等、期待したような結果が中々得られていないのが実情です。何故か分かりですか?

 

―お馴染みの国産コンポスト容器ー

この伏せ形コンポスト容器、美観や臭いの拡散を防ぐ為か、「臭いものには蓋をする」スタイルで、空気の出入口が特に無く、有機物を分解する好気性菌の酸素の流入が制限され、発生する水分の蒸散に支障となる構造です。水分の多い生ゴミは過湿状態に置けば、空気が通らず、微生物の活動は嫌気性菌による腐敗となり悪臭の発生は避けられません。密閉されては少々乾燥副資材を足しても水分調整や空間作りはとても無理であり、はじめから生ゴミの堆肥化には不向きな設計構造であったのです。

 

それで、先のブログの有機栽培の話の中で、一寸お見せした外房の拙宅で利用しているカナダ製の解放型コンポスター「ガーデングルメ」での生ゴミ処理の話を致します。

 

4面が鎧状の解放型の「ガーデングルメ」―

多くの方が、台所から出る生ゴミをいつでもコンポスターに投入出来ると誤解しています。実は、生ゴミは毎日は入れられない」のです。自然分解させるコンポスター内では、微生物の分解活性が低いので、一次分解が終って生ゴミが繰り返し投入出来る迄、時間を置く必要があります。

又、台所からの生ゴミは、大変水分が多く、その上、糖分に蛋白質や脂肪分などを多く含んで腐敗し易く、嫌気性状態になると直ぐに悪臭を発生します。出来るだけ早く空気を入れて好気性菌による分解をさせる必要があるのですが、それには不足する微生物のエネルギーとなる炭素資材や水分調整の副資材が必要です。

 

―ガーデングルメのパネル枠の分解図―、

生ゴミを、短期間で発酵分解させてコンポストにするには、分解を司る好気性菌に必要な充分な空気が流入し、微生物の活動によって発生する大量の水蒸気、炭酸ガスが排出されなくてはなりません。好気性菌の増殖で内部に熱が発生し、温度が上がると一層分解が促進されますが、その温度を内部に保ち乍ら、温度差により空気が流入して循環し、大量に出る水蒸気と炭酸ガスが抜ける開放構造がコンポスト容器には必要なのです。その上に、好気性微生物の分解を短期間に効果的に起こさせる副資材の添加が出来るスペースも容器内に必要です。

 

しかし、日本製の市販コンポスト容器の容量は、置き場所や使い勝手から大きさが制限され、分解槽として副資材の充分な添加ができる程余裕が無く、空気の流入も不十分で、たとえ蓋を取ったり、時々内部撹拌を行っても、容器内では好気性菌分解させる事が大変難しいのです。

 

一般に、家庭生ゴミは、野菜屑、調理滓、残飯等に固い骨類や野菜の茎や芯等も入り、そのままでは微生物にとって大変分解し易い物と難分解物質の両方が混ざり、成分的にも不均一で、好気性菌を上手く働かせるには大変不利です。コンポスト容器に投入され、好気性の微生物(糖分解糸状菌等のカビの仲間)が働き出すまでには時間差があり、付着した他の微生物によって先に腐敗が始まって仕舞います。

 

実は、コンポスト容器に投入する生ゴミの分解が直ぐに始まるように、事前に処理することで生ゴミを短時間に分解させる上手な微生物の働かせ方があるのです。

その方法とは、別容器の中で生ゴミを自然の酵母菌や乳酸菌等の付着した米糠等を振り掛けて押し付け、出来るだけ空気を遮断し、中がいっぱいになるまで毎日生ゴミを足して貯蔵し、密閉容器で発酵前処理するのです。

生ゴミは、酵母菌や乳酸菌等により初期の糖分解が進み、生成した有機酸などによって他の雑菌の繁殖が押えられ、骨類や茎や芯等の固い結合組織も分解し易い状態になって行きます。

 

  ―お馴染みの密閉容器のEMバケツ―

しかし、それだけでは生ゴミの分解減量はほとんど進まず、そのうちに酪酸発酵を起こして強烈な腐敗臭を出します。水分が多く、べたべたの半分解状態では、畑や庭先に埋めてしまうか、強制的に乾燥でもしないと処理できません。この状態は、とてもコンポストとは呼べず、大変処理に困ります。それをEM堆肥』と称し、良く畑にすぐ入れたりされてしますが、穴を掘って庭先に埋めると変わらず決して好ましい処理法ではありません。 

 

ーガーデングルメの海外通販写真ー

実は、この容器による生ゴミ発酵処理は、EM菌を利用する生ゴミのリサイクルの優れた方法と、一部の自治体等で奨励されたのですが、一般家庭でうまく利用出来ない理由が発酵処理した生ゴミを、更に堆肥にまでする簡便な方法が無い事です。

ところが、このような嫌気性菌による生ゴミの適度な発酵処理は、其の後の好気性菌による分解には大変好都合な処理方法なのです。自然界では、嫌気性菌と好気性菌 の連携した働きで物質循環が成り立っているのです。

 

この嫌気性発酵処理した生ゴミを好気性分解させる最適な方法が、カナダ製の開放型コンポスター「ガーデングルメ」の利用であります。

発酵によって半分解状態となっているので、スターターとなる乾燥副資材に「もみ殻」を投入して撹拌すると、水分が減って最適な空隙が生まれ、好気性菌がすぐに働くようになります。水分が減り、内部に充分な空気が入れば、好気性菌が驚くような速さで増殖します。

投入後、二日から四日で内部中心温度が40、50度(外部との温度差で約30度以上)にも上がり、5日から8日で温度が下がって一次分解が終ります。これで即席堆肥の仕上りです。ポイントは温度計を用意して、温度の上昇状態をチェックすることです。好気性分解による温度の上昇が安全で良質な堆肥を作る決め手です。

 

60度近くの高温になると、有害な細菌類や雑草の種等も死滅しますから、安全で理想的なコンポスト作りが出来ます。3~4日したら、温度の上昇状態を見て、全体をより均一な温度状態になるようにし、内部を一、二度攪拌して全体がきれいに分解し終わるように切り返しをおこないます。一次分解が終る7日から10日の間隔で、発酵前処理した生ゴミを再投入し、同じ作業を繰り返します。1~2ヶ月すると、内部は黒くなったもみ殻のみとなり、台所生ゴミは殆ど消えて仕舞います。

 

このように、解放型の好気性分解コンポスト容器「ガーデングルメ」なら、生ゴミは完全に発酵分解し、殆どが炭酸ガスと水蒸気になって気散して無くなり、残るのは添加した難分解性のもみ殻のみです。堆肥となる腐植は生ゴミからは残りません。此処が市販のコンポスト容器と違うところですが、本来生ゴミは腐植となって残る筈の高分子炭素化合物が少く、骨を折って処理しても、殆ど何も残らない「消える生ゴミ」となるとは皮肉な話です。

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