白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

-現実となっている 奪われし未来!―

2016年09月23日 | 健康

先のブログ「有機食品健康維持の品質向上です!」の中で触れた人の健康の疎外因子の話ですが、実は、アメリカのNPO団体の主催するサイト“Environmental Health News”の中に、1996年にアメリカで発表されて、世界的に大きな反響を呼んだ名著“Our Stolen Future” 、和訳名 「奪われし未来」の著者の1人、ジョン ピーターソン メイヤー博士が寄稿した 「内分泌かく乱作用の科学的理解の前進:人の疾患を防止する新たな機会の創出」と題する記事が掲載されていました。

 

―Environmental Health News―Webサイトフォトより

農薬をはじめとする様々な有害化学物質が、地球規模で生活環境の中に浸透して、人や動物に様々の異変をもたらすに至った20世紀後半からの環境汚染、その中でも、特にその持つ作用機序が問題であるとして、取り上げられたのが、内分泌かく乱作用物質であります。

その科学的理解や結果として発生する人の疾患の防止等、新たな機会が、その研究から如何に創出されたかと言う事ですから、日頃から健康な社会環境に高い関心を寄せて居られる方ならば、当然、読まずには居られない興味深い話であります。

何しろ今や、日本人の2人に1人がガンを発症し、老人の5人に1人は認知症になると言われ、人口の7%がLGBTであると発表される等、また草食系男子が増えていると話題になる一方で、出生率の低下にも繋がる不妊症の増加等“Our Stolen Future” で問題提起された、奪われし未来が、まさに現実の姿となって写し出されている(?)と言わずには居られない昨今であります。

その「奪われし未来」の初版から、既に20年余りが経過して居り、話題とするには、ほとぼりが冷めて何か沙汰止みの感はあります。

しかし、それなりの認識をお持ちの多くの方々からすれば、内分泌かく乱物質は、次世代を担う大切な子供たちの将来に繋がる重大事と受け止めている筈であり、拙いブログで取り上げてつべこべ言うのは憚れますが、その中身を敢えて一寸披露させて頂きます。

 

-新たな化学物質汚染を予言した名著―

それでは内容の一部を割合して、その要点を意訳で紹介致します。

 抄訳
この本が果たした最も重要な貢献は、人の疾病や障害が起こる上で、内分泌かく乱物質が果たす役割についての問題、その解明されるべき一連の科学的な問題を提起した事にありました。

この本で私たちが訴えたのは、その科学的な確実性ではなかったのです。 しかし、1990年代の終わりの時点では既に、科学的な研究に多くの資金を投じる事を保証するに充分な証拠がありました。一連の科学的に最もと思われる影響が、既に無視出来ない程に、重要になって居たのであります。

 

ー内分泌かく乱物質の作用機序は?-WebImagesより

私達やその他の者が働き掛けて生まれた一般社会の関心は、日本を含め世界中の政府をして、必要となる資金投入を促進する結果になりました。

過去10年間を通して、内分泌かく乱及び関係する諸問題の研究に、数億ドルが注入されて来ました。此の投資によって、内分泌かく乱物質に潜在する衝撃に就いての科学的根拠は、此の10年間で大幅に強固となりました。

 

 

ー環境ホルモンのイメージ画像―WebImagesより

汚染物質がどのように不妊を起こし、癌発症リスクを増加させ、免疫システムを徐々に弱らせ、神経組織を傷つけて、認知症に発展するのか、より一層知る事となりました。

これらの健康面の終末点の一つ一つが、内分泌かく乱作用によるのであって、その根拠は弱まるどころか、より一層強くなったのです。

さらに衝撃的なのは、“Our Stolen Future”では調査しなかった健康課題に置いても、内分泌かく乱が関わっている可能性が高いと分かった事であります。それ等で最も重要なのが、2型糖尿病、肥満、心臓病を含めた、メタボリック症候群であります。

 

―ビスフェノールAは生体かく乱物質ーWebImagesより

ビスフェノールA(BPA)の最初の大規模な疫学研究が、世界で有力な医学雑誌JAMA(Journal of the American Medical Association)に発表されたのは、丁度2008年であったのですが、ビスフェノールA(BPA)が心臓病、2型糖尿病、肝臓異常に強く結び付けています。

これ等の疫学的結果では、人の脂肪組織の実験とも一致して居り、動物実験でも予測されています。

我々が書いた“Our Stolen Future”から10年になりますが、今や世界は、環境健康諸科学に於ける変革が主流となっています。

科学は容易なものではなかったのであり、完璧でもなかったのであります。研究は、進めれば進めるほど程、より多くの質問に導かれます。残るすべての不確実性は何物も解決しないのであり、科学は決して確実にはならないのです。

 

―毒性学や疫学の手法、内分泌かく乱物質では通用しない!―WebImagesより

この変革から2つのテーマがはっきり現れて来ています。

その一つは、我々が何十年も化学物質の安全性の拠り所としてきた毒性学や疫学の手法は、内分泌かく乱物質では通用しないのであり、全くのところ、これらの手法では、多くの種類の化学物質で、リスクの過小評価をしてきた可能性が高いのです。これは今日の安全基準が、日本を含めて、公衆衛生を守るには弱すぎることを意味しています。

二つ目は、この変革がたくさんの疾患を予防する多くの機会を見つけ出し、現在の科学に反映させた安全基準に変更する事で、多分健康管理コストを削減にさえなる事であります。

さらに、汚染物の暴露に間違いなくリンクした一連の疾患は、今や世界で最も大きな負担となるものとして含まれています。

 

―ビスフェノールAの最大の摂取元は樹脂容器類―Wikipediaより

上記のビスフェノールA(BPA)の例は、その可能性を表出したものであります。2型糖尿病と心臓病は、先進国ではすでに広範に流行して居り、途上国でも一般に増えつつあります。この2つが膨大な経済的負担を、社会に課して居ります。

アメリカの2型糖尿病のコストは毎年2,180億ドルを超えると推定されています。医学雑誌JAMAの発表結果は、2型糖尿病と心臓疾患は、ビスフェノールA(BPA)の被ばくを減らすことで、多分その発生を下げられると示唆しています。

事実上、すべての医学的介入が、これらの疾患の流行を抑えられないとするならば、ビスフェノールA(BPA)の被ばくの削減は確実に考慮すべき事柄であります。

複数の研究で、ビスフェノールA(BPA)は不妊、自然流産、神経発達障害、亦前立腺癌や乳癌等の発症の原因となる可能性が示されています。

其の上、抗癌剤の開発の標準的なツールを使った医学研究では、ビスフェノールA(BPA)がこれらの癌の標準的な治療法に、干渉することが指摘されています。

それ故に、ビスフェノールA(BPA)の被ばくを削減する事とは、健康面と経済面とに多元的な恩典を持つ可能性がある事になります。

 

ー環境健康科学とは?-WebImagesより

健康科学がより有力なものへと発展していくのみならず、化学分野の変化を促すように働きます。今までは、化学者達は発明した物質の毒性に就いて自ら問いかける責任は決してありませんでした。

彼らは新たに化合物を合成して、その材料の持つ特性を決定し、利用面の可能性を探求するだけです。有害となる原因を発見するのは、他の者の仕事として放置されて来ました。

 この過程が、危険な物質が利用分野に共通して広がり、人々に害を及ぼす多くの事例を作って来たのです。物質は一度広まってしまうと、回収するのは大変に困難であります。

 

代表的な環境ホルモン(および疑惑物質)の化学構造―WebImagesより

新世代の“グリーン ケミスト”達が、環境健康科学分野の研究者と協力して、化学物質の設計段階から毒性を検査する取り組みが始まっています。彼らのゴールは、有害な物質を避けて始めから作らない事にあります。そうした彼らの努力は、化学産業に膨大にしで広範囲にわたる革新をもたらす事になるでしょう。

環境健康科学の変革は “グリーン ケミストリー”と共に人の健康と経済革新への例外無き約束を抱えています。

今後に成すべき事がたくさんある一方で、「奪われし未来」から10年が経ち、確かな進展は其処にはあります。

以上ですが、その記事を読まれた皆さんは如何お感じになれましたか。

特に問題のビスフェノールA(BPA)に就いてすが、内分泌かく乱作用を持つ物質として当初から暴露防止が世界的レベルで議論されながら、自主的な排除程度であって、全面禁止の方向には至る程には、今尚徹底される状況にはありません。

その他にも、内分泌かく乱作用が疑われている未解明の儘の物質が多くあり、それらの潜在危険は、将来に向かって科学が、更に明らかにされる迄、時の立つのを待つしかありません。

それ迄にどれだけの多くの方が、結果的に更なる健康被害に苦しむかでありますが、それ以上に問題なのは、今までに環境に放出されて今尚残存する多くのそうした汚染源、その影響は今後尚も続くのですから事は深刻です。

それでは此処で 「奪われし未来」の増補改訂版にあった13章の最後の一文、下記に引用させて頂きますので、その未来が予言され、現実となって見て取れる今の社会、それぞれの事象を実感にして見て下さい。

 「自然をねじ伏せようとして来た人類が、当初の思惑とは裏腹に、生殖能力をはじめ、学習能力や思考力までも損ない兼ね無くなって居ると言うのは皮肉な話である。

合成化学物質を使った大規模な実験材料に人類がいつの間にかなって仕舞った事は、当然の報いのようにも思われる。

けれども結局のところ、脅かされているのは次の世代であり、その人生なのだ。これは実に悲しむべき事態である。ホルモン・メッセージをかく乱する化学物質は、人類を人類足らしめている豊かな可能性を奪い去る力を持っている。滅亡よりはるかにたちの悪い運命が、人類を待ち構えているのかも知れない。」―長尾 力訳―

 

ーグリーンケミストリーのイメージロゴーWebImagesより

しかし、ジョン ピーターソン メイヤー博士の言う 環境健康科学の変革」、 “グリーン ケミストリー”と共に人の健康と経済革新への例外無き約束、それが間違い無く果たせる新たな時代の到来を強く望んで止みません。

 ブログランキング ブログコミュニティ にほんブログ村

 家庭菜園(プランター菜園) - 花ブログ村


最新の画像もっと見る

コメントを投稿