白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―日本農業の農薬依存症―

2017年08月21日 | 農薬

先のブログで取り上げた 医療が病いを作るの著者であり免疫学に関する多くの著書を発表してわかりやすく解説し、自身の研究に基く免疫学の立場から現代医療の問題点を、ユニークな角度から言及してきた、日本の著名な免疫学者であられた安保徹先生が昨年12月6日に急逝されました。 

新潟大学院歯学部総合研究所名誉教授であられた安保徹先生、未だ69歳の若さであって、更なる執筆活動や講演などで盛んに活躍中であった最中の突然の逝去であり、大変な驚きと共に惜しまれてなりません。

発表された多くの著書の愛読者の1人として、先生のご冥福を心よりお祈り申しあげさせて頂きます。

其の安保徹先生は、亡くなる2日前の12月4日(日)には、大阪府鍼灸会館で開催された 「免疫進化論からみた東洋医学」と題する医療従事者に限定した講演会で講義されて居られたのであり、其の終了後には著書の「免疫進化論」を出席されたに方々にサイン入りでお渡しして居たと出席者の一人の方のブログにありました。

 

―講演会でのツーショット写真―講演主席者ブログより

其の「免疫進化論」は私も愛読させて頂いていましたが、其の中の7章に日本人の特徴と題する一文があり、其処で語られていたのが日本人の「薬」に対するイメージ感覚であります。

要約しますと、日本人は諸外国から取り入れた知識や文化を、都合よくリアレンジして自国のものとする優れた能力を持つ民族とあります。

東洋医学の鍼灸や漢方薬で言えば、余り過激な刺激は嫌われたのか、中国で使われる太くて刺すと痛い鍼に替わって、刺しても痛みの殆ど感じられない細い鍼に改良して普及させました。

漢方薬でも亦、余り味が悪いものは嫌われて、マイルドな味の日本人好みに合うものが、多く利用されるようになり、体に優しいものと言うイメージ感覚で、薬を捉えていると言うのです。

 

―人々の病の苦しみを救う薬師如来像―WebImagesより

薬壺を手に持つ薬師如来像の優しい風貌を見てもわかるように、薬は人を助け救う感覚で捉えられ、西洋での薬の感覚はと言えば、其の対極にあり、作用効果の激烈さ、過酷な自然環境からの脱却、征服の一神教の元での科学文明を背景して発展して来た医学の世界であると言います。

もし、日本人が過去から抱いてきた、薬や医療に対しての印象の持つ優しさで、西洋薬や西洋医学を受け入れるとすれば、其処には大きな歪みが生ずる事なると言うのです。

其の薬剤に対する欧米感覚、農薬にたいしては当然ですが、ドイツでは薬物学とは言わず、毒物学と言う言い方が主流と書いています。

安保徹先生が申したかったのは、西洋医学の下で処方される対処療法薬の血圧降下剤や代謝阻害剤等、体に優しいと思って飲み続けると大変な事になり、日本人の一般的な薬に対する先入観念は、西洋医学からすれば、誤っていると指摘したかったのです。

 

―アメリカの農薬空中散布はお家芸です!―Web Imagesより

扨て、農薬の話に移りますが、医薬と対比して言えば農薬は「薬物」ではなく、言うなれば、全くの「毒物」であります。

其の取締法上で 「毒物」「劇物」「普通物」と分類されていますが、その毒性の強度や性質の違いで分けているのであり、其の危険レベルの高低が農薬の多投に繋がる安全意識の基準とされるならば、最早その意味は本末転倒であると言えます。

農薬は、医薬のような生体の生命活動に有益な働きを持つ成分物質ではなく、其の作用の殆どが、対象となる生体の生命活動を阻害して抹殺する毒剤であり、本来その使用量は、如何にして減らして目的の対象作物だけを、病虫害から守るかであり、担保されている毒物の安全基準内であれば、毒薬の依存症も厭わないとする等、持続可能な地球環境と自然の生態系を守る観点からすれば、今や決して肯定できる道理ではありません。

 

戦う病害虫のコミックイラストーWebImagesより

毒剤である農薬を一度使い始めると、決してやめる事の出来ない病害虫との戦いの開戦となるのです。それは生体同士の生存をかけた闘いであり、自然の摂理に従って何処かで共存点を探り、闘いを最小限に留める妥協点を見つけ出す事が、仕掛けた人間側自身の為にも必要になるのです。

農薬の安全基準とされる一日摂取許容量(ADI:acceptable daily intake)、ヒトがある物質を毎日一生涯にわたって摂取し続けても、現在の科学的知見からみて健康への悪影響がないと推定される一日あたりの摂取量であり、それに基く農産物の農薬の許容残留基準が、前述の日本人の持つ潜在的な甘い対薬物感覚と基準さえ守られていれば毒も安全とする受け取り方と相まって、実のところは一般消費者の潜在的に希薄な毒物感と迎合し、農薬供給側の利潤追及と農業生産者側の目先の利益依存を助長する結果となって居るかと思うと皮肉です。

 

―講演で信念を語る安保徹先生―

その陰では農薬毒が自然生態系を破壊し、一方では病虫害との闘いをますます熾烈化させ、決して終わる事のない自然摂理に基く戦いとなっており、農薬依存症では解決に至る終焉は覚束ない現実があるのです。

これは単なる技術方法論では解決できない事柄であり、日本が統計上、中国、韓国と並んで世界での3大農薬散布国となっている思考背景を知る良いヒントになります。 言い方が一寸悪いかも知れませんが、其処に在るのは一種の無辜の知恵遅れであり、世に言うグリーンケミストリーの時代への認識の欠如、その良き一例としか言いようがありません。

 

―グリーンケミストリー時代のイラストーWebImagesより

今般それを、日本人の特徴の薬物感にあると気付かせて呉れた安保徹先生の「免疫進化論」の中の話、それでブログで取り上げさせて頂いたのですが、今日の高齢化社会にあって、多くのお年寄りが年齢と共に起こる退行性疾患に医者にどっさりと薬を出して貰っている薬剤依存症と、皮肉にも農薬散布大国の日本の農薬依存症とには、相通ずる薬物への共通したイメージ感覚かあるかと想うと、日本の閉じられた社会の後進性?今後の先行きの遠さを感じずには居られません。

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