IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

「暑い×2」とボヤいていたけど

2005-07-19 15:18:41 | イラク関連
レアル・マドリー、今日はロサンゼルスで親善試合を行っていて、僕はラジオの仕事前に試合の中継をテレビで見ていたんだけど、テレビ画面に面白いものを発見。試合中、画面に何度かヘッドフォンをつけたキツネのようなロゴが登場し、「どこかで見たことあるよなぁ」と考えていたら、なんとそれはナップスターの広告だったのです。ファイル共有ソフトのナップスターは一時期、音楽ファイルを簡単にシェアするソフトとして人気があったけど、全米レコード協会の圧力や裁判所が違法性を認める判決を出した事もあって、いつの間にか有料サービスへと変わっていた。それからナップスターがどうなっていたのか、僕には知る由も無いけど、今日のテレビ広告を見ている限りはビジネスの方も順調そうだ。

ブッシュ大統領は昨年、今年1月に行われたイラク総選挙に出馬した複数の候補に対し、極秘の資金援助を行うよう承認していた模様だ。18日のワシントン・ポスト紙が報じた。ブッシュ政権はアメリカ側と繋がりの深い候補者に対して一定額の資金援助を実施しようとしたが、政府関係者らが17日に明かしたところでは、この計画は1月の選挙前に中止に追い込まれたのだという。計画が中止となった背景には議会からの反対があったと複数の政権高官はワシントン・ポスト氏に語ったが、同時に諜報機関内部でも極秘の資金援助がかえって逆効果になるだろうと懸念する声が出ていた模様だ。ホワイトハウスは現在まで、計画の存在を公式には認めていない。

しかし、国家安全保障会議(NSC)のフレデリック・ジョーンズ広報官は声明文の中で、ブッシュ政権が1月の選挙前に外国勢力の動きが懸念していた事を明かし、イランからイラクの選挙関係者に流れた巨額のカネが存在したと語っている。広報官は外国勢力がイラクでの選挙に与える影響が政権内で非常に問題視され、アメリカ側が何らかの形で選挙に介入できないかと模索していた事を明らかにしている。しかし、声明ではブッシュ政権がイラク国内の政党に秘密裏に資金援助を行ったかどうかは明らかにされなかった。イラクでの選挙が行われる前、米国務省は政党を組織するイラク人に対してオープンに資金援助を行っている。一方、近く発売されるニューヨーカー誌の最新号はブッシュ政権がイラク暫定政府首相だったアヤド・アラウィに資金援助を行っていたと報じており、CIAと繋がりの深かったアラウィ氏をイラクの政治中枢に残そうとした可能性が指摘されている(アラウィ氏の政党は有権者から十分な支持をえれず、政権の座につくことは無かった)。

ニューヨーカー誌の記事では、アラウィ氏への資金援助が議会の管理下にない秘密予算を使って行われたと指摘されていたが、ホワイトハウスや議会、そして国務省は記事の内容に反論を唱えている。大統領は議会の承認なしにアメリカ政府の秘密活動を認めれるが、通常ならば秘密活動用資金は議会が管理する予算から捻出されている。複数の政権高官はワシントン・ポスト紙に対し、ブッシュ政権がアラウィ氏への資金援助に議会以外から資金を捻出するのは考えにくいと語っている。しかし、計画自体は以前から政権内で周知の事実だった模様で、別の政権高官達はイラクのシーア派政党がイランから受けている資金援助への対抗策だったと語った。ある高官は匿名を条件にワシントン・ポスト氏の取材に答え、計画自体がかなりのレベルまで進んでいたが、実行段階になってマイナス面が多い事に気付き、最終的に計画は座礁したのだと語った。

18日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ビデオ機能が搭載された新型のiPodが9月までにアップル社から発表される可能性があると報じた。アップル社は複数のエンターテーメント業界幹部に対し、新機種が9月までに発表される可能性が高い事を明らかにしているが、アップル社はこの件についてコメントを控えている。アップル社はすでにいくつかの大手レコード会社とライセンス契約の話し合いを行っており、新機種の市場投入の目玉としてミュージック・ビデオの動画販売が計画されている。アップル社はミュージック・ビデオの販売を傘下のアイチューンズ・ミュージック・ストアで展開したい模様で、新型iPodでは将来的に映画やテレビ番組を見ることも可能になるとの事。ミュージック・ビデオや映画がインターネット上で不正にコピーされる現実に頭を抱えているメディア業界では、アップル社のすすめるプロジェクトで確実に利益を上げられる可能性が注目されている。

動画の見れる新型iPodが噂どおりに発表されるとすれば、ミュージック・ビデオの配信サービスは音楽愛好家がほとんどのiPod購入者の需要とマッチし、アップル社にとって大きな金脈に十分なりうる。アップル社によるミュージック・ビデオの配信サービスはすでに開始されているが、これはアイチューンズ・ミュージック・ストアで1枚のアルバムに収録された全ての曲を購入した際にもらえる「オマケ」のようなもので、現在はiPodではなくコンピューターでしか見ることができない。ウォール・ストリート・ジャーナル紙はアップル社がすでにワーナー・ミュージック、EMI、ユニバーサル・ミュージック、ソニーBMGの4社と接触を図り、9月初旬にはミュージック・ビデオが1曲1ドル99セントで販売されるだろうと報じている。曲とビデオの両方を購入する場合、ディスカウントが設けられる可能性もある。

音楽業界にとって、アップル社との新ビジネスはミュージック・ビデオで利益を生み出す大きなチャンスとなり、制作費として投入した莫大な資金の回収も困難な物ではなくなる事を意味する。ミュージック・ビデオは「ただ同然で」MTVが毎日放送しているが、音楽業界とMTVの20年間の関係がアップル社の新ビジネスによって大きな変化を起こす可能性もある。アップル社はテレビ番組の動画配信にむけて、すでに幾つかのプロダクションに接触しているが、テレビ番組のインターネット配信は音楽よりも権利関係が複雑なため、すぐに実現する事は難しい。3年前に発売されたiPodはアップル社にとって起死回生の一発となり、昨年度収益の約3分の1を稼ぎ出している。iPodの動画配信ビジネスには未知数な部分も多いが、アナリストの多くはアップル社の動画用ソフト技術のクオリティに注目し、技術的にも問題はほとんど見当たらないのではと語っている。

クーラーが2つもついたアパートに引っ越してからというもの、外出する度にワシントンのジメジメとした蒸し暑さへの抵抗力が弱まったのか、天気への愚痴を友人にこぼす事がある(こぼしたからって、ど~にもならんけど)。「こんな気候の下で暮らす自分は、世界一の不幸者」みたいな自虐の気持ちを、まぁ大阪でもボストンでも夏になると感じずに入られなかったんだけど、アリゾナ州フェニックスの気温を聞いて気持ちを入れ替える事に。なんでも、月曜日の最高気温が華氏113度(計算してみたら、摂氏45度だってよ!)に達したそうで、この日の最低気温ですら摂氏33度。日曜日にはカリフォルニア州のニードルズで摂氏51度を記録していて、ここまで来ると人間が生存できるのかが心配だ。とにかく、30度程度の気温でブツブツと文句をたれる自分が恥ずかしくなったわけで、明日から心を入れ替えます、たぶん。

ロケット、今週ワシントンに来襲

2005-07-18 15:50:44 | 医療・健康
日本の友人がやってるブログをのぞいた時、そこに映画のレビューもあったので幾つかを興味深く読ませてもらい、そのレビューでも紹介されていたドイツ映画のエス(原題はDas Experiment )をDVDで見ることにした。DVD自体は金曜日に借りていたけれど、なかなか映画を見る時間が作れず(クリント・イーストウッドの西部劇ですら全部見れていないというのに…)、日曜日の朝8時から頑張って見る事に。この映画、朝の8時から見るようなタイプのものでは決してなく、見た後で思い気持ちがしばらく続いた。2001年に作られたこの映画、監督もキャストも全てドイツ人で、映画の舞台はどうもケルン(懐かしい)周辺に設定されていたようだけど、実はアメリカの話なのです。アメリカで1971年に行われた心理学実験をテーマに、スリラー調で展開するこの映画、色々と考えさせられるものがあった。

映画のストーリーを少しだけ説明しておくと、ドイツの医療施設で一般人を被験者にした心理実験が行われた。これは20人の被験者をランダムに2つのグループに分け、一方が囚人として、そしてもう一方が看守として、施設内に設けられた刑務所で2週間の共同生活を行うもの。囚人チームの被験者は人権が全く存在しない状態で、看守チームの被験者の命令に全て従わなければならず、実験を企画した心理学者らは施設内に設けられたモニターで2つのグループの心理状態の変化を事務的に記録していく。看守側の被験者には「暴力を振るってはいけない」というルール以外に何も通達されておらず、看守役の被験者は次第に今まで経験した事の無かったサディズムに目覚めていくのだ。続きは実際に映画で見てほしいんだけど、この映画のベースとなった実験は1971年にスタンフォード大学で行われており、僕も実験の話を少しだけ聞いたことがあった。

「スタンフォード・プリズン・エクスペリメント」と名付けられた心理実験は、スタンフォード大学の心理学者フィリップ・ズィンバルドによって1971年に実施され、24名の被験者が映画と同じように囚人と看守の2組に別れ、大学内の施設で「刑務所生活」を送っている。実験は海軍からの資金援助で行われた。実験当初はロールプレイングだと割り切っていた被験者達だが、時間の経過とともに看守側の被験者の中に残虐性を見せ始める者が出始め、囚人役の被験者にが暴力や性的虐待を加えられるケースが続出した。監獄の衛生状態の悪さも際立っていたようで、実験は途中で座礁するが、精神障害をおこした被験者が何人も出る結果となった。34年前の実験における恥辱行為や暴力行為の数々、イラクのアブグレイブ刑務所での虐待例と酷似している。アブグレイブ・スキャンダルでは、前述のズィンバルドが「収容所内の雰囲気が看守をサディスティックにした」との証言を行っているが、米軍はこれを一蹴している。映画、ぜひチェックしてみてくださいな。

昨年、10代後半から20代前半の女性十数名が血塊が原因で死亡しており、オーソ・エブラとよばれる避妊用パッチの使用が原因ではとの説が浮上してきている。AP通信は情報公開法に基づいて、政府がまとめた医薬品の安全性に関する報告書を入手した。報告書では、死亡に至らなかったものの、さらに数十名が脳梗塞や凝血に見舞われていたことも判明している。オーソ・エブラを使用して血塊に見舞われた何人かの女性の家族はすでに訴訟を起こしており、弁護士によれば、訴訟の件数はこれから間違いなく増えるだろうとの事だ。米食品医薬品局(FDA)と避妊用パッチ製造元のオーソ・マクニール社はパッチの危険性について発売前から幾つかの指摘を受けていたが、パッチはピル同様に安全だと指摘してきた。

AP通信が入手した安全性に関する報告書では、パッチを使用した女性が血塊に見舞われる可能性はピルよりも約3倍高い事が指摘されている。2004年には全米で約80万人がオーソ・エブラを使用している。通常ならば、若くて健康な女性が血塊で死亡する例は少ない。しかし、18歳の学生ザキヤ・ケネディはパッチを定期的に使っていた昨年4月、マンハッタンの地下鉄駅構内で突然倒れ、そのまま死亡している。25歳で2児の母親でもあったサーシャ・ウェバーは、パッチを使用してから6週間後の昨年3月に心臓発作で死亡している。パッチが血塊を直接引き起こしたのかどうか、明確な答えが出せない産婦人科医は少なくなく、科学的な調査の実施も被害者のプライバシーの問題によって困難な状態へと陥っている。

パッチは2001年より全米で販売されているが、販売前からFDA側はパッチの危険性を少なからず懸念していた。喫煙をしない35歳以下の女性がパッチを使った場合、1万人に12人の割合で血塊が発生し、20万人に3人は血塊が原因で死亡するというデータがFDAによって報告されている。血塊は足で作り出される場合がほとんどで、それが肺や心臓などに移動した場合、深刻な問題を引き起こす。FDAは2000年にオーソ・マクニール社の避妊用パッチの臨床試験を行っているが、3300人の被験者の中で血塊が肺に達して治療を受けたケースが2例あり、これはFDA内部でも問題視されていた。オーソ・マクニール社は、「血塊で治療を受けた女性の1人は過去に手術を受けていたので、こちらが求めた被験者の条件とマッチしなかった」と主張したが、FDAは安全性の見直しを書面で求めていた。

CIA工作員バレリー・プレームに関する情報が複数のジャーナリストに漏らされた問題で、大統領次席補佐官カール・ローブの進退問題が注目される中、スキャンダルの渦中にいるもう1人の人物であるマシュー・クーパー記者が17日にCNNの番組内でインタビューに答えた。プレームに関する記事を書いたタイム誌のクーパー記者とニューヨーク・タイムズ紙のジュディス・ミラー記者は、連邦裁判所から情報源を明らかにするよう命じられていた。ニューヨーク・タイムズ紙とミラー記者は情報源の守秘義務を主張し、関連資料の提出も全て拒否したが、7月6日にミラー記者はバージニア州アレクサンドリアの刑務所に収監されている。当初はクーパー記者も証言と関連資料の提出を拒んできたが、7月6日になって証言する姿勢を打ち出し、ギリギリで収監を免れた。

CNNの番組の中でクーパー記者は上司でありタイム誌編集長のノーマン・パールスタインのとった行動について語り、クーパー記者の取材メモやEメールを大陪審に提出したパールスタインの決断が、将来的にタイム誌の取材力に大きな影響を及ぼすかもしれないと危惧した。これまで匿名を条件にタイム誌の記者達に協力していた情報源が、今回の大陪審への証拠品提出で以前よりも話をしなくなるのではとう心配である。クーパー記者はタイム誌がこれからも情報源の秘匿を続け、時間の経過とともにタイム誌の信頼が回復される事を願っているとも語っている。しかし、諜報活動保護法によって、秘密活動に従事する工作員らの実名を明かすことは連邦法の違反となるため、政府がこれからもこの法律を利用する可能性は高い。

タイム誌のアクションとは対照的に、ニューヨーク・タイムズ紙は現在も「情報源を決して明らかにしない」というスタンスを取り続けている。クーパー記者と異なり、プレームに関する記事を書いていなかった(取材は行っていた)ミラー記者だが、すでにアレクサンドリアの刑務所で2週間近くを過ごしている。タイム誌のパールスタイン編集長は大陪審への証拠品の提出は彼の独断で決めた事を強調したが、社内でも記者が報道の自由を守る合衆国憲法を最後まで守るべきかどうかの議論が繰り返されたのだという。連邦最高裁判所が今回のケースへの介入を拒否した事も、パールスタイン編集長が決断を下すきっかけになった模様だ。しかし、タイム誌への批判は少なくなく、同誌が罰金を払い、クーパー記者に少しばかりの刑務所暮らしを我慢してもらった方がよかったという声も存在している。

嬉しいニュースが1つ。地元球団のワシントン・ナショナルズがナショナルリーグ東地区でまさかの首位。53勝39敗の成績で、アトランタ・ブレーブスやニューヨーク・メッツを抑えてのトップだ。僕はレッドソックス・ファンだけど、地元のチームが(しかも、ワシントンに移転してきて1年目で)ここまで頑張っているのには嬉しくなる。クローザーのチャド・コルデロは今年になって一気にブレークした右腕で、2勝1敗32セーブ(防御率はなんと1.11)という数字を残している。今週末にはアストロズがやってくるけど、なんとかして相手チームのロジャー・クレメンスが先発する試合を見に行きたい。ボストン時代に彼の投げる試合(ただ、その時はすでにヤンキースの投手で…、残念)を3回ほど見たけど、今年43歳の彼に残された時間はそれほど長くない。と言っても、現在7勝4敗(防御率は両リーグトップの1.47)のクレメンスを見ていると、あと3年くらいはまだまだやれそうなんだけどなぁ。

保守系アイスクリームの謎

2005-07-17 14:28:11 | 犯罪
昼過ぎから何人かの友人と町をブラブラし、ついでに立ち寄ったレコード店でDVDを購入。コールドプレイのアルバムを買おうと思っていたけど、いつの間にか気が変わり、1966年に作られた名作ウエスタン「続・夕陽のガンマン」のDVDを買ってしまった。幼い頃に何度かテレビで見た記憶があるんだけど、タランティーノやロバート・ロドリゲスにも大きな影響を与えたとされるこの映画、今見てもやっぱり面白いのだ。よく映画の原題と邦題が全然違う場合があるけど、この映画の原題も「Il Buono, il brutto, il cattivo(善人、悪人、ブサイク)」となっている。クリント・イーストウッド主演の西部劇だが、監督も出演者の多くもイタリア人で、いわゆるマカロニ・ウエスタンってやつの1つ。でも、映画の撮影はスペインのアンダルシアで行われたそうで、見てるだけで汗が出てきそうな作品。

夕方、みんなで我が家に戻ってきて、この西部劇を見ることにした。自宅に戻る前、近くのコンビニに立ち寄ってアイスクリームなどを買ったのだけど、僕はセブンイレブンで売られていた奇妙なアイスクリームが凄く気になり、今日はそれを買ってみた。「星条旗アイスクリーム」という、どう考えても愛国的な名前にしか聞こえないワシントン近郊のアイスクリーム会社が発売している数種類のアイスクリームには、陸軍味や大統領味、空軍味などのフレーバーがあり、僕は海兵隊味を選んでみた(写真参照)。映画が始まってから10分ほどして、アイスクリームの事が気になりだした僕はインターネットを使ってアイスクリーム会社の情報を調べ始めた。「今日も仕事かよ…」とあきれる周囲の友人達。もちろん仕事じゃないけど、忘れないうちに気になった事のチェックだけしておきたかったのだ。

映画の途中で30分ほどパソコンに向かったわけだけど、どうにも気になったのだ。アイスクリームのパッケージには「収益の10パーセントは米軍兵士やその家族に寄付されます」と書いてあったり、「これが自由の味」みたいなキャッチフレーズもあって、普通のアイスクリームでは絶対感じられない政治的なニオイがしたので。過去の経済記事を片っ端からチェックしていくと、このアイスクリームに関する記事をいくつか発見した。バージニア州にあるこのアイスクリーム会社の副社長はリチャード・レスナーという人物で、彼は2003年にキリスト教右派のロビー団体「家族調査協議会(FRC)」から共和党系ロビー団体「全米保守連合(ACU)」に移っている。このアイスクリームが純粋に兵士の家族をサポートしているのかは分からないけど、関係者の中にはオリバー・ノースの名前もあったりして、どうも一筋縄では行かない印象を受ける。味の方はまあまあでした、念のため。

オハイオ州南部の町で発生したレイプ事件をめぐり、地元住民の間でヒスパニック系移民に対する感情が悪化しており、現地では放火事件なども発生している。オハイオ州南部にある人口6万人ほどの町ハミルトンは90年代にキューバ系の市長が誕生しており、これまでは市内在住の4000人ほどのヒスパニック系住民は大きな問題もなく、他のエスニックグループと上手くやっていた。しかし、6月19日に9歳の白人の女の子がレイプされた事件をきっかけに、ヒスパニック系住民に対する脅迫や嫌がらせが増加し始めている。レイプ事件の容疑者は市内在住のヒスパニック系男性だとされているが、彼は事件後に姿を消している。男性の住んでいた家の壁には、何者かがスプレーで「暴行魔」と大きな落書きを残している。

レイプ事件から2日後の6月21日には、落書きのあったこの家が何者かに放火される事件が発生した。ヒスパニック系住民が集まるエリアでは、白人男性らとヒスパニック系住民が何度も衝突を繰り返し、脅迫状を送られた家も少なくない。また、目穴をあけた枕カバーをかぶった何人もの男達がヒスパニック系が多く住むエリアを徘徊しだし、やがて本物のKKKメンバーらがパンフレットを配りだす事態へと発展した。白人住民から襲撃や暴力に遭ったヒスパニック系住民がいるとの噂すらあるが、真相は明らかになっていない。オハイオ川近くの小さな町で急増してきたヒスパニック系移民だが、最近の白人住民との衝突で、彼らが住むエリアの街角からは人影がほとんど消えてしまった。

市内で食料品店を経営するラモナ・ラミレスはAP通信の取材に対し、最近の出来事に非常に恐怖感を抱いていると語った。彼女が経営する店にパンを配達する業者も、襲撃を恐れて配達をストップしている。市当局と各コミュニティの代表者らはエスカレートしつつある人種対立を避けるため、ヒスパニック系コミュニティの警備を強化や事態の沈静化に必死だ。ドン・ライアン市長は金曜日に会見を開き、今回のレイプ事件に人種的な動機が一切無かった事を強調している。しかし、ハミルトン市のヒスパニック系住民の中には、レイプ事件前からヒスパニック系に対する差別が存在していたと語る者も少なくない。オハイオ州内のヒスパニック系人口は1990年の時よりも倍以上に増加しており、古くからの住民との間に文化的な摩擦が生じているケースも幾つか存在するため、州政府も今回の事件の対応に頭を抱えている。

スペイン・サッカーの強豪レアル・マドリーが2週間に及ぶ世界ツアーを金曜日からイリノイ州シカゴで開始し、ベッカムやロナウドといったスター選手が数多く在籍するレアルはアメリカ、日本、中国、タイの4カ国で親善試合を6回行う予定だ。2週間のツアーでレアルは少なくとも日本円で25億円以上を稼ぎ出すと見られているが、近年サッカー人気が急激に上昇しているアメリカで積極的なプロモーション活動を行い、ビジネスとして非常に魅力的な北米市場に本格的に進出する狙いもあるようだ。金曜日朝からシカゴ市内で始まったレアルのプロモーション活動では、まず市内のスポーツバーで選手らによるサイン会が行われ、それから数名の選手はメジャーリーグの試合(シカゴ・カブス対ピッツバーグ・パイレーツ)が行われるリグレー・フィールドへ向かった。この試合の始球式はキャプテンのラウル・ゴンザレスによって行われている。

リグレー・フィールドを訪れなかった選手達は、デイリー・シカゴ市長を表敬訪問しており、市長の名前の入ったレプリカユニフォームやサイン入りボールなどを手渡し、市長をマドリッドへ正式に招待までしている。デイリー市長はサッカーがアメリカの中高生の間で最も人気のあるスポーツだと語り、レアルがシカゴを最初の訪問地に選んだことを光栄に思うとも語っている。金曜日はまるまるプロモーションに費やされ、ベッカムやロナウドのサインを求める地元のファンが長蛇の列を作っていた。レアル・マドリー・テレビジョンの責任者マイケル・ノバク氏がAP通信に語ったところでは、チームは別の町でも似たようなプロモーション戦略を展開していくとのことで、それぞれの町のローカル性に合わせながら、色々なイベントにも参加していく予定。

レアルの幹部らは親善試合とプロモーション活動に加えて、今回のアメリカ遠征中に放送関係者と会談する予定があるとも言われ、予定されている衛星放送チャンネルの開局と関係があるようだ。レアル・マドリー・テレビジョンは数週間以内に24時間放送の衛星ネットワークテレビを立ち上げる予定で、全てが英語の番組で構成されるこのチャンネルは世界に配信される模様だ。前述のノバク氏はこのネットワークを「CNNとESPNとMTVが合体したようなもの」と表現し、サッカー以外の番組も放送していく事を明らかにしている。レアルは土曜日にシカゴのソルジャー・フィールドでメキシコのチバス・グアダラハラと親善試合を行い、5万4000人の観客の前で3-1の勝利を収めている。チームはこの後カリフォルニアに向かい、月曜日にロサンゼルスで再び試合を行う。

午後9時ごろからエゲツない雷が連続し、一度は我が家も含めた周辺の家が停電に見舞われる始末。今回の停電は5分ほどで元に戻ったけれど、数年前のやつは明け方の4時過ぎまで電気が戻らず、冷蔵庫の中の氷が全てとけてしまったイヤな思い出がある。幸いにも、今まで仕事中に大きな停電をくらった事は無いけれど、一度でも停電があれば、どうしても何日かは心配になってしまうもの。それにしても、今日の雷はすごかった…。光の柱が何回も見えたんだけど、本当にCGじゃぁないのと思ったくらい、見事なもんでした。

77歳、まだまだ現役?

2005-07-15 13:53:51 | 政治
調べ物があって図書館に行き、そこで見つけた「スポーツ・イラストレーテッド」誌の最新号を手に取ってみる(ご心配なく、仕事も適度にやっておりますので)。1980年にアメリカで話題となったスポーツ選手のその後を追うという企画で、まぁ日本でもよくある「あの人は今?」みたいなやつ。王貞治監督やフランツ・ベッケンバウアー、マジック・ジョンソンといった顔ぶれの中に久しぶりに聞いた名前が1つ。彼女の名前はロジー・ルイスといい、ボストン時代にその名前を何度か聞いたことがあった。マラソン選手だった彼女は1980年に行われたボストン・マラソンで2時間31分56秒のタイムで優勝するが、大会後に近道をするなどのインチキ疑惑が浮上し、金メダルを剥奪されている。彼女はその後、勤務していたニューヨークの不動産会社から6万ドルを横領したり、マイアミでコカイン取引に関わった罪で逮捕されている。そうそう、そんな人もいたんです。

雑誌の企画にはもう1人懐かしい名前が。アイスホッケーのことをあまり知らない僕だが、それでもボストン時代には何度もブルーインズの試合に足を運んだ。正直、あんまり選手の名前を(今でも)知らないんだけど、ゴーディー・ホウの名前は僕でも知っている。カナダ生まれのホウは79/80年シーズンに15ゴールを決めて引退したんだけど、その時の年齢が実に51歳。デトロイト・レッド・ウイングスのライトウイングでNHLデビューを飾ったのが1946年で、サッカーでいえばイングランドの伝説的選手スタンレー・マシューズ(サッカーの基本でもあるマシューズ・フェイントの発明者でもある彼は、1965年に50歳で引退している)のようなタフガイだ。雑誌の取材に、現在77歳のホウは「練習参加を免除してくれたら、今でもプレーしてやるよ」とコメントしていた。最近撮影された写真を見ても、本当にまだできるんじゃないのと思うほどの若さ…。

昨日のブログでロンドン連続爆破テロ事件の実行犯の4人目をパキスタン系の男性と書いたんだけど、どうも今日になって情報に変更があったので、ここで訂正しておきます。ブログを書いていた時点ではパキスタン系という報道だったんだけど、今朝になって4人目はジャマイカ系の男性ではという報道が出始め、今ではそれが定着しつつあるみたい。ブログの更新中に細かい情報のダブルチェックはしているんだけど、間違った情報を書いてしまい、どうも失礼しました。で、今日は久しぶりにロンドンのテロ事件から少し離れて、いつも通りアメリカのニュースを2つ。カール・ローブの事や最高裁判事のニュースなど、まぁ今日も色々とあったわけだけど、今日は2人の有名人に関するニュースで行きましょ。ヒラリーとアーノルドのお話で。

カリフォルニア州のアーノルド・シュワルツェネッガー知事と出版社の不適切ともいえる関係をめぐって、知事のモラルを問う声が州内からも出始めているようだ。シュワルツェネッガー氏は知事就任のわずか2日前に大手出版会社と5年間で総額800万ドルのコンサルタント契約を結んでおり、この出版社はフィットネス関係の雑誌を何冊も手掛けている。両者の間で交わされた契約によると、シュワルツェネッガー知事には雑誌広告収入の1パーセントが支払われる模様で、アメリカン・メディア・オペレーションズ社が発行する雑誌の広告収入のほとんどはサプリメント製造会社からのものとなっている。昨年、カリフォルニア州ではサプリメント産業への規制を設ける法案が作られたが、最終的にシュワルツェネッガー知事が拒否権を行使している。

米証券取引委員会が13日に明らかにした資料によれば、シュワルツェネッガー氏は知事就任直前の2003年11月15日にフロリダ州に本社を置くアメリカン・メディア・オペレーションズ社と契約を交わしている。市民団体や地元政治家は知事の交わした契約を「公私混同極まりない」として、厳しく批判している。知事や政治家が就任前に行っていた仕事を継続する事は法的に認められているものの、知事本人が拒否権を発動した法案の対象となる企業との契約に批判的な声が少なくない。シュワルツェネッガー知事の広報担当者マージタ・トンプソンはロサンゼルス・タイムズ紙の取材に対し、シュワルツェネッガー氏ほど収入の内訳が複雑な知事はいないだろうと語ったが、同時に法に触れるような行為は一切無かったとも強調している。

シュワルツェネッガー知事は昨年、アメリカン・メディア・オペレーションズ社が発行する2冊のフィットネス誌の編集主幹に就任する事で合意したと発表し、現在もこれら2つの雑誌に毎月コラムを掲載している。知事側はこれまでフィットネス雑誌から幾らのコンサルタント料をもらっているのか、一切明らかにしてこなかった。シュワルツェネッガー知事の2冊のフィットネス雑誌には、筋肉増強剤やダイエット薬品の広告が数多く掲載されており、「マッスル&フィットネス」誌8月号では257ページのうち110ページがこのような広告に使われていた。知事は同誌6月号のコラムの中で、サプリメント業界に対する弁護を展開し、サプリメントを規制する動きには頑として抵抗すると語っている。

2008年の大統領選挙に民主党から出馬する可能性が高いヒラリー・クリントン上院議員だが、今週ワシントンの国会議事堂内で開かれたメディア関連のイベントの席で、タカ派のイメージを打ち出している。クリントン議員は水曜日、今後4年間で陸軍に8万人の兵員を増強すべきだと唱え、木曜日には暴力や性的描写の激しいゲームソフトを製作するメーカーにペナルティを加える法律が必要だと語った。アメリカ国内では一部のゲームソフトにM(Mature)やAO(Adults Only)といった成人指定用のカテゴリーが設けられており、遊戯用ソフトウェア評価委員会が設定したルールでは、指定を受けたゲームソフトを未成年に売った小売店には5000ドルの罰金が科せられることになっている。

クリントン議員は先月、同じ民主党の重鎮リバーマン議員や共和党の保守派として知られるリック・サントラム議員らとともに、電子メディアが子供に与える影響を細かくリサーチするべきだと訴えている。クリントン議員らは議会に対して9000万ドルの調査用予算を申請する予定で、テレビゲームやインターネット、さらにはiPodといったものまでが調査対象になる模様。ワシントンの政治家がエンターテーメント産業に介入しようとするのは今回が初めてではなく、前述のリバーマンは以前からラップ音楽の歌詞を糾弾している。ゴア元副大統領の妻ティッパーは80年代にロック音楽がアメリカの核家族化の要因だと主張し、ロック音楽の歌詞に対する抗議団体を設立したが、フランク・ザッパといったミュージシャンからはキリスト教右派との関係を指摘され非難されている。また、クエール元副大統領がテレビドラマの主人公(未婚の母)を避難して、全国的な論争へと発展したのも記憶に新しい。

クリントン上院議員が2008年の大統領選挙に出馬するかどうかは依然として未定のままだが、仮に出馬を決めた場合、どのような政治スタンスで大統領選挙に臨むのかが注目される。MSNBCがウェブに掲載した分析記事は、民主党のクリントン議員が軍事力の増強とゲームソフト内の暴力やセックスに反対した点を取り上げ、軍事力増強に賛成しながら保守的な価値観の重要性を唱える「2004年リバーマン型」タイプに変わろうとしているのではと指摘している。しかし、この考え方は2004年の大統領選挙において民主党支持者から共感を得ることはできず、リバーマンは民主党大統領候補になれずに敗退している。

予想通りの大泣き。昨日の晩、ブログを更新してからDVDで「ミリオン・ダラー・ベイビー」を見た。徳光和夫さんと「知ってるつもり?!」の出演者全員の涙を一緒にしてもまだ足りないくらいの涙が目から流れ続け、ついには鼻水まで流れ出る始末。涙と鼻水だけで十分なダイエットができたのでは思えるほどたったけど、こんな名作を作ってくれたイーストウッド監督にまずは感謝したい。ハッキリ言うと、最初から最後まで気が重くなるような展開だったし、尊厳死というすんごくシビアなテーマを扱った冒険的な作品だったけど、贅沢な2時間を堪能できたのも事実。ボクシングじゃないけど、別のスポーツに人生をかけた何人かの女の子の事を思い出した。男も女も関係なく、そういうアスリートってやっぱり格好いいわけで、映画のあとにそんな事を1時間ほど考えていた。

気がつけば悪友はケープタウン在住

2005-07-14 13:14:42 | スポーツ
さっきコンビニに行って、マルボロライトを2箱とペパーミント味のガムをレジに持っていくと、レジの店員が突然の叫び。「当たりでも出たんかいな」と、タバコにそんな洒落たサービスが無いのを百も承知で、店員に聞いてみた。ウーピー・ゴールドバーグそっくりのオバチャンは、ただでさえデカい目をさらに大きくして(これ、誇張でもなんでもなく、後頭部を軽くたたいたら目玉が落ちるんじゃないかと思えるほど)、「レジを見てごらんよ」と一言。レジのモニターに映し出された商品金額の合計を見れば、そこには7ドル77セントの表示。さすがに目玉が飛び出るくらい驚くことは無かったが、それはそれで嬉しいもので、こんな事もあるんだ。「6ドル66セントじゃなくてよかったね」とオバチャンは笑いながら言ったけど、たしかにそれは気持ち悪いよなぁ。

ロンドンのテロからしばらく経ったけど、連絡のつながらなかった大学院時代の悪友からもメールが来て、ホッとしているのが正直な気持ちだ。家族も友人も、それからフィアンセ(結婚間近のためか、この単語を何度も強調して言いやがった…、羨ましいなぁ)も無事だったようで、携帯電話が今でも繋がり難いとボヤいていた。ロンドンは大学院時代のもう1人の悪友の出身地で、彼女はスペインのマドリッドに移り住んでたんだけど、家族や友達は大丈夫だったのかと心配になり、やはりメールしてみた。メールを送信してから10分後には返事が返ってきて、ラジオの本番前だったけど、僕はメールの内容に絶句。ロンドンのみんなは無事だったらしいけど、彼女は最近南アフリカに引っ越したんだとか。オーストラリアにも同じ事が言えるけど、ここから何日で着くんだろうか…。遠い…、頭に出る言葉はただそれだけ。ロンドンみたいに気軽に遊びに行ける距離じゃ無い事は確か。

そのロンドンのテロ事件に関する続報が今日もイギリスのメディアから伝えられていて、スコットランド・ヤードが自爆テロの実行犯4人の身元をほぼ特定したらしい。現場に容疑者のクレジットカードが落ちていたり、自爆テロ犯の頭が胴体と切り離されていた事から(イスラエルではよくある話で、体に巻きつけた((もしくはリュックに入れた))爆弾を爆発させると、爆風で自爆犯の頭が吹き飛ぶもので、ロンドンのケースでも首無しの遺体が何体か発見されていた)、4人が実行犯だとほぼ断定されたようだ。ミドルクラスの「普通の市民」がテロに走ったかもしれないという話が興味深かったので、英タイム紙の記事を紹介しようと思っているけど、こういった「スリーパー・セル」の話に一般市民がパニックを起こさない事を祈る。事件の真相究明にはまだまだ時間がかかりそうだし、実行犯とされる4人が本当に実行犯だったのか100パーセント証明できるものは何も無いのだから。

ロンドンで発生した連続縛テロを捜査するロンドン警視庁は13日、事件の実行犯を特定した事を明らかにし、実行犯の4人全てがパキスタン系イギリス人であった模様。4人のうち3人は、イギリスのメディアによってすでに実名報道が行われており、3人を知る地元住民らからは驚きの声があがっている。14日付の英タイムズ紙によれば、実行犯のタンウィール・シャザットとハシーブ・フセインの2人は地元警察によって昨年逮捕されていた過去があり、シャザットは乱暴行為、そしてフセインは万引きが逮捕理由だったのだという。2人は注意を受けただけで、起訴される事はなかったが、地元警察は2人に過激な思想があるとは考えていなかったようだ。3人目のムハマンド・カーンはリーズ市内のビーストン地区にある学校に勤務していた。

14ヶ月になる娘の父親でもあったカーンは、ビーストン地区にある学校でイギリスにやってきたばかりの移民の子供達の相談役を務めており、周囲からの評判は極めてよかった。学校関係者はカーンが物腰の柔らかく親切な人物で、子供達からは「バディー」と呼ばれ人気があったと語る。タイムズ紙は4人目の実行犯を、非公式の情報としながらもリーズ出身のエジャズ・フィアズという30代前半の男性と報じ、この人物の親戚の1人が現在も警察から事情聴取を受けていると伝えている。また、ロンドン警視庁はリーズ大学で講師として化学を教えていたエジプト出身の男性の行方も追っており、33歳のこの男性は爆発物が発見された民家の1つを借りていたとの情報がある。この男性は最近になって姿を消しているが、隣人らにはビザに問題があったと語っていた。

タイムズ紙はさらに事件の首謀者として、イギリス生まれのパキスタン系男性の存在をあげ、この人物が事件発生前にイギリスを出国した可能性があると報じている。治安関係者らの話では、この男性は過去のテロ事件に関与していたり、アメリカ国内のアルカイダ支持者ともつながりがある模様だ。治安関係者らは彼がリーズ市内で実行犯らと会い、攻撃目標を支持したものと見ている。4人の実行犯はロンドンに向かう前、ルートン駅で待ち合わせをしていたと見られるが、駅構内に設置された監視カメラの映像には5人目の容疑者らしき人物も写っていた事が判明している。この人物もパキスタン系の可能性が高いと警察当局は睨んでいるが、彼のその後の行方は全くつかめていない。

火曜日にデトロイトで行われたメジャーリーグのオールスターゲームだが、以前にも増してアフリカ系アメリカ人選手の数が減少していることが鮮明となった。仮にシカゴ・カブスのデレク・リー1塁手がアルバート・プホルスをファン投票で抜いていなかったら、1948年に初めてオールスターゲームが始まって以来、先発出場選手18人の中にアフリカ系アメリカ人が全く含まれていなかったことになる。火曜日の球宴に出場した全64選手のうち、アメリカ生まれの黒人選手はリーを入れてわずかに5人だけで、アフリカ系アメリカ人のスター選手が確実に減少していることを物語っている。1994年の球宴では両チームで先発出場した外野手全てがアフリカ系アメリカ人だったが、この10年間で状況は大きく変わっている。

アメリカ生まれの黒人野球選手の数が減少し、さらにそれに比例してスター選手の数も少なくなってきているが、この数年間のドラフト状況を見てみると、有望株とされる黒人選手が再び増えつつあることが分かる。阪神タイガースでもプレーしたセシル・フィルダーの息子プリンスは父親の仕事の関係もあって、幼少時代をクラブハウスで頻繁にすごし、多くのホームランバッターの姿を見て成長してきた。現在21歳のフィルダーは同世代の選手の中では群を抜いて注目されているが、本人は子供の頃にそれほど野球に興味がなかったとロサンゼルス・タイムズ紙に語っている。フィルダーはバスケットボールやアメリカンフットボールにより関心を示していた子供時代について語り、野球にはないスピード感に憧れたことを告白している。フィルダーに限らず、都市部に住む多くのアフリカ系アメリカ人の若者が、フットボールやバスケットボールにより大きな魅力を感じている。

アフリカ系アメリカ人の若者がバスケットボールやフットボールに魅了されるのは、それぞれのスポーツのマーケティング戦略が成功した証拠でもあるが、草の根レベルでの黒人野球人口が減少している理由は他にも挙げられる。現在、全米の野球用グラウンドの90パーセント以上が郊外にあり、都市部に住む多くの黒人が利用しにくい状況となっている。また、大学野球での黒人選手の数は全体の4.5パーセント足らずだが、これは野球がバスケットボールやフットボールよりも奨学金が出にくい事も原因にあるようだ。ロサンゼルスでは過去にオジー・スミスやダリル・ストロベリーといったアフリカ系アメリカ人の名選手を数多く輩出してきたが、都市部での野球人口の減少に、関係者は新たな対策を現在考えているところだ。

「何をこの時期に…」と思われるのを承知で言うと、コールドプレイのアルバムを買おうか買うまいかと先月から悩んでいて、数年前にヒットした「クロックス」という曲のサビの部分が何度か夢の中で流れる始末。少し前に見たエドワード・バーンズとレイチェル・ワイズの犯罪コメディの最後でかかってたこの曲、久しぶりにコールドプレイの事が気になっている。そう思っていると、ボストン・レッドソックスのブロンソン・アローヨ投手が90年代のヒット曲を集めたカバーアルバムを出すとのことで、それも気になってしまって。曲の多くがパールジャムなどのグランジのカバーで、彼と同世代の僕には懐かしい曲ばかり。レッドソックスという名前抜きにしても、聞いてみたいアルバムだ。あと、ローリン・ヒルがいよいよ本格的に復帰するかもしれないとの知らせも入ってきてる。待ってましたぜぃ、ローリン姉さん!

真夏日の夜、外野席でホットドッグ…、やめられまへん

2005-07-13 12:14:55 | スポーツ
ロンドン自爆テロの捜査に進展が見られたようで、西ヨークシャーのリーズ近郊の家が家宅捜索をうけた模様。リーズ周辺に住むイスラム教徒の話がアメリカのメディアでも報じられていて、テレビに映る住宅街のタウンハウスを見ながら、僕はサッカーについて色々と考え始めた。実は僕がイングランドで唯一愛するフットボールクラブが、リーズからそれほど離れていないヨークシャーのシェフィールドにあって、今年1部リーグ(最近はチャンピオンシップとかと言うそうで…)に昇格したシェフィールド・ウェンズデーがそのクラブ。1867年9月4日の水曜日に設立されたので、こんな名前が付いたわけだけど、ヒルズボロ(ウェンズデーのホームスタジアム)近くに住む親友の悪影響を受けてファンになったのが10年以上も前の事。アメリカに来てからも、クラブに関するニュースはインターネットで定期的にチェックしている。

そのシェフィールドの近くにあるという単純な理由で、僕はイングランドの友人らからリーズ・ユナイテッドの話を腐るほど聞かされてきた。短くまとめると、聞かされた話の99パーセントはネガティブなものばかりで、リーズがいかにレイシストな町かといった感じのもの。確かにリーズ・ユナイテッドの本拠地エランド・ロードは20年ほど前まで白人以外のファンが観戦できる環境ではなかったし、2000年には現在レアル・マドリッドに所属するジョナサン・ウッドゲートらが地元のナイトクラブでアジア系男性を激しく殴打して大怪我を負わせている。でも、最近のクラブの活動を見ていると、いち早くオーストラリアのフットボール・アカデミーと提携したり(ハリー・キューウェルはこれでイングランドに来ている)、イギリス生まれのアジア系選手に積極的に門戸を開いていたりしたわけで、今回のテロ事件がリーズ・ユナイテッドのビジョンに影響しない事を祈るばかりだ。

スポーツに関してもう1つ付け加えたいんだけど、メジャーリーグのオールスター戦がミシガン州デトロイトで行われた(今も、ゲームは行われている)。野球がオリンピックの競技から削除される事が決まり、メジャーリーグ機構側は新たな国際大会を開催する事で、野球の世界的な普及を狙っているようだ。サッカーやラグビーと同じくらい、僕は野球というスポーツにも精一杯の愛情を注いでいるけれど、それでも今日のオールスターゲームのオープニングを見ていると、ある種の違和感に直面する。試合前、俳優のビリー・ボブ・ソートンが2つのアメリカ文化(自動車産業の生誕地デトロイトと国民的娯楽のベースボール)について語っていたけど、斜陽していくデトロイトの町とベースボールの2つが痛々しくも目立っていた。これって、凄く残念な事なんだけどね。

野球が2021年オリンピック大会の競技から削除されてから1週間も経たないうちに、メジャーリーグ機構は火曜日にデトロイトで開かれるオールスター戦を利用して、アメリカ主導による新たな国際大会の構想をブチ上げた。メジャーリーグ機構は11日、来年3月に「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」と呼ばれる16カ国対抗の国際トーナメントを開催すると発表し、この大会にはアメリカを含む各国のプロ選手が出場する見込みになるとの事。メジャーリーグ機構側はこの20年間にわたって野球の世界的な普及に努めてきたが、先週国際オリンピック委員会が2008年大会を最後に野球を種目から削除すると正式に発表している。国際オリンピック委員会の決定に、メジャー機構側からは多くの不満の声があがっていたが、コミッショナーのバド・セリグは新たな大会を設ける事で野球の国際的な普及を進めようとしている模様だ。

月曜日に行われた記者会見には、メジャーリーグで活躍する各国のスター選手が登場し、来年3月に予定される大会を盛り上げようと早くもアピールに務めていた。ジェイソン・ベイ(カナダ)やカルロス・ベルトラン(プエルトリコ)、ミゲル・テハダ(ドミニカ共和国)らが出席した記者会見では、選手達から「自国のためにプレーする事に大きな興奮をおぼえる」などのコメントが相次いだが、実際にはWBCの開催をめぐっては多くの解決されない問題が残ったままだ。WBCは3月の3週間を使って行われる予定で、メジャーリーグ機構としてはオリンピックのように4年に1度の大会として定着させたい意向がある。また、大会自体はNCAAの男子バスケットボールがクライマックスを迎える前に終了するため、テレビ放映でも多くの視聴者を獲得できると見られている。

3月といえば、通常ならばシーズン開幕前のトレーニングがピークに達している頃で、その後の公式戦に影響を及ぼすのではと懸念するメジャー選手も少なからずいる。また、強豪国として知られるキューバが参加しない場合、大会のバリューは著しく低下する。日本の野球関係者らは大会の管理が無条件にアメリカ側に渡ることを懸念しており、大会への選手派遣をまだ正式に決定していない。サッカーの場合、国際サッカー連盟(FIFA)という統治機構が存在し、様々な国際大会の運営を行っているが、野球にはこういった組織が存在しない。12日付のロサンゼルスタイムズ紙がメジャー機構関係者の話として報じたところでは、来年3月に開かれる大会の収益金の47パーセントが出場国への賞金として使われ、残りはメジャーリーグ機構やメジャーリーグの選手会などで分配される予定なのだという。

タイム誌の記者マシュー・クーパーにCIA工作員の情報を流した疑惑が持たれるカール・ローブ大統領次席補佐官だが、ホワイトハウスでは火曜日も記者団からローブ氏の進退問題に関する厳しい質問が相次いで飛び出し、マクレラン報道官はその対応に追われた。ブッシュ大統領が情報漏えいに関わった者全てをホワイトハウスから追放するとコメントしてから1年以上が経過し、大統領の最も信頼するローブ氏が情報漏えいの渦中にいるという思いもよらない展開に発展した現在も、ブッシュ大統領はローブ氏の関与がなかったと信じているとホワイトハウス側は発表している。次第に政治化しつつあるこの問題、民主党議員達からはローブ氏の早急な解任を求める声が一段と強まっている。

火曜日に行われた定例記者会見で、ローブ氏の進退問題について集中的に質問を受けたホワイトハウスのマクレラン報道官は、「ホワイトハウスで働くスタッフは全て大統領の信頼を受けた者ばかりで、そういった信頼がなければ、ここで働いている事はなかったでしょう」とコメントしている。クーパー記者がローブ氏とCIA工作員バレリー・プレームに関する話をしていた頃、プレームの夫で外交官だったジョー・ウイルソンはブッシュ政権がイラク戦争を正当化するために情報操作を行っていると激しく非難している。クーパーが保管していたメールなどの記録はすでに連邦検察局に提出されており、検察側はブッシュ政権内部で情報漏えいを行った人物の特定に急いでいる。

昨年の大統領選挙でブッシュ大統領と最後まで争った民主党のケリー上院議員は、ワシントンの国会議事堂内で記者の質問に答え、「ローブ氏は即刻解雇されるべき」と強い調子で語った。ケリー議員の横には2008年の大統領選挙で民主党から出馬する事が予想されるヒラリー・クリントン上院議員がおり、彼女もケリー議員の考えに賛成している。月曜日にホワイトハウスでは2回の記者会見が開かれているが、この間に記者団から出たローブ関連の質問は61回にも及び、過去の記者会見でローブ氏の関与を真っ向から否定したマクレラン報道官は集中砲火を浴びる格好となった。ある記者からは「ローブ氏は罪を犯したことになるのではないか?」と厳しい質問も飛び出したが、マクレラン報道官は「その件については現在調査中です」とのコメントを繰り返すしかなかった。

自分の好きな野球が全くグローバル化していないスポーツだと認めるのは少し辛い事でもあるし、来年3月の国際大会が中途半端な運営で終わることだけは避けてもらいたいけれど、野球そのものは凄く面白いスポーツだと今でも思う。僕の人生の中で、アメリカ人と日本人以外で野球の話を10分以上できたのは2人のベネズエラ人だけで、ここワシントンでも僕の周囲で野球に興味を示さない人って意外と少なくない。けれど、球場で見るプレーの面白さや地方球場によくある「まったり感」(さすがにボストンやニューヨークでは見られないけど)はなかなか心地よく、ケニア人でもドイツ人でも、僕が強引に球場に連れて行った友人の多くは今でもヒマを見つけて球場に通っている。「食わず嫌い」のファンを新たに開拓するためにも、メジャー側は今こそ他の国々と協力する姿勢を見せるべきだと思うんだけどなぁ。

ユナイテッド・ステーツ・オブ・ドッグ・ラバーズ

2005-07-12 14:00:07 | ジャーナリズム
プロレスラーの橋本真也さんが40歳の若さで他界したという話を聞き、長い間プロレスを全く見る機会がなかった僕だが、やっぱり少し悲しいもので。小学生の頃あれだけ好きだったプロレスのテレビ中継(何を隠そう、ミル・マスカラスとドス・カラスのメキシコ人兄弟が大好きだったもので、あのド派手なマスクが子供心にも格好よく思えたのだ)、中学生頃にはもう見なくなっていて、レスラーとしての橋本さんの事はほとんど知らないんだけど、それでも40歳って若すぎる。ちょうど明日(火曜日)にこちらでは映画「ミリオン・ダラー・ベイビー」のDVDが発売される事もあり、僕は仕事後すぐにレンタルビデオ店にダッシュしようと思っているんだけど、映画のストーリーと橋本さんの話が微妙にリンクしたような気がした。

その「ミリオン・ダラー・ベイビー」がDVD化するのに合わせてか、ロサンゼルス・タイムズ紙に凄く面白いフィーチャー記事が出ていて、ボクサーを目指す10歳の女の子をテーマにしたルポルタージュだ。これ、時間のある人にはぜひ読んでほしい記事で、僕もこの記事を昨日の夜中に発見してから1時間ほど読み込んでしまった。「強いボクサー」になる事を夢見て、父親のコーチを受けながらチャンピオンを目指す10歳のストーリー。メキシコ移民の父親は15歳で麻薬密売人となり、刑務所の世話にもなっているが、ボクシングで新しい人生を切り開いている。こうやって書いてしまうと、なんだかスポ根ものの話に聞こえるかもしれないけど、ロサンゼルスのラティーノ・コミュニティを舞台にした生活臭漂うルポで、またもやサウスボストンを思い出して1人涙しやしたぁ…、不覚。記事へのリンク

秘密活動に従事していたCIA工作員を実名で報じた記者らに対して、ブッシュ政権が執拗に情報の出所を追及していたことは、少し前のブログでも書いた。ジャーナリズムの鉄則として僕らが教え込まれてきた取材源の秘匿義務だけど、長い間不文律として存在していたこのルールが通用しにくくなっているのも事実だ。実名で報道した記者のうち、1人は刑務所に入ることを選び、もう1人は情報源を明かすことで収監を免れている。これって白黒つけにくい問題で、僕自身もどれが正しい行動だったのかは答えれないんだけど、アメリカのメディアでは早速影響が出始めているようで、ある地方紙は完成していた調査報道記事の掲載を見送っている。そうこうしているうちに、この問題がブッシュ政権内部の政治問題へと変わってきたようだ。

この2年間にわたってホワイトハウスは、CIA工作員バレリー・プレイムに関する情報をメディアに漏洩したのはカール・ローブ次席補佐官ではないと言い切り、情報漏洩に加担した政権内部の人間を見つけ次第解雇すると主張してきた。アメリカ国内のジャーナリズムにも少なからず影響を及ぼしている今回の情報漏洩問題だが、月曜日になってホワイトハウス側はこれまでの主張をトーンダウンさせている。ホワイトハウスのスコット・マクレラン報道官は月曜日、ブッシュ大統領の懐刀であるローブ氏が情報漏えいの張本人だったのかという記者からの質問に対し、終始ノーコメントを貫くしかなかった。ローブ氏の弁護士ロバート・ラスキンは、ローブ氏がタイム誌のマシュー・クーパー記者にCIA工作員プレイムの情報を流した事を認めており、ホワイトハウスは苦しい立場に追い込まれている。

マクレラン報道官は情報漏えいに関する捜査は現在も継続中のため、記者からの質問にコメントする事はできないと語ったが、民主党は早速この問題に飛びついている。民主党議員からはローブ次席補佐官の解雇や徹底的な身辺調査を求める声が相次ぎ、ある議員は議会の公聴会でローブ氏本人が証言を行うべきと語った。「ブッシュ政権はバレリー・プレーム問題に関わった者全てをホワイトハウスから追放すると約束してきたが、この取り決めが守られることを信じています」、民主党のリード上院院内総務はそう語った。2003年から続いてきた情報漏洩に関する捜査は、先週になって大きな展開を見せている。ニューヨーク・タイムズ氏のジュディス・ミラー記者は情報源を明かすよりも刑務所に行く事を選び、クーパー記者は捜査当局に協力する姿勢を打ち出した。

ニューズウイーク誌が最近明らかにしたところでは、タイム誌のクーパー記者が上司にあてて送ったメールの1つに、クーパー記者がローブ氏とプレームに関する話を行った事実を示す内容が含まれているとの事。メールではローブ氏がプレームの名前こそ明かさなかったものの、CIAの工作員に関する話を行った様子が書かれている。マクレラン報道官は2年にわたって、記者達の間で噂され続けてきたカール・ローブ関与説を真っ向から否定し、関与そのものを「馬鹿げた推測」と一蹴してきたが、ニューズウィークの報道とローブ氏の弁護士による証言というカウンターパンチをくらった格好だ。仮にローブ氏が情報漏えいを行った張本人だった場合、2年にわたってその関与を否定し続けてきたホワイトハウスは大恥をかくことになり、さらにブッシュ大統領が最も信頼する腹心のローブ氏を「公約どおりに」解雇できるのかも見物となる。

話題をガラリと変えまして、今日は犬について少し。バージニア州ウッドブリッジのダンススタジオではペットの犬と飼い主を対象にしたダンススタジオが開かれていて、普段はコンピューター・アナリストとして働くシェリー・シュメーカーも、スタジオでは愛犬のドーベルマンと一緒にアバの「ダンシング・クイーン」などを一緒に踊って汗を流す。シューメーカーはワシントンポスト紙の取材に対し、彼女が飼う3匹の犬のための指圧セラピーや無農薬ペットフードに毎月莫大な出費をしていると語ったが、彼女のようなペット愛好家がワシントン郊外では少なくない。昨年、全米では344億ドルがペットを世話するために使われており、これは10年前の2倍強となっている。ペットの数としては犬よりも猫の方が多いが、飼い主は犬に対しより多く出費する傾向がある。

最近のペットブームを反映してか、ワシントンでも自分のペットに出資を惜しまない飼い主が増えているが、郊外のエリアではその傾向がより顕著に見られる。毎日数時間を通勤に費やさなければならず、日頃はペットと触れ合う時間があまりない飼い主らが、犬専用のデイケアーセンターに愛犬を預けたり、スイミングスクールに通わせたりしているのだ。愛犬を「習い事」に通わせるケースが増える中、犬用アクセサリーでもブランド化が進んでおり、飼い主の購買欲に火をつけている。女性用シャンプーで有名なポール・ミッチェルは最近になって犬用シャンプーの販売を開始する事を決め、ハーレー・ダビッドソンは犬用のアクセサリーを作る事にした。大手メーカーだけではなく、個人商店でもペットを対象にした商品が続々と作られているようで、ワシントン郊外で昨年11月にオープンしたベーカリーでは、犬用のバースデーケーキやバル・ミツバ(ユダヤ教の男の子が13歳の時に行う成人式)用ケーキが売られている。

全米犬用宿泊施設協会(コロラド・スプリングス)の創設メンバーでもあるスーザン・ブリッグスによると、アメリカで犬用のデイケアーセンターが誕生したのが1980年代後半で、東海岸と西海岸の両方で少しずつニーズが高まり始めた。現在は全米に1500以上の犬専用デイケアセンターがあり、その一部は大手のペット会社によっても運営されている。デイケアセンターでは犬が定期的に運動させてもらったり、他の犬達と社交を楽しんでいるそうだ。こういったデイケアーセンターは少なくとも1日に25ドルを請求され、決して安くはないものの、この2年間で急激な成長を遂げている。以前は都市部に住む飼い主が利用するケースが多かったが、最近の傾向としては郊外に住む飼い主の間で人気が高まっているそうだ。

前に話したかもしれないけど、僕の友人の会社の同僚が愛犬を心理セラピーに通わせた事があって、それまで元気のなかった愛犬が今では元気に走り回っているらしい(ホンマかいなぁ?)。東海岸や西海岸で精神科医のセラピーを受けるのは歯医者に行くのと同じくらい日常化しているけれど、犬のメンタル・ケアって一体どうやってやるんだろうか?いったん考え始めたら周りが見えない人が少なくないアメリカだけに、いつの間にかどこかの町で徳川綱吉みたいなヤツが生類憐れみの例なんかを作っても僕は驚かないだろう。オーストラリア時代の親友リッキーがよく大型犬と本気でレスリングをしてたけど、同じ事をここでやれば、サダム・フセインよりも冷たい目で見られること間違いなし…。ちなみに僕も小学生の頃にエミリーという英国風の名前をつけたコリー犬をかっておりました。やっぱり、ネコより犬でしょう。

バイアグラと3000本安打

2005-07-11 11:57:39 | テロリズム
日曜日の恒例行事といえば、やはり洗濯でしょう。フロリダやアラバマにハリケーンが来ているとは思えないほどのいい天気で、本当はカフェのオープンテラスでゆっくりと新聞でも眺めたい気分だったけど、平日になかなか洗濯ができないために今日も1日が洗濯から始まったのです。洗濯機をまわしている間、衝動的に新しい映画が見たくなり、またまたケーブルテレビのオン・デマンドのお世話になることに。今日見た映画は、ケビン・ベーコン主演の「ザ・ウッズマン」というドラマで、共演はモス・デフやイブというヒップホップな面々。でも、この映画のテーマというのが小さな女の子への性的虐待で12年間を刑務所で過ごした男の社会復帰というもので、かな~り重かったのです。この問題って決して単純じゃぁないけど、映画は一見の価値アリだった。

ロンドンのテロ事件関連で今日も気になったニュースがあり、今日もそれをブログでも紹介しようと思っている。911テロ後にアメリカのメディアが揃いもそろって展開したようなイスラム教叩きをする気は毛頭ないんだが、ロンドンという町がアルカイダと関係の深い場所という指摘は興味深く、この町やイギリス政府の動きについて報じたアメリカの新聞記事を幾つか紹介したいんです。新聞なんかではよく「デモグラフィック」という言葉を使うけど、僕はテロリズムを支援する地域にもデモグラフィックがあると思っている。僕が昔住んでいたサウス・ボストンがIRAの大きな資金源となっていたのは周知の事実だし、バスク人の過激派はベネズエラのバスク系移民から、スリランカのゲリラはヨーロッパ大陸に住むタミル人社会から資金援助を受けているという話を聞いたことがある。こういったサポートに関わる人はあくまでも少数派だけど、その町の特徴を知るうえで、今日の新聞記事の幾つかは面白い指摘をしている。

先週発生したロンドンの連続爆破テロ事件では、イギリス国内に住む過激派による犯行との見方が日増しに強まっているが、各国の諜報関係者らの間ではロンドンの町そのものが世界中で発生するアルカイダの犯行と思われるテロの前線基地になっていると考える者が少なくないようだ。911テロ事件の首謀者の1人とされ、現在アメリカで裁判中のザカリアス・ムサウイ被告(4月22日に自らの罪を全て認めており、アメリカ国内で死刑判決を受ける可能性が高くなっている)はロンドン市内のサウス・バンク大学で修士号を取得しており、市内北部にあるフィンスベリー・パーク・モスクで過激思想に目覚めたと考えられている。このモスクには2001年12月にアメリカン航空(パリ発マイアミ行き)の機内で爆破テロを決行しようとしたリチャード・レイドも通っており、レイドは靴底に隠したプラスチック爆弾に添加しようとしたところを他の乗客によって取り押さえられている。

ムサウイはモロッコ系のフランス人で、イギリス人のレイドは父親がジャマイカ人だった。これら以外のテロ事件でも、アルジェリア人やパキスタン人工作員の存在が確認されている。ワシントンのランド研究所に勤務するテロリズム対策の専門家ブルース・ホフマン氏はロサンゼルス・タイムズ紙の取材に、「テロ容疑者の対象となりうる人物像は限りなく広がっており、もはや中東系の人物といったステレオタイプは通用しない」とコメントしている。10日のワシントン・ポスト紙は、この7年間の間に世界中で発生したアルカイダ関連テロの多くが、ロンドンを拠点とするイスラム系組織やロンドン在住の過激思想を持つイスラム教徒とリンクしていると報じ、1998年のケニア・タンザニア同時爆弾テロや2001年9月のムサード将軍(アフガニスタン)暗殺、2002年のダニエル・パール殺害事件などの背後にある「ロンドン・コネクション」を指摘した。

ロンドンには19世紀より多くの中東出身者が移住を開始し、イギリス国内で最もイスラム教人口の多い町となっていたが、この10年の間でモロッコやエジプト、シリアといった国から多くの過激思想の持ち主が移住している。オサマ・ビン・ラディンも90年代半ばにロンドン市内に事務所を構え、市内のイスラム教徒らを対象に政治的なメッセージを送り続けていた時期があり、昨年4月に発生したマドリッド爆弾テロの首謀者とされるムスタファ・セトマリアン・ナサールは95年から98年までをロンドンで過ごしている。また、2003年にカサブランカで45人の命を奪った爆弾テロ事件の首謀者としてモロッコ政府が身柄引き渡しを要求するモハメッド・エル・グエルボジは現在もイギリスにおり、彼の部下の1人はモロッコの捜査関係者に対し、テロ計画を進める「スリーパーセル」がイギリスやフランス、そしてカナダにまで存在していると告白している。

モロッコ側はグエルボジに対して欠席裁判の中で長懲役20年を求刑しているが、イギリスとモロッコの間に容疑者身柄引き渡し条約が存在しないこともあって、イギリス側は引渡しを拒否している。グエルボジは今もロンドン北部のアパートで家族と暮らしており、イギリス政府高官はニューヨーク・タイムズ紙に対して、彼を逮捕するだけの十分な証拠が存在しないことを強調した。昨年の暮れにイギリスの最高裁判所は「安全保障の脅威となる外国人」を裁判無しで拘置し続ける事はできないとの決定を下し、各地の刑務所からは過激派として知られるイスラム教指導者らが続々と釈放されている。テロ組織と関係のある外国人の本国送還に消極的な姿勢を見せるイギリス政府に、各国の政府関係者らは苛立ちを隠せないが、それ以上に過激派組織のインフラ整備に厳しい態度で挑まなかったイギリス政府に落胆の声があがっている。

大型のハリケーン「デニス」は10日午後、フロリダ州とアラバマ州の海岸地帯に上陸し、1時間に120マイルの風速で北上を続けている。町中を瓦礫が飛び交う状態のフロリダ州海岸部は、10ヶ月前にも大型ハリケーン「アイバン」によって大きな被害を受けている。デニスは東部時間の午後3時25分頃にフロリダ州とアラバマ州の州境近くに上陸し、アイバンと非常に似たルートで北上している。フロリダ州ペンサコーラでレストラン業を営むニック・ザンガリはAP通信の取材に対し、経営するレストラン近くで建物の一部や信号機が風で吹き飛ばされたのを目撃したと語り、強風のために別の建物の空調システムが爆発を起こした様子などを伝えている。ペンサコーラ・ビーチ周辺の住民はほぼ全員が別の場所に避難しており、海岸では波が一時35フィートという記録的な高さにまで達していた。

アメリカ本土に上陸してすぐ、デニスはその勢力を次第に弱め、上陸前までカテゴリー4に分類されていたハリケーンの規模も、現在はカテゴリー2にまで縮小されている。ハリケーンの影響で、フロリダ州の1万4000世帯とアラバマ州の8万世帯が現在も停電の影響を受けている模様だ。フロリダ州の電力会社は、ハリケーンによる停電被害はこれからさらに増加するものと予測しており、40万人以上が3週間以上にわたって電気無しの生活を強いられる可能性があるとの事。この1年以内に5つのハリケーンが直撃したフロリダ州では、ジェブ・ブッシュ知事が兄のブッシュ大統領にフロリダ州を大災害地域に指定するよう要請し、10日夜になってフロリダ州の一部が大災害地域の宣言を受けている。

今回のハリケーンでは、キューバやハイチですでに20人以上が死亡しており、アメリカ上陸前にメキシコ湾で風速145マイルの巨大ハリケーンへと成長していた。このサイズはカテゴリー4に分類され、フロリダ州のパンハンドル地域とアラバマ州に向かうハリケーンとしては過去最大規模のものだった。しかし、海岸地帯に上陸したデニスは昨年パンハンドルだけで29人の犠牲者を出したアイバンと同規模のカテゴリー3(風速120マイル)にまで規模を縮め、午後5時過ぎにカテゴリー2(風速105マイル)に変化した。カテゴリーこそ小さくなったものの、気象関係者らの話では、デニスの最大瞬間風速が時速150マイルにまで達する可能性もあり、現地ではトルネードの誘発も懸念されている。フロリダ州は昨年夏のアイバンによって大きな被害を受けており、現在も3000世帯が政府が用意したトレーラーによる生活を余儀なくされている。

嬉しいニュースが1つ。それも久しぶりに野球の話で。ボルティモア・オリオールズのラファエル・パルメイロが10日の試合でソロホームランを放ち、ボストン・レッドソックスに4-1で勝利する原動力となったようだ。僕にとって宗教的な存在のレッドソックスが敗れたことは、そりゃ悔しいけど、それよりもパルメイロのホームランに拍手を送りたい。今日の試合でパルメイロの通産打数は2998となり、いよいよ3000本安打の到達まで残りわずかとなった。キューバ生まれで今年41歳になるパルメイロ、アメリカではバイアグラのCMに出演している事も話題となったけど、バッターボックスに入る時には2PACの「カリフォルニア・ラブ」を流す若い一面も。(効果のほどは分かりませんが…)ベンチ裏でバイアグラを服用してでも、見事に3000本安打を達成してもらいたいものです。

ひさしぶりに見たよ、ホタルの大群

2005-07-10 13:43:28 | テロリズム
金曜日もテレビのニュースでは、ロンドンで発生したテロ事件の最新情報が一日中流されていて、911テロ事件の事を思い出さずにはいられないような状況だった。夕方6時ごろになって、自宅に友人が車で迎えに来てくれた。そう、金曜日の夕方といえば、仕事が終わってからみんなでサッカーの練習をする日で、車にはすでに4人が乗っていた。グラウンドまで向かう途中、車内では当然のようにロンドンの話が出てきたんだけど(一緒にサッカーをする仲間にもロンドン出身者が何人かいる)、暗い話題を切り替えようと運転中の友人がCDをかけてくれた。流れてきた曲はサード・ワールドの「レゲエ・アンバサダー」で、懐かしい曲に癒やされた僕らは、そのままレゲエの話で盛り上がって練習場へと車を走らせた。

1時間ほど練習して、さらにもう1時間ほどミニゲームをやって、この日も汗まみれで練習は終わった。いつもなら練習後にみんなでバーに行って一杯やって帰るのが通常で、この日も駐車場付近で着替えてから(シャワーがあればもっといいんだけど…)、ワシントン郊外にある妙に小奇麗なアイリッシュ・パブに向かおうとした。その時、まだグラウンドでペナルティ・キックの練習をしていた何人かの友人がいきなり叫び声をあげ、僕らも気になっていってみると、ゴールポスト裏の草むらに大量の蛍を発見。結局30代周辺のいい年をしたオッサン共が、グラウンドに座って30分ほど蛍の動きを鑑賞していたのでした…。オーストラリアの田舎町にいた頃、自分の所属していたサッカーチームの早朝練習でグラウンドにカンガルーが来て大騒ぎになった事があったけど、今回は静かに夏の夕べを楽しめてヨカッタ。

パブから自宅に戻ってきたら、時間はまだ午後11時を少しまわったばかりだった。シャワーを浴びてから何人かでクラブに行こうとしたけれど、疲れがピークに来ていたので、この日は家でゆっくりとする事にした。30分ほどバスタブにつかって、それからソファーに横になってテレビのトークショーを見る。しばらくして、そろそろ寝ようかなと思っていたら、サッカーの練習中に友人の一人から聞いた話を思い出した。「ソウ」というホラー映画が予想以上に面白かったらしく、これが自分の加入しているケーブル会社のオン・デマンド・システムで見ることができるらしい。すでにソファーにうつ伏せになっていたが、軽い気持ちでこの映画をオーダーする事にした。どうせ半分寝たままの状態なんだから、夜中1時から見るホラー映画も怖くない-そんな軽い気持ちで…。

映画が始まって10分足らず、気が付けば僕はソファーにきちんと座り直して映画を見ていた。コワい、本当に。この映画、幽霊とかゾンビとかがテーマではなく、連続殺人犯に命を狙われる医者やカメラマンの話だ。ホラーというよりは、スリラーとサスペンスの中間にあるような作品で、どことなく「レザボア・ドッグス」と似たようなシチュエーションで話が進行していくのにも新鮮味を感じた。映画の最後に思いもよらない結末が待っていて、製作スタッフのアイデアにただただ脱帽!この映画、120万ドルほどの低予算で、しかも2週間ちょっとで撮影されたものらしいけど、オーストラリア人監督のジェームズ・ワンの名前は覚えておこうと思う。さてさて、今日もロンドン関連の話を少しだけ。ワシントンからのブログだけど、どうも気になってしまうので…。

サンデー・タイムズ紙が10日に報じたところによると、アルカイダはイギリス国内の大学で比較的裕福なミドルクラスのイスラム系学生を対象に勧誘活動を展開している模様で、同紙が入手した政府内文書の内容から明らかになった。組織から派遣された勧誘担当者らがイギリス国内の大学をまわり、そこで理系のイスラム系学生を中心にリクルート活動を展開している模様だ。とりわけ、IT技術やエンジニアリングを学ぶ学生が勧誘のターゲットとなっている。先週ロンドンで発生した連続爆破テロでは、地下鉄内の爆発全てが50秒以内に発生しており、警察は事件の背後に爆破技術を熟知して過去に犯罪暦のないイギリス人が関係している可能性を示唆した。内務省と外務省が昨年共同で作成した文書には、英国内にアルカイダのシンパが数千名の規模で存在するとの指摘がある。文書のコピー(1)文書のコピー(2)文書のコピー(3)文書のコピー(4)

元ロンドン警視庁長官のスティーブンス卿はサンデー・タイムズの取材に対し、イギリス生まれかイギリス在住の3000人あまりが過去にビン・ランディンの訓練キャンプに参加した事があると語った。昨年マドリッドで発生した爆弾テロ事件後にブレア首相によって作成が命じられた政府文書では、「過激派グループが好奇心が旺盛で影響を受けやすい年頃の学生をターゲットに、全国の高校や大学で勧誘活動を行っている」との報告がされている。報告書ではイギリス国内のイスラム教徒でテロ活動を支援しているのは全体の僅か1パーセント未満と極めて少ない事が強調されており、約1万人が過去に過激派による集会に参加した事があるとの報告も付け加えられていた。治安関係者はイギリス国内で実際にテロ活動を準備する過激派が数百人ほど存在するものと見ており、アルカイダによる学校を標的にした勧誘活動にも注目している。

アルカイダに勧誘される学生の特徴として、友人が少なかったり、学内の民族・宗教系クラブに在籍している者が多いとも報告書は指摘している。数世代前にイギリスに移住した北アフリカやカシミール地方出身者の子息らが勧誘の対象になる場合もあり、こういった学生の家は比較的裕福で、リベラル思想の学生も少なくないようだ。また、成人後にイスラム教に改宗した学生らも勧誘の対象となっているようで、白人学生やカリブ出身者らも含まれているとの事。報告書では、イラク戦争に参加したイギリス政府の外交姿勢を「ダブル・スタンダード」と感じた若いイスラム教徒の間で国に対する深い失望感が存在した事が挙げられ、過激派組織がそれを利用しようとしていると警告している。

同じくイギリスのインディペンデント紙は10日、ロンドン連続爆破テロの背景に、アルカイダが傭兵を使った可能性があると報じている。捜査当局はアルカイダとは無縁の犯罪組織が「純粋な契約」のもとで、ロンドン市内でのテロを決行した可能性もあるとして、現在も捜査が行われている模様だ。首都の公共交通網をズタズタにした今回のテロがバルカン半島出身者の可能性もあるようで、捜査関係者の中には事件発生前に全く情報が入ってこなかったのは、実はそういったアルカイダと過去にリンクの無かった組織が関与しているからではないかと指摘する者もいた。イギリス国内では新たなテロが実行に移されるのではという懸念があり、9日には国内第2の都市バーミンガムでテロの可能性が当局によって察知され、市内の繁華街から約3万人が避難する騒ぎとなっている。

パラマウント・ピクチャーズの発表では、オリバー・ストーン監督とニコラス・ケイジによる911テロ事件をテーマにしたドラマが制作されるとかで、公開は来年になるらしい。ケイジはこの映画の中でジョン・マクローリンという実在の港湾警察官を演じる予定で、今のところ共演者の名前は出てきていない。ストーン監督といえば数年前にパレスチナの故アラファト議長やキューバのカストロ議長をインタビューしたテレビ用ドキュメンタリー作品を撮っていたけど、カストロ議長をテーマにした作品ではキューバ系アメリカ人から抗議が殺到したと聞いたことがある。「JFK」、「ニクソン」、それに最近の「アレクサンダー」でも歴史を歪曲したと批判されたストーン監督だけど、今回は911という非常にシビアなテーマをどう料理するのか気になる。

メメント・モリ

2005-07-08 12:48:01 | テロリズム
午前7時過ぎに目が覚めた。いつもよりも1時間ほど早い目覚め、その原因は前の晩に浴びるように飲んだコーヒーだったようで、トイレに行きたいという自然な本能が朝7時に僕を起こした(こんな話から入ってしまい、申し訳ない…)。スッキリと用を足したあと(これまた失礼…)、こういうシチュエーションの場合は1時間でも二度寝するのが普通なんだけど、今日はなぜかパソコンの方へと向かった。自宅のパソコンはつけっ放しにしている事が多く、メールでも入ってるかなと思い、半分眠った状態でメールの受信ボックスを覗いてみた。何通か来ていたメールの中に日本のラジオ局からのものが1つ。「ロンドンで爆破テロが発生して…」と書かれた内容を見た途端、僕は瞬間的に目を覚まし、とりあえずテレビのスイッチを入れた。

何がなんだか分からない状態で、とりあえずCNNやMSNBCのレポートを見る。IRAのはぐれ者による犯行かななどと思っているうちに、「アルカイダ」といったキーワードがニュース番組で頻繁に使われ始めた。昨日は別のラジオ局の番組でオリンピック開催地に決まったロンドンの事も少し触れていたのに、わずか半日でこんな事件がおきるとは…、ダンテの「神曲」がそのまま現実世界にやってきた感じさえした。すぐに東京に電話を入れ、こちらで手伝える事がないかと聞いてから、ロンドン周辺に連絡を取り始めた。BBCとアメリカのケーブル局HBOが昨年「ダーティー・ウォー」というテレビ映画を製作しており、ロンドンの中心部が放射性物質を含んだ爆弾テロに遭うという内容だった。僕は数ヶ月前にそれを見たが、今回のニュース映像を見るたびに映画のシーンがフラッシュバックした。

昼前、ワシントン市内にあるユニオン駅に向かった。すでにワシントン市内の地下鉄で警官らによるパトロール活動が強化されたとの情報が入ってきてたので、市内で最も利用客の多い駅で警備がどのように行われているのか見てこようと思ったのだ。駅に着くと通信社やフリーランスのカメラマンが何人かいて、名刺の交換をしたあとで、僕は駅周辺の警備状況の話を少し聞いた。駅構内や地下鉄の車内をパトロールする警察官は見なかったが、ユニオン駅の入り口前で警察車両に乗り込む直前の警察官に声をかけ、2~3分ほど話を聞いた(写真参照)。肩からサブマシンガンをかけた警察官のひとりは、今のところパトロールはランダムに行っていて、特定の駅を警備しているのではないと語ってくれた。今日はロンドンで発生したテロの話ばかりになってしまうけど、BBCとAP通信の報道を紹介しておきたいと思う。

ロンドンで発生した同時テロ事件を受けて、イギリス政府は徹底的な捜査活動をスタートさせた。ジャック・ストロー外相は今回のテロにアルカイダの特徴が見られると語り、チャールズ・クラーク内務大臣はロンドン市民に冷静さを保つように何度も訴えた。ブレア首相は引き続きG8サミットのホストをつとめ、エリザベス女王はテロの被害者を見舞いにロンドン市内の病院を訪れる予定だ。スコットランド・ヤードは現在までに37名の死亡を確認しており、被害が最も激しかったキングス・クロスでは21名が亡くなっている。BBCのフランク・ガードナー記者によれば、MI5本部の情報部員数十名がすでに本格的な情報収集活動に乗り出したとの事。

ガードナー記者は今回のテロ攻撃が綿密に計画され、何の警告もなしに「ソフト・ターゲット」と呼ばれる民間人を標的にしている点を指摘し、テロ実行グループはアルカイダと関係があるか、少なくとも大きな影響を受けたことは間違いないだろうと語っている。英政府筋はBBCに対し、全ての情報網をフルに稼動させているが、犯人グループの割り出しには少なくとも数日はかかるだろうと語っている。テロ事件発生後、あるウェブサイトで実行犯らしきグループが犯行声明を出しているが、「欧州アルカイダ秘密機構組織」という組織名はこれまでに使われた事がない名前のため、ホワイトホール(英政府)は組織の特定を急いでいる。ウェブサイト上に出された犯行声明でこの組織は、イラクやアフガニスタンにおけるイギリスの行ってきた虐殺に対する報復行動だったと語り、デンマークとイタリアが中東地域から軍隊を撤退させない場合には同様のテロが発生する事も示唆している。

ロンドン市内の4ヶ所で発生した爆破テロ事件だが、時限式の爆発物によるものなのか、または自爆テロだったのかは依然として不明だ。複数の英外務省高官は今回の事件が昨年スペインのマドリッドで発生したテロ事件と酷似していると指摘し、ストロー外相は公共交通網に対するテロ攻撃はアルカイダ手法そのものだと語ったが、犯人グループの特定は避けている。また、ストロー外相は現在の時点で新たなテロ攻撃を示した情報は入ってきていないと語っており、ロンドン市警察も市民に対して金曜日は「自主的な判断」で職場に戻るように呼びかけた。2012年夏季五輪開催地に選ばれた翌日に発生した大規模なテロ事件で、ロンドン市の治安に疑問符が突きつけられたことは否定できない。

ラッシュアワー時のロンドン市内で発生した同時爆破テロ事件からしばらくして、アメリカ政府も国内主要都市の公共交通網の危険度を引き上げ、模倣犯を未然に防ぐためにパトロールの強化を開始している。パトロール強化の対象となるのは、国内主要都市の地下鉄、バス、通勤電車など。パトロール強化には軽機関銃で武装した警察官や爆破物探知犬も動員され、監視カメラなどによる駅構内のモニター活動なども通常より強化されて行われている。国土安全保障省のチャートフ長官はアメリカ国内でテロ活動が行われるとう確固たる証拠は存在しないと強調しながらも、模倣犯による犯行の可能性を懸念している事も明らかにした。

政府内の対テロ部門担当者が匿名でAP通信に語ったところでは、アメリカ政府は先月アルカイダに関する新たな情報を入手していたのだという。この情報では、アルカイダが2004年頃にアメリカとヨーロッパで鉄道を標的にしたテロ活動を計画中との事で、列車を脱線させたり、列車にトラックを突っ込ませる計画が浮上していた模様だ。しかし、このテロ計画の具体的な日時や場所ははっきりと掴めていなかったのだという。首都ワシントンでは地下鉄などに加えて、各国の大使館周辺の警備も強化され、とりわけ英大使館周辺には多くの警察官らが配置された。ライス国務長官も英大使館を訪れ、弔問者名簿に名前を記入している。国務省ではイギリス国旗の半旗が掲げられた。

アメリカ国内では平日に約2900万人が通勤列車か地下鉄を利用しており、そのうちの3分の1はニューヨークに集中している。ニューヨークのあとにはシカゴ、ワシントン、ボストン、フィラデルフィアが続き、西海岸ではサンフランシスコが最も規模の大きい公共交通網を持つ。米政府高官はAP通信の取材に対し、アルカイダがアメリカに工作員を送りにくい状況が原因で、ロンドンが格好のターゲットになった可能性があると語った。前述の対テロ部門担当者は、今年6月にアルカイダがマドリッドで発生した鉄道爆破テロをヨーロッパかアメリカで再度計画中との情報を入手した事を明かしているが、情報の出所に関しては沈黙を貫いている。また、この情報が2004年3月のマドリッド事件直後に出てきたものだったため、情報を追いかけるのが不可能だったのだという。

こういう事件があると、いたずら目的で不審物を街中に置いていくアホがワシントンにもいるようで、ユニオン駅近くのバス停や財務省の近くで白い粉の入った封筒が発見される騒ぎが発生している。財務省のスタッフは一時建物から避難を命じられていたけど、結局は何もなかったようだ。テロリストもムカつくけど、これに乗じていたずらをすることしかできない根性無しはもっとムカつくわけで、こういった方々は市中引き回しの上で打ち首にでもなってほしいです、本当に。911テロが発生した夜にも軍用ヘリが飛ぶボストンの町でふと思ったんだけど、こういうテロが世界中の半分近い場所で発生しているわけで、ロンドンの事件を悲しく思うと同時に、なんかやりきれなくなってくる。