IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

保守系アイスクリームの謎

2005-07-17 14:28:11 | 犯罪
昼過ぎから何人かの友人と町をブラブラし、ついでに立ち寄ったレコード店でDVDを購入。コールドプレイのアルバムを買おうと思っていたけど、いつの間にか気が変わり、1966年に作られた名作ウエスタン「続・夕陽のガンマン」のDVDを買ってしまった。幼い頃に何度かテレビで見た記憶があるんだけど、タランティーノやロバート・ロドリゲスにも大きな影響を与えたとされるこの映画、今見てもやっぱり面白いのだ。よく映画の原題と邦題が全然違う場合があるけど、この映画の原題も「Il Buono, il brutto, il cattivo(善人、悪人、ブサイク)」となっている。クリント・イーストウッド主演の西部劇だが、監督も出演者の多くもイタリア人で、いわゆるマカロニ・ウエスタンってやつの1つ。でも、映画の撮影はスペインのアンダルシアで行われたそうで、見てるだけで汗が出てきそうな作品。

夕方、みんなで我が家に戻ってきて、この西部劇を見ることにした。自宅に戻る前、近くのコンビニに立ち寄ってアイスクリームなどを買ったのだけど、僕はセブンイレブンで売られていた奇妙なアイスクリームが凄く気になり、今日はそれを買ってみた。「星条旗アイスクリーム」という、どう考えても愛国的な名前にしか聞こえないワシントン近郊のアイスクリーム会社が発売している数種類のアイスクリームには、陸軍味や大統領味、空軍味などのフレーバーがあり、僕は海兵隊味を選んでみた(写真参照)。映画が始まってから10分ほどして、アイスクリームの事が気になりだした僕はインターネットを使ってアイスクリーム会社の情報を調べ始めた。「今日も仕事かよ…」とあきれる周囲の友人達。もちろん仕事じゃないけど、忘れないうちに気になった事のチェックだけしておきたかったのだ。

映画の途中で30分ほどパソコンに向かったわけだけど、どうにも気になったのだ。アイスクリームのパッケージには「収益の10パーセントは米軍兵士やその家族に寄付されます」と書いてあったり、「これが自由の味」みたいなキャッチフレーズもあって、普通のアイスクリームでは絶対感じられない政治的なニオイがしたので。過去の経済記事を片っ端からチェックしていくと、このアイスクリームに関する記事をいくつか発見した。バージニア州にあるこのアイスクリーム会社の副社長はリチャード・レスナーという人物で、彼は2003年にキリスト教右派のロビー団体「家族調査協議会(FRC)」から共和党系ロビー団体「全米保守連合(ACU)」に移っている。このアイスクリームが純粋に兵士の家族をサポートしているのかは分からないけど、関係者の中にはオリバー・ノースの名前もあったりして、どうも一筋縄では行かない印象を受ける。味の方はまあまあでした、念のため。

オハイオ州南部の町で発生したレイプ事件をめぐり、地元住民の間でヒスパニック系移民に対する感情が悪化しており、現地では放火事件なども発生している。オハイオ州南部にある人口6万人ほどの町ハミルトンは90年代にキューバ系の市長が誕生しており、これまでは市内在住の4000人ほどのヒスパニック系住民は大きな問題もなく、他のエスニックグループと上手くやっていた。しかし、6月19日に9歳の白人の女の子がレイプされた事件をきっかけに、ヒスパニック系住民に対する脅迫や嫌がらせが増加し始めている。レイプ事件の容疑者は市内在住のヒスパニック系男性だとされているが、彼は事件後に姿を消している。男性の住んでいた家の壁には、何者かがスプレーで「暴行魔」と大きな落書きを残している。

レイプ事件から2日後の6月21日には、落書きのあったこの家が何者かに放火される事件が発生した。ヒスパニック系住民が集まるエリアでは、白人男性らとヒスパニック系住民が何度も衝突を繰り返し、脅迫状を送られた家も少なくない。また、目穴をあけた枕カバーをかぶった何人もの男達がヒスパニック系が多く住むエリアを徘徊しだし、やがて本物のKKKメンバーらがパンフレットを配りだす事態へと発展した。白人住民から襲撃や暴力に遭ったヒスパニック系住民がいるとの噂すらあるが、真相は明らかになっていない。オハイオ川近くの小さな町で急増してきたヒスパニック系移民だが、最近の白人住民との衝突で、彼らが住むエリアの街角からは人影がほとんど消えてしまった。

市内で食料品店を経営するラモナ・ラミレスはAP通信の取材に対し、最近の出来事に非常に恐怖感を抱いていると語った。彼女が経営する店にパンを配達する業者も、襲撃を恐れて配達をストップしている。市当局と各コミュニティの代表者らはエスカレートしつつある人種対立を避けるため、ヒスパニック系コミュニティの警備を強化や事態の沈静化に必死だ。ドン・ライアン市長は金曜日に会見を開き、今回のレイプ事件に人種的な動機が一切無かった事を強調している。しかし、ハミルトン市のヒスパニック系住民の中には、レイプ事件前からヒスパニック系に対する差別が存在していたと語る者も少なくない。オハイオ州内のヒスパニック系人口は1990年の時よりも倍以上に増加しており、古くからの住民との間に文化的な摩擦が生じているケースも幾つか存在するため、州政府も今回の事件の対応に頭を抱えている。

スペイン・サッカーの強豪レアル・マドリーが2週間に及ぶ世界ツアーを金曜日からイリノイ州シカゴで開始し、ベッカムやロナウドといったスター選手が数多く在籍するレアルはアメリカ、日本、中国、タイの4カ国で親善試合を6回行う予定だ。2週間のツアーでレアルは少なくとも日本円で25億円以上を稼ぎ出すと見られているが、近年サッカー人気が急激に上昇しているアメリカで積極的なプロモーション活動を行い、ビジネスとして非常に魅力的な北米市場に本格的に進出する狙いもあるようだ。金曜日朝からシカゴ市内で始まったレアルのプロモーション活動では、まず市内のスポーツバーで選手らによるサイン会が行われ、それから数名の選手はメジャーリーグの試合(シカゴ・カブス対ピッツバーグ・パイレーツ)が行われるリグレー・フィールドへ向かった。この試合の始球式はキャプテンのラウル・ゴンザレスによって行われている。

リグレー・フィールドを訪れなかった選手達は、デイリー・シカゴ市長を表敬訪問しており、市長の名前の入ったレプリカユニフォームやサイン入りボールなどを手渡し、市長をマドリッドへ正式に招待までしている。デイリー市長はサッカーがアメリカの中高生の間で最も人気のあるスポーツだと語り、レアルがシカゴを最初の訪問地に選んだことを光栄に思うとも語っている。金曜日はまるまるプロモーションに費やされ、ベッカムやロナウドのサインを求める地元のファンが長蛇の列を作っていた。レアル・マドリー・テレビジョンの責任者マイケル・ノバク氏がAP通信に語ったところでは、チームは別の町でも似たようなプロモーション戦略を展開していくとのことで、それぞれの町のローカル性に合わせながら、色々なイベントにも参加していく予定。

レアルの幹部らは親善試合とプロモーション活動に加えて、今回のアメリカ遠征中に放送関係者と会談する予定があるとも言われ、予定されている衛星放送チャンネルの開局と関係があるようだ。レアル・マドリー・テレビジョンは数週間以内に24時間放送の衛星ネットワークテレビを立ち上げる予定で、全てが英語の番組で構成されるこのチャンネルは世界に配信される模様だ。前述のノバク氏はこのネットワークを「CNNとESPNとMTVが合体したようなもの」と表現し、サッカー以外の番組も放送していく事を明らかにしている。レアルは土曜日にシカゴのソルジャー・フィールドでメキシコのチバス・グアダラハラと親善試合を行い、5万4000人の観客の前で3-1の勝利を収めている。チームはこの後カリフォルニアに向かい、月曜日にロサンゼルスで再び試合を行う。

午後9時ごろからエゲツない雷が連続し、一度は我が家も含めた周辺の家が停電に見舞われる始末。今回の停電は5分ほどで元に戻ったけれど、数年前のやつは明け方の4時過ぎまで電気が戻らず、冷蔵庫の中の氷が全てとけてしまったイヤな思い出がある。幸いにも、今まで仕事中に大きな停電をくらった事は無いけれど、一度でも停電があれば、どうしても何日かは心配になってしまうもの。それにしても、今日の雷はすごかった…。光の柱が何回も見えたんだけど、本当にCGじゃぁないのと思ったくらい、見事なもんでした。