IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

フリオとリック、2人の意外な共通点

2005-08-31 13:52:13 | ハリケーン「カトリーナ」関連
ハリケーン「カトリーナ」が南部湾岸地帯を直撃して1日、少しずつ被害の実態が明らかになってきた。昨日のブログを書いていた段階では死傷者の情報が全く入ってなかったんだけど、少なくともミシシッピー州だけで少なくとも100人が死亡した模様で、洪水の被害が激しいニューオーリンズ周辺では救助活動さえ思うようにできない状態で、正確な犠牲者の数は未だに発表されていない。ニューオーリンズ市内にあるスーパードーム(プロフットボール・チームの本拠地でもあるドーム型球場)では約1万人の避難者がハリケーン前から滞在しているが、屋根部分のタイルは強風で剥がされ、雨漏りが発生しているようだ。さらに、電力供給がストップしてしまったため、ドーム内が蒸し風呂状態になっている模様だ。

ちょうど去年の今頃、ラジオの番組や週刊誌の中で、僕はフロリダ一帯を何度も襲ったハリケーンの話題を取り上げた。ラジオの中では何度も「大型のハリケーン」という表現を使ったが、今回のハリケーンと比べると、全てが子供騙しにすら思えてくる。ニューオーリンズが海抜ゼロメートル以下の場所に作られた町ということもあって、その被害は想像以上のものとなっている。「自然の残酷さ」という安っぽい言葉を使うのに罪悪感すら感じるけれど、何日も前からハリケーンの直撃が確実視されていても何もできない現実がそこにはある。2002年の秋にテネシー州のモッシー・グローブという田舎町を取材した事があった。ハリケーンによって町(というよりは村に近いけれど)全体が吹き飛ばされており、僕は災害発生翌日に現地入りした。住民の多くは自宅に作った地下室に身を潜め無事だったものの、家や車が1つずつ吹き飛ばされていく音を聞きながら、何もできないまま身を固めていたそうだ。

ハリケーンでズタズタにされたニューオーリンズの町だけど、さらに心が痛くなるような事件が相次いで発生している。市内の観光名所フレンチ・クゥオーター周辺ではルーティング(略奪)を繰り返す市民の姿が確認され、洪水の影響を受けなかった地区でも少なくとも3件の銃撃事件とカージャックが発生した模様だ。市内の大部分が浸水してしまっているため、警察や州兵ですらパトロールが困難な状態だが(救急チームはヘリコプターでの活動を余儀なくされている)、略奪行為に加わる市民は川のようになった市街地を泳ぎながら移動しているとの事。阪神大震災が発生した日、僕は尼崎市の実家から芦屋市の親戚の家に水などを届けに自転車で走った。その時も芦屋市内のコンビニや自販機が荒らされ、食料などが持ち去られていたが、ライフライン復旧の目処が全く立たない中で、そういった行為が人間の生存本能なのかなと大学生ながらに感じたことがあった。今回の略奪の背景を詳しくは知らないし、略奪行為を肯定するつもりは毛頭無いけれど、非常時の生存本能って常識では測れないものだから…。

米空軍は29日、新たな宗教ガイドラインを発行し、宗教上の昇進差別を硬く禁じるよう指揮官達に通達した。新たなガイドラインでは、空軍内の公式行事や会議などにおける祈祷会が禁止され、礼拝だけが許可される。しかし、「短時間の宗派に関係の無い祈り」は認められ、昇進を祝ったり、災害や戦闘に出動する際に祈る事が許されている。空軍は複数の士官候補生からの苦情を受理したのち、今回の新ガイドラインの作成を行っている。複数の士官候補生の苦情によれば、コロラド・スプリングスの空軍士官学校で福音派キリスト教徒の上官達が、自らの立場を利用してキリスト教信仰を強要しようとしていた模様だ。今回のガイドラインは年末までに適用される見通しで、空軍士官学校だけでなく、空軍全体で信仰を理由とする昇進差別が禁止される。

空軍士官学校での宗教差別は民主党のスティーブ・イスラエル(ニューヨーク州)、ロイス・カップス(カリフォルニア州)両下院議員によって激しく非難されていたが、両議員とも今回の新ガイドラインを歓迎する声明を発表している。しかし、士官学校卒業生のマイキー・ウェインスタイン氏は、空軍がこれまで宗教的差別を行った士官達に罰則を与えることを拒んできた過去を例に出し、今回のガイドラインの効力に疑問を投げかける。「これでは問題解決どころか、かえって事態をややこしくするだけです」、ウェインスタイン氏はニューヨーク・タイムズ紙の取材にそう答えた。ガイドラインは空軍や士官学校の中での異なる宗教への寛容性を徹底させるよう指揮官達に求めており、服装や食事、宗教上の祭日がこれまで以上に保障される見込みだ。

軍隊内におけるキリスト教福音派の台頭や、異なる信仰心を持つ兵士や士官候補生への嫌がらせが最近になって相次いで発覚しており、30日付のワシントン・ポスト紙も宗教差別が原因と思われる脱走事件を報じている。陸軍は29日、ジョージア州のフォート・スチュワート基地で勤務していたジェフリー・ゴールドマンを脱走兵リストに加えた。カナダ生まれのゴールドマンは基地内で軍隊付きラビ(ユダヤ教の指導者)として勤務していたが、同僚でもある別の軍隊付き牧師から何度も嫌がらせを受け、2002年1月に故郷に戻っていた。ゴールドマンは合法的な除隊だったと主張してきたが、陸軍は彼を正式に脱走兵リストに入れた。ゴールドマンの上司でもあったキリスト教の牧師は、「お前みたいなラビが南部で生きていたければ、北部のラビみたいな振る舞いはやめることだ」と言い、別の牧師はナチスの制服を広げて見せたのだという。

子供の大学生活を過剰に気にしてしまい、毎日のように大学側に電話やメールで問い合わせや苦情を行う親が急増しており、教育関係者達はこういった親を「ヘリコプター・ペアレンツ(子供の周りを常に周回しているという意味で)」と皮肉を込めて呼んでいる。コルゲート大学(ニューヨーク州ハミルトン)の教育関係者にも学生の親からの苦情が頻繁に送られており、苦情の内容はルームメイトの相性の悪さから成績に関するものまで様々だ。最近、ある学生の親がコルゲート大学事務局に問い合わせを行っているが、娘が参加する中国での研修旅行で現地の水の出の悪さをどう対処するのかというものだった。「コルゲートのように年間4万ドルの学費がかかる大学では、親からの期待や要求が高いのも仕方がないと思っています」、大学内のカウンセリング局で責任者を務めるマーク・トンプソン氏はそう語る。

この数年間、大学関係者は苛立ちを抑えながら、できる限り学生の親に満足してもらえるよう努めてきた。しかし、先週行われた新入生向けオリエンテーションの中で、コルゲート大学側は顧客サービスよりも高等教育をより重視していると学生の親に対して言い切っている。約2750人が学ぶコルゲート大学では、「ヘリコプター・ペアレンツ」の存在が対処しきれない段階にまで達しており、学問と同じように自立心も大学生活の中で学んでほしいと判断した。「皆さんもお気付きかと思いますが、親が必要以上に学生の世話を焼く習慣が長いあいだ続いてきました。この習慣こそが、全ての問題の元凶になっていると言っても過言ではありません」、アダム・ワインバーグ学長はそう語った。ワインバーグ学長は大学生活の持つ意味として、集団生活の中で人間関係を学び、自立した人間になる事でもあると説明している。

大学側は以前と同じように学生へのカウンセリングを継続していく。親からの連絡があった場合、よほどの重大事で無い限り、親には子供自身で問題を解決するチャンスを与えるべきと伝えていく模様だ。ワインバーグ学長は前出の中国旅行に関する問い合わせにも触れ、「この親御さんには、21世紀になった今、外国で異文化を怖がらずに体験するのも当然のことだと伝えました」とコメントしている。大学生の親による過剰な「気遣い」はこの10年で非常に顕著になっており、複数の教育関係者はベビーブーム世代の親と子供の強いつながりに原因があると指摘している。そして、2つ目の理由として挙げられるのが携帯電話の存在だ。学生寮の公衆電話で週末に10分だけ家族と話をした時代はとっくに終わっており、コルゲート大学でも、テストを終えた学生の多くがそのまま携帯電話で家族と話す姿が頻繁に見られる。

最後に嬉しいニュースを1つ。以前のブログで2人の野球選手(アトランタ・ブレーブスのフリオ・フランコと3Aニューオーリンズ・ゼファーズのリック・ショート)について書いた事があった。フランコはメジャーリーグの選手としては最高齢の47歳でホームランを打っており(今も元気にブレーブスでやっている)、ショートはプロ選手としては44年ぶりに打率4割台への到達が期待されている。フランコが日本の千葉ロッテで活躍した事は有名だが、実はショートも2003年にロッテに在籍していた。日本でパッとした成績が残せず、失意のままアメリカに戻ったショートだが、今では(3Aにもかかわらず!)最も注目される野球選手の1人だ。ロッテよ、やるじゃないですか。この2人やセシル・フィルダー(元阪神)、アルフォンソ・ソリアーノ(元広島)といった選手を見ていると、海外から日本にやって来てプレーする選手にも実力派が多い事がわかる。シーズン半ばで帰国したゲーブ・キャプラーの一番の魅力といえば、守備ではなくチームの雰囲気をまとめれる人間性である事はレッドソックス・ファンなら誰でも知ってる話だけど、日本一閉鎖的な球団で彼の才能が活かされることはなかった。本当に多いのは「ダメ外人」ではなく、「無能フロント」なのじゃぁないでしょうか?

「セルティック」でフランスを想像する奴が、一体どれ位いるんだい?

2005-08-30 14:19:09 | ハリケーン「カトリーナ」関連
ボストンに行く前に幾つか片付けなければならない仕事もあったりで、最近はなかなか映画を見る機会に恵まれなかったけど、楽しみにしていた「シン・シティ」をようやくDVDで見るチャンスが到来。全編ほとんどが白黒映像で、ライトの照らし方やら影の作り方が本当に劇画調で素晴らしいんです。アメリカン・コミックが原作のこの映画、「ポリティカル・コレクトネス」とは無縁のグロテスクなシーンで満載で(イライジャ・ウッドとカニバリズムをくっ付けた製作者の想像力は凄いよなぁ)、一昔前の香港製ギャング映画のようにバッタバッタとみんな死んでいくわけだけど、僕はこれが壮大なラブストーリーだと感じた。シン・シティってラスベガスの俗称だけど、映画の舞台はベガスというよりは「バットマン」のゴッサムシティに近い気も。この頃やたら気になるロザリオ・ダウソンも娼婦役で出演しており、キャスティングに目をやるだけでも十分楽しめる映画だった。

大型ハリケーン「カトリーナ」は29日、アメリカ南部の湾岸地帯に上陸し、ルイジアナ州ニューオーリンズの町を直撃した。カトリーナは勢力を弱めながらミシシッピー州上空を北上しており、29日夕方の時点で同州ローレル周辺にまで到達しているが、現在は風速75マイル(1時間)にまで勢力を弱めている。一方、ハリケーンが直撃したニューオーリンズのダウンタウンでは、倒壊した建物も確認され、市内で略奪行為が始まったとの報道も出ている。ルイジアナ州バトン・ルージュにある自然災害研究所のイボール・ファン・ヒーデン氏はCNNの取材に対し、「ニューオーリンズ市民は少なくとも1週間は自宅に戻らない方がいいと思います」と語っている。ニューオーリンズ一帯では水道や電気の供給がストップしてしまった場所が幾つもあり、これらの復旧に最低でも1週間は必要と見られている。

ルイジアナ州のキャスリーン・ブランコ知事は州警察に対し、ニューオーリンズ市内に通じる主要道路の封鎖を命じており、現在は救急隊員だけが自由な出入りを許可されている。ニューオーリンズからそれほど離れていないアラバマ州モービルでも、ハリケーンによる被害が報告されており、モービル湾の高波によって市内のほとんどが水に浸かった状態となっている。市側は24時間体制で町の警備を開始した。また、モービル市内の石油掘削装置がハリケーンによって破壊され、モービル川にかかる橋の下につかえたままとなっている。450人のアラバマ州兵がモービル市の安全確保のために投入され、さらに800人の州兵が隣のミシシッピー州に派遣された。ルイジアナ州南部だけで37万人への電力供給がストップしており、アラバマ州とミシシッピー州でもそれぞれ10万人程度が電気の無い生活を強いられている。

カトリーナは原油価格にも大きな影響を及ぼしており、28日のニューヨーク商業取引所の原油価格は一時1バレル=70ドル80セントにまで急騰し、先週末の終値から一気に4ドル以上の上昇を記録した。これは、カトリーナの上陸前にメキシコ湾周辺の石油生産・精製施設が稼動をストップさせたり、メキシコ湾に停泊中の石油タンカーに被害が出るとの懸念が存在したことが原因となっている。カトリーナによる死傷者の数は明らかになっていないが、ニューオーリンズ市内の老人ホームで28日、避難準備をしていた3人の入居者が死亡した模様だ。複数の専門家は、今回のハリケーンによる被害総額が100億~250億ドルの範囲に達すると見積もっており、仮に被害総額が250億ドルに達した場合、アメリカのハリケーン被害では史上最悪のケースとなる。

ハリーバートン社のイラクでの大規模事業を「競合無しの受注」と非難していたペンタゴンの幹部職員が先週土曜日に降格され、ペンタゴン側はこの人物の仕事内容が満足のいく物ではなかったと、降格人事の理由についてそう主張している。降格人事を言い渡されたのは、ペンタゴンの特需部門に20年間勤務するブナティン・グリーンハウスさんで、この数年間は陸軍工兵部隊と民間会社との契約を監督する立場にあった。イラク国内の再建事業のほとんどが、彼女の部署を経由して民間業者に発注されていた。幹部職を解かれたグリーンハウスさんは、ペンタゴン内の土木工事部門へ配置転換されている。グリーンハウスさんは2003年、ハリーバートン社の子会社ケロッグ・ブラウン&ルート社に発注された100億ドルのイラク再建事業を疑問視し、内部告発者として議会でも証言を行っていた。

テキサス州に本社のあるハリーバートン社は、チェイニー副大統領がブッシュ政権誕生前に代表を務めていたことでも知られる。「グリーンハウス氏は陸軍側があいまいにする事を望んだ特需規定に厳格だったため、降格人事を言い渡されたのです」、グリーンハウスさんの弁護士マイケル・コーン氏はニューヨーク・タイムズ氏の取材にそう語った。コーン弁護士はさらに、ペンタゴン内部の査察官による調査活動が終了しないままグリーンハウスさんが降格させられたと語り、人事異動に関する約束があっさり破られたと主張している。一方、陸軍工兵部隊のキャロル・サンダース広報官は日曜日、グリーンハウスさんへの降格人事は陸軍省によって正式に承認されたものだとコメントしている。2003年6月3日の覚書では、工兵部隊の指揮官カール・ストロック中将が、降格人事はグリーンハウスさんの仕事の出来が原因で、決して報復人事ではないと語っている。

グリーンハウスさんはこれまで非常に優れた勤務評価を維持していたが、コーン弁護士の話では、彼女が公の場でケロッグ・ブラウン&ルート社への事業発注を非難し始めた頃から、勤務評価が一転してネガティブなものになったのだという。グリーンハウスさんは、ケロッグ・ブラウン&ルート社がイラク国内の石油関連施設修復事業(5年で70億ドルに及ぶ)を入札無しで手に入れた事に問題提起し、非常時だから仕方がなかったというペンタゴンからの意見に対し、「非常時の期間が長いため、それで利益を得る企業が存在している」と反論している。ケロッグ・ブラウン&ルート社は2003年12月にもイラク国内で展開する別の事業を巡ってグリーンハウスさんと対立しており、ユーゴスラビア紛争で1億6000万ドル相当の後方支援事業を入札無しで勝ち取ったことについても非難されている。

数ヶ月前に近くのスーパーで「フィジー」という名のミネラルウォーターを買って以来、暇を見つけては色々と新しいミネラルウォーターを試していて、昨日は「セルティック」という名前のボトルを1本購入してみた。つい最近まで、我が家の冷蔵庫の水といえばスパークリング・ウォーターのボトルばかりで、スライスしたレモンを入れて飲んでいた。でも、「フィジー(その名の通り、フィジーの水です…何のオチもないですが)」があんまりにも美味かったため、今では毎週違ったミネラル・ウォーターを買うのがちょっとした楽しみに。で、今回買った「セルティック」、僕は久しぶりにスパークリング版にトライしてみたんだけど、これも中々のものなんです。ただ、ラベルをみてビックリ。アイルランドじゃなくて、フランスの水だったんだなぁ。僕はてっきり「セルティック」がアイルランド西部かゴルウェイあたりの水かと思い込んでいて(さすがにダブリンの水を販売するチャレンジャーはいないだろうけど)、水がそこそこ美味いにもかかわらず、騙されたような気分。なぜにフランス?

ボイルストン通り116番地

2005-08-29 14:06:20 | イラク関連
超大型ハリケーンがニューオーリンズの町を直撃するようで、全米のメディアが観測史上最大規模のハリケーンの到来をパニック気味に伝える中、僕は昔よく遊びに行ったボストン市内のクラブの事を思い出した(不謹慎なのは百も承知だけれど…)。ビッグ・イージーというルイジアナ風ナイトクラブがボストン・コモンの近くにあって、僕が通っていた大学院の建物からもそれほど離れていないため、夜遅くにニュース原稿を書き終えてそのままクラブへ直行した事も度々。あの雰囲気(というか、マルディ・グラです。強いえて言えば…)が好きでニューオーリンズに行こうと決心したものの、未だに行く機会に恵まれず、今回のハリケーンで有名なフレンチ・クォーターがどうなるのかが少し心配だ。ビッグ・イージーの他にも、うちの学校周辺にはプラウダ116カプリスといった思い出の場所も多い。そう考えながらウェブを見ているとプラウダが潰れて、ジプシー・バーという新しい店がオープンしていた…。来週ボストンに行くけれど、どれだけの思い出の場所が残っているのだろうか。

肥満が深刻な問題となりつつあるアメリカでは、肥満症と診断される人の数が毎年増加し続けており、各州の医療関係者らもその対策に頭を悩ませている。しかし、昨年度の肥満症増加率に目を向けると、オレゴン州だけが全米で唯一肥満率の増加しなかった州となっており、ダイエット専門家らもオレゴンのケースに注目し始めている。ワシントンDCにある医療調査期間の報告書によると、オレゴン州の肥満率は昨年度も21パーセントから上昇する事が無く、1年間で1.5パーセントも上昇したアラバマ州(27.7パーセント)と比べると、その違いは一目瞭然だ。複数の専門家はオレゴン州各地で見られる都市デザインに注目しており、自然が多い中で自転車通勤(通学)を行う市民が多い事実が肥満症を未然に防いでいるのだと指摘する。

ポートランド市民の約10パーセントが自転車通勤を行っており、同様に自転車通勤が一般化した町としてコロラド州ボールダーがある。コロラドは全米で最も「スリムな州」として知られており、州内の肥満率は16.4パーセントに留まっている。「肥満解消のためマラソンに挑戦するのもいいですが、もっと身近な所からスタートするのもいいでしょう。エレベーターの代わりに階段を使ったり、自転車通勤をするのも効果的です」、前出の調査機関で報告書製作に携わったマイケル・アール氏はAP通信の取材にそう語っている。アメリカの多くの町では、徒歩や自転車ではなく車を使わなければ通勤できない場合がほとんどだが、これが毎日の運動機会を減少させる原因ともなっている。

「健康な国への処方箋」の著者で肥満症の専門家でもあるトム・ファーレイ氏は、ジムに通って体型維持につとめるアメリカ人の多くを例に挙げ、肥満症防止に本当に効果的なのは徒歩や自転車といった日常生活の中での運動なのだと語っている。ポートランド市で公務員として働くリンダ・ギネンサルさんは、自転車通勤を欠かさず行っており、自宅から職場までの約6キロを毎朝走っている。ギネンサルさんのような自転車通勤者が多い理由として、ポートランド市が自転車にやさしい都市開発を行った事も挙げられるが、市側による自転車通勤奨励キャンペーンも少なからぬ役割を果たしているようだ。ポートランド市で働く公務員には、通勤の80パーセント以上を自転車で行えば毎月25ドルのボーナスを得れるインセンティブが用意されており、市側が率先して自転車通勤の普及を試みている。米農務省の調査では、オレゴン州にある農場の数がこの30年で50パーセントも増加しており、自転車通勤に加えて健康な食生活も肥満防止の大きなファクターとなっているようだ。

ブッシュ大統領所有の牧場がある事で知られるテキサス州クロフォードに土曜日、数千人のデモ隊が集まった。全米各地から集まったデモ隊のほとんどはイラク戦争支持派で、同じくクロフォードでは息子をイラク戦争で亡くしたシンディ・シーハンさん主導の反戦デモも行われている。クロフォードで反戦デモを続けるシーハンさんは一躍時の人となったが、先週カリフォルニアでは反シーハン・キャンペーンが戦争支持者達によって組織され、このキャンペーンに参加した約1500人がクロフォードに集結した。戦争支持派は「ここから早く立ち去れ、シンディ」とチャントを繰り返し、反シンディ・キャンペンを企画した元カリフォルニア州議会員のハワード・カローギアン氏は、「彼女の行動はアメリカの敵に勇気と希望を与えるだけだ」とAP通信の取材に語っている。

シーハンさんら反戦デモのメンバーはブッシュ大統領所有の牧場からそれほど離れていない場所で抗議活動を行っており、昨年イラクで戦死したシーハンさんの24歳の息子にちなんで、周辺はいつの間にか「キャンプ・ケーシー」と呼ばれ始めている。デモ参加者と「(戦死者を出すのは)もう十分!」と叫ぶシーハンさんはCBSの取材に答え、「このキャンプ・ケーシーで行われている運動が、イラク戦争終結につながってくれると確信しています」と語った。シーハンさんの団体が反戦デモを展開する中、戦争支持団体「プロテスト・ウォーリアー」のメンバー2人がキャンプ・ケーシーに現れた。2人は「民主党から大統領が出ない限り、戦争反対とでも叫んでおけ!」と書かれた横断幕を手にしており、これを偶然通りかかった別の戦争支持団体のメンバーが見つけ、反戦団体と間違われた2人の横断幕が破られるハプニングも発生している。

シーハンさん達の反戦デモは8月31日にいったん終了し、メンバーの一部は全米を各地を回りながら反戦デモを行う予定だ。クロフォードで5週間の夏休みを過ごすブッシュ大統領は、シーハンさんの気持ちを理解する事はできるとしながらも、シーハンさん個人とと面会する予定は無いと語っている。シーハンさんは昨年イラクで息子を失った2ヵ月後に、他の遺族達と一緒にブッシュ大統領と面会しているが、当時はまだ反戦キャンペーンなどは行っていなかった。ブッシュ大統領の夏休みは9月2日に終了する。今月初めにCNN/USAトゥディ/ギャロップの3社が共同で行った世論調査では、回答者の33パーセントが米軍はイラクから今すぐ全面撤退すべきと答えており、撤退を支持する声は過去最高のものとなっている。

いよいよ「カトリーナ」がニューオーリンズの町を直撃する。すでにルイジアナ州や隣接するミシシッピー州では非常事態宣言も出され、周辺のハイウェイでは脱出を図る市民の車で日曜朝から大混雑が続いている。そんな中、ブッシュ大統領は今も夏休みをエンジョイしているようで、9月2日までのバケーションをキッチリと使い切る魂胆なのだろうか?この「カトリーナ」、風速が1時間に160マイル(約256キロ)で、ハリケーンとしては最大級の「カテゴリー5」となっている。「カテゴリー5」のハリケーンがアメリカに上陸した例は過去に3度しかなく、またニューオーリンズ市の70パーセントが海抜ゼロメートル以下にあるため、大きな被害が予想されている。また、3日後にワシントン周辺を通過する可能性も少なからずあるそうで、こちらでも天気予報を欠かさずチェックする日が当分続きそうだ。

*(写真)28日にニューオーリンズを脱出する市民の車列-ロイター通信より

東欧風ギャングスターズ・パラダイス

2005-08-28 15:19:54 | ハリケーン「カトリーナ」関連
ドイツやイングランドに続いて、とうとうスペインやイタリアでもフットボール・リーグが開幕し、地元アーリントンのスポーツパブに数ヶ月ぶりの騒がしさが戻ってきた。昼過ぎ、遅めのランチを食べながらバルセロナ対アラベスの試合を見ていると、「久しぶり」と友人のウィルフレッドが登場。ブラジルの名選手ジャイルジーニョを彷彿とさせる立派なアフロヘアーを揺らしながら、数十秒おきに紙のセット具合を手で確かめるウィルフレッドは、「今年こそインテル・ミラノがチャンピオンになるだろうね」といつもの一言。家族そろってインテル・ファンだという彼は、毎年この時期になるとインテルがイタリア・リーグを制すると言い切るものの、同じように毎年行われるブッシュ大統領の一般教書演説とそれほど違わず、当たったためしは全く無い。シーズン前の補強が上手く行ったとかで、少なくとも10回以上は「今年は特別」というフレーズを連発したウィルフレッド。気の毒に、大金を賭けてなければいいんだけど。

バルセロナの試合がハーフタイムを迎え、延々と続く同じコマーシャルにも飽きた僕らは、ブルガリアで一昨日発生した暗殺事件の話題で盛り上がった。黒海沿岸のリゾート地をホームとするロコモティブ・プロブディフがCSKベオグラード(セルビア)に1-0で勝利した。プロブディフはこれでUEFAカップ本戦に出場が決まり、会長のゲオルギ・イリエフは自らが経営するナイトクラブで祝勝会の準備をしていたと報じられている。試合終了後すぐ、正確には試合終了から40分後、ナイトクラブ店内で電話中のイリエフが何者かに狙撃され死亡した。警察関係者の話では、狙撃は店の外から軍用ライフルで行われた可能性が高く、イリエフは一発で心臓を撃ち抜かれていた。サッカーの試合と直接関係があったかどうかは不明だが、イリエフが地元犯罪組織の重要メンバーだったという話がブルガリアでは定着しているようで、地元警察もイリエフとスペインの麻薬組織との関係を捜査している最中だった。イリエフの兄もマフィアのボスとして知られていたが、10年前に殺害されている。

「凄い話だね…」、僕の横に座っていたアメリカ人の友人はそう言った。たしかにアル・カポネがシカゴ・ブルズを所有していたり、ジョン・ゴッティがニューヨーク・ヤンキースのオーナーだったりする事は、この国では想像し難い話ではあるけど、東ヨーロッパではこんな話が日常茶飯事だ。「ブルガリア国内のフットボール事情は今が最悪の時かもしれないね。犯罪組織がマネー・ロンダリングなんかを目的にサッカーチームを買収するケースが増え続けているから」、ボストン在住のスティーブン・アポストロフは昨日、僕に電話でそう語ってくれた。ソフィアで生まれ育ったスティーブンは、FIFA(国際サッカー連盟)の仕事で母国のサッカー関係者にインタビューを何度も行っているが、その腐敗ぶりに絶句した経験が何度もあったそうだ。以前、このブログでアルカンというセルビア人大物マフィアについて書いた事があったけど、今回も東欧のサッカーチームのオーナーが血なまぐさい事件の主役となったようだ。

大型ハリケーンのカトリーナがニューオーリンズ一帯を直撃する可能性が高まり、周辺の湾岸地帯に住む住民らはすでに安全な場所への移動を開始している。過去にハリケーンがニューオーリンズを直撃した例はほとんど無いものの、CBSニュースの報道によると、地元当局はすでにハリケーンが直撃する可能性が極めて高いと判断し、災害に備えた対策に追われているとの事だ。「皆さん、これはテストではなく、現実の話です」、ニューオーリンズのレイ・ネギン市長は27日の記者会見でそう切り出すと、市民に対し暴風対策のために家に板を打ち付けて、十分な医薬品とガソリンを用意するように呼びかけている。現在カトリーナは1時間に約115マイルの風速で北上しつつあるが、メキシコ湾上でさらに巨大化すると見られており、ニューオーリンズ周辺には29日未明に上陸する見込みだ。

バハマ諸島周辺で発生したカトリーナは、25日にフロリダ半島南部を通過し、メキシコ湾に抜けたものの、そこから進路を変え、ルイジアナ州湾岸部に再上陸しようとしている。フロリダ南部では7人の死亡が確認されている。仮にカトリーナがニューオーリンズを直撃した場合、その被害は通常よりも大きなものになるだろうと懸念されている。ニューオーリンズは海抜ゼロメートル以下にあり、洪水を防ぐためにこれまでも堤防やポンプに依存してきた。しかし、ハリケーンによって堤防が崩壊し場合、市内が大洪水に見舞われる危険が存在する。さらに、市内在住の約10万人が車を所有しておらず、ルイジアナ州政府は市内にあるスーパードーム(NFLのニューオーリンズ・セインツが本拠地として使用している)を仮説避難所に指定する模様だ。

市内にあるガソリンスタンドの中には、27日夕方の時点でガソリンを売りつくしてしまった所もすでに存在し、ガソリンを求めて市民が町中を走り回る状態となっている。また、ニューオーリンズから脱出する市民が急増したため、周辺のホテルやモーテルも全てブッキングされ、150マイル離れたミシシッピー州ジャクソンのモーテルまで満室となっている。40年前にニューオーリンズをハリケーンが襲った際には、市内で20フィートの高さに及ぶ大洪水が発生し、6万人が家を失っている。このハリケーンによって、ルイジアナ・ミシシッピー・フロリダの3州で74人が死亡している。25日にフロリダ南部を通過したカトリーナは、ハリケーン自体の規模は小さかったものの、大雨と洪水を引き起こしている。複数の保険会社によれば、フロリダの被害は軽く見積もっても6億ドル以上になるとの事だ。また、100万人以上が電力を失い、現在も70万人以上が復旧作業を待つ状態だ。

バージニア州北部にあるクリスタル・シティはペンタゴンからわずか1マイルの距離という事もあり、ペンタゴンと契約を結んだ軍需産業のオフィスが非常に多い。ワシントン郊外のオフィス街として知られるクリスタル・シティだが、町の将来を危惧する声があとを絶たない。ペンタゴンは国内で837ヶ所に及ぶ軍事関連施設の閉鎖・再編成案を独立機関の「基地再編・閉鎖委員会(BRAC)」に提出しており、9月初めまでに大統領と連邦議会によって承認の可否が決定する予定だ。ワシントン市内のウォルター・リード陸軍病院も閉鎖の対象となっており、バージニア州北部で働くペンタゴン受託業者ら2万人も、遠く離れた郊外への移転を求められている。これら2万人の多くがクリスタル・シティのオフィスで勤務しており、(承認可決後)にペンタゴンが市内にあるオフィスビルとのリース契約行進をストップした場合、町が一夜にしてゴーストタウンに変わる可能性もある。

クリスタル・シティで働く受託業者らが一斉に去った場合、町はどのように変わるのか?受託業者のひとりボブ・モリソンさんはワシントン・ポスト紙の取材に対し、過去に勤務していた海軍作戦センターの例を挙げて答えた。「作戦センターの移転が決まった時、クリスタル・シティはもう終わりだという声がたくさんあったけど、実際に町がダメになる事は無かったですしね」、モリソンさんはそう語る。また、モリソンさんの同僚デボラ・ベアーさんも、地下鉄などの交通網が整備されているため、この町が住む場所としても申し分ないと語っている。1960年代に作られたクリスタル・シティはポトマック川をはさんでワシントンの真向かいに位置し、非常に便利なロケーションではあるものの、オフィス街以上の発展はこれまで無く、平日の昼間以外はあまり人を見かけない町としても知られている。

「町の将来は、不動産業者がどのように物件を売りさばくかで決まってくるでしょうね」、隣町のアレクサンドリアから来たロバート・ブローダスさんはそう語り、仕事以外で人が集まる事がほとんど無い町の現状を心配する。周辺のレストランの多くが午後7時過ぎにはシャッターをおろしており、幾つかのレストランやバーは深夜までオープンしているものの、その数は極めて少ない。「もっとクラブでも作って、みんながクリスタル・シティで楽しんでお金を落としていく環境にしないと…」、ブローダスさんはそう語った。クリスタル・シティにあるオフィス・ビルの約70パーセントを所有する開発会社チャールズ・E・スミスでは、すでに「新ダウンタウン計画」をすすめており、受託業者らの移転後にオフィスビルを商業施設やコンドミニアムに替える模様だ。すでに放送局や政府機関がテナントを希望しており、近いうちに町の様子がガラリと変わるかもしれない。

ポールポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが再び映画で共演するかもしれないという話が入ってきた。残念ながら、「明日に向かって撃て」の続編ではないようで、全く別物のストーリーらしい。ニューマンを最後に映画で見たのは数年前、トム・ハンクスが主演した「ロード・トゥ・パーディション」の中でだけど、もう何年も前から僕の中では映画俳優ではなくパスタ・ソースのセールスマンというイメージが出来上がってしまっている。「ニューマンズ・オウン」というブランドがスタートしたのが1982年で、最初はサラダ・ドレッシングのみを売っていたそうだけど、いつの間にかパスタ・ソースやポップコーンも売り出されていた。僕も中学生の頃、姉が住んでたセントルイスのスーパーでパスタ・ソースを購入し、それがキッカケとなって自分でパスタを作るようになったのだ。食品業でも成功を収めたニューマンだけど、やっぱり俳優としての彼の姿が一番カッコいい。今年80歳の不良ジジイ、早くスクリーンで見たいものです。

いけるかねぇ、4割の大台

2005-08-26 15:01:47 | イラク関連
よーやく、月刊誌記事原稿の手直しが終了(編集部のK氏、本当にご苦労さんです)。これで大丈夫かなと信じつつ、深夜1時にコーヒーメーカーのスイッチを入れる。ブログと同じように、なぜか寝る前にコーヒーを飲むクセは今も治らず。今回、僕が書いた記事のテーマは宇宙関連のもので、普段あんまり扱わないテーマという事もあって、取材前に受験生のごとく関連資料に目を通した。宇宙事業に詳しい人からも話を聞いたりして、なんとか原稿を完成させる事ができました。テレビ局時代にスペース・シャトル「コロンビア」の空中分解事故が発生し、その日すぐにワシントン市内にあるNASAのオフィスに資料テープをもらいに行った記憶がある。報道内容が事故に関する物だったので、僕の中で宇宙関連ニュースに暗いイメージを持ってたのも事実。でも、今回の取材であらためて分かったんだけど、夢があっていいよなぁ。話を聞いてるだけで、こっちがワクワクするくらいだから。

夕方、スーパーマーケットで買い物を済ませてから、約3週間ぶりに髪を切りに行った。場所はいつものトルコ人が経営する美容室で、相変わらず騒がしい場所だけど、僕はこの雰囲気を凄く気に入っている。この美容室の隣がスターバックス・コーヒーになっていて、夏場は店の外にもテーブルを出しているが、休憩中の美容師のオッサン達をそこで見ることが多い。テーブルの上には木製のバックギャモン台が置かれ、まぁ飽きる事も無く延々とゲームをするオッサンの姿が。去年も一昨年も、夏が来ると絶対に目にする光景で、仕事帰りの僕も無理やり参加させられたことが何度かある。アメリカというよりは、南イタリアの雰囲気に近いのかもしれないけれど、いい味出してます。バックギャモンをする姿が見られなくなった頃、僕らはセーターをクローゼットから出し、それからすぐに冬がやってくる。

イラク駐留米軍の早期撤退はないとブッシュ大統領が強調する中、25日付の英ファイナンシャル・タイムズ紙は今後12ヶ月以内に米軍の大規模な撤退が開始される可能性があると報じた。これは同紙が行ったダグラス・ルート米陸軍少将とのインタビューで明らかになったもので、イラク国内の治安状況に改善の兆しが見られない中で撤退はすでに現実的な話へと変わってきているようだ。米中央軍で作戦計画の責任者にあるルート少将は24日にファイナンシャル・タイムズ紙記者のインタビューに答え、今後12ヶ月以内の大規模撤退の可能性を示唆し、撤退計画がイラク駐留米軍の指揮を執るジョン・アビザイード司令官からの要請を考慮したものだと語った。ルート少将は撤退計画の背景にワシントンからの政治的圧力は無かったとも答えている。

「イラク国内の治安回復を米軍やその同盟国の部隊が担う状態が長く続いていますが、こういった依存状態はいずれ終了しなければならないですし、イラク軍部隊をそういった任務に就かせなければならないのです」、そう語るルート少将は米軍撤退の条件となるイラクの政治・治安状況改善に関しても、これまで報じられてきた以上にその基準を緩める可能性を示唆している。イラク駐留米軍のジョージ・ケーシー司令官も先月、ルート少将と同じように来年春頃から米軍が撤退を開始するだろうとコメントしているが、ブッシュ政権関係者はこの発言を否定している。先週、ピーター・シューメーカー陸軍参謀長は米軍によるイラク駐留の長期化に備え、すでに2009年までの行動計画が存在すると語っている。

現時点でブッシュ大統領は来年以降のイラク駐留米軍の規模について明確な言及を避けており、今月もテキサス州クロフォードで行った会見で「噂や憶測ばかりが流れている」とコメントしている。さらに24日に行った演説では、「これからもイラクに駐留し、テロ戦争に勝利するために戦います。イラクや中東地域からの早期の撤退はテロリストをつけあがらせるだけですから」と米軍のイラク駐留が長期化する可能性を示している。イラク撤退時期を巡り、米軍司令官達の間でも意見の食い違いが存在しているが、ホワイトハウスのマクラレン報道官はイラク戦争における米軍内部の共通認識に違いは無いと主張する。ルート少将によれば、米軍高官らは現在も激しいゲリラ攻撃が続く「スンニ・トライアングル」以外の地域に展開する米軍部隊を中心に、来年からの撤退を希望しているとの事だ。

キリスト教保守派指導者のパット・ロバートソン師は24日、テレビ番組内でベネズエラのチャべス大統領の暗殺を呼びかけたことを謝罪した。謝罪発表の数時間前まで「暗殺発言」について否定していたロバートソン師だが、複数のメディアからの指摘もあり、最終的に発言を認め謝罪した格好だ。「暗殺の呼びかけは正しい事なのでしょうか?答えはノーです。私は自分の行った発言に謝罪します。ただ、アメリカ政府による暗殺説を信じきっているチャべス大統領にフラストレーションを抱いたのも事実です」、ロバートソン師はそうコメントした。世界第5位の産油国ベネズエラで1998年から大統領職にあるチャべス氏は、ブッシュ政権を強烈に批判し続けており、ブッシュ政権の「政権転覆計画」で自分が暗殺の対象になっていると一部報道機関によるインタビューで語っているが、アメリカ政府はチャべス大統領が危惧する暗殺計画を「全く根拠の無い話」と一蹴している。

保守系キリスト教団体「クリスチャン・コーリション」の創設者であり、過去には共和党から大統領選挙に出馬した経験もあるロバートソン師は、22日に放送されたキリスト教トーク番組「700クラブ(ロバートソン師本人がホストを務めるこの番組は親イスラエル色が強い事でも知られており、番組内でもユダヤ教徒キリスト教の融合主義が頻繁に語られている)」の中でチャべス大統領に触れ、「もし彼がアメリカによる暗殺計画を信じているのなら、本当にその計画を実行に移そうじゃありませんか。戦争を行うよりも安上がりですしね」とコメントしている。ロバートソン師はさらに、石油産出国のベネズエラがチャべス大統領の影響で共産主義とイスラム過激主義の温床になりつつあるとの持論を展開し、チャべス政権の転覆を訴えかけた。ロバートソン師による発言が行われた頃、チャべス大統領はキューバを訪問しており、記者からの質問に「ロバートソンがどのような人物か、私には全く分からない」と答えている。

23日には国務省のマコーミック報道官が「(ロバートソン師の発言は)アメリカ政府の政策では全く無いし、我々が彼と同じ見解を共有している事はない」と語ったが、ブッシュ大統領とロバートソン師の親密な関係は周知の事実でもある。酒浸りだった若い頃のブッシュ大統領に信仰の大切さを説いたのがロバートソン師とされ、現在のブッシュ政権による政策の中にもロバートソン師から影響を受けたと思われるものが少なくない。幹細胞研究を巡るブッシュ政権の見解などは、ロバートソン師の強い影響があったものとされている。また、ロバートソン師を支持する福音派キリスト教徒達がブッシュ大統領の支持基盤の核になっている事実もある。2004年の大統領選挙では白人の福音派キリスト教徒有権者がブッシュ再選のキーとなった背景もあり、これら有権者の約90パーセントがブッシュ大統領に投票している。

ワシントン・ナショナルズ関連のニュースで面白いものがあったので(何度も書きますが、僕はレッドソックスのファンなので…)、ここで少しだけ紹介。久しぶりに出そうな大記録なので、僕も毎日ウェブをチェックしながら事の成り行きを見守っている。ナショナルズ参加の3Aニュー・オーリンズ・ゼファーズのリック・ショート選手、今シーズンはナショナルズで数試合プレーしただけで、シーズンのほとんどを3Aで過ごしているんだけど、なんと打率が3割9分7厘なんです。規定打数に達したプロ選手としては、44年ぶりに打率4割を記録できるかもしれないとあって、ワシントン・ポストやUSAトゥディなんかまで報じるフィーバーぶり。ワシントン・ナショナルズのチーム打率がメジャーリーグ最低の2割5分3厘という状況もあって、一部ではショート選手のメジャー復帰を望む声があるけれど、きっと本人は複雑な心境なんだろうな。

44年前に1Aサリスベリー・ブレーブスに所属していたアーロン・ポインター選手が4割2厘を記録しているものの、1Aよりレベルの高い3Aで最後に4割以上の打率を残した選手はオックス・エッカードで(シーズン打率は4割1分4厘)、1933年の事だった。メジャーリーグで最後に4割を記録したのは、ボストン市内を通るトンネルの名前にもなったレッドソックスのテッド・ウイリアムズで、1941年に4割6厘を記録している。ローテーション制が完全に確立されてしまった今、500勝(サイ・ヤング)や5000奪三振(ノーラン・ライアン)をピッチャーに求めるのは酷だけど、打率4割への到達は今でもチャンスがある。球速が上がり変化球のバリエーションが増えたとしても、それ以外に打率4割を制限するものは殆ど見当たらないので、全てはバッターの技量にかかっている。ショート選手にはマイナー暮らしを(今シーズンはね)続けてもらって、球団には彼への特別ボーナスを用意してもらいたい。本当に凄い事なんだから。

選挙の季節になると

2005-08-24 14:18:52 | スポーツ
月11日に行われる日本の衆議院選挙、僕ら海外の有権者も投票する事が可能だけれど、実は比例選の投票しか行えない。なんでも、推定72万人の日本人有権者が海外在住との事だけど、今回のような非常に大きな話題となっている選挙においても、僕らは小選挙区に投票する事はできない。23日の読売新聞(ウェブ)に掲載されていた記事によれば、96年に一部の海外在留邦人が国を訴え、その影響もあって、ようやく衆参の比例選挙への投票だけが認められたらしい。世界中の多くの国では海外在住者に投票権が認められているそうで(どのくらいの国で海外在住者に対する完全な投票権が認められているのか、今度リサーチしてみようかと思っている)、日本は少数派だと読売新聞の記事は報じている。アメリカに来るまで全く知らなかった事だけど、こういった選挙が近付く度に、やっぱり悔しい気分になるのも確かで。

キリスト教右派の代表的指導者パット・ロバートソン師は月曜日、自らが出演するキリスト教系テレビ番組の中でベネズエラのチャべス大統領の暗殺を呼びかけた。ロバートソン師の発言にベネズエラ政府は正式に抗議する姿勢を示しており、同国のビセンテ・ランゲル副大統領はロバートソン師を非難するとともに、アメリカ政府に対してロバートソン師に法的措置をとるよう求めている。ロバートソン師は月曜日に長年ホストを務める「700クラブ」という番組でベネズエラのチャべス政権について触れ、チャべス大統領が豊富なオイルマネーを利用して、南米大陸全体を共産主義とイスラム過激主義で覆いつくそうとしていると警告した。ロバートソン師はさらに、チャべス大統領が以前に英紙ガーディアンのインタビューで「アメリカ政府から命を狙われている」と語った事にも触れ、「もしチャべス大統領が今でもそう思っているのなら、本当にそうしてやろうじゃないですか」とも語っている。

全米最大規模のキリスト教右派組織「クリスチャン・コーリション」の代表者でもあるロバートソン師は、これまでにもイスラム教徒や連邦最高裁などについて論争を巻き起こすコメントを繰り返している。月曜日の番組で、ロバートソン師はなぜベネズエラがイスラム過激派に利用されると警告したのか、その理由については語らなかった。カトリック国のベネズエラは、プロテスタント人口も含めると、国民の約98パーセントがキリスト教の国だ。国務省のショーン・マコーミック報道官は火曜日の記者会見で、ロバートソン師の発言は市民の権利として保障されているものの、発言はアメリカ政府の対ベネズエラ政策を表したものでは全く無いと強調している。「ロバートソン師の発言は不適切であり、これまでも噂されてきたようなアメリカ政府によるベネズエラへの敵対行動の事実は一切ありません」、マコーミック報道官はそうコメントした。

マコーミック報道官のコメントとは対照的に、ベルナルド・アラベス駐米ベネズエラ大使は、ロバートソン氏が決して「普通の一市民」ではないと反論している。アラベス大使は2000年の大統領選挙で200万人の会員数を誇る「クリスチャン・コーリション」がブッシュ陣営の躍進に大きな役割を果たした事に触れ、「ロバートソン師は昔も今もブッシュ大統領の忠実な仲間の一人じゃないですか」と語っている。1988年の大統領選挙でロバートソン氏と共和党大統領候補の指名者争いを演じたボブ・ドール元上院議員は、今回のロバートソン発言を「軽はずみで馬鹿げている」と批判し、ベネズエラ政府への早急な謝罪を求めている。1998年にベネズエラ大統領に就任したチャべス氏は、キューバのカストロ議長と非常に親しい事でも知られており、キューバに対して特恵レートで石油の輸出も行っている。

ロサンゼルス・ドジャーズのミルトン・ブレイドリー外野手は火曜日、チームメイトのジェフ・ケント内野手を「リーダーシップに欠け、黒人選手と上手くやっていく能力が全く無い」と強烈に批判した。火曜日に行われたコロラド・ロッキーズとの試合前、ブレイドリー選手は先週末のフロリダ・マーリンズ戦で発覚した2人の確執が「致命的なものだった」と語り、続けてケント選手の人間性に対して批判を行っている。「問題は彼がアフリカ系アメリカ人と上手くやっていけない事にあると思う。チームメイトの間で人種をネタにしたジョークは毎日のように話されているし、僕も普段はそういったジョークを気にする事は無いんだけど、時々彼のジョークをジョークと思えない時がある」、ブレイドリー選手はAP通信の記者にそう語っている。

「白人選手は野球に人種問題が存在すると思いたがらないようだけれど、現実にそういった問題は存在していると思う。メジャーリーグ全体で黒人選手の割合が9パーセント以下という現実も、きっとそこに原因があるんだと思う」、ブレイドリー選手は試合前のロッカールームでそう語った。先週土曜日に行われたマーリンズとの一戦で、1塁上にいたブレイドリー選手は次のバッターが放った2塁打でホームまで走ったが、得点する事はできず、アウトになっている。試合後、ケント選手がブレイドリー選手に放った言葉を巡り、クラブハウスは一触即発の状態へと変わった。試合後、ブレイドリー選手は監督と25分間の個別面談を行っている。「ロサンゼルスで育ってきた僕にとって、人種や価値観の違う人たちと上手くやっていくのは、毎日の生活の一部みたいなもので、何の問題もないよ。でも、自分と違うタイプと強調する能力がない人間も存在するんだと思う」、ブレイドリー選手はそうコメントした。

ベテランのケント選手といえば、サンフランシスコ・ジャイアンツ時代にチーム・メイトのバリー・ボンズ選手との間にあった確執が有名で、黒人のボンズ選手とは口も聞かないような中だったと語る関係者もいる。しかし、同じく黒人のダスティ・ベイカー監督や他の黒人選手とは良好な関係にあり、これまで人種問題が取りざたされた事はほとんど無かった。また、カリフォルニア州インランド・バレーのデイリー・ブレティン紙も、関係者の証言として、ケント選手とブレイドリー選手との間で人種的な口論などは存在しなかったと報じている。ブレイドリー選手は過去にもカッとなる性格をメディアから指摘されており、今回のクラブハウスでの口論も、ケント選手だけに非があると考えるメディアは少ない。「(ブレイドリー選手に)3塁で止まるべきだったと忠告してやるのも、ベテランの仕事だと思う」とケント選手はコメントしているが、ブレイドリー選手は「彼は自分の記録だけが心配なのさ」と反論しており、2人の和解には時間がかかりそうだ。

僕らのサッカーチームで去年一緒にプレーしていた友人の近況を聞いた。小学生の時にアゼルバイジャンからワシントンに移住したこの友人は、20歳で大学を卒業して、昨年秋からワシントン市内のロー・スクールに通い始めていた。まだ23歳と全然若いけれど、2年前からワシントン市内の法律事務所でアシスタントの仕事を始め、ロー・スクールに入学してからも、昼間は同じ法律事務所でアシスタントの仕事を続けていた。昨年4月の初め頃、ちょうどチームのメンバーで練習試合をした事があった。試合終盤にみんなエキサイトし始めて(チームにアイルランド人とナイジェリア人がいれば、どう転んでも、最後はそうなる…)、ドリブルで僕を抜こうとしたアゼルバイジャン人の彼に、僕は練習試合ではタブーの激しいタックルを披露してしまった。ジャンプ競技で着地に失敗したスキーヤーのように、彼はグランドの上で何度も転がり、その日はプレーができなくなってしまった。試合後に何度か謝ったあと、僕は彼を食事に連れて行き、それが縁で仲良くなってしまった。

その友人が逮捕されたというニュースを聞いたのが数ヶ月前。彼の働く法律事務所が移民関係の書類を長年にわたって偽造し、書類が必要な不法滞在者から莫大なカネを巻き上げていたらしい。僕を含めたサッカーの仲間達は何度か彼の実家に電話を入れてみたが、誰も電話には出てこず、彼がすでに刑務所に入ったという噂が一人歩きし始めた。サッカーの練習後に、みんながみんな思い出したように「あいつ、大丈夫かなぁ」って言っていたんだけど、今日聞いた話によると、彼は刑務所ではなく自宅軟禁措置に処されていたようだ。来年1月頃に裁判の判決が出るそうだけど、検察側はアシスタントの彼が犯罪に関わっていた証拠はほとんど無いと判断しているらしい。ただ、裁判の結果が出るまでは何とも言えず、自宅とロー・スクールの行き来だけが認められ、足首には逃亡防止のブレスレットが巻かれているんだとか。マーサ・スチュワートやらマフィアの幹部といった、「セレブ」な犯罪者ご用達のブレスレットを、まさか友人が巻いているとは…。でも、僕らはまだ彼の無実を信じているし、近いうちにボールを一緒に蹴れるんじゃないかなと思ってる。

太鼓腹でカンクーンに行こう

2005-08-23 15:19:28 | 歴史(?)
1年ぶりにボストンの病院で研修医をやっている友人と電話で話をした。ボストン市内のセント・エリザベス病院の精神科に研修医として勤務しているギリシャ人のアンジェロス、メールでは何度もやり取りしていたが、電話で話をしたのは本当に久しぶりだ。ちょうど2週間後にボストンに遊びに行く予定なので、留守番電話にメッセージでも入れておこうと軽い気持ちで電話をしたら、珍しくアンジェロス本人が受話器を取った。研修医生活も3年目となり、最初の2年と比べれば比較的時間に余裕が出てきたらしい。僕らはそこから延々と話を始め、電話を切った時には日付がすでに変わっていた。それぞれの仕事、ドイツ移住計画(アンジェロスはドイツの医大を卒業している)、政治の話、それからケンブリッジのカフェで今も働くブルガリア出身の美人ウェイトレスの話…。最後の最後に僕のボストン旅行の話をすると、「シャイセ!」とドイツで最も使われる言葉が電話の向こうから聞こえた。アンジェロスは来週から久しぶりに家族のいるアテネに戻り、9月の真ん中までギリシャにいるらしい。

ロサンゼルスで21日、第2次世界大戦中に強制収容所に入れられた58人の日系人に高校の卒業証書が手渡された。第2次世界大戦中、アメリカ国内の日系人は国内に設けられた強制収容所での生活を余儀なくされ、多くの日系二世の若者が通っていた高校を卒業する事ができなかった。レイとサッシュをまとった卒業生達は、ロサンゼル市内にある大学の講堂に集まり、50年以上前に参加しているはずの卒業式に改めて出席した。杖や車椅子で壇上に上がる者も少なくなく、58人の卒業生の目からは涙も溢れていた。1944年にベルモント高校を卒業する予定だったホシザキ・タダシさんは、21日の卒業式でスピーチを行い、ワイオミング州に作られた収容所での体験などについて語った。「高校の卒業証書がただの紙切れと考える人もいるでしょうが、私にとってはシンボルのようなものです」、ホシザキさんは会場に集まった数百人の聴衆にそう語った。

77歳のアイボシ・トシコさんも壇上で卒業証書を受け取り、孫のニコラスさんが2001年に亡くなったアイボシさんの夫の卒業証書を受け取った。「私は夫と一緒にニコラスの卒業式に行きました。本当に素晴らしかったですよ。ニコラスにも今日の卒業式の素晴らしさを分かってもらえればいいですね」、アイボシさんはAP通信の取材にそう語っている。第2次世界大戦中の収容所生活で高校を卒業できなかったカリフォルニアの日系人に卒業証書を与えようという動きは、民主党のサリー・リーバー州下院議員らが中心となって法案化され、州内の各学区では日系二世へ卒業証書が発行される事となった。第2次世界大戦中、反日感情の高まるアメリカ国内では、連邦政府によって12万人以上の日系人が国内10ヶ所に設けられた収容所に送られた。この日系人隔離政策は1942年から45年まで行われ、子供達は収容所内で教育を受ける事となった。

リーバー議員の法案が通過した昨年以降、すでに亡くなった人を含む400人以上が収容所生活前に通っていた高校の卒業証書を手にしている。「本当に長い間、日系アメリカ人の間で収容所生活が語られる事はありませんでした。まるで刑務所から出てきたかのように、収容所の話はタブーだったんです」、そう語るアイボシさんだが、子供や孫の世代では「遠い昔の話」になりつつあると溜息を漏らす。アメリカ政府は1988年、戦時中の日系人隔離政策を公式に謝罪し、収容者1人につき2万ドルの賠償金を支払う事を決定している。しかし、昨年から始まった「カリフォルニアの二世に卒業証書を送るプロジェクト」によって、家族の中で戦時中の体験をオープンに話せる機会が増えたのも確かなようだ。プロジェクトに参加した14歳のジョーダン・マルドナードさんは、日系人の祖母が送った収容所生活の話を初めて聞き、祖母と二人三脚で卒業証書を手に入れている。

アリゾナ州ベールに今年から開校したエンパイア高校では、従来の教科書が全く用いられず、その代わりに340人の生徒全員にアップル・コンピュータ社製のノートパソコンが1台ずつ支給されている。アメリカの公立高校では教科書の変わりにノートパソコンで授業を行う試みが実験的に採用されており、エンパイア高校は教科書の使用を廃止した全米で最初の公立高校のひとつでもある。「テクノロジーを今まで以上に教育現場に投入していきたいですし、多少のリスクは覚悟しています」、この学区で管理官を務めるカルビン・ベーカー氏はそう語った。「多くの学校にとって、コンピューターはケーキの上にかかっている粉砂糖のようなものですが、私達はノートパソコンをケーキの原材料そのものにしたいのです」、とベーカー氏。

ワシントンDCにある全米ソフトウェア・情報産業協会のマーク・シュナイダーマン氏によれば、2年前に全米の600学区で生徒全員にノートパソコンが実験的に支給されたが、現在そういった学区はほぼ倍増しているとの事。ノートパソコンだけを用いて授業を行う学校は依然として少数派であるが、シュナイダーマン氏は、将来的により多くの公立高校が教科書からパソコンへの移行作業を開始するだろうと推測している。バージニア州リッチモンド近郊のヘンリコ郡にある23の中学・高校では、生徒達がノートパソコンを使い始めてから今年で5年目を迎えるが、教師達はこれまでのように教科書を用いている。しかし、学校内でのコンピューターの使用が一般化しつつある今、出版社も教科書のデジタル化に力を注いでいる。前述のエンパイア高校では、カリキュラムに合わせたソフトウェアが開発されており、教師はインターネットで関連資料を瞬時に取り出すことができる。

エンパイア高校の生徒は無線ネットワークを使っての教材ダウンロードが可能だが、校内でのダウンロードには制限も設けられており、基本的に教材以外のダウンロードはできない。また、インターネットを用いたチャットやインスタント・メッセージも、校内では使用が制限されている。宿題の提出もオンライン上で行えるが、インターネットのソースもチェックの対象となっているため、他人の宿題をコピーするのは不可能となっている。エンパイア高校が開校される前、ベールの教育関係者達は他校で行われているノートパソコン授業を細かくチェックし、最近の高校生がコンピューターを使った学習により集中する傾向があると判断した。前述のベーカー氏によれば、高校生達はコンピューターのスクリーンを中心に学習を行う事にほとんど抵抗感が無いとの事で、ノートパソコン授業は今のところ成功しているようだ。

アンジェロスの話を最後にもう少し。今日の長電話は楽しかった。ありきたりな言い方だけど、本当に楽しかった。7年くらい前、アンジェロスや僕を入れた8人の悪友は、毎週末を一緒にカフェやクラブやパーティーで過ごしていた。20代半ばにボストンで見つけた第二の青春時代。シカゴやフィラデルフィアの病院で研修医として働いている奴もいれば、ニューヨークに移って国連本部で働く奴もいる。連絡だけは取り合っていても、全員で会うチャンスがなかなか無い事は、みんな知っている。僕がワシントンに来る少し前、2001年10月頃だったと思うけど、アンジェロスが「太鼓腹になる前に、みんなでもう一度会いたいな」と言ってた。今日の電話で聞いてみると、3年目に入った研修医生活でグルメに開眼したアンジェロスは、確実に体重が増えているんだとか。自分で言っといてからに…。でも、20年後に太鼓腹のオッサンだけでカンクーンあたりのビーチに集まるのも面白いかも。なんだか、ビーチボーイズの復活コンサートのようで。

子供のさり気ない一言、それは強烈なメガトンパンチ

2005-08-22 12:04:55 | スポーツ
久しぶりにゆっくりとした日曜日。朝、ジョン・キューザックの「ハイ・フィデリティ」を見ながら、日本から御土産で持ってきてもらったカステラを食べて、幸せな1日のスタート。「ハイ・フィデリティ」は僕の好きなニック・ホーンビーの小説がベースとなった映画で、シカゴの下町でマニア好みのロック系レコード店を経営する主人公と、同棲していたガールフレンドとの関係がコミカルに描かれている。ジョン・キューザックって、とりたててルックスが素晴らしい俳優ではないけれど、演技の上手さから生まれる自然体な雰囲気が、観客が彼に感情移入してしまう理由じゃないかなと思う。月刊誌「エスクワイア」がジュード・ロウを「ただのセルロイド俳優」と評した事があったのを覚えているけど、それって中々に的を得た表現で、僕も「カッコイイ」や「カワイイ」だけの役者さんには何の魅力も感じない。

今日のランチは自宅近くのカレー店で。この店は僕がいつも行くスーパーマーケットの向かい側にあって、パキスタン人の家族が毎日忙しそうに、店を切り盛りしている。この店の骨付きラム・カレーは、骨を自分で取り除く作業が苦じゃなければ、なかなかのもの。そのラム・カレーを期待して店に入ると、今日は羊ではなく、牛の日だったようで、少し辛目のビーフ・カレーを注文した(正直に告白しておくと、ビーフしかなかったんだけど)。店内には仕事中にランチを食べに来たパキスタン人のタクシー運転手も何人かおり、僕の知り合いのオッサンも日曜日唯一のメニューであるビーフ・カレーを食べていた。このオッサンとは以前にクリケットの勝負を約束していて(僕もオーストラリアの高校生時代、テニスボールでクリケットをしていた)、「お前が勝ったら、好きな所までタクシーで運んでやる」と今日も自信満々のコメント。もし僕が勝ったら?その時は、ここからアラスカのアンカレッジまでタクシーで行ってもらいます。

店にある唯一のテレビでは、パキスタンのテレビ番組が流れていた。普段はCNNなんかのニュース番組を流しているが、今日は店の客のほとんど(はっきり言えば、僕以外のみんな)がパキスタン出身者だったため、衛星放送で流れるGEOテレビのバラエティ番組をみんなが見入っていた。GEOテレビはパキスタンの衛星放送局だけど、パキスタン政府による報道規制などから逃れるために、本社はUAEのドバイにある。報道番組に力を入れつつも、GEOテレビはソープオペラ調のドラマも多く放送しているらしく、アメリカに住むパキスタン人の間でも人気があるんだとか。今日みんなが見ていたバラエティ番組というのが、番組の中で未来の嫁を探すという企画で、まぁ世界中どこにでもありそうな企画。言葉の全く分からない僕のオッサン達が通訳をしてくれた事もあって、これが意外に楽しめたんだなぁ。いよいよ盛り上がりも最高潮にと思った瞬間、隣の子供が、「こんな事しないで、インターネットで見つければいいのに…」と現実的な一言。子供の一言はいつでも恐ろしい。

米陸軍がイラク国内に駐留する約10万人の兵力をしばらく維持し続け、2009年まではイラクからの撤退を行わない可能性が浮上してきている。AP通信は20日、米陸軍のトップであるピーター・シューメーカー将軍にインタビューを行い、その中でシューメーカー将軍は陸軍が「予想できる最悪の事態全て」に対応する準備があると語っている。また、現在のイラク駐留陸軍兵力の規模が大きく変わることは無いとしながらも、将来的に兵士一人あたりのイラク駐留期間を縮小する可能性も示唆している。来年以降のイラク駐留米軍の規模を決定する話し合いはすでに行われており、シューメーカー将軍は近いうちに全ての決定が下されるだろうと語った。将軍によれば、ペンタゴン内ではすでに2007年から2009年までの駐留計画についての話し合いが行われているのだという。現在、イラクには2万5000名の海兵隊部隊を含む13万8000名の米軍兵士が駐留している。

複数のブッシュ政権高官やイラク駐留米軍の指揮官達は、イラク国内の治安状況が一定のレベルにまで回復した場合、来年から駐留米軍の規模縮小を行う用意があるとコメントしている。しかし、20日のシューメーカー発言は、これまで報じられてきた米軍撤退計画を真っ向から否定するものとなっている。ミズーリー州カンザスシティからワシントンDCに戻る間、機内でAP通信の取材に答えたシューメーカー将軍は、イラクの政治状況がどのくらいのスピードで安定化されるのかは分からないとしながらも、陸軍が武装勢力と数年間にわたって戦える準備はできていると語った。ブッシュ政権2期目は2009年1月に終了するが、ペンタゴンではブッシュ大統領がホワイトハウスを離れた後のイラク駐留米軍の活動計画もすでに話し合われているとの事だ。「我々は常に18ヶ月から2年先を考えながら、行動しています」、シューメーカー将軍はそうコメントしている。

すでに第101空挺師団と第4歩兵師団が来年からイラクに派兵される事が決定しており、イラク戦争初期に投入されたこの2つの部隊は再びイラクに戻る格好だ。また、予備役も次々にイラクへ送られており、最近もジョージアとペンシルバニアの州兵部隊が派兵されている。これでイラクに展開する州兵部隊の数は7旅団となり、イラク戦争が始まって以来、最も多くの州兵が派兵されている事になる。8月はイラクに展開する予備役の間で最も多くの死者が出ており、21日までに42名の死亡が確認されている。一部では予備役が十分な訓練を受けないままイラクに送られていると報じられているが、シューメーカー将軍は最近の報道を一蹴している。「予備役も十分な訓練を受けていると確信しています」、将軍はそう反論した。予備役は召集がかかれば一般の兵士と同じ訓練を受けるが、それまでは毎月1週間だけの訓練に参加するのみで、あとは夏に2週間の集中訓練の参加だけが義務付けられている。

全米プロフットボールリーグ(NFL)のサンフランシスコ・フォーティーナイナーズに所属するトーマス・ヘリオン選手は20日、デンバー・ブロンコスとの親善試合後にロッカールームで倒れ、そのまま死亡した。ヘリオン選手の突然の死はチームにも大きな動揺を与えているが、現在までに死因は特定されていない。23歳のヘリオン選手は試合後のミーティング中に倒れているが、試合が行われたデンバーの20日夜の気温は比較的涼しいものだった。倒れたヘリオン選手は、デンバー市内の病院に搬送される前にもロッカールームで心肺機能蘇生措置を受けたが、間も無く死亡している。「何が起こったのか全く分からない状態です。僕は自分のロッカーの前に座って、ただ彼の無事を祈る事しかできなかった」、チームメイトのマルケス・ダグラス選手はAP通信の取材にそう語った。

21日午後までに検視官からの報告は何も出ておらず、ヘリオン選手の死因は依然として不明のままだ。ヘリオン選手が倒れてからわずか3時間後、チーム側は彼の死亡を正式に確認している。NFLのグレッグ・アイエロ広報官も声明を発表し、機構側がフォーティナイナーズと連絡を取り合って、ヘリオン選手の死因解明に全力を注ぐと語った。NFLの選手が最後に死亡したケースは4年前にまでさかのぼり、当時ミネソタ・バイキングスのラインズマンだったコーリー・ストリンガー選手が練習中に熱中症で死亡している。ストリンガー選手が練習中に倒れた際、バイキングスが練習を行っていた地域の熱指数は摂氏44度近くにまで上昇していた。ストリンガー選手の死亡事故をうけて、NFLの各チームでは選手に熱中症対策のレクチャーを行ったり、夏場の練習メニューの変更に取り掛かっている。昨晩のデンバーの気温は摂氏19度(湿度は約50パーセント)だったが、複数の専門家によれば、涼しい天気でも熱中症は起こりうるのだという。

NFL選手の死亡事故は過去にも幾つか存在しており、バイキングスのストリンガー選手以外にも、1979年にはセントルイス・カージナルスのJ.V.ケイン選手が練習中に心臓発作で亡くなっている。また、1971年には、デトロイト・ライオンズのチャック・ヒューズ選手が、シカゴ・ベアーズとの試合中に心臓発作で死亡している。ヘリオン選手は身長188センチに体重が約140キロと、NFLのラインズマンとしては平均的な体つきであったが、一般医療で用いられる肥満度指数(BMIと呼ばれ、体重を身長の2乗で割ったもの)で計算すると、「深刻な肥満症」のカテゴリーに分類されるのだという。今のところ、ヘリオン選手の死因が肥満症と直接関係しているかどうかは定かではないが、専門家の1人は関連性が極めて高いと指摘している。「肥満症は突然死の原因になります」、ノース・カロライナ大学のジョイス・ハープ博士はAP通信の取材にそう語った。ハープ博士はNFL選手全員のBMIを測定した経験があり、その結果、ほぼ全ての選手が「肥満」に相当していた。 

ラジオのある番組で、少し前に地元ワシントン・ナショナルズの活躍を軽く触れたことがあった。メジャーリーグ球団が34年ぶりに首都ワシントンを本拠地に構えるという事で、シーズン開幕前から町の話題にはなっていた。バスケットボールのマイケル・ジョーダンがワシントンを離れてからというもの、この町で全国的に有名なアスリートの名前を挙げるのは、ブッシュ大統領がスペリング大会で優勝するよりも困難だと言われていた。けれども、シーズンが開幕すると、ナショナルズは順調に勝ち星を重ね、7月にはナショナル・リーグ東地区で首位の座にあったのだ。2年前には全く無名の選手だった抑えのチャド・コルデロは、今年夏のオールスター・ゲームにも選ばれている。まだ23歳のコルデロが生涯で最高かもしれないシーズン(今日の時点で、2勝3敗39セーブ。防御率は0.99)を楽しむ中、チームは4位にまで落ちてしまっている。ただ、2位とのゲーム差は僅かに1.5。レッドソックス・ファンの僕だけれど、ナショナルズがどれだけやれるか、気になってきたぜぃ。

2足の草鞋をはいたインディアン

2005-08-21 15:24:31 | テロリズム
金曜日、僕の姉がお茶の水女子大の先生と一緒に米国心理学会(APA)の総会で研究発表をした。どんな事をしているのか見てみたかったので、僕も金曜の朝に会場となっているコンベンション・センターまで行った。発表を行う場所は前日に聞いていたので、目的の場所まで行ってみたものの、そこに姉達の姿は無かった。それからすぐ、僕の携帯電話が鳴り、電話の相手は姉本人だった。どうも、僕が発表時間を1時間ばかり間違えていたらしく、すでに全て終わっていたのだ。「申し訳ないなぁ」と思いながらも、みんなと合流し、会場近くのレストランでランチをする事に。僕らはリーガル・シーフーズに入り、そこで姉達のメインイベントが無事に終了した事を、ニューイングランド名物のクラムチャウダースープとビールで祝ったのです。めでたし。ここのオイスター・フライ、何度食べても美味しいんだけど、フレンチフライの量がハンパではなく、ウェイターに「これ、多くない?」って聞いてみた。「それで腹一杯にさせるのが作戦だから」、彼は僕にそう耳打ちした。なるほどなぁ…。でも、オイスターは本当に美味しいので、機会があればトライしてみてくださいな。

ランチのあと、僕は少しだけ仕事に戻り、夕方になって再びみんなと合流した。国会議事堂近くに昨年オープンした国立アメリカン・インディアン博物館というのがあって、普段は夕方5時頃に閉館するが、この日は7時からAPA関係者の貸切となり、僕らもチケットを手に博物館を覗いてみる事にした。僕がアメリカ原住民に興味を持ったのは、ザ・ドアーズやダニエル・デイ・ルイスの映画の影響からではなく、アメリカに来てすぐの頃に読んだスポーツ記事がきっかけだった。1910年代にアメリカで最も有名なアスリートの1人にジム・ソープがいて、アイルランド系の父親とネイティブ・アメリカンの母親の間に生まれたソープは、野球(ニューヨーク・ジャイアンツ)とフットボール(当時オハイオ州にあったカントン・ブルドッグス)を掛け持ちでプレーした最初のプロ選手だった。昨日も感じたことだけど、アメリカに8年近くいるのに、恥ずかしながらアメリカ原住民についてほとんど知らない。近いうちに、博物館にもう一度行こうと、昨日の晩から考えている状態。

18日に国立公文書館のウェブサイトに掲載された文書によれば、アフガニスタンのタリバン政府は1998年に米国務省の代表者らと秘密会談を行い、当時すでにアフガニスタン国内に潜伏していたオサマ・ビン・ラディン氏の暗殺や国外追放について協議が重ねられた模様だ。ウェブ上で公開された文書は国務所内で作成されており、ケニアとタンザニアで発生した連続爆破テロ事件の首謀者とされるビン・ラディン氏の処遇をめぐって、アメリカとタリバンは911同時多発テロ発生の3年前からすでに外交活動を展開していた事実が明らかになった。公開された文書では、当時パキスタンの米大使館で要職にあったアラン・イーストハム氏とタリバン最高指導者ムラー・オマルの側近ワキール・アーメッド氏が、1998年の11月と12月に会談を行っており、アフリカの米大使館で200人以上の死者を出した連続爆破テロから数ヵ月後の事だった。

1998年12月19日に行われた会談では、タリバン側がビン・ラディン氏の大使館爆破テロ事件関与に驚きを隠せない様子が記録されており、アーメッド氏も「彼がこんな事をするなんて、今でも信じられません」と語っている。アーメッド氏はイーストハム氏に対し、アメリカ側のビン・ラディンに対する懸念をオマル師と話し合ったと語っているが、タリバンは最終的にビン・ラディン氏のテロ事件関与は無かったと判断したようだ。しかし、これより以前の1998年11月28日に行われた会談では、アーメッド氏がアメリカ側に対し、アメリカによるビン・ラディン氏暗殺のシナリオにタリバンが協力する事も可能だとの申し出を行っている。アーメッド氏は、米軍が巡航ミサイルを使用するなら、ビン・ラディン氏を特定の場所に連れ出せるだろうとも語っている。しかし、イスラム戦士の象徴的存在として迎え入れたビン・ラディン氏をアフガニスタンから追放するアイデアについては、タリバンの支持基盤が大幅に揺らぐ可能性があるとして、実行に移そうとはしなかったようだ。

秘密会談が行われる前、クリントン政権はアフガニスタン国内のアルカイダ訓練施設に巡航ミサイルを発射し、これによって22人が死亡している。犠牲者の中には多くの民間人も含まれていた。アーメッド氏はアメリカの軍事行動に怒りを隠せず、イーストハム氏との会談の中で、「あなた方はビン・ラディンを人殺しと言うが、アメリカの軍事行動はどうなんだ?これは犯罪ではないとでも言うのか?」と激しく抗議している。今回の国務省文書はアメリカとタリバンとの秘密交渉の内容を要約したもので、ワシントン以外にもパキスタンやエジプト、サウジアラビアなどで勤務する米政府高官に電信で送られていた。別の国務省電信(1998年10月)によれば、アメリカ政府はタリバンによるビン・ラディン氏引渡しをサウジアラビア経由で実施する事を強く希望していた。タリバン側がビン・ラディン氏の「無実」にこだわったため、秘密会談は物別れに終わってしまった。しかし、1998年の段階で、これまで伝えられてきた「人権侵害」ではなく、ビン・ラディンの存在が米政府にとってアフガニスタン問題の最重要課題に位置づけてられていたのは確かだ。

国内第4位のノースウエスト航空の整備士達が20日からストを開始したが、同航空会社のハブ空港として知られるデトロイト・メトロポリタン空港では、すでに2件の旅客機トラブルが発生している。210便が空港の滑走路に着陸した際、車輪タイヤの4つが破裂している。また、デトロイトからピッツバーグに向かって飛行中の1412便は、客室内で煙が出たとの報告から、離陸から数時間後にデトロイトに緊急着陸した。ノースウエスト航空によれば、デトロイトで発生した2つの事故で、怪我人などの報告は入っていないとの事。ノースウエスト航空は19日にもグアム国際空港で旅客機が着陸時に軽い接触事故を起こしており、日本人を含む3人が怪我を負っている。

全米航空整備士友愛会(AMFA)に所属するノースウエスト航空の整備士達は20日からストに突入しており、今回のストはノースウエスト航空側が計画する賃金カットやレイオフが原因となっており、ストライキに参加した整備士達は経営側の合理化プランに激しく反対している。アメリカ国内の航空業界では7年ぶりになる本格的なストライキだが、各空港でのメンテナンス業務は代替スタッフによって行われている。1998年にノースウエスト航空のパイロット達によって行われたストは20日間に及んでいる。今回のストは整備士達だけで実施されており、パイロットや客室乗務員らは参加していない。また、関連会社のメサバ航空でも、ノースウエスト航空の整備士に共感した一部従業員の間でストが計画されていたが、連邦裁判所によって却下されている。

労働組合と経営者側との話し合いは19日夜まで続けられたが、労働組合の調停役を務めるジム・ヤング氏がAP通信に語ったところでは、整備士達は「たとえノースウエスト航空が破産する恐れがあっても、会社側の要求に納得はできない」との主張を変えることは無かったのだという。AMFAにはノースウエスト航空勤務の整備士や清掃作業員ら合わせて4427人が加盟しており、これはノースウエストの従業員全体の約11パーセントに及ぶ。整備士の平均年収は約7万ドルで、清掃作業員は約4万ドルとなっている。経営難に苦しむノースウエスト航空は、整備士や清掃作業員の給与を25パーセント減らしたい意向を明らかにしており、これによって年間1億7000万ドルの経費削減が期待されている。しかし、整備・清掃部門は2001年にそれまでの半分の規模に縮小されており、さらに半分のサイズへの縮小に反発の声も多い。

午前中に姉達がワシントンを離れた。学会で来ていたため、わずかに4泊5日の短い日程だったけれど、久しぶりに家族とゆっくり話ができた事もあり、僕にとっては本当に楽しい1週間だった。姉達を空港に送ったあと、今日は1週間ぶりに部屋の掃除に取り掛かった。普段も、毎週土曜日が掃除デーになっているものの、今週はバタバタとしていたためか、掃除に気合を入れなきゃダメな状態に。リビングルームの机にはニュース原稿や新聞が散乱し、寝室の床は脱ぎ捨てたTシャツや靴下が文字通り積もった状態になっていた。掃除を済ませ、洗濯物を乾燥機に入れると、僕はそのまま友人らとコーヒーを飲みに近くまで出かけた。その時、近くの大型書店で新しい本を購入。「How Soccer Explains the World」は保守系雑誌「ザ・ニュー・リパブリック」のフランクリン・フォー編集主任による、サッカーを社会学的に見つめた1冊だ。僕は彼の雑誌を好きになれないけれど、この本には強い関心を持っている。サッカーと社会学をテーマにした本、ヨーロッパや南米では星の数ほどあるものの、アメリカ人によって書かれた物は極めて少ないからだ。ワシントン・ポスト紙のスティーブン・ゴフが僕に前に話していたように、サッカーをめぐる環境は確実に変わってきているのかもしれない。

に始まった事じゃぁ無いけれど、真夏ということもあってなのか、Tシャツを着てる女の子の二の腕には漢字のタトゥーが目立つ。単純な線だとか、チェ・ゲバラの顔なんかではなく、去年の夏あたりから漢字タトゥーが本当に多くなってきている。昨年5月にボストンに戻った時、久しぶりにダウンタウンでアメリカ人の友人と再会すると、彼女は開口一番、「漢字のタトゥーをいれたの」と言い出した。真昼間のダウンタウンで、ジーンズの後ろ側、ちょうど腰の下あたりに彫られたタトゥーには、「一号」という意味不明の文字が。「いい感じだね」と言ってみたものの、中国製ロボットの製造番号にしか見えなかったのも事実…。「愛」とか「友情」みたいなオーソドックスなタトゥーが多いんだろうけど、中には漢文そのものがモチーフの場合も。「漢字なら何でもいいや」と、その言葉の意味も調べずにタトゥーを入れてしまうケースも結構あるそうで、「肉野菜炒め:広東風」という中国語を「ラブ・アンド・ピース」という意味だと信じきってタトゥーにした奴が本当にいるような気がしてきた。

名前変更マニアとネーミング・ライツ

2005-08-19 16:20:46 | 医療・健康
NBCで深夜に放送されているコナン・オブライエンのトークショー、1997年頃にドイツの衛星放送で見て依頼、かなりハマッてしまい、98年にアメリカに来てからもよく見るテレビ番組の1つだ。ボストン近郊のブルックラインで生まれ、地元ハーバード大学をマグナ・カム・ラウディ(全体で2番目に優秀な生徒に送られる称号)で卒業したオブライエンは、93年からNBCの深夜トークショーのホストをしている。学生時代にはコメディ雑誌「ハーバード・ランプーン」のライターも務めていた。そんなオブライエンが2009年から、同じくNBCの人気トーク番組のホストであり僕の学校の先輩でもあるジェイ・レノの番組を引き継ぐ事が決まった。「ガザ地区でユダヤ人入植者の追い出し作業が今日も続いてるけれど、ユダヤ人居住者が全ていなくなったあとには、きっとガザからユタ州へと名前が変わるんだろうね…」、オブライエン独特のウィットは今も健在だけど、出演時間が1時間早まる2009年以降も、こういったユーモアは無くさないでほしい。

ニューヨーク市周辺における心臓病での死亡率は、全国平均をはるかに上回っており、その原因は現在もはっきりと解明はされていない。アメリカでは低所得者の間で心臓病の発生率がより高まるという定説が根付いて長いが、ニューヨーク市近郊のナサウ郡は住民の平均所得が全米で最高ランクにあるにもかかわらず、心臓病による死亡率は全国基準よりも20パーセント高くなっている。心臓病による死亡率の高さはニュージャージー州の一部でも見られ、ニューヨーク市周辺のほとんどの場所では、南部やアパラチア地方の田舎町とほぼ同じ死亡率となっている。この数字をめぐり、医療関係者の間では「なぜニューヨークだけが?」という疑問が浮上し、これまでにも様々なセオリーが出ては消えていく状態だった。大都会特有の強烈なストレスや運動時間の少なさなどが理由として挙げられる事もあったが、最近になって別の新説が注目されている。

複数の医療関係者が唱え始めた新説は、医者が微妙に見解の分かれる死因を心臓病と一括して扱ってしまうため、実際の心臓病が原因による死亡数よりも高い数字が出ているのではというものだ。この説に異論を唱える医師達も少なくないが、原因追求の手がかりが全く見出されないため、ニューヨーク市保険局は疾病対策予防センター(CDC)に調査チームの派遣を依頼している。長年にわたって、ニューヨーク州の心臓病発生率は全国でもトップランクに位置しており、ニューヨーク州立大学オルバニー校の疫学者達はニューヨーク市の特殊な環境が心臓病発生の大きな原因になっているのではという仮説を打ち立てたものの、発生率が市内より低い郊外の住宅地などでも全米42州の平均データよりもはるかに高い数字が出ており、この説は打ち消された。マンハッタン周辺にあるブルックリンやクイーンズ、スタテン島では、それぞれ人口1万人につき300人以上が心臓病で死亡する計算となり、これは全国平均の253人をはるかに超えたものだ。

スタテン島の住民の平均年収は全国的にも高いレベルにあり、貧困層は極めて少ないが、心臓病での死亡率は全米で最も貧しい地域であるサウス・ダコタ州パイン・リッジ・インディアン保護区とほぼ同じ数字だ。また、ナサウやサフォークといった郊外の高級住宅地でも、心臓病発生率は人口1万人につき300人以上となっている。ワシントンDC郊外の住宅地では、この数字が200人以下にまで減少する。アラバマ大学バーミンガム校のジョージ・ハワード博士は、国立衛生研究所の援助を受けて、この心臓病発生率ミステリーの解明に乗り出している。博士の調査では、全米で3万人を対象に血液・コレステロール検査や心理テストが実施され、ニューヨークやニュージャージーの住民も調査対象となっている。2004年から始まった調査は、今年の末には結果が出始める見込みで、ニューヨークにおける心臓病発生率の高さの秘密が明らかにされるかもしれない。

ヒップホップ界の大御所P.ディディ、このたび何度目かの芸名変更を行い、新しい名前はディディとなったらしい。芸能レポーターのインタビューに答えたディディは、「いよいよディディの時代に突入する。新時代ってやつだね」と、僕のような凡人には到底理解ができないコメントを残している。随分前に日本のパフィーがアメリカ進出を開始した際、コロコロとかわるこのオッサンの名前のせいで、日本とは違うグループ名を使わなければならなかったと聞いたことがある。ショーン・コムス(本名)、パフィー、パフ・ダディ、P.ディディ、そして今回のディディ…。もし、アメリカ進出を考えている「ディディ」というバンドがあるとすれば、2~3年は我慢した方がいいかもしれない。きっと、そのうちにディディから別の名前にかわるだろうから。名前でもう1つだけ言わせてもらうと、競技場のネーミング・ライツも凄いですよなぁ。プロサッカーチームのFCダラスのホームグラウンドなんか、ピザ・ハット・パークですからね。近い将来、全国高校野球大会が「吉野家パーク」で行われても、僕はもう驚かない。