IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

パッセンジャー57を堪能した夏

2006-10-18 15:07:44 | エンターテーメント・カルチャー
アクション俳優のウェスリー・スナイプスに逮捕状が発行されたそうで、偽の税金還付請求を送り続けて、約1200万ドルを手にしていたらしい。スナイプスといえば、僕が高校生の頃に「ニュージャック・シティ」や「ホワイト・メン・キャント・ジャンプ」、そして「パッセンジャー57」といったヒット作品に出演していて、特に「パッセンジャー57」はオーストラリアの田舎町で1週間のうちに4回も見てしまったため(地元の映画館でこれしか上映してなかったので)、なぜか今でもストーリーの詳細をはっきりと覚えている。最近では「ブレイド」というシリーズ物のアクション映画に出演していたけれど、今年に入ってからロシアやルーマニアで撮影した低予算Vシネマに何本か出演していたため、「仕事に困っていたのかな?」と老婆心ながら心配していたのだ。有罪の場合、最高で懲役16年が科せられるそうで、今後の展開が少し気になってしまうんだけど、とにかく無罪を証明してもらいたいものだ。さてさて、今日は歌手のマドンナがアフリカのマラウィで行った養子縁組と、それが引き起こした騒動にまつわるニュースを。

米英のセレブの間でアフリカへの関心が高まっている。U2のボノは1985年に行われたエチオピア飢餓救済コンサート「ライブ・エイド」に参加して以来、アフリカの貧困問題を解決するために精力的に動いており、2005年に行われたG8サミットではアフリカ諸国に総額で500億ドルにおよぶ援助を取り付けている。人気俳優のジョージ・クルーニーはスーダン西部ダルフールで現在も続く大量虐殺をストップさせようとする運動で中心的な役割を演じており、昨年4月にはワシントンDCで有力議員らとともに「ダールフールを救え」と題した集会を開いている。ボノやクルーニーに加えて、最近ではアフリカ諸国で深刻化するエイズ問題に関心を示す俳優や女優が少なくなく、アンジェリナ・ジョリーは昨年7月にエチオピアで生後6ヶ月の女児を養子として迎え入れた。この女児は両親がエイズに感染していたため、生まれてからすぐに孤児院で育てられていた。

今月12日にもアメリカ出身の人気歌手マドンナがアフリカ南部のマラウイで1歳の男児を養子にしたが、その手続きをめぐって「有名人の身勝手な行動」といった批判が国内外で噴出している。マドンナは夫で映画監督のガイ・リッチー氏とともに、エイズ孤児のためのチャリティー・イベントでマラウィに1週間ほど滞在しており、マラウィの高等裁判所は夫妻の滞在中に養子縁組を認める判決を出している。マドンナの養子となった1歳のデービッド・バンダ君は、母親が出産直後に死亡し、父親もエイズのために余命僅かという状態だった。バンダ君は関係者らとともに17日にロンドンに到着し、マドンナの邸宅で夫妻と再会を果たしている。マラウィの法律では養子縁組の希望者は同国に約1年間滞在する事が義務付けられており、その間に政府職員によって子供を育てる能力の有無が調査される仕組みだった。しかし、マドンナ夫妻の養子縁組では、高等裁判所が特例を認めてしまい、人権団体などからは「子供の権利が蔑にされている」といった批判が噴出している。

国内外での批判を受けて、マドンナは17日に声明を発表しており、「今回の養子縁組はマラウィの法律に沿って行われたものであり、一連の報道は全く正確性を欠いたものである」と主張している。声明の中でマドンナは、夫のガイ・リッチー氏と共にマラウィを訪れる数ヶ月前から養子縁組の準備を開始していたと説明し、プライベートな問題であったために公表を避けてきたのだと語った。「マラウィだけで100万人以上の孤児が生活している実態を知ってから、たとえ1人の子供でも貧困から救おうと、我が家を開放することを決めたのです。今回の決断は決して安易なものではありませんでした」。マドンナは声明でそう語っている。手続きの面で議論を呼んだ今回の養子縁組だが、養子縁組そのものが大きなニュースとして報じられたため、エイズの蔓延によって数百万人の子供が孤児となっているアフリカの現状に世界が目を向けるきっかけとなるかもしれないと期待する声もある。

日本ほどじゃないけれど、アメリカでも以外と毎日の通勤に多くの時間を費やす人が少なくない。17日のロイター通信によると、最近になって政府系の交通調査委員会が実施した調査で、毎日の通勤に1時間以上を費やす人の割合が、1990年から2000年までの10年で50パーセントも増加していたことが分かった。また、以前にも増して、多くのアメリカ人が午前5時から6時半までの間に自宅から会社へと出発している実体も明らかになっている。やはり、より多くのアメリカ人が都市部ではなく郊外に移り住むようになった最近のトレンドが、この通勤時間増加の原因となっているらしい。この記事を読んで思いだしたのが、今年春にワシントン・ポスト・ラジオのニュース・エディターと話をした時のこと。アメリカ人の大部分が自動車で通勤しているため、通勤時間が長引くほど、早朝や夕方のラジオ番組を聞いてくれる人の数が増え、ラジオ局としてはありがたい事らしい。たしかに、僕の周囲でも夜6時代のニュースをテレビではなくラジオで聞く人が少なくない。自分がラジオの仕事に携わっているため、日本でもそんな車社会が本格的に到来しないものかと、淡い期待を抱いたのでした。


写真;今年3月にニューヨークで撮影されたウェスリー・スナイプスの写真 (ロイター通信より)


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