IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

ラリー・キングの苛立ち

2006-10-17 15:08:03 | ビジネス
CNNの名物番組に「ラリー・キング・ライブ」というインタビュー番組があって、ほぼ毎日放送されているこの番組は、ホストのラリー・キングがスタジオに「旬の人」を招いて、1時間にわたって様々な質問をするという内容だ。アメリカのテレビにはこういったゲストへのインタビューやトークを売り物にする番組が多いけれど、この「ラリー・キング・ライブ」は旬なゲストをいつでも呼べるという点で、「オプラ・ウィンフリー・ショー」と並んで横綱的な位置に君臨している。ちなみに、大関級となると、ジョン・スチュワート、ジェイ・レノ、そしてデービッド・レターマンの3人がしのぎを削る状態だ。話が長くなったけど、16日の番組内でラリー・キングにスタジオで1時間ほどインタビューを受けたのが、ジョンベネちゃん殺害事件で一躍時の人となったジョン・マーク・カー元容疑者だった。「なぜこの時期に?」という疑問と、「よくブッキングできたなぁ」と半ば感動したような気持ちが交錯しながら、とりあえず番組を見ることにした。結論を言うと、カー容疑者は弁護士という単語を何度か使って、肝心な事を最後まで一切話さず、スリに有り金を全部取られたような気分になってしまった。やっぱり弁護士が絡むと、質問らしい質問もできない。それが今日の番組で得た教訓でした…。さてさて、今日は以前のブログでも少し紹介した、テキサス州の公立学校で生徒を対象にした護身術レクチャーが始まったというニュースを。

テキサス州フォートワース郊外のバールソンという町では、地元の学区にある全ての公立学校で生徒を対象にした護身術の訓練がスタートしている。13日付のAP通信によると、訓練ではコロンバイン高校銃撃事件などを想定して、生徒達に手足だけではなくペンやベルトなどを使って侵入者と闘う方法もレクチャーされ、インストラクターにはイギリス軍の予備役少佐も名を連ねている。「机の下に隠れて、プロの助けを祈っているだけではダメなのです」。バールソンの公立学校で護身術のレクチャーを行うレスポンス・オプションズ社のロビン・ブラウン氏はそう語る。ブラウン氏はイギリス陸軍の予備役少佐でもある。学校で生徒を対象にした、外部侵入者に対する護身術のレクチャーは全米の高校でも前例が無く、こういったレクチャーによって生徒間の暴力が増え、怪我人や死者が出る可能性を懸念する声も少なくない。

こういった批判に対して、バールソンの教育関係者らはコロンバイン高校で発生した事件で護身術の必要性を感じ、最近ペンシルバニア州のアーミッシュ学校で発生した銃撃事件が護身術レクチャーを導入するきっかけになったと語っている。バールソンには10校の公立学校があり、そこで学ぶ8500人の生徒がレクチャーを受ける予定だ。レクチャーでは護身術に加えて、トルネードや火災といった災害時における行動も含まれており、学生はベルトや靴ひもを止血帯として使用する方法などを学ぶ予定だ。そして、銃を持った侵入者に対する護身術訓練では、生徒と教師が教室内で銃をかまえる侵入者役の手足を押さえつける方法がレクチャーされ、前出のブラウン氏は「鉛筆や紙袋といった教室内にある日常的な物が、緊急時には有効な武器にもなるのです」と生徒らに対して指導している。

武器を持った侵入者らに対する護身術は、2001年9月に発生した同時多発テロ事件後に注目され始めた。ハイジャックされたユナイテッド航空93便の機内で乗客や乗務員らがハイジャック犯達に対して攻撃を仕掛ける様子がニュースや映画で紹介され、「おとなしくしていれば、怪我をすることは無い」という発想から、「自分の身は自分で守らなければならない」という考えへとシフトチェンジし始めたのだ。1998年にはオレゴン州にある高校のカフェテリアで、十代の少年が突然銃を乱射し始め、22人が死傷する事件が発生している。この事件では、同じ高校のレスリング部に所属していた17歳の男子生徒が犯人にタックルを行い、胸に銃弾を受けながら犯人を取り押さえた事が大きなニュースとして報じられた。護身術が犯罪被害を最小限に抑える効果を持つとする主張がある一方、非営利団体「全米学校安全センター」のヒルダ・ケイロス氏は「将来的にトラブルが発生するのは必至」と警鐘を鳴らしている。「もしも犯人と格闘中に生徒が死亡した場合、その責任問題はより複雑なものとなるでしょう」。ケイロス氏はAP通信の取材に対し、そうコメントしている。

月曜日午後に入ってきた野球関係のニュースに少しビックリしてしまった。ア・リーグ優勝決定戦でデトロイト・タイガースに敗れたオークランド・アスレチックスが、2003年から指揮を執っていたケン・モッカ監督を解任した。モッカ監督といえば、僕らの世代には懐かしい名前でもあり、1982年から4シーズンにわたって中日ドラゴンズでプレーしていた。1997年にはレッドソックス傘下の3Aポータケット・レッドソックスでも指揮を執っていたモッカ監督、今回アスレチックスから解任された理由というのが選手とのコミュニケーション不足だったようで、サンフランシスコ・クロニクル紙などは何人もの選手が監督と口を聞かない状態であったと報じている。僕はモッカ監督が若い選手の多いチームをうまくまとめ上げて、ポストシーズンの常連になるまで鍛え上げたというイメージを持っていたんだけど、たしかに問題はあったようだ。メディアの取材に対し、怪我でプレーできない選手達を「存在しない人間」と呼んだりし、選手間で不満が募っていたのだという。また、どこかのチームで彼が指揮を執る姿を見てみたいんだけどなぁ。


写真:16日にCNNで放送された「ラリー・キング・ライブ」に出演したジョン・マーク・カー元容疑者 (AP通信より)


最新の画像もっと見る