IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

東京から戻ってきました

2006-05-27 16:15:52 | Weblog
2日前に東京から大阪に戻ってきました。東京では滞在最後の夜に大雨に見舞われ、雨の降っていた時間帯、僕は六本木ヒルズの33階にいたんだけど、数秒おきのカミナリをずっとネオンサインと勘違いしていたほどだった。なんでも練馬の方では冠水も発生したらしい。とにかく天気予報が全く信用できず、最近は折りたたみ式のカサを常に持ち歩いてます。これから約10日間、大阪で少しだけゆっくりと過ごします。明日は頑張ってブログを更新するつもりなので、またのぞいてみてください。

帰ってきました、そしてオヤスミ

2006-05-17 21:21:47 | Weblog
16日夜に日本に帰国し、雨の降り続く関西での1日目を満喫。明日は朝が少し早いため、これから寝ます。これから5時間ほど睡眠をとり、欧州チャンピオンズリーグ決勝戦(アーセナル対バルセロナ)をライブ観戦し(地上波での放送!グラッシャス、フジTV)、その足で仕事に向かいます。明日にでもゆっくりとブログを更新しようと考えているので、取りあえず今日はおやすみなさい。

マイナー選手の野球カード、7500ドルで落札

2006-05-13 15:02:39 | スポーツ
来週月曜日に日本へ一時帰国するため、今週は何かとバタバタした1週間だった。週末は友人と会ったり(まだ始まってもいないワールドカップの話を延々としたり)したいので、できる限り仕事を金曜日までに片付けておこうと頑張っていたのだ。夕方、原稿を書き終えてちょっとした達成感に浸っていた頃、投資銀行で働く友人から電話があった。「実はな、転職しようかと思ってるんだ」、いきなり電話でそう言われ、とりあえずコーヒーを飲みに行く事にした。週末に結婚記念日という話も聞いていたので、家の近所で彼と彼の奥さんにちょっとしたギフトを買い、それから彼とコーヒーショップで合流した。僕は投資銀行の事はよく分からないけど、話を簡単にまとめると、彼のもとには3社からオファーが来ているらしい。ワシントンDC近郊、デンバー、シャーロットから近いうちに選ばなくてはいけないんだけど(本当に転職するなら)、全てを総合するとシャーロットが一番いいオファーらしい。「でも、田舎はイヤだしね…」、シャーロットはそこそこ大きな町だけど、長い間マンハッタンで働いてきた彼には違和感があるらしい。僕はシャーロットに行った事が一度だけあるけど、そんなに悪い気はしなかったけどなぁ。さてさて、今日はベースボールカードに関するニュースを。

カンザスシティ・ロイヤルズの2Aで活躍する選手のベースボールカードが高額で取引され、メジャーリーグ出場経験の無いこの選手は戸惑いを隠せない様子だ。アメリカ国内におけるベースボールカードの歴史は古く、1860年代後半にはすでに野球チームを題材にしたカードが作成されており、1886年になるとタバコのオマケとして選手のカードが付いてくるようになった。希少価値のあるカードはコレクターの間で高額取引されており、20世紀初頭にピッツバーグ・パイレーツで活躍した名遊撃手ホーナス・ワグナーのカードは(1909年に製造されたもの)、数年前に120万ドルの値がついて話題となった。しかし、今回インターネット・オークションで7500ドルで落札されたカードのモデルとなったアレックス・ゴードン選手は現在まで一度もメジャーリーグでのプレー経験が無い。

ゴードン選手のカードを製作したトップス社は、「誤って」同選手をモデルにしたカードの印刷を行い、最近になってカードの回収を実施したが、すでに100枚以上が市場に流れていた。「これってクレイジーだね。今からトップス社に電話でもかけて、僕にもカードを1枚分けてもらえるか聞いてみないと」、ゴードン選手はAP通信の取材に対してそう語っている。毎シーズン、多くのメジャーリーガーをモデルにしたカードが発売されているが、メジャーリーグ選手会の規定により、マイナー経験しかないゴードン選手のカードを販売する事は禁止されていた。ネブラスカ大学のスタープレイヤーとして大学野球で活躍したゴードン選手は、昨年行われたドラフトでロイヤルズから全体2位で指名されている。メジャリーグ選手会が定めたルールでは、ベースボールカードのモデルとして認められている選手は、その年の開幕ロースター25名に入った者か、前年度にメジャーで最低1試合プレーしたものに限られている。

トップス社はゴードン選手が今シーズンの開幕戦からメジャーでプレーすると確信していたため、迷うことなく同選手のベースボールカードを製作した。しかし、ゴードン選手はシーズン開幕から現在に至るまで、2Aのウイチタでプレーを続けている(5月11日現在、3割1分の打率と7本のホームランを記録している)。「ゴードン選手が開幕ロースター入りは確実だと思っていたのですが」、トップス社のクレイ・ルラスキ広報はそう語り、4月の時点でカードを処分した事を明らかにした。しかし、約百枚のカードがすでに市場に出回り、偶然にもゴードン選手がプレーするカンザス州ウイチタの大型量販店で何枚ものカードが発見されている。ウイチタ在住のジェレミー・トラウトマンさんはベースボールカードを600箱購入しており(1箱に36パック、360枚のカードがある)、最初の100箱を開けた時点でゴードン選手のカードを5枚入手している。トラウトマンさんは1箱10ドルのベースボールカード・セットをネットオークションで30~40ドルで販売し、すでに100箱を売りさばいた。また、別のオークションではカード1枚が7500ドルで落札されているが、落札者の名前などは明らかにされていない。

明日はRFKスタジアムでDCユナイテッドの試合を観戦予定。天気予報では雷雨の可能性ありとの事だけど、日本に戻る前にもう一度だけワールド・カップのアメリカ代表メンバーに選出されたベン・オルセンの勇姿を見ておこうと思ったので。明日の夕方、車で迎えに来てくれるイタリア人の友人から電話があったようで、留守番電話にメッセージが残っていた。最初に明日の予定の確認が数秒ほど。そこからしばらくは、彼が子供の頃から応援しているユベントスにまつわるスキャンダルの話が何度も繰り返された。日本でも報じられたかもしれないけど、ユベントスのルチアーノ・モッジGMがイタリアサッカー協会の審判に圧力をかけ、リーグ戦でユベントスびいきの主審を起用するよう求めていたという話だ。この話は現在のイタリア代表メンバーの選出にも絡んでいて(モッジの家族に代理人がいて、彼と契約を結んだ選手たちを半ば強引に代表入りさせようと、圧力があったとイタリア各紙は報じている)、凄く長い話になってしまうんだけど、イタリアではすでに司法当局が動き出していて、久しぶりに大きなスキャンダルに発展する可能性もある。80年代初頭の再来になるのだろうか?

写真:ネット・オークションで7500ドルの値がついたアレックス・ゴードン選手のカード (AP通信より)

煙とナントカは国境をも越える

2006-05-12 14:34:13 | 政治
11日のヤンキース戦を5-3で勝利したレッドソックスは貯金を8に増やして、明日から本拠地フェンウェイパークでテキサス・レンジャーズとの3連戦に入る。クローザーのジョナサン・パペルボンも13セーブ目を記録し、試合を途中からテレビ観戦した僕も嬉しいのは嬉しいんだけど、ヤンキースの松井秀喜選手が1回表に負傷退場したというニュースを聞いて血の引く思いに駆られた。ESPNの中継では試合途中に何度か松井選手が負傷したシーンが繰り返し流され、レフトフライの捕球時に左手首を骨折した瞬間は、テレビの映像からもその痛みが伝わってきそうなほどだった。試合後にESPNで放送されたスポーツニュースは、松井選手の復帰まで約3ヶ月ほどかかるだろうと報じており、連続出場記録が負傷で途切れてしまったニュースも大きく扱われていた。「レッドソックス・キラー」としても知られる松井選手のいないヤンキース戦は面白さも半減するわけだから、一日も早い回復を心から願います。さて、今日は以前から問題になっているアメリカ国内での盗聴問題で新たな報道があったので、そのニュースを。

USAトゥディ紙は11日、国家安全保障局(NSA)が米大手通信会社3社に対し、テロ対策用データベースを作成する目的で、数千万人に及ぶアメリカ市民の通話記録を提示するよう求めていたと報じた。NSAによる通話記録の収集は2001年9月の同時多発テロ事件直後から開始され、秘密裏に行われた作業の結果、これまでに数十億件もの記録が集められた模様だ。関係者がUSAトゥディに語ったところによると、通話記録の提示に協力したのはAT&T、ベライゾン、ベルサウスの3社で、対象となった数千万のアメリカ市民のほとんどがテロ活動とは無縁だったのだという。NSAは別の通信大手クエスト社にも通話記録の提示を要請していたが、頑なに拒否されている。複数の情報筋によると、NSAによる一連の通話記録収集では、アメリカ市民への盗聴や通話の録音は行われておらず、あくまでも市民の通話パターンを検証するのが目的だったようだ。

「おそらく世界で最も規模の大きなデータベースでしょうね」、関係者の1人は匿名を条件にUSAトゥディ紙にそう語っている。この人物によると、NSAの最終的な目標は国内の通話記録全てのデータベース化であるとの事だ。ワシントンではブッシュ大統領が8日にマイケル・へイデン国家情報局副長官を次期CIA長官に指名したが、へイデン副長官は1999年3月から2005年4月までNSA長官を務めており、新CIA長官の承認を得る際に影響が出るのは必至だ。ブッシュ大統領は昨年、アメリカ在住で「テロリストとの結びつきが考えられる」人物に対し、裁判所からの令状無しで盗聴活動などを行えるよう承認したと語っている。しかし、これはアメリカと海外との間で行われる通信のみが対象とされていた。11日に明らかになったNSAによる通話記録収集作業では、アメリカ国内のみで行われた電話もデータベースに組み込まれていると報じられており、裁判所令状が出されないまま作業は行われていた。

NSAによる秘密データベースの存在が11日のUSAトゥディ紙によって報じられると、ワシントンの連邦議会では民主・共和両党からブッシュ政権に対して激しい批判が噴出している。ブッシュ大統領は11日、記者団に対してアメリカ人のプライバシーはしっかりと保護されていると語ったが、USAトゥディ紙の報道の真偽に関しては何も語らなかった。11日のUSAトゥディ紙は、NSAによるデータ収集の対象となったアメリカ人が数千万から最大で2億人存在する可能性があると報じており、上院司法委員会に所属する民主党のパトリック・リーヒー議員(バーモント州)はショックを隠せない様子だ。「政府はわれわれの物であり、ある特定の政党のものではありません。アメリカ政府なのですよ。絶大な権力を手にした者は、アメリカ国民に対して今何が行われているかを説明する義務があります」、リーヒー議員はそう語っている。データ収集自体が違法と判断される可能性は低いが、テロとは明らかに無縁な多くの一般市民の通話記録が収集されていたと国内メディアが報じたことで、政権の支持率低下が加速するとの指摘もある。

普段はあまりコーラーを飲まないんだけど、今月初めに友人の家で飲んだ「コカコーラ・ブラック」の味が妙に気に入ってしまい、今週に入ってからは毎日必ず一本は口にしている。この新製品の名前だけを聞くと、「コカコーラやダイエット・コークと何が違うの」と考えてしまうけれど、味は全然違うんです。実はこのコカコーラ・ブラック、コーラとコーヒーをミックスさせたもので、飲んだ後に口の中でエスプレッソ風味が漂うという摩訶不思議な一品。もともとはヨーロッパのみで販売されていたんだけど、最近になってアメリカでも売られ始めている。友人宅でブラックを初めて飲んだあと、僕ら3人の頭の中ではほぼ同時にあるアイデアが浮かんだ-「これやったら自分で作れるやんか」。さっそくコンドミニアムのキッチンで実験を開始。コーヒーメーカーでラバッツアの濃い目のコーヒーをつくり、冷蔵庫からペットボトルに残っていたペプシ・コーラーを取り出す。「調合の割合が大切だと思う」、友人の1人がさぞ知ったかのような口ぶりでそう言った。何度も調合実験を繰り返すも、コカコーラ・ブラックのような爽快感は得られない。結局、ペプシではダメという結論で3人は納得した(科学的根拠は無いですよ、もちろん)。そのうち友人の奥さんも買物から帰ってきて、コーヒーとコーラを真剣な眼差しで調合する3人を見て呆れ顔。その日彼女の口から出た名言「アホに国境は無い」はまんざらでも無いと思う。


写真:ワシントンで11日、USAトゥディ紙の報道に関して語るブッシュ大統領 (AP通信より) 

いつの日か、監督として

2006-05-10 15:10:02 | ビジネス
ようやく見てきましたよ、トム・クルーズの『ミッション・インポッシブル3』。アクション路線の影響で女性客の足が遠のいたとか、封切り直後の興行収入が予想よりも低かったとか、ネガティブな報道も少なくなかったものの、個人的には1作目のテイストに少し戻った今作に満足してます。今回はうちの近所(バージニア州アーリントン)が撮影場所にもなっていたようで、数年前にコリン・ファーレルとアル・パチーノが出演した『ザ・リクルート』を見て以来、久しぶりにスクリーンの中でわが町を確認した。政治ドラマやスパイ・アクションでアーリントンが撮影場所に使われるケースは少なくないけど、恋愛映画の撮影に使われたという話はこれまで聞いたことが無い…。さて、今日はアメリカ国内の石油価格上昇関連ニュースの続報を。

アメリカ国内で石油価格が上昇し始めて6週間が経過したが、テネシー州東部のある学区ではスクールバスに用いるディーゼル燃料の価格も上昇したため、4月後半に学区内の全ての公立学校を臨時休校にしている。テネシー州東部のリー郡では約3800人の児童が公立学校で学んでいるが、同郡のダラス・スミス教育長は4月28日、燃料価格高騰のためスクールバスの運行が困難と判断し、臨時休校の実施に踏み切った。現在、ディーゼル燃料は東海岸で1ガロンあたり2ドル80セント、西海岸では3ドル以上で販売されている。リー郡は全長34マイルもあり、スクールバスの走行距離が他の学区よりも長い事から、州内の他の学区よりも多く燃料費を支払わなければならなかった。米政府は9日、アメリカ国内の石油販売価格の平均を1ガロンあたり2ドル91セントと発表したが(レギュラー・ガソリン)、実際にはほとんどの地域で1ガロンあたり3ドル10セント前後で販売されているのが実情だ。

ハワイ州では過去8ヶ月間にわたって、州内のガソリン販売価格に上限を設ける措置をとってきたが、全米初の試みでもあった価格制限措置は8日に廃止されており、国内で最もガソリン価格の高い地域になるのは時間の問題だ。もともとガソリン価格の高騰を防止するために考えられた価格制限措置だったが、消費者からは「措置によって、石油会社は上限ギリギリの価格設定を行う結果となった」といった苦情も少なくなかった。石油に対する課税率の高さや石油の運搬料などが重なって、ハワイはアメリカで最もガソリン価格の高い州として知られていたが、8ヶ月前からアメリカ本土の主要都市におけるガソリン価格の平均をベースにして、販売価格に上限を設けていた。

ガソリン価格が高騰した原因には諸説あり、精製技術のコスト高や原油価格の高騰を指摘する経済アナリストも少なくない。1日にCBSが発表した最新の世論調査では、「ブッシュ政権は石油価格の値下げに関する明確なプランを持っていると思うか」との問いに、回答者の8パーセントがイエスと回答するのみだった。石油価格高騰の解決に具体的なアイデアが見出されない中、一部のメディアは大手石油会社が密かに価格操作を行っている可能性があると指摘している。事実、石油会社の最近の収益は各社ともに良好で、4月27日にはエクソン・モービル社が第一上四半期の利益が84億ドルに達したと発表している。ガソリン価格の上昇が意図的に行われたのかどうかは知る由も無いが、民主党のマリア・カントウェル上院議員(ワシントン州)は6日、石油会社による価格操作が発覚した場合に連邦犯罪の適用を可能にする法案を早期に通過させたいと語っている。

ワールドカップ・ドイツ大会に臨むオーストラリア代表のメンバー23人が発表された。サッカルーの愛称で知られるオーストラリア代表、マーク・ヴィドゥカやハリー・キューウェルといったお馴染みの面々に加えて、ケガから復帰したティム・カーヒルの名前も。学生時代にオーストラリアでサッカーを楽しんだ時期があったので(ド田舎のアマチュア・チームだけどね)、今回のチームがどんなサッカーをするのかが凄く楽しみだ。僕が大学生だった頃に注目の新人選手として地元メディアが注目したヴィドゥカももうベテラン選手…。日本ではあまり知られていないオージー選手にダミアン・モリというストライカーがいて、95年12月に行われた試合で、キックオフ直後にセンターサークルからそのままロングシュートを決めている。開始4秒でのゴールは、僕の知る限り、世界最速のゴールだったはず。まだキューウェルやエマートンといったスター選手が登場しなかった時代、モリはオーストラリアのサッカーファンの間でカルト的な人気を集めていた。今はどうしてるのだろうか?悲しい話が1つ。長年サッカルーを支えてきたベテラン・ディフェンダーのトニー・ビドマーが不整脈(最近の検査で判明したらしい)のためドイツ大会出場を辞退した。現役生活の終わりが近付いたベテランが最後にかなえた夢と、残酷という言葉では生ぬるいほどの現実。いつの日か、監督として彼をワールドカップで見れる日が来るのを強く望む。


写真:9日に体調不良が原因でワールドカップ出場を辞退すると発表したトニー・ビドマー選手 (シドニー・モーニング・ヘラルド紙より)

マヨの謎

2006-05-08 13:45:00 | 医療・健康
まさかシャレでは無いと思うけど、5日午後にワシントンで記者会見を開いたパトリック・ケネディ議員の話で友人と盛り上がった。5月5日といえば、シンコ・デ・マヨと呼ばれるメキシコの祝日で(1862年5月5日にメキシコ軍がフランス軍に勝利したため)、アメリカ国内でもこれを祝って各地で盛大な飲み会が開かれるからだ。そしてケネディ議員が5月5日に薬物依存治療を受ける場所として語ったのが、ミネソタ州にあるマヨ・クリニック…。念のために言っておくと、マヨ・クリニックはイギリス出身のウイリアム・マヨ博士によって19世紀後半その前身が設立されている。マヨはスペイン語で5月を意味する単語だけど、ケネディの遠い祖先が使っていたゲール語では「イチイの咲く平原」を意味し、アイルランド西部にはマヨ州という地域も存在する(いつかここに別荘を建てて、釣りを楽しみたいほどグッドな場所なのです)。そんなわけで、5月5日とマヨ・クリニックの関係は何も無さそうだけど、ケネディ家の場合は全てがネタになってしまうということもあって、妙なタイミングに友人と苦笑した…。さてさて、今日はワシントンポスト紙が伝えたナイジェリアでの医療実験に関する話を。映画『ナイロビの蜂』のような話です。

7日のワシントンポスト紙によると、ナイジェリア国内の医療関係者らで構成された調査委員会は製薬業界最大手のファイザー社による国際法違反を指摘し、1996年に同国で未認可の薬を子供達に対して実験的に投与していたと結論付けている。ナイジェリア政府によって実施された未認可薬品の投与実験をめぐる調査では、その結果が5年以上にわたって機密扱いされているものの、ポスト紙は最近になって報告書のコピーを入手している。ファイザー社は1996年にナイジェリア北部のカノという町に設けられた野外診療所で100人近くの子供や乳児に未認可薬を投与したが、この薬の投与はナイジェリア政府から何の承認も行われないまま実施されていた模様だ。薬を投与された子供達は野外診療所で脊髄縁の治療を受けていた。この病院では「国境なき医師団」のメンバーが正式に認可された抗生物質を用いて患者の治療にあたっていたが、ファイザー社による実験作業も密かに行われていた。

前出の委員会は報告書の中でファイザー社による実験を「未認可薬の違法なテスト」と一蹴し、同社の行動を「営利目的だけを追及した行動」と激しく非難している。ワシントンポスト紙は2000年5月にファイザー社による違法な実験の詳細を報じており、ナイジェリア国内では大規模なデモや訴訟問題にまで発展していた。委員会による調査の結果、薬を投与された子供やその家族らは、薬の投与が新薬開発における実験であった事を知らされていなかった可能性が高くなっている。委員会はファイザー社による実験がナイジェリア国内の法律だけではなく、ヘルシンキ宣言や国連子供の権利条約にも違反していると主張する。ファイザー社が開発した薬の影響だという確固たる証拠は存在しないものの、カノの診療所で未認可薬の投与を受けた子供のうち、5人が死亡し、その他の数名にも関節炎の兆候が見られるとの事だ。

ファイザー社はワシントンポスト紙の取材に対し、問題の薬はナイジェリアの子供達に使われる以前からすでに数千人に実験投与され、良好な結果を残していたと反論した。また、子供達への投与が行われる直前、地元の看護師らの協力を得て薬についての説明し、子供達の親からは口約束で承認を得ていたとも主張している。トロバンと呼ばれる問題の薬は1997年に米食品医薬品局(FDA)によって成人のみの使用が認可されたものの、現在も子供が使用することは認められていない。また、副作用が原因と思われる肝臓障害(死亡例も含む)が幾つも報告されたため、FDAは1999年にトロバンに対して厳しい使用制限を与え、ヨーロッパでは完全な使用禁止に踏み切った国もあるほどだ。ファイザー社は薬の投与がナイジェリア人医師らの主導で行われたとナイジェリア捜査当局に語っていたが、その後の調査で実験はファイザーのアメリカ本社から来たリサーチャーらによって取り仕切られていた実態が判明している。

レアル・マドリーのジデディーヌ・ジダンとして本拠地サンチャゴ・ベルナベウで行った最後の試合。今日は昼過ぎからスペイン人の友人家族と地元のスポーツバーで対ビジャレアル戦を観戦。この家族はカタルーニャ出身で、僕はといえばアラゴンの小さなクラブ(レアル・サラゴサです)を普段は応援しているんだけど、今日はさすがにフランスが生んだ偉大な10番の最後の勇姿をどうしても見ておこうと思い、みんなでレアルを応援した。2-1でビジャレアルにリードされていたレアルだけど、後半67分にデーヴィッド・ベッカムからのクロスで送られたボールをジダンが頭でファーポストに流し込む同点弾!レアルの勝ち負けなんかどうでもよく、僕らはテレビに向かってしばらくスタンディング・オベーションを繰り返した。試合は3-3の引き分けで終わってしまったけれど、ジダンは最後の最後まで威厳とともにあった気がした。プラティ二、カントナ、そしてジダン。フランスが輩出してきたゲームメイカーに共通するのは、その引退時期の早さ。「まだ数年はできるのに…」と僕のような凡人は思ってしまうけれど、この3人が残した美学も理解したいと思う。


写真:7日に行われたビジャレアルとの試合後、ホームのファンに最後の挨拶をするレアル・マドリーのジデディーヌ・ジダン選手 (AP通信より)

米軍基地からマウンドに向かった野球選手

2006-05-06 15:00:51 | 政治
いやぁ、ビックリしました。午後に突然入ってきたポーター・ゴスCIA長官の辞任発表。政権高官が辞任を発表する場合、その前日や、少なくとも発表の数時間前には具体的な情報が入ってくるものだけど、今日は文字通り突然の辞任発表だった。昼過ぎに一部のメディアが速報で「1時45分頃からブッシュ大統領による人事面での発表が行われる」と報じ、それから間もなくしてゴス長官の辞任が発表されている。辞任発表から約9時間が経過して、こちらの国内メディアはゴス長官とジョン・ネグロポンテ国家情報長官との間に存在した軋轢が辞任の背景にあると報じている。また、ゴス長官は各省の情報機関を統括する国家情報長官のポストを狙っていたが、これをネグロポンテ氏に「奪われた」ため、ブッシュ大統領との関係もギクシャクしていたと一部のメディアは報じている。就任から約1年半で辞任を発表したゴス長官。来週には詳しい情報が入っているかもしれないので、機会を見つけてアップデートしておきます。さて、今日は昨日のブログでも少し触れたケネディ議員の交通事故で新たな展開があったので、そのニュースを。

4日未明にワシントン市内で交通事故を起こした民主党のパトリック・ケネディ議員だが、5日午後に記者会見を開き、事故の詳細についてはっきりと覚えていないと語っている。ケネディ議員はまた、自身の処方箋薬の服用が中毒状態になっていると認め、厚生施設で治療を受ける予定がある事を明らかにしている。薬物中毒の治療はミネソタ州ローチェスターにあるマヨ・クリニックで行われる模様だ。記者会見の中でケネディ議員は昨年末のクリスマス休暇に同クリニックで治療を受けていたと語り、治療後は極めて良好な状態を保っていたと強調している。また、この記者会見の中で、ケネディ議員が薬物中毒とうつ病に苦しんでいた事実も明らかになっている。「もちろん、治療後にはいい日もあれば悪い日もありました。でも、クリニックから戻ってきてからは、できる限り前向きに努めようとしてきました、ケネディ議員はそう語っている。

ケネディ家は以前からアルコール・薬物中毒の歴史を持っており、パトリック・ケネディ議員も例外ではなかった。議員は学生時代にすでにリハビリ施設で治療を受けている。また彼の奇行も以前から指摘されており、2000年5月には空港で警備担当者と乱闘騒ぎを起こしている。4日未明の事故について、ケネディ議員は何が起こったのか全く覚えていない状態で、それが再びリハビリ施設で治療を受ける動機になったと語っている。「ベッドから抜け出した事や、警官に車を停車するよう言われた事すらも覚えていないのです。そんな風に人生を送りたくはないし、そんな形でロード・アイランド州の有権者を代表したくはありません」、ケネディ議員はそう語った。記者会見の終了後、ケネディ議員は辞任の意思について尋ねられたが、「戦い続けるつもりです」とだけ語り、会場をあとにしている。

第35代大統領の甥であり、マサチューセッツ州選出のベテラン議員を父に持つケネディ議員は4日午前3時前、運転するムスタングを連邦議会近くに設けられたバリケードに衝突させている。CBSニュースが5日に報じたところによると、4日の衝突を含めて、ケネディ議員はこの3週間で2度の交通事故を起こしており、最初の事故は地元ロード・アイランド州ポーツマスで発生している。今回の事故ではケネディ議員が嘔吐感を止める薬と(ケネディ議員は以前から胃腸炎に悩まされていたと主張している)睡眠薬を同時に服用していた事が議員本人の口から明らかになっているが、事故直後に警察官によって自宅に送り届けてもらい、通常の事故なら必ず行われるアルコール検査も実施されなかったため、議員が特別な扱いを受けたのではという疑惑も浮上している。地元警察は5日、ケネディ議員がよく顔を見せる連邦議会近くのバー「ホーク・アンド・ドーブ」で聞き込みを行ったが、4日未明にケネディ議員がバーにいたと語る目撃者はいなかった模様だ。

デービッド・オルティスの2ベースヒットなどでボルチモア・オリオールズに6-3で勝利したボストン・レッドソックスだけど、勝率の差でとうとうニューヨーク・ヤンキースに首位を明け渡してしまった。今シーズンのアメリカンリーグ東地区、ボストン、ニューヨーク、トロントの3チームがしのぎを削る格好となっていて、ボルチモアとタンパ・ベイは早くも例年通りの指定席に落ち着き始めている。レッド・ソックスで思い出したんだけど、少し前にボストン在住の友人とレオ・カイリーという選手の話をした。僕が知る限り、現役バリバリのメジャーリーガーが日本でプレーしたのはカイリーが最初のはずで(それまでにもマイナーとメジャーを行ったり来たりした選手はいただろうけど)、レッドソックスですでに7勝を記録していたカイリー投手は1953年、進駐軍兵士として勤務していた横須賀から先発登板の日だけ球場に通ってプレーしている(所属チームはロッテの前身となる毎日)。6試合を投げて6勝0敗。防御率は1.80だった。ただ、現役の米軍兵士を日本のプロ野球で使うのはマズイという批判が噴出して、カイリーは6試目を最後に日本での野球生活をストップしている。当時の記録フィルムがあれば、ぜひ見てみたいんだけどなぁ。

写真:5日午後にワシントンで記者会見を行った民主党のパトリック・ケネディ下院議員 (AP通信より)

ケネディ議員、ワシントン市内で交通事故

2006-05-05 14:54:41 | 政治
エドワード・ケネディ下院議員の息子としても知られるパトリック・ケネディ下院議員(ロード・アイランド州選出)が木曜日未明、ワシントン市内で交通事故を起こした。「ケネディ」、「交通事故」、そして「ドラッグ」とお馴染みのキーワードがまとめて登場したため、こちらのメディアは世紀の大事件を報道するかのような熱の入れよう。念のために説明しておくと、ケネディ議員は4日午前3時前に自ら運転する車を連邦議会近くにある検問所のガードに衝突させたものの、怪我人は出ていないとの事。胃腸炎に悩まされていたケネディ議員は医師から処方された嘔吐感を止める薬と睡眠薬を同時に服用していたと認めており、薬の影響で方向感覚を失って事故を起こしたと主張している。不謹慎を承知で言えば、これだけの小さな事故で国内メディアが大騒ぎするのを見て、あらためてケネディ一族がアメリカ版ロイヤル・ファミリー的な存在にあるのだと感じてしまった。さて、今日はジョージア州で演説を行ったラムズフェルド国防長官に聴衆から激しい言葉が投げつけられたニュースを。

ラムズフェルド国防長官は4日、ジョージア州アトランタで演説を行ったが、演説中に数人の聴衆から厳しい言葉を投げかけられている。演説終了後、会場の聴衆がラムズフェルド長官に質問を行える機会が設けられ、その際にCIAに27年間勤務した元分析官のレイ・マクガバンさんが長官を「嘘つき」と厳しく批判する一幕があった。「なぜ貴方は嘘をついてまで私達を戦争に引きずり込み、多くの犠牲者を出したのですか?そもそも、この戦争に必要性はあったのでしょうか?」、マイクを手渡されたマクガバンさんは一気に語り始めた。会場にいた警備担当者がマクガバンさんに退去を求めようと近付いたが、壇上のラムズフェルド長官は「待ちなさい、その必要はありません」と語り、言葉を選びながら質問に答え始めた。「私は嘘をついた覚えはありませんし、貴方の発言は誇張されていると思いますよ」、長官はそう答えるのが精一杯だった。

アメリカ国内ではイラク戦争を支持する声が現在も減り続けており、ブッシュ政権高官が聴衆による抗議活動や手厳しい意見に直面するケースは少なくない。しかし、4日のラムズフェルド演説ではこれまでに例を見ないほどの反戦ムードが会場内に漂っていた。ラムズフェルド長官の演説中、横断幕をひろげてイラク戦争を批判する言葉を叫んだ3人が警備担当者によって会場から強制退去させられている。また、4人目の男性は一言も発さず、演説が終わるまでの間、背中を長官に向けたまま起立していた。また、質問会ではジョージア州在住のパトリシア・ロバーツさんからも厳しい質問が飛び出している。ロバーツさんは息子をイラクでの戦闘で亡くしたと語り、政府から何の援助も無いまま孫を育てていかなければならないのかと訊ねている。ラムズフェルド長官は支援組織の名前を幾つか挙げ、関連ウェブサイトを訪れるようにと語るのみだった。

ブッシュ大統領が4日のような光景に出会わす事はほとんど無く、反戦運動家らは大統領の演説が始まる前に、あらかじめ会場から退去させられている。ラムズフェルド長官に対する厳しいコメントや抗議活動は今回が初めてではなく、最近も議会での公聴会やアメリカ国内で行った演説などで、反戦運動家による抗議活動が何度も実施されている。ライス国務長官にいたっては、訪問先の国々で地元市民から手荒い歓迎を受けるのが恒例行事と化している。今年3月にオーストラリアを訪れた際には、地元のデモ参加者から「殺人犯」や「戦争犯罪人」と叫ばれており、翌月のイギリス訪問でも至る所で地元民から罵声を浴び続けた。先週のギリシャ訪問では、機動隊までが導入され、デモ参加者がライス長官に近付く事はできなかった。

今日も最後に少しだけワールド・カップの話を。イタリア代表が公式の場で着用するジャケット、なんとドルチェ&ガバーナのデザインになる模様。僕もさっき友達からメールで知らされて、どんな格好になるのか気になったため、ヤフーのイタリア語版で早速ニュースをチェックしてみた。D&Gがデザインする代表メンバー用ジャケットの話、どうやら本当みたいです。ANSA通信の記事によると、ジャケットにジーンズというラフな格好になるらしい。これまでイタリア代表といえば、公式の場ではアルマーニのスーツを着用していた記憶があるんだけど、2006年大会ではジーンズですか…。プリングルスのポテトチップスの広告塔として(おそらく、イタリア国内オンリーだと思うけど)CMでは軽快な動きを見せるフランチェスコ・トッティだけど、ケガの方は大丈夫なのでしょうか?イングランド代表のルーニーもここに来て骨折に見舞われ、ニュースを聞いた僕の友人(リバプール出身)は本当に食欲が無くなってしまったらしい。サッカー選手に怪我はつきものだけど、なんとかドイツでプレーする彼らの姿を見たいものです。

写真:イタリア代表公式ジャケットのデザイン画 (ANSA通信より)

知らない国での戦争

2006-05-03 13:45:16 | きょういく
前にも少しこのブログで紹介したポール・グリーングラス監督の「ユナイテッド93」、2日前のブログではユナイテッドと書くところを「フライト」と間違えて書いてしまったんだけど、ようやく映画館で見ることができました。監督がグリーングラスで、音楽を担当したのがジョン・パウエル。この2人はマット・デイモンの「ボーン・スプレマシー」でもコンビを組んでいるけれど、映画全体のつくりはグリーングラスが2002年に監督を務めた「ブラッディ・サンデー」に近く、映画というよりはドキュメンタリーを見ているような気持ちにさえなった。何日か前には「パラダイス・ナウ」というパレスチナ映画をDVDで見たんだけど、映画の中のドラマ性で言えば、テルアビブで自爆テロを企てる2人の若者を描いたこちらの方により強い衝撃を受けた。どちらも秀作だと思うので、機会があればぜひチェックを。さて、今日はアメリカ人の若者の地理音痴が深刻なレベルにあるというニュースを。日本の位置を正確に示せないアメリカ人は少なくないけど、自分の国の兵士が戦っているイラクやアフガニスタンがどこにあるのか分からないという人も少なくないようだ…。

アメリカがイラクでの軍事行動を開始してからすでに3年以上が経過したが、最近行われた調査の結果、アメリカ人の若者が10人中6人の割合でイラクの場所について正確に把握していない事が明らかになっている。米ナショナル・ジオグラフィック協会が民間調査会社の協力を元に行った調査によると、回答者の約3分の1がハリケーン「カトリーナ」で大きな被害を受けたルイジアナ州の位置を答えられず、ミシシッピー州の位置を答えられなかった回答者は約半数に達している。調査はアメリカ国内の18歳から24歳までの若者約500人を対象に行われた。アメリカの若者の世界地理オンチは以前から一部の教育者の間で問題視されてきたが、今回の調査結果を深刻に受け止める有識者は少なくない。「地理音痴は将来的な外交との関係を悪化させ、アメリカを孤立させる原因になりかねません」、ナショナル・ジオグラフィック協会のジョン・ファーフェイ会長はCBSニュースの取材にそう語った。

しかし、地理音痴は世界地図だけではなく国内地図でも同じだったようで、ファーフェイ会長は若者が地理への関心を失っている現状に嘆く。「アメリカの国内地図を前にして、ニューヨーク州の位置を正確に答えられた若者が半分しかいなかったのです。まぁ、それでもルイジアナ州よりは少しマシでしたけどね。こういった結果を目にして、ただただ驚いています」ファーフェイ会長はそう語った。ナショナル・ジオグラフィック協会では現在「マイ・ワンダフル・ワールド」と題したマルチメディア・キャンペーンの計画を進めており、8歳から17歳までを対象にしたこのキャンペーンは、子供達にパソコンなどで楽しみながら世界地理に親しみを持ってもらうのがねらいだ。

調査結果のサマリー:

・全回答者の3分の1が地図上でルイジアナ州の位置を答えれず、48パーセントがミシシッピー州を位置を答えられなかった。

・ニュースで報じられる国々の場所を知っておくのは重要だと答えた回答者は全体の30パーセント未満で、外国語習得は大切なスキルだと答えたのはわずか14パーセントだった。

・全回答者の3分の2が2005年にパキスタンで7万人以上の犠牲者を出した大地震について知らなかった。

・全回答者の約60パーセントが中東地域を示した地図でイラクの場所を答えられなかった。

・アメリカ産業界のアウトソーシング場所として知られるインドだが、今回の調査に参加した若者の47パーセントがアジア地域の地図上でインドの場所を示す事ができなかった。

・全回答者の75パーセントが中東地域を示した地図上でイスラエルの場所について答えられなかった。

・全回答者の60パーセントが朝鮮半島を二分する38度線が世界で最も警備の厳しい国境地帯だと答えられず、30パーセントが世界で最も警備の厳しい国境地域はアメリカ・メキシコのものだたと回答した。

サッカーのワールドカップ・ドイツ大会開幕まで、残すところ37日と12時間あまり。ブルース・アリーナ監督率いるアメリカ代表のメンバーが早くも2日に発表されていて、DCユナイテッドのベン・オルセンが最終メンバーに名を連ねた。16歳のフレディ・アドゥの最終メンバー入りは極めて低いと国内メディアは予想していたけれど、やはり彼が最終メンバーに名を連ねる事は無かった。メンバーの中に僕が期待していたテイラー・トゥエルマンの名前は無く、アリーナ監督は今季のリーグ戦でゴール欠乏症に悩まされているストライカーを代表メンバーから外している。以前に某夕刊紙のコラムでも書いたんだけど、今のアメリカ代表は間違いなく2002年のチームよりもレベルアップしていると思う。ランドン・ドノバンやダマスカス・ベアズリーといった名前は日本のサッカーファンの間でも知られているようだけど、もしドイツ大会でアメリカ代表の試合を見る機会があれば大会前に23歳の誕生日を迎えるボビー・コンベイという選手に注目してください。16歳でプロデビューしたコンベイ、現在はイングランド1部のレディングというチームで主力として活躍していて、レディングは来シーズンからプレミアリーグで戦う(プレミアへの昇格はクラブ史上初)。すでにイギリスのサッカー専門誌が「注目に値する選手」として取り上げていて、数年前までDCユナイテッドのアイドルだった彼がどんなゲームメイキングを展開するのか、今から待ち遠しくなってきた。


写真:「ユナイテッド93」の1シーンより。 (AP通信/ユニバーサル・スタジオ)

デーモンをめぐる愛憎劇とミラベリの長~い1日

2006-05-02 14:44:53 | ビジネス
今日はブログの最後でダグ・ミラベリという野球選手について少し紹介したいと思うんだけど、今年からサンディエゴ・パドレスでプレーするミラベリが突然のトレード話を聞かされたのが現地時間で1日の午前7時頃だったらしい。新しいチームは昨年まで在籍したボストン・レッドソックス。すぐに飛行場に向かい、飛行機に飛び乗ったそうで、ボストンのローガン空港に到着したのが午後6時45分頃。ここから、警察のエスコートで球場まで車を飛ばし、なんと7時過ぎにはフェンウェイパークに到着している。交通渋滞が名物でもあるボストンに住んだ経験のある人は分かると思うけど、空港からフェンウェイパークまで15分で行くなんて人間業じゃあない。ユニフォーム姿で車の中から出てきたミラベリは、約10分後の試合開始時にはスタメンで出場を果たしている。そして、その3時間後にはESPNによるヒーローインタビューに笑顔で答えていた。今日はゆっくり休んでください。さて、今日は石油価格の上昇が原因で、テネシー州内の学区が臨時休校を発表したというニュースを。

石油価格の上昇が社会問題となりつつなるアメリカだが、テネシー州東部のある学区ではスクールバスに用いるディーゼル燃料の価格も上昇したため、先週金曜日と今週月曜日の2回にわたって学区内の全ての公立学校が休校となっている。テネシー州東部のリー郡では約3800人の児童が公立学校で学んでいるが、同郡のダラス・スミス教育長は先週金曜日、燃料価格高騰のためスクールバスの運行が困難と判断し、全ての公立学校を臨時休校にしている。「私がこれまでに耳にしたケースの中で、最も深刻な例ではないかと思います」、ワシントンに本部を置くスクールバス情報会議のマイク・マーティン広報はAP通信の取材に対しそう語った。

マーティン氏はスクールバスの燃料として使われるディーゼル燃料の急激な値上がりを問題視し、やがて民間企業にも大きな影響を与えるだろうと警告している。現在、ディーゼル燃料は東海岸で1ガロンあたり2ドル80セント、西海岸では3ドル以上で販売されている。テネシー州の他の学区で石油価格の上昇が原因とみられる臨時休校は報告されておらず、テネシー州教育課はリー郡の公立学校における臨時休校を正式に承認していないと発表している。しかし、リー郡は全長34マイルもあり、スクールバスの走行距離が他の学区よりも長い事から、前出のスミス教育長の決断に同情する声も少なくない。リー郡の財務担当者によると、郡内の公立学校の燃料代の支出は今年3月だけで1万4000ドルに達しており、昨年3月の支出は約半分となる7800ドルに過ぎなかった。昨年は1年間で6万8000ドルが燃料の購入に支払われたが、今年は10万ドルを突破すると予測されている。

石油価格が上昇を続ける中、ブッシュ大統領はSUV車や軽トラックの燃費制限の引き上げを示唆したが、国民の間ではブッシュ政権による石油価格上昇への取り組みがほとんど評価されていないようだ。1日にCBSが発表した最新の世論調査では、ブッシュ大統領の支持率が33パーセントと依然として低迷を続けており、「ブッシュ政権は石油価格の値下げに関する明確なプランを持っていると思うか」との問いにイエスと答えたのは全体の8パーセントにしか過ぎなかった。しかし、石油価格上昇の解決をブッシュ大統領以外の人物が行うべきと答えた回答者も多く、問題解決の責任が議会(29パーセント)やエネルギー省長官(25パーセント)にあるとする声も存在している。

フェンウェイパークに懐かしい顔が戻ってきた。しかも1人ではなく2人も…。今シーズン、レッドソックスからニューヨーク・ヤンキースへ移籍したジョニー・デーモン外野手。試合前から全米のスポーツ・メディアはデーモンに対するボストニアンの激しいブーイングを予想し、試合そのものよりもデーモン本人にスポットを当てていたほどだ。試合開始前、フェンウェイパークの観客席がESPNによって映される。ある年配のファンはデーモンの背番号(18)を6・6・6に書きかえ、「悪魔に魂を売った野郎」とイヤミたっぷりの言葉が羅列されたプラカードを誇らしげに掲げていた。そして試合が始まり、1番バッターのデーモンが打席に向かう。予想通りのブーイング。しかし、少なくない拍手がテレビ中継からも確認できた。デーモンはヘルメットを取って、観客席に向かって一礼。観客のブーイングは拍手に変わっていた。ヤンキースのデーモンとしてのフェンウェイでのデビュー日、ファンは彼を憎みきれなかった…。そして、今日一番のサプライズはダグ・ミラベリの電撃的な復帰だった。今シーズンからサンディエゴ・パドレスの一員となったキャッチャーのミラベリは昨年までのレッドソックス時代、ナックルボーラーのティム・ウェイクフィールドとパートナーを組んでいたが、代わりにウェイクフィールドの専用捕手に指名されたジョッシュ・バードはナックルボールの捕球に四苦八苦していた。レッドソックスはバードを含む数名の選手とミラベリのトレードを1日に決行。突然のトレード発表だったが(今日の先発はウェイクフィールド)、午後6時45分にローガン空港に到着したミラベリは7時5分頃に球場に到着、そのまま10分後の試合にスタメンで出場した。

写真:トレードによってサンディエゴからボストンに戻ってきたダグ・ミラベリ選手を歓迎するフェンウェイパークのファン。 (Boston.comより)