ドイツの友人からメールがあって、自分の通っていた大学院の話を久しぶりにした。クラスメートとして2年間を一緒に過ごした彼女は、現在はドルトムントという町の大学で博士課程におり、今年の夏にボーイフレンドと東海岸に遊びに来る予定だ。彼女と最後に会ったのがイラク戦争が始まって間もない2003年3月頃で、研究分野の調査でドイツからワシントンに来ていたので、仕事のあとでジョージタウンに飲みに行った記憶がある。あれから2年半…、自分の周りでもいろいろと変化があったわけで、意外に長い時間だったかなと今更ながら思ってしまう。夏にみんなでニューヨーク辺りで遊ぼうかという話のあと、僕らが学んだジャーナリズム学科のトップが交代したという話がメールには書かれてあった。新しいチェアーに就任したのが、デービッド・オバートンという元調査報道記者だということだ。
数年の差で、僕らは彼と会う機会すらなかったんだけど、気になってチェックした彼のプロフィールを見てビックリ。アメリカン・ジャーナリズムでは伝説と化している「アリゾナ・プロジェクト」に参加した人物で、放送ジャーナリズムからの参加は彼ひとりだけだった。日本でも下山進氏の著書「アメリカ・ジャーナリズム」に詳しく描かれているけど、少しだけ説明をしておこうと思う。1976年、アリゾナ州フェニックスのホテル駐車場で地元紙記者が車に仕掛けられた爆弾で殺された。マフィアと地元政治家、財界人との癒着について取材を行っていたドン・ボールズ記者は、情報源とされる人物に会いに行った際に爆殺(実際には事件発生から4日後に息を引き取っている)されており、この事件を受けて全米の記者が「弔い合戦」をやろうと決起したのだ。
ボールズ記者が所属していたIRE(調査報道記者編集者会議)は全米の報道関係者に対し、ボールズがやり遂げれなかった仕事を終わらせる手伝いをしてほしいと呼びかけ、最終的に36人の記者が呼びかけに応じた。やがてこれは「アリゾナ・プロジェクト」と名付けられ、無給でプロジェクトに参加した36人は会社の休暇を使ったりしながら、マフィアと地元政治家の関係を徹底的に追求し、調査記事は1973年3月にAP通信経由で全米の新聞に掲載された(全24回シリーズだった)。全米から集まった36人の記者達による執念の調査取材によって、ボールズ記者殺害の実行グループが逮捕されただけでなく、地元財界とマフィアの黒い癒着も明らかになった。オールドスクールのブン屋たちによる、今では絶対にありえない「復讐劇」だけど、それに実際に参加したオバートン氏にはいつか会って話を聞いてみたい。
アメリカとイギリスはイラク国内の警察機構に対し、これまで車や弾薬などの備品を援助し続けてきているが、それらの一部が国内の武装組織に横流しされている事実が英オブザーバー紙の取材で判明した。複数のイラク警察幹部が同紙に語ったところでは、イラク警察のために用意された車輌や武器弾薬などが反米武装勢力壊滅の急先鋒として知られる民兵組織に奪われている模様だ。オブザーバー紙はこの民兵組織による人権侵害の実態を以前から追求してきたが、病院の検査記録や犠牲者を死後に撮影した写真などを調査した結果、被害者の多くがバグダッドやスンニ・トライアングル出身の反米武装勢力のメンバーだった事が分かっている。犠牲者の中には生きたまま焼かれたり、絞殺されたり、電気ドリルで体に穴をあけられた者もいる。
オブザーバー紙は取材を続けていく中で、これまで明かされなかった幾つかの新情報を入手している。イラク全土には幾つもの「幽霊収容所」が存在し、人権擁護団体もアクセス手段をほとんど持たないこれらの収容所の中では、組織的な拷問が繰り返されている。また、拷問に対する規制も事実上無きに等しく、激しい殴打や、性的虐待、収容者に火をつけるといった行為が行われている模様だ。オブザーバー紙は未確認情報としながらも、イラク内務省近くの建物でも同様の拷問が行われていた可能性があると指摘している。さらに、公式に存在する収容施設と「幽霊収容所」が密接な連携を取り合っているのは明らかで、後者では警察による違法な処刑も容認されているとの事。
民兵組織や警察官の一部が組織的に拷問を行っているという疑惑は、英外務省や米国務省、そして国連の間でも問題視され始めている。バグダッドの英大使館も事態の悪化を懸念するイラク政府高官から、数回にわたって情報を聞いていたことを認めている。英国防省はイラク国内の治安関係者に総額2700万ポンド規模の無償援助を行っており、そのうちの約2000万ポンドは武器弾薬や防弾チョッキ、パトロール用のランド・ローバー購入のために警察で使われている。援助された武器弾薬等がどのくらいの割合で処刑部隊に流れているのかは依然として不明だが、組織的な拷問や処刑が増えつつあるイラク国内の状況に、ブレア政権が援助の打ち切りを行うかが注目されている。複数のイラク政府高官は、昨年6月の主権移譲後、イラク国内で拷問が急増していると語った。
およそ1万2700台のタクシーが走るニューヨーク市内で、この夏からハイブリッド車を使った新型タクシーが実験的に導入される可能性が出てきており、環境保護団体は新型タクシーの導入を歓迎しているが、通常よりも後部座席部分が狭いために地元タクシー業界は及び腰となっている。ガソリンと電気の両方を使用したハイブリッド車は市内を走るタクシーよりも燃費効率が約2倍ほどよく、排ガスもこれまでの車よりも少ない。しかし、ニューヨーク市のタクシー・リムジン委員会はハイブリッド車の導入に消極的だ。マシュー・ダウス委員長がAP通信に語ったところでは、タクシー利用者の多くは大型の車体を好み、ハイブリッド車の後部座席では今までのように十分足を伸ばせるスペースが無いのだという。
ニューヨーク市を走るタクシーはフォード社のクラウン・エクストラをベースに車体を少し長くした型が使われており、ダウス委員長はハイブリッド車のタクシーは素晴らしいアイデアと語りながらも、車体の小ささが利用客に与える影響を心配する。ニューヨーク市議会は先週木曜日、タクシー会社がハイブリッド車を使用する事ができる法案を通過させており、あとはタクシー・リムジン委員会の判断で全てが決まる格好となっている。委員会は実験的に数台のハイブリッド型タクシーを走行させる計画で、ニューヨーカーが車内の狭い足元に我慢できるかを見極めたいとしている。委員会でどのような実験結果が出ても、最終的には各タクシー会社の判断でハイブリッド車の導入は決められるが、環境保護団体は将来的に市内のタクシー全てをハイブリッド車に変更してほしいとの意向を示している。
ニューヨークでのハイブリッド車使用実験には、国内の他の大都市のタクシー業関係者らも注目している。燃費を低く抑えられるなど、経営側にもメリットがありそうなハイブリッド車だが、アメリカ国内では僅かな数しか使われていない。アメリカのタクシー業界では90年代後半にも天然ガスで走るタクシーの導入が叫ばれたが、このキャンペーンは失敗に終わっている。ニューヨーク市でも180台の天然ガス使用タクシーが導入されたものの、2000年にキャンペーンは座礁しており、天然ガスを扱うガソリンスタンドが十分無かった事にドライバーからは不満が噴出していた。サンフランシスコでは15台のハイブリッド型SUVがタクシーとして使われているが、ガソリン1ガロンで36マイル走る事のできるハイブリッド車に、最近の石油価格高騰も重なって注目が集まり始めていることは確かだ。
明日はいよいよ独立記念日。昼間こそ友人らとワシントン市内をブラブラしようかと考えているけど、夕方にはアーリントンに戻って、こちらから花火を見ようかと思っている。なにしろ花火が終わった後の交通渋滞がハンパじゃなく、徒歩30分ほどで帰れる僕なんかはいいものの、郊外に住む友人の何人かは高速道路の真ん中で2時間も座りっ放しになるのがイヤらしい(そりゃ、そうだ)。9時10分からの花火はわずか20分ほどのもので、日本の花火大会と比べたら規模は小さいけれど、それでも一見する価値は大アリで、僕は例年のごとくバーベキューの残り物を食べながら鑑賞しようかと思っている。ワシントンポスト紙によると、5カ国(アメリカ・日本・中国・イタリア・スペイン)で作られた花火が使われるそうだけど、それぞれに違いがあるんだねぇ。知らなかったです。
数年の差で、僕らは彼と会う機会すらなかったんだけど、気になってチェックした彼のプロフィールを見てビックリ。アメリカン・ジャーナリズムでは伝説と化している「アリゾナ・プロジェクト」に参加した人物で、放送ジャーナリズムからの参加は彼ひとりだけだった。日本でも下山進氏の著書「アメリカ・ジャーナリズム」に詳しく描かれているけど、少しだけ説明をしておこうと思う。1976年、アリゾナ州フェニックスのホテル駐車場で地元紙記者が車に仕掛けられた爆弾で殺された。マフィアと地元政治家、財界人との癒着について取材を行っていたドン・ボールズ記者は、情報源とされる人物に会いに行った際に爆殺(実際には事件発生から4日後に息を引き取っている)されており、この事件を受けて全米の記者が「弔い合戦」をやろうと決起したのだ。
ボールズ記者が所属していたIRE(調査報道記者編集者会議)は全米の報道関係者に対し、ボールズがやり遂げれなかった仕事を終わらせる手伝いをしてほしいと呼びかけ、最終的に36人の記者が呼びかけに応じた。やがてこれは「アリゾナ・プロジェクト」と名付けられ、無給でプロジェクトに参加した36人は会社の休暇を使ったりしながら、マフィアと地元政治家の関係を徹底的に追求し、調査記事は1973年3月にAP通信経由で全米の新聞に掲載された(全24回シリーズだった)。全米から集まった36人の記者達による執念の調査取材によって、ボールズ記者殺害の実行グループが逮捕されただけでなく、地元財界とマフィアの黒い癒着も明らかになった。オールドスクールのブン屋たちによる、今では絶対にありえない「復讐劇」だけど、それに実際に参加したオバートン氏にはいつか会って話を聞いてみたい。
アメリカとイギリスはイラク国内の警察機構に対し、これまで車や弾薬などの備品を援助し続けてきているが、それらの一部が国内の武装組織に横流しされている事実が英オブザーバー紙の取材で判明した。複数のイラク警察幹部が同紙に語ったところでは、イラク警察のために用意された車輌や武器弾薬などが反米武装勢力壊滅の急先鋒として知られる民兵組織に奪われている模様だ。オブザーバー紙はこの民兵組織による人権侵害の実態を以前から追求してきたが、病院の検査記録や犠牲者を死後に撮影した写真などを調査した結果、被害者の多くがバグダッドやスンニ・トライアングル出身の反米武装勢力のメンバーだった事が分かっている。犠牲者の中には生きたまま焼かれたり、絞殺されたり、電気ドリルで体に穴をあけられた者もいる。
オブザーバー紙は取材を続けていく中で、これまで明かされなかった幾つかの新情報を入手している。イラク全土には幾つもの「幽霊収容所」が存在し、人権擁護団体もアクセス手段をほとんど持たないこれらの収容所の中では、組織的な拷問が繰り返されている。また、拷問に対する規制も事実上無きに等しく、激しい殴打や、性的虐待、収容者に火をつけるといった行為が行われている模様だ。オブザーバー紙は未確認情報としながらも、イラク内務省近くの建物でも同様の拷問が行われていた可能性があると指摘している。さらに、公式に存在する収容施設と「幽霊収容所」が密接な連携を取り合っているのは明らかで、後者では警察による違法な処刑も容認されているとの事。
民兵組織や警察官の一部が組織的に拷問を行っているという疑惑は、英外務省や米国務省、そして国連の間でも問題視され始めている。バグダッドの英大使館も事態の悪化を懸念するイラク政府高官から、数回にわたって情報を聞いていたことを認めている。英国防省はイラク国内の治安関係者に総額2700万ポンド規模の無償援助を行っており、そのうちの約2000万ポンドは武器弾薬や防弾チョッキ、パトロール用のランド・ローバー購入のために警察で使われている。援助された武器弾薬等がどのくらいの割合で処刑部隊に流れているのかは依然として不明だが、組織的な拷問や処刑が増えつつあるイラク国内の状況に、ブレア政権が援助の打ち切りを行うかが注目されている。複数のイラク政府高官は、昨年6月の主権移譲後、イラク国内で拷問が急増していると語った。
およそ1万2700台のタクシーが走るニューヨーク市内で、この夏からハイブリッド車を使った新型タクシーが実験的に導入される可能性が出てきており、環境保護団体は新型タクシーの導入を歓迎しているが、通常よりも後部座席部分が狭いために地元タクシー業界は及び腰となっている。ガソリンと電気の両方を使用したハイブリッド車は市内を走るタクシーよりも燃費効率が約2倍ほどよく、排ガスもこれまでの車よりも少ない。しかし、ニューヨーク市のタクシー・リムジン委員会はハイブリッド車の導入に消極的だ。マシュー・ダウス委員長がAP通信に語ったところでは、タクシー利用者の多くは大型の車体を好み、ハイブリッド車の後部座席では今までのように十分足を伸ばせるスペースが無いのだという。
ニューヨーク市を走るタクシーはフォード社のクラウン・エクストラをベースに車体を少し長くした型が使われており、ダウス委員長はハイブリッド車のタクシーは素晴らしいアイデアと語りながらも、車体の小ささが利用客に与える影響を心配する。ニューヨーク市議会は先週木曜日、タクシー会社がハイブリッド車を使用する事ができる法案を通過させており、あとはタクシー・リムジン委員会の判断で全てが決まる格好となっている。委員会は実験的に数台のハイブリッド型タクシーを走行させる計画で、ニューヨーカーが車内の狭い足元に我慢できるかを見極めたいとしている。委員会でどのような実験結果が出ても、最終的には各タクシー会社の判断でハイブリッド車の導入は決められるが、環境保護団体は将来的に市内のタクシー全てをハイブリッド車に変更してほしいとの意向を示している。
ニューヨークでのハイブリッド車使用実験には、国内の他の大都市のタクシー業関係者らも注目している。燃費を低く抑えられるなど、経営側にもメリットがありそうなハイブリッド車だが、アメリカ国内では僅かな数しか使われていない。アメリカのタクシー業界では90年代後半にも天然ガスで走るタクシーの導入が叫ばれたが、このキャンペーンは失敗に終わっている。ニューヨーク市でも180台の天然ガス使用タクシーが導入されたものの、2000年にキャンペーンは座礁しており、天然ガスを扱うガソリンスタンドが十分無かった事にドライバーからは不満が噴出していた。サンフランシスコでは15台のハイブリッド型SUVがタクシーとして使われているが、ガソリン1ガロンで36マイル走る事のできるハイブリッド車に、最近の石油価格高騰も重なって注目が集まり始めていることは確かだ。
明日はいよいよ独立記念日。昼間こそ友人らとワシントン市内をブラブラしようかと考えているけど、夕方にはアーリントンに戻って、こちらから花火を見ようかと思っている。なにしろ花火が終わった後の交通渋滞がハンパじゃなく、徒歩30分ほどで帰れる僕なんかはいいものの、郊外に住む友人の何人かは高速道路の真ん中で2時間も座りっ放しになるのがイヤらしい(そりゃ、そうだ)。9時10分からの花火はわずか20分ほどのもので、日本の花火大会と比べたら規模は小さいけれど、それでも一見する価値は大アリで、僕は例年のごとくバーベキューの残り物を食べながら鑑賞しようかと思っている。ワシントンポスト紙によると、5カ国(アメリカ・日本・中国・イタリア・スペイン)で作られた花火が使われるそうだけど、それぞれに違いがあるんだねぇ。知らなかったです。