IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

デービッド・スペクター、職業:映画評論家

2005-11-30 13:01:16 | ビジネス
カナダのケベック州で、ボーイフレンドとキスをした15歳の女の子が急死したというニュースが入ってきた。死亡原因となったのが彼女のアレルギー体質だったそうで、ピーナツ・アレルギーの彼女とキスをする直前まで、ボーイフレンドはピーナツバターのお菓子を食べていたらしい。ピーナツ・アレルギーという言葉自体、この国に来て初めて知ったんだけど、場合によっては深刻な呼吸困難を引き起こすようだ。このニュースではじめて知った事がもう1つあって、最近になってアメリカでもピーナツ・アレルギーを発祥させる子供が急増しだしたものの、その原因は完全に解明されていないらしい。野球の試合観戦から食卓まで、この国でピーナツやピーナツ・バターを口にする機会は多いのに、なぜ急に増えたんだろうか?さてさて、今日は偽造IDに関するニュースと、そして家電製品に関する話題を。

社会保障番号カードから運転免許書まで、全米の都市部ではニセの身分証明書を違法に購入する事が簡単に行える。身分証明書の偽造に関わる犯罪組織も近年は高度な技術を取り入れており、そのクオリティは本物とほとんど違わないほどだ。メキシコなどからの不法滞在者が多く集まるロサンゼルスはニセ身分証明書製造のメッカといわれているが、地元警察は最近まで偽造グループの摘発を優先課題として扱わず、本格的な捜査が開始されたのは2003年になってからだった。過去2年間の取締りで一定の成果を挙げてきたロサンゼルス市警察だが、来年1月から施行される新法では偽造IDの製造に使われた機械類を所有する者への逮捕も可能となる事から、今まで以上の摘発が期待されている。しかし、複数の警察関係者がロサンゼルス・タイムズ紙の取材に対して語ったところによると、偽造グループは「カネになる」偽IDビジネスを広範囲で展開しており、ネットワークを一網打尽にするには長い時間を要するとの事だ。

ロサンゼルス市内にあるマッカーサー公園の近くを平日に歩けば、「ミカ、ミカ!」と叫ぶ露天商の姿がそこにはあり、彼らと契約が成立すると別の場所にある写真撮影所に案内される。「ミカ」とはスペイン語のスラングでラミネート加工された身分証明書を意味する。ロサンゼルス・タイムズ紙の取材に答えたホルへ・フローレスさんの話によると、3年前にメキシコから密入国した際に別の移民から市内で「ミカ」の買える場所を聞いたそうで、ニセの社会保障番号とグリーンカードを購入したフローレスさんは、現在は市内でコックとして働いている。「ミカ」の製造工場がロサンゼルス周辺に作られ始めたのが数十年前、当時はメキシコや中米の国から国境を越えて密入国を図る移民が急増し始めた頃で、アメリカ国内で仕事を求める彼らからの需要が非常に高かった。しかし、最近ではギャングのメンバーや仮出所者が身分を隠すために偽者のIDを使うケースが増えており、警察にとって新たな頭痛の種となっている。

ロサンゼルス市警の話では、押収した偽造身分証明書の約95パーセントが実在の人物の個人情報を盗んで作られたもので、犯罪者による利用が急増しているのが大きな特徴ということだ。「20年前、偽造IDの購入者はバーに入りたい学生や職を求める移民だったのですが、そういった固定観念が確実に覆されています」、捜査官の一人はそう語った。複数の捜査関係者の話をまとめると、市警は以前からマッカーサー公園のパトロールを行っていたが、数年前までは偽造IDよりも暴力犯罪の取り締まりに重点が置かれていた。また、市警が定めた内規によって、管轄の異なる移民問題を積極的に扱う事が容易ではなかった背景もある。「ミカ」の本格的な取り締まりに動き出したロサンゼルス市警だが、その効果はすでに表れ始めている。2002年度、偽造ID絡みでの逮捕者はゼロだったが、2003年には73人、2004年には84人、そして2005年11月15日の段階ですでに124人が逮捕されている。

感謝祭も終わり、各地ではクリスマスに向けての商戦が早くもスタートしているが、今年の人気家電製品はアップル社の携帯型音楽プレイヤー「iPod」とマイクロソフト社が先週発売した新型ゲーム機「Xbox 360」の2つで、消費者の間で最もプレゼントとして欲しいアイテムとして選ばれている。全米の小売店と経済アナリストの調査によると、iPodのような携帯型MP3プレイヤーは昨年度の「プレゼントにほしい商品」トップ10にすら入らなかったが、今年は1位に輝いている。昨年度は9位だったテレビゲーム機も、今年は3位と大健闘している。2位はデジタル・カメラだった。業界団体「消費者家電協会(CEA)」が全米の成人1000人を対象に行った電話調査で明らかになった携帯型MP3プレイヤーとテレビゲームの人気。この背景には、順調に売り上げを伸ばすiPodと、最近発売されたばかりのマイクロソフト社製ゲーム機の存在が大きく関係しているようだ。

「Xbox 360」は先週の発売前からアメリカ国内で大きな話題となり、発売日前夜には各地の大型量販店の前に寝袋持参で並ぶ徹夜組まで出たほどで、ほぼ全ての店で売り切れが報告されている。実際の販売価格は400ドル前後だが、ネットオークションではすでに2倍から3倍の値段で取引が行われている。一方、iPodは一昔前のウォークマンや数年前のデジタル・カメラのように、誰でも簡単に使えるシンプルさが人気となり、現在も順調に売り上げを伸ばしている。MP3市場の約70パーセント以上をアップル社が占めており、iPod人気の凄まじさが窺える。その他の人気家電製品には、DVDプレイヤーやコードレス電話といったアイテムがあり、HDTVも前年と同じくランク入りしている。これまでHDTVは販売価格の高さが原因で爆発的な売れ行きを記録する事は無かったが、最近は比較的安めのモデルも発売されているため、これから伸びる可能性は大いにある。

前出のCEAによる調査では、今年の1月から9月までの間に国内におけるMP3プレイヤーの売り上げは約23億ドルを記録しており、残りの第4四半期で7億ドルの売り上げが見込まれている。合計すると30億ドルに達する2005年度の売り上げだが、これは前年度の3倍以上となる数字だ。ウェドブッシュ・モーガン・セキュリティのマイケル・パッチャー氏がニューヨーク・タイムズ紙に語ったところによると、マイクロソフト社は45万台の「Xbox 360」を11月22日の発売日に売り切ったが、生産が追いつかないために、年内にあと55万台を売るのが限界だ。このためMP3プレイヤーでアップル社が1人勝ちしたような状況がテレビゲームの世界で起こる可能性は低く、ソニーはアメリカ国内のクリスマス商戦で約200万台のプレーステーション2を販売するだろうとパッチャー氏は語っている。

映画「メモワー・オブ・ゲイシャ」のキャスティングや内容をめぐって、日本や中国でちょっとした論争が発生しているというニュースがロイター通信経由でアメリカにも紹介された。中国人キャストに加えて、京都ではなくラスベガスのような舞台設定に違和感を覚えるファンが少なくないそうだけど、個人的にはハリウッドの作る映画なんだから仕方ないと思う。極論を言えば、日本人がどう思うかではなく、(チケットやDVDを買ってくれる)アメリカや世界中の映画ファンが持つイメージにマッチすればいいんだから。そう思っていたら、CNNでデーブ・スペクターが映画評論家としてインタビューに出演していた(ちなみに、名前はデービッド・スペクターで)。今回の映画とは直接関係ないけれど、僕はこのインタビューの方が興味深かった。3分弱のインタビューで映画の問題点を的確に指摘するデーブ。日本のテレビで見る3枚目とは180度違う姿だ。こちらのトーク番組に出演したボブ・サップや武蔵丸光洋にも同じ事が言えるけど、しっかりとした意見を淡々と語る姿が印象的だった。日本とアメリカ、どちらの国で見せた姿が本物かは僕には分からない。しかし、今でも日本では「ガイジン」にステレオタイプ的イメージを期待する人が少なくないのではとも感じた。

写真:ロサンゼルス市内で街角のニューススタンドを調べる警察官。偽造身分証明書がこういった場所に隠されるケースが少なくない。 (ロサンゼルス・タイムズ紙より)

「モラル」好きの共和党、言葉と行動はどうも一致しないようで

2005-11-29 15:02:20 | 犯罪
今日の昼前、自宅近くのドラッグ・ストアに立ち寄ってマルボロ・ライト一箱とスターバックスの缶コーヒーを買った時のこと。さすがはバージニア州、タバコとCIA工作員が主な特産品という事もあり、タバコの値段は本当に安い。自宅から車で5分、ポトマック川を渡ってワシントンに入ると一箱5ドル近くするマルボロが、一応バージニア州になる自宅周辺では3ドル50セント前後で売られている。すでにボストンでは6ドル、ニューヨークでは8ドルもするタバコだけど、ここではカートンで買うと一箱あたり3ドル10セントだ。話はドラッグ・ストアに戻るけど、マルボロの箱のバーコードをレジに通した店員が「昨日までは3ドル20セントだったのに」と一言。ちなみに今日は3ドル90セントだった。タバコの値段が店ごとに変わるのは普通だけど、同じ店の中でも定期的に値段の変更が行われるらしい。石油価格ならまだしも、タバコの値段が変動するなんて話、今日まで全然知らなかった…。さて、今日は大物議員の新たなスキャンダルと、カリフォルニアで発生した酒店襲撃に関する話を。

ランディ・カニンガム下院議員(カリフォルニア州)は28日、国防総省の下請け会社から240万ドル分の賄賂を受け取っていた事実を連邦判事に認め、その後開いた記者会見で議員職を辞任すると発表した。63歳のカニンガム元議員は起訴事実を認めたあとで、カリフォルニア州サンディエゴにある連邦裁判所の前で記者会見を行い、涙ながらに辞任を発表している。元議員はペンタゴンとの契約に便宜を図る目的で、下請け会社から240万ドル分の賄賂を受け取った事実を認めている。共和党の下院議員として8期目を務めていた中で辞任を発表したカニンガム元議員だが、ベトナム戦争中にパイロットとして参戦した過去があり、一部の有権者からは戦争のヒーローとして崇拝の対象になっていた。2004年には脱税などの罪で起訴もされていたが、28日に連邦裁判所へ出廷した際、これらの起訴事実も認めている。

「私は法律を犯し、家族の名誉を汚してしまいました。取り返しの付かない事をしてしまいましたが、罪滅ぼしは精一杯やっていこうと思っています」、記者団に囲まれたカニンガム議員はそうコメントした。元議員の収監は来年2月27日から始まる模様で、具体的なペナルティの内容はまだ明らかにされていないものの、最高で10年間の懲役刑と100万ドル以上の罰金が科せられる事となる。検察側によれば、カニンガム元議員は下請け会社から100万ドル以上分の小切手や、現金、家具、旅行代金を受け取っており、その総額は240万ドルに達していた。すでに7月には元議員本人が次に選挙には出馬しないと発表していたが、28日に突然発表された辞任発表をうけて、カリフォルニア州では近いうちに特別選挙が実施される。

カニンガム元議員に対する捜査は昨年夏に開始されており、検察側はワシントンの軍事企業「MZM社」の創設者ミッチェル・ウェイド氏と元議員との間に不動産取引が存在していた事実を突き止めていた。ウェイド氏は2003年、サンディエゴ市内にあるカニンガム元議員所有の邸宅を167万5000ドルで購入したが、翌年になって購入時よりも70万ドルほど安い価格で売却しており、検察側は従来の市場価格と大きくかけ離れた160万ドル以上の購入費に目をつけていた。元議員と妻はその後、サンディエゴ北部にある高級住宅地に別の邸宅を購入している。首都ワシントン近郊では元議員のニックネームから名付けられた「デューク・スター号」というヨットが停泊しており、元議員は頻繁にこのヨットでセイリングを楽しんでいたが、検察側の調べでヨットの法律上の所有者がウェイド氏であった事が判明している。MZM社は過去数年の間にペンタゴンと幾つもの契約を結ぶ事に成功していたが、同社の業績が延び始めた時期、カニンガム元議員は下院小委員会で軍事予算の使い道を監督する役にあった。

カリフォルニア州オークランドにある酒店で発生した破壊事件が、先週末から人種問題へと発展しつつある。感謝祭直前の23日、市内にある2軒の酒店で10人以上の男性グループが、「黒人に酒を売るのをやめろ」と叫びながら店内を破壊する事件が起こった。破壊行為の一部始終は店内の防犯カメラによって録画されており、男達は商品棚からビールなどを取り出して床にばら撒き、鉄パイプのような物で商品棚を破壊している。警察の事情聴取に答えた店主の話では、男達は店の売上金などに全く手をつけず、「黒人への酒の販売をもうやめろ」と叫んで店から立ち去ったという事だ。犯行に加わったとされる男性はみな黒人で、スーツと蝶ネクタイを着用していた。警察はヘイト・クライムと断定して、先週半ばから事件の捜査を開始したが、スーツと蝶ネクタイといった格好から黒人イスラム教組織「ネイション・オブ・イスラム」の関与が住民から指摘される事態となった。

「ネイション・オブ・イスラム」の幹部達は26日にオークランド市内で記者会見を開き、23日に発生した2件の酒店襲撃との関与を真っ向から否定している。また、同団体の西海岸地区責任者であるトニー・ムハマンド師は、複数の地元市会議員らと共に破壊行為を非難する声明を発表している。「スーツとネクタイを着用した黒人全てがギャングや犯罪者を意味するわけではないように、こういった格好をした者全てが商店の破壊に加わっていると考えるのはやめていただきたい」、ムハマンド師はそう語っている。オークランド周辺の酒店の多くがアラブ人かアラブ系アメリカ人によって経営されており、破壊行為に加わった男性グループが黒人への酒販売を停止するよう求めていた事からヘイト・クライムの線で捜査は進められたが、地元警察は「ネイション・オブ・イスラム」のメンバーから事情聴取は行っていないと発表している。

事件の捜査を行うオークランド市警察のハワード・ジョーダン本部長補佐はAP通信の取材に対し、「ネイション・オブ・イスラム」とは別の黒人イスラム教組織の捜査を行っていると語っており、市内にチェーン店を構えるYBMB(Your Black Muslim Bakery)の関係者が捜査対象になっている事も明らかにした。1993年にはYBMBと関係のある複数のイスラム教徒が市内で同様の事件を起こしており、警察側はYBMB関係者への事情聴取を進めていく構えだ。YBMBの創設者ユセフ・ベイ氏は25日、地元紙オークランド・トリビューンの取材に答え、事件をメディアの報道によって初めて知ったとコメントしている。28日未明には襲撃を受けた2つの酒店のうちの1つが放火の被害に遭っており、オークランド消防局の話によると、火災によって店内がほぼ全焼し、建物自体も非常に大きなダメージを受けたとの事だ。

明日に締め切りが迫った月刊誌用原稿。今回はCIA情報漏洩疑惑で渦中の人物となった元ニューヨーク・タイムズ記者ジュディス・ミラーについて書いているんだけど、リサーチの段階で彼女の高校・大学時代についても多くの資料に目を通した。ミラーはサラ・ジェシカ・パーカーやローレンス・フィッシュバーンも卒業したハリウッド高校(ロサンゼルス市にある)に通っていた。芸能関係に進む卒業生が多いので、気になって卒業者名簿をじっくり見ていくと、その中に面白い名前が。ミラーの数年先輩として、ブッシュ政権一のタカ派と言われたリチャード・パールの名前があった。この2人が高校時代に面識があったかどうかは分からないけど、政権の中でイラク攻撃を激しく主張した男と、イラク開戦前の「世論作り」に積極的に関わったミラーが同じ高校の卒業生だったのは興味深い。1990年にミラーとイラクに関する本を執筆した人物が、パールと同じシンクタンクで活躍していたり…。いつも思うことなんだけど、人脈図を作っていくと、いろいろと浮かび上がってくる事がある。

写真:オークランド市内で23日に発生した酒店襲撃事件を記録した防犯カメラの映像。 (サンフランシスコ・クロニクル紙より)

元司法長官のクラーク氏、フセイン被告の弁護団に加入か?

2005-11-28 12:43:15 | イラク関連
アパートのメンテナンス係のオッサンに、ウチの部屋を全て点検してもらった。12月中旬に数週間ばかり帰国する事もあって、帰るまでにキッチンや室内暖房などの点検をしてもらおうと考えていたんだけど、12月に入ってから帰国する日まで毎日バタバタするのが分かっていたので、日曜日にもかかわらず今日チェックしてもらう事にした。感謝祭直前に発生した例の洪水事件。幸いに部屋は大丈夫だったんだけど、あれから自宅の電気や水道、そして暖房設備なんかが気になってしまって…。結果は全く問題ないとの事で、これで安心して家を空けれると思いつつも、帰国中に水道管が破裂したらどうしようかとドイツ人のように悩む始末。それほど、あの洪水事件には腰を抜かしたわけで…。さて、今日は明日からイラクで再開される特別法廷でアメリカの元司法長官が弁護団に加わるかもしれないというニュースを。

CNNが27日に報じたところによると、サダム・フセイン元大統領の弁護チームは28日にもイラク特別法廷に対し、ジョンソン政権下で司法長官を務めたラムジー・クラーク氏を弁護団に加えるよう要請する模様だ。特別法廷は28日から再開されるが、関係者の話によると、クラーク氏は27日夜か28日朝にフセイン被告の弁護団と会談を行う予定だ。弁護団のメンバーの1人でもあるカーメス・アル・ウバイダイ氏がCNNに語ったところでは、仮に特別法廷がクラーク氏を弁護士としての入廷を拒否しても、法律顧問としてのポジションが用意されるとの事だ。特別法廷に関わる米高官の1人は、これまでフセイン被告の弁護団から具体的な申し立ては無かったとコメントしたが、申請が行われればクラーク氏の弁護団加入に大きな問題はないだろうとも語っている。12月で78歳になるクラーク氏は、弁護士であると同時に、60年代から平和活動家としても知られてきた。

ジョンソン政権で司法長官を務めたクラーク氏は、退任後も人権問題を扱う弁護士として活躍し、近年は反戦活動などにも積極的に参加していた。イラク戦争には開戦前から明確に反対の立場を示しており、開戦前の2003年2月には当時大統領だったフセイン被告とも面会している。60年代後半には南部の公民権運動を積極的に保護し、当時アラバマ州などで行われた人種差別撤廃デモなどでは、連邦政府がデモ参加者の安全を守るために警察官などを派遣しなければならないという特別裁判所命令の実現にも影響を与えている。70年代に入ると、クラーク氏は反戦色を一層強め、72年には北ベトナムを訪問している。1991年と2003年のイラク戦争両方に反対する氏は、数年前からブッシュ大統領の弾劾を求める運動を全国で展開しており、反戦団体「ANSWER」創設メンバーの1人でもある。

28日に再開される特別法廷では、弁護団が3ヶ月の猶予を求めるものと見られており、前出のアル・ウバイダイ氏は裁判で必要な関係資料の一部が未だに手元に届いていないと語っている。また、弁護団は1982年に発生したドゥジェイル虐殺事件に関する目撃者の証言を記録するために高性能のコンピューターが必要だと主張し、目撃者の名前も明らかにするよう求めている。イラク特別法廷を巡っては、以前から様々な問題が浮上しており、この2ヶ月間の間にフセイン被告の弁護士2名が殺害される事件も発生している。米政府筋がCNNに語ったところでは、28日から再開される特別法廷の中で、イラク内務省による弁護団への警護活動の義務付けも発表される予定だ。これまで特別法廷に関わる者への警護活動は本人の同意無しに行うことが出来なかった。国際法に詳しいクラーク氏が加わる可能性が高くなったフセイン被告の弁護団だが、問題は依然として山積みのままだ。

雑誌「エスクワイア」12月号。表紙はクリントン元大統領だった。「ナショナル・ジオグラッフィク」の表紙にしか出れなさそうな今の大統領と違い、ジャズとレディとファーストフードを愛するアーカンソーの伊達男は、やっぱり格好いい。その12月号に掲載された小さな記事の中に、最近売り出し中の黒人俳優ジェフリー・ライトへのインタビューがあった。12月に公開予定の政治サスペンス映画「シリアーナ」に出演するライトは、これまでにも「シャフト」や「アリ」といった作品で独特の存在感を醸し出してきたけど、その彼に向けられた質問というのが「今のハリウッドは黒人俳優にとっていい状況でしょうか?」というものだった。小さな記事だったので見逃しかけたんだけど、彼の答えが興味深かった。「そうは思えませんね。30歳以下の人気黒人俳優でラッパー出身者じゃない人間を見つけるのは不可能です。結局、純粋に演技で食べていきたい俳優が埋もれる環境が出来上がっているのです」、言われてみるまで気付かなかったけど、それって的を得た意見だと思う。若い黒人アーティストの映画やビデオ映画が毎週のように発表されているけれど、そこに若手の演技派俳優の姿は無い。デンゼル・ワシントンやドン・チードルのような人材が出るのはいつになるんだろうか。

写真:今年6月に撮影されたクラーク氏の写真。 (ロイター通信より)

鹿狩りを予定するアナタ、50口径のライフル銃も忘れずに

2005-11-27 14:50:07 | ビジネス
寒さが一段と厳しくなった26日朝。今朝も起きてからすぐにインターネットでジョージ・ベスト氏死去に関するニュースを眺め、目覚まし代わりのコーヒーを飲みながら大ベテランのフットボール記者ブライアン・グランビル(今年で74歳!高校生の頃から彼の記事を辞書を片手に読んでいた記憶がある)による死亡記事を読む。ベスト氏の死去に悲しんだファンは多かったが、それよりもショッキングな話を27日付の英オブザーバー紙が報じている。ベスト氏は以前からすでに破産状態となっており、氏の治療を最後まで試みたロンドン市内のクロムウェル私立病院は、総額10万ポンド以上に及ぶ入院・治療費を最後まで請求する事はなかったそうだ。昨日のブログでも少し触れたブラジル人選手ガリンシャ。彼もリオのスラム街で死亡した際には一文無しの状態だったという。余談だが、ガリンシャの葬儀にはブラジル中から100万人以上が集まったと言われており、彼の棺は消防車の上に乗せられて墓地まで運ばれたのだという。約50年前、ベルファストの路地裏でテニスボールを使ってドリブル遊びをしていた神童は、やがて「5人目のビートルズ」や欧州最優秀選手といった称号を手に入れ、59年の短い生涯を走りきった。繰り返しになるけれど、謹んでご冥福をお祈りします。さて、今日は「こんなモノまで買えてしまうの?」と溜息が出そうな、アメリカの銃火器販売に関するニュースを。

アメリカ国内ではピストルからライフルまで様々な銃火器類を購入する事が可能だが、州によってはバレット・ファイアーアームズ社製の50口径ライフル銃も買うことが出来る。バレット社の創業者でもあるロニー・バレット氏が設計したこの大型ライフルは重さが30ポンドあり、2000ヤード離れた場所から戦車の装甲部分を撃ち抜く威力があるため軍用平気として使われているが、同時にアメリカ国内で市民が購入できる最も威力のある銃火器類としても知られている。米軍は1991年の湾岸戦争からバレット社製ライフル銃を本格的に導入し始めており、ハリウッドの俳優を含む多くの銃愛好家達もこぞって購入している。銃火器類の購入が市民の権利か否かという論争が今も続く中、バレット社製ライフル銃を使用したテロが発生しないかとの懸念も出始めている。論理的には、このライフル銃で飛行中の民間航空機を撃墜したり、列車を脱線させる事が可能なのだという。

この数年間、幾つかの州ではバレット社製ライフルの一般販売を禁止・制限しようとする動きが見られ、カリフォルニア州ではすでに販売の制限が法律によって定められている。ワシントン市内にある「バイオレンス・ポリシー・センター」のトム・ディアス上級政治アナリストはAP通信の取材に対し、バレット社製ライフルの販売により強い規制を設けるべきだと語る。多くの州では現在、18歳以上で身元調査をクリアした者なら誰でも50口径ライフルの購入が可能であり、ディアス氏によれば「ピストルを購入する際よりも身元調査が甘い」との事だ。バレット社の売り上げのほとんどは軍関係のもので、米軍や国内の警察に加えて、世界50カ国の軍隊などでも採用されている。また、昨年だけで国防総省はバレット社と約800万ドル分の契約を結んでいる。ライフルを購入した民間人の多くが、このライフルを使って狩猟や射撃大会に参加している模様で、バレット氏は「軍関係の契約高は年ごとに変動するため、民間における売り上げは重要な問題です」とコメントしている。

1999年に米会計監査院が行った調査によると、一般市場で販売されるバレット社製ライフルはピストル購入の場合よりも規制が少なく、ライフルを扱う銃砲店の店員の中にはテロリズムへの懸念を全く示さなかった者も少なくなかった。この調査では、ライフル購入希望者に扮した監査院スタッフが複数の銃砲店を訪れ、その場で店員に「リムジンや飛行中のヘリコプターを撃ってみたい」と何度も語ったが、契約を成立できると考えてプッシュを続ける店員が何人もいたとの事。テロリズム対策専門家のジョセフ・キング氏もバレット社製ライフルの一般市場での販売に疑問を投げかける。「民間人が50口径のライフル銃を使う意味が理解できませんね。軍隊や警察が使用する目的で作られたライフルで狩猟を行っても、撃たれた動物の体が原型を留めることは無いのですから」、キング氏はそう語った。

仕事に追われてしまった感謝祭。それでも友人宅で鳥肉のディナー食べたり、映画をゆっくり見たりする時間を作る事が出来た。この3日間で3本の映画を見たけれど、どれも興味深いテーマだった。今回見た3本は、「Edukator(邦題はベルリン、僕らの革命」、「Happy Endings」、そして「A Day Without A Mexican」。3本目の映画はカリフォルニア州である日突然にヒスパニック系住民が全て蒸発してしまうという設定で始まるコメディで、これまでヒスパニック系住民を苦々しく思っていた「アメリカ人」が、その存在の大きさに気付かされるという一風変わった作品だ。設定の部分で少々無理があるため、こちらの映画批評なんかでもあまり高い評価を得る事が出来なかったらしいけど、個人的にはカリフォルニア州から突然ヒスパニック系がいなくなった時の衝撃をコミカルに描いたこの映画、メキシコとの国境でパトロールをする自警団や移民嫌いで知られるCNNのルー・ドブスにぜひとも見てもらいたい。

写真:50口径ライフルを持つロニー・バレット氏 (AP通信より)

7番は永遠にあなたのもの

2005-11-26 06:20:57 | Weblog

英フットボール界の伝説的選手ジョージ・ベスト氏が25日に死去した。もしかすると明日のブログでも触れる事になるかもしれないけれど、いつかインタビューしてみたいと思った人物だった。7~8年前、アイルランドのリマリックという町でベスト氏の友人だというビジネスマンと話をする機会があった。その頃からベスト氏のアルコール依存症は大きなニュースとなっていたけれど、僕はあえてその話を聞かず、フットボールだけではなく60年代文化の象徴的存在だった氏の「光り輝いた時代」について幾つか聞いた記憶がある。おそらく、英サッカー史上最高の選手であったベスト氏。世界中のファンから愛され、晩年をアルコールで台無しにした過程は、同じウイングの名手だったブラジル人のガリンシャと恐ろしいくらいに重なってしまうけれど、サッカーボール1つで誰にでも幸福感を与える事の出来た「選ばれた」天才だった。

謹んでご冥福をお祈りします。                   

 

           

                    1968年、ロンドンのハイベリーで撮影された写真。 (AP通信)

 

                           

         撮影日時は不明。1970年代前半のものと思われる。 (ロイター通信)

 

                  

       1971年7月の対ファリハックス戦。テラスで観戦する少女とベストの写真。

 

            

      25日にオールド・トラフォードの近くでファンによって飾られたシャツ。 (ロイター通信)     


メイド・イン・USA

2005-11-24 09:43:10 | ビジネス
ワシントン市内のビジネス街で昨日の昼頃、全裸の男性が飛び降り自殺をした。あまりにも奇妙な話だったので、今日のワシントン・ポスト紙も報じていたけれど、チェロッキーで市内のオフィスビルに乗りつけた男性は、裸のまま建物の中に入って、8回から窓を突き破るようにして飛び降りたらしい。一瞬の出来事で、ビル内にいた警備員が呆気にとられている間に発生した自殺だった。この男性の車から衣服類は一切発見されなかったそうで、全裸のまま車を運転して、自殺場所にやって来た可能性が高いんだとか。男性の身元がまだはっきりと特定されていないらしいけど、オフィスビル内の会社や職員との繋がりは今のところ出ていない。この国に住んでいれば奇妙な事件や事故に免疫ができるものだけど、昨日の話には謎が多い…。さて、今日は長距離バスの安全基準に関するワシントン・ポスト紙のニュースを。「チャイナタウン・バス」と呼ばれるこの格安バス、僕も学生時代に何度か利用した事があったんだけど、色々な問題が存在するようだ。

ボストン-ワシントン間を走る格安長距離バスが学生や若者の間で人気を集めているが、連邦政府は最近になって「安全面での懸念」を理由に大がかりな検査を行っている。連邦運輸安全局(FMCSA)は10月後半に400台の長距離バスの検査を実施し、500ヶ所以上の安全急準違反を発見したと発表している。違反内容だが、スピード違反、故障したクラクション、十分に機能しないブレーキやワイパーなどが含まれている。検査が終了して間も無く、56台のバスと13人の運転手に対して運行停止処分が下された。検査を受けた長距離バスのほとんどが新興の会社によって所有されており、バスターミナルではなく各都市の指定された舗道脇で乗車する仕組みとなっている。グレイハウンドといった大手長距離バス会社よりも格段に安い料金が設定されており、ワシントン-ニューヨーク間の往復料金はわずかに35ドルだ。東海岸のアジア系コミュニティの中に乗り場が多い事から、いつの間にか「チャイナタウン・バス」という名称で知られるようになった。

感謝祭休日や年末年始の旅行シーズンが到来する直前に行われた今回の検査は特定のバス会社を対象にしており、FMCSAのアネット・サンドバーグ局長は正式な検査結果を12月初めに発表すると語っている。「私が最も心配するのは、低料金の裏で安全基準が守られているのかという事です。運営方法や、車体の整備状況、運転手に対する麻薬・アルコール検査、保険への加入…。こういった基準をきちんと満たしているのかが問題なのです」、サンドバーグ局長はワシントン・ポスト紙の取材に対してそう語った。FMCSAに加えて、司法省も格安長距離バス会社に対する捜査を開始しており、車椅子用のリフトを取り付けていない車体が米障害者法に違反していると指摘している。また、ニュヨーク-ボストン間を走る格安バスが今年だけで2件の火災を発生させており、民主党のチャールズ・シューマー上院議員(ニューヨーク州)らが中心となって連邦議会で問題提起が行われている。

ワシントン・ポスト紙が入手した資料によると、ワシントン-ニューヨーク間の運行を行う格安バス会社3社が今年のFMCSAによる検査で「最低の安全レベル」と指摘されており、そのうちの1社は昨年夏に業務停止処分を受けていたにもかかわらず、最近までバスの運行を続けていた。全体的に見た場合、バス旅行は比較的安全で、死亡事故の発生率も自家用車での場合の約半分だ。しかし、格安バスによる事故が数年前から相次いで発生しており、最近もハリケーンから避難する老人らを乗せた格安バスが出火し、23人が死亡してる。FMCSAは2003年に東部の格安バス会社の実態を調査する調査チームを設置したが、複数の業者が同じバスを共有したりしているため、ビジネスの全体像を把握するのは容易ではないようだ。

我が家でも今朝、「アホな…」と絶句するような大事件が発生。朝起きていつものように顔を洗おうとバスルームに行き、洗面台で何も考えずに蛇口をひねった。温かいお湯が出てきて数秒後、ドーンという音と共に洗面台の下にある配管が破裂して、笑えない量の水が床に流れ始めた。「Madonn' !」、いきなりの事態に出た言葉はそれだけで(あとで聞いた話では、あまりの絶叫で隣のジイさんの部屋まで聞こえていたらしい)、感電が怖かったので周囲のコンセントを全て引っこ抜いてから1階まで走っていき、受付の女性に事情を説明。すぐにメンテナンス係が2人来てくれて、配管の修理が始まった。5分ほどで水は止まったけれど、寝室とリビングにまで水が流れていて、業務用の水吸い取り機まで投入する始末。結局、僕を入れた3人で1時間ほど部屋の掃除を行い、配管の修理作業も終わった。破裂の原因だけど、小さなネジ部分が腐食していたらしく、蛇口をひねった際の水の勢いもあって完全に壊れてしまったらしい。「メイド・イン・USA」と書かれた配管パーツを手にしたオッサンの1人が、「アメリカ製を信用しちゃだめだよなぁ」とジョークを一言(僕はこういったシチュエーションでジョークを言える人間が好きだ)。アメリカ生活ではじめての水漏れ事故(?)でした。

明日と明後日は感謝祭休日のため、ブログの更新を休みます。日本時間で日曜日にまた再会するので、よろしく。

写真:ニューヨーク市内で格安バスの中を検査する市の職員。 (ワシントン・ポスト紙より)

ブッシュ大統領、アル・ジャジーラ爆撃を計画か?

2005-11-23 14:13:17 | イラク関連
なんとか朝7時にベッドから抜け出し、シャワーで目を覚ましてから、8時半からCSISで行われたフォーラムに遅れないで行く事ができた。我が家から地下鉄の駅までは徒歩10分。わずか数週間前には心地よかったはずの駅までの徒歩が、先週から辛くなり始めた。冬場の外取材が毎日のようにあったボストン時代を考えると、まだまだ大した事のない気温なんだろうけど、スーツの上からコートを羽織る日がやってくるのも近いかもしれない。今日のフォーラムは「現代の戦争で重要になりつつある特殊部隊の役割」についてのもので、最近イラクから帰ってきたジェームズ・ガブリリス少佐や2001年から2003年まで対テロ戦争の指揮官だったジェフリー・ランバート少将がゲスト・スピーカーとして出席していた。報道関係者の他にも、ヨーロッパ各国の大使館職員や軍事産業のスタッフも参加しており、朝一番のフォーラムにしては出席者が多かった気がする。また別の機会に詳しく書ければいいけど、この国の戦争形態は確実に変化している。さて、今日は英タブロイド紙がスクープで報じたニュースがワシントンとロンドンでちょっとした騒ぎとなっているので、それを紹介することに。

22日付の英大衆紙「デイリー・ミラー」は2004年にワシントンで行われた米英首脳会談の中で、ブッシュ大統領とブレア首相が中東カタールの衛星ニュースネットワーク局「アル・ジャージーラ」を爆撃する計画について話をしていたと報じ、ミラー紙の報道後すぐに米英のメディアが後追い報道を開始している。ミラー紙はイギリス政府内で働く匿名の情報筋からの話として、2004年4月16日にホワイトハウスで行われた会談の中で両国首脳がアル・ジャジーラ本社ビル爆撃の可能性について話し合ったが、最終的にブレア首相がブッシュ大統領に対して「思いとどまるように」説得したのだという。ホワイトハウス高官はBBCの取材に対し、「このような報道内容には、応じる事すらはばかれる」と苛立ちをあらわにしている。しかし、反ブレア派の急先鋒として知られるピーター・キルフォイル元国防担当閣外相は、両首脳が交わした会話のトランスクリプトを公開すべきだと主張している。

1996年に放送を開始したアル・ジャジーラはアルカイダのビデオメッセージを頻繁に放送することでも知られ、2003年のイラク戦争でアメリカの同盟国でもあったカタールのドーハに放送局がある。ミラー紙は複数の人物から情報を入手しているが、情報源となった人物の間でもアル・ジャジーラ爆撃の真意について意見が分かれているとの事だ。情報源の1人は、両首脳が「ふざけあって」アル・ジャジーラ爆撃を語っていただけとミラー紙に語っており、別の人物は「ブッシュもブレアも深刻に話し込んでいた」とコメントしている。ワシントンで会談が行われる直前、イラクのファルージャでは武装勢力との戦闘によって米海兵隊員30人が死亡しており、ブッシュ政権閣僚メンバーも以前からアル・ジャジーラを激しく批判していた。BBCのポール・レイノルズ記者は米軍の中東方面司令部が置かれているカタールを爆撃する可能性はあり得ないとして、仮に発言そのものが実際に行われていたとしても、ブッシュ大統領流の「ジョーク」だったのではと分析している。

しかし、両首脳の発言を記録したメモが外部に持ち出されていたのは事実で、英当局は内閣府に勤務するデービッド・キーオ氏を告訴している。キーオ氏はメモをトニー・クラーク元議員の元で働いていたレオ・オコナー氏に渡した容疑がかけられており、2人は来週ロンドンの下級判事裁判所に出廷する予定だ。ミラー紙の報道によると、メモには「最高機密」のスタンプが押されており、ドーハのビジネス街にあるアル・ジャージーラ本部をどのように攻撃するのか詳細に語ったブッシュ大統領に対し、攻撃に反対するブレア首相が説得する様子が記録されているとの事。キーオとオコナーの両氏がミラー側と接触していたかについては、明らかになっていない。英政府は22日午後にAP通信の取材に答え、機密情報漏洩問題とミラー紙の報道内容について現在は何もコメントできないとしている。「もし今回の報道が事実だとすれば、我々だけではなく世界中の報道機関にとってショッキングな出来事です」、同じ日にアル・ジャジーラも声明を発表している。

2時間前に友人と遅めの夕食を食べたばかりですが、今日は最後に感謝祭ディナーにまつわるトリビアを。この国に来てから、感謝祭では七面鳥を食べるのが当たり前と思い込んでいたんだけど、数日前に日本のある媒体に感謝祭に関するコラムを寄稿した際に色々と知らなかった事に気付いた。原稿執筆前のリサーチで分かった事-それはアメリカ国内で感謝祭で七面鳥以外を食べる家庭が少なくないという事で、例えば西海岸のある地域ではアメリカイチョウガニを食べる習慣があるらしい。また、アイルランド系の家庭ではリブ・ステーキ、イタリア系の家庭ではラザニアを食べる習慣が残っていたりもするらしく、エスニック・グループによってロースト・ターキー以外の料理がテーブルに並ぶ事も珍しくはない。木曜日の晩、僕は知人宅でターキーを頂く予定だけど、それまでに仕事がどれくらい終わってるのか…。

写真:ドーハにあるアル・ジャジーラのニュースルーム。 (AP通信より)

移民とヤギ肉、そして電卓をたたく農場主

2005-11-22 10:40:58 | 医療・健康
感謝祭休日まであと数日。当日になればワシントンの町もゴーストタウンのように静かになるとは思うんだけど、少なくとも月曜日の今日はいつもながらの雰囲気で、目抜き通りのKストリートも相変わらずの騒がしさだった。明日は午前8時半からワシントン市内でフォーラムに出席する。午前9時前に取材やらアポイントがある場合、当日の朝はいつも大変で、ベッドの横に置いた目覚まし時計と携帯電話のアラームの2つが無いと起きるのは困難だ。明日のフォーラムは「変わりゆく戦争の定義」というテーマで、最近まで米軍特殊部隊の指揮官だった人物や、イラクから戻ってきたばかりの陸軍特殊部隊兵士らがスピーカーとして話す予定。質問の時間があれば、幾つか聞いてみたい話があるんだけど、どうなる事やら…。さて、今日は食肉関係の話を2つ。1つは以前から問題になっている鳥インフルエンザの話で、2つ目にアメリカで順調に売れ行きを伸ばす「新しい食肉」の話題を。

保健社会福祉省(HHS)のマイク・リービット長官は20日、NBCのニュース番組「ミート・ザ・プレス」に出演し、現在のアメリカがインフルエンザの大量発生に十分な準備を行えていないと語った。「カトリーナという超大型ハリケーンが教訓になったように、我々には予期せぬ事態に備えなければならない場合があります。(インフルエンザが大量発生した場合に)国民全員を守りきれる準備が行えていないのが現実なんです」、リービット長官は番組内でそう語っている。アジアではすでに鳥インフルエンザによって67人の死亡が確認されており、世界中に広がった鳥インフルエンザの影響で数百万人が死亡する可能性も指摘されている。アメリカ政府高官らも、「インフルエンザが渡り鳥によってアメリカに到来するケースは十分考えられる」と、以前から懸念を表している。現在のところ、アメリカで鳥インフルエンザが大量発生する可能性は低いと考えられているが、複数の医療関係者は鳥インフルエンザが人間同士で感染してしまう別のウイルスに突然変異する可能性を指摘している。

「国内でインフルエンザの大量発生が始まった場合、犠牲者がどれくらいになるかは分からないです。結果を予想するにもできないのだから、常に最悪のケースを想定すべきだと私は思います」、同じくNBCの番組に出演した国立衛生研究所(NIH)のアンソニー・ファウチ博士(伝染病学)はそう語った。ファウチ博士のコメントをフォローアップするように、世界保健機関(WHO)のマイケル・ライアン博士も鳥インフルエンザをめぐる現状を説明する。「これは非常に危険なウイルスで、異種間の障壁が破られたケースが130件存在しています。過去37年間で、今ほどインフルエンザの流行に近付いたことはありませんでした」、ライアン博士はそう語った。アメリカ国内で鳥インフルエンザの発生は報告されていないが、国内にストックされているワクチンは430万人分しかなく、アメリカの人口は2億9500万人以上だ。

鳥インフルエンザは1997年に香港で初めて報告されており、現地では6人が死亡している。これまでに1億5000万羽以上の鶏とアヒルが病死もしくは処分され、その間に養鶏業に従事する67人の死亡も確認されている。また、人間同士での感染例も1件確認されていて、H5N1型ウイルスが人間同士の感染を引き起こす可能性が懸念されている。カナダではすでにケベック、マニトバ、ブリティッシュ・コロンビアの3州でインフルエンザに感染した渡り鳥が発見されており、20日の段階でカナダ政府当局者は公衆衛生に大きな問題とはならないと発表しているが、北米地域で鳥インフルエンザの存在が確認された事で、アメリカ国内での発生も時間の問題だとする声が少なくないのも事実だ。前出のリービット長官は20日に出演したテレビ番組の中で、3億人分のワクチンを準備するには少なくとも3年かかるとコメントしている。

これまでアメリカ国内で山羊肉は決してポピュラーな食材とはいえなかったが、最近になってカリフォルニア州を中心に、ちょっとしたブームとなっている模様だ。山羊肉を使ったシチューなどがレストランのメニューに加わるようになり、これまで中東やラテン・アメリカ出身者が経営するマーケットでしか買うことのできなかった新鮮な山羊肉が、今ではホール・フーズのような大手スーパー・マーケットでも扱われるようになった。1997~2003年の間に、アメリカの山羊肉輸入量は140パーセント増加しており、現在のブームを予測してか、自らの牧場で大量の山羊を飼育し始めたカリフォルニア州の農家も少なくない。「現在のアメリカで、山羊を飼育する農家が非常にうらやましがられる存在であるのは間違いありません」、全米山羊肉業協会(本部はテキサス州ソノーラ)のマービン・シャーリー会長はロサンゼルス・タイムズ紙の取材に対しそう語っている。

現在、全米で消費される山羊肉の約40パーセントがオーストラリアとニュージーランドから輸入されているが、カリフォルニア大学デービス校の小農業センターはカリフォルニア州の温暖で乾燥した気候が山羊を育てるには最適との調査結果を発表しており、国内産の山羊肉がこれからも増え続けるのが確実と見られている。アメリカ人の食生活とは無縁に近い存在の山羊肉だが、世界中で最も広範囲に消費されている肉類の1つでもある。カリフォルニア州はイスラム教徒、ヒスパニック系、アジア系人口が全米で最も速いペースで増加した州であり、山羊肉ブームはこういった移民達の要望から始まったというのが定説となっている。テキサスA&M大学のリチャード・マチェン教授はロサンゼルス・タイムズ紙の取材に答え、外国生まれのアメリカ人だけで約3500万人存在し、その大半が山羊肉を食べる文化で生まれ育っている事から、アメリカ国内の山羊肉需要の見通しはこれからも明るいだろうと語っている。

リビア生まれのジャラル・スベタさんはカリフォルニア州ストックトンでイスラム教徒向けの精肉工場を経営しており、現在は1週間に約300頭の山羊を精肉加工して、周辺のイスラム系マーケットに販売している。スベタさんの工場では現在もハラール(イスラム教の戒律によって行われる食肉処理)が行われており、精肉工場の敷地内にある別の場所では最近までユダヤ教のラビが羊肉を扱っていた。スベタさんは事業の拡大を考えており、ハラールを行った山羊肉の需要が周辺のイスラム教徒からこれまで以上に増えているため、カリフォルニア州南部に大型の精肉工場を建設しようと計画している。また、ヒスパニック系住民が利用するスーパーマーケットとも交渉を行っており、イスラム教徒以外にも山羊肉の販売網を広げたいとの事だ。テキサス州の調査機関が最近行った発表によれば、アメリカ国内の山羊肉消費量は2003年から2007年の間に42パーセント増加する見込みで、年間7200万ポンドに達するものと見られている。

後任のGMが未だに決定していないボストン・レッドソックスだけど、フロリダ・マーリンズとの間で大型トレードを成立させたとESPNが報じている(球団側からの正式な発表はまだ)。21日午後にESPNが報じたところによると、レッドソックスは3対2のトレードでマーリンズから大型右腕のジョッシュ・ベケット投手とマイク・ローウェル3塁手を獲得した模様だ。レッドソックス側はハンリー・ラミレス遊撃手ら3人をマーリンズに放出している。25歳のベケットは1999年のドラフトで全体2位で指名されマーリンズ入りした選手で、球団創設以来2度目となる優勝を決めた2003年のワールドシリーズ第6戦では、ニューヨーク・ヤンキースを相手に完封勝利している。一部の主力選手がチームを離れると噂されるレッド・ソックス、一番の仮題だった投手陣のテコ入れが始まったようで、来シーズンに向けて僅かな望みを見せ始めた。

写真:カリフォルニア州ストックトンにある精肉工場でヤギの食肉処理を行うジャラル・スベタさん。 (ロサンゼルス・タイムズ紙より)

清教徒のルールは今も残る

2005-11-21 12:27:24 | 歴史(?)
ミステリー映画好きのアメリカ人から、HBO(「Sex and the City」や「ザ・ソプラノズ」を放送している有料ケーブル局で、人気オリジナル番組を多く持つ)の新しい犯罪サスペンスドラマが面白いと教えてもらった。「エピタフィオス」というこのドラマ、HBOラティーノ(スペイン語チャンネル)がアルゼンチンで製作したもので、連続殺人犯を追うブエノスアイレスの刑事と精神科医の女性が主人公となっている。少し前からアメリカ国内でも英語の字幕付きで見れるようになったらしく、全13話のうち最初の5話までは見た。まだ全てを見終えてはいないけれど、おそらく僕がこの数年で見たドラマの中で最も質の高い作りだと思う。日本でも放送される機会があれば、ぜひチェックしてみてください。さて、今日は感謝祭休日に関するニュースをAP通信の記事から。

11月の第4木曜日は全米で感謝祭休日となっており、日本の盆や正月のように、家族や親戚が一堂に集まって夕食をとる伝統が今も続いている。11月の第4週は、週明けから大学生が実家に戻り始め、水曜日になると多くの町で人影が極端に少なくなる。伝統的に木曜日の晩はロースト・ターキーを食べる習慣があるため、各地では火曜日と水曜日の営業時間を延長するスーパーマーケットや市場が少なくないが、木曜日はそのほとんどがシャッターを下ろしており、店を開けるスーパーも昼過ぎまで営業するだけだ。感謝祭当日の朝になって、ギリギリでスーパーに駆け込み、七面鳥などの食材を購入するアメリカ人も少なくないが、マサチューセッツ州ではこういった当日の食料買出しができなくなる模様だ。

マサチューセッツ州全域にチェーン店を構える大手スーパーのホール・フーズ社はすでに州当局から警告を受けており、感謝祭当日に店を開けた場合には刑事責任に問われる可能性もあると圧力をかけられている。これはマサチューセッツ州に今も残る「ブルー・ロウ(休息日の労働や娯楽を禁じた清教徒的厳法)」によって感謝祭当日の労働が禁じられているためで、ホール・フーズ社のライバルでもあるショウ・スーパーマーケット社は最近、トーマス・ライリー州司法長官に対してホール・フーズ社の休日開店計画を止めさせるよう嘆願書を送っている。ホール・フーズ社のデーヴィッド・ラノン北大西洋地区代表はAP通信の取材に対し、同社がすでに州内の14店舗で感謝祭当日の開店を見送る事にしたと語っている。「法律を犯す考えは全くありません。ブルー・ロウが休息日の開店を禁じているのなら、我々もそれに従うのみです」、ラノン氏はそう語っている。

マサチューセッツ州に今も残る清教徒的厳法は17世紀に作られたもので、当初は植民地にやって来た清教徒達の行動を制限し、日曜日は自宅と教会以外からの外出を禁じるというものだった。ブルー・ロウの多くは時代の流れと共に廃止されていったが、休日の商店経営に関する法律は今も1つだけ残っており、コンビニとガス・ステーション以外は感謝祭・クリスマス・元日に店を開けてはならないと定められている。ホール・フーズ社はこれまで州内の各自治体から特別許可をもらい、感謝祭当日に幾つかの店舗で開店を行ってきたが、今年は同業者からの苦情もあって開店の可能性はゼロに近い。前出のショウ社はブルー・ロウ自体が時代遅れの法律だと語っているが、「従業員の休日を保障したい」との理由から感謝祭当日の開店を行う考えはないと強調し、同時にこれまで客を競争無しで独占してきたホール・フーズ社を批判している。

来年ドイツで行われるサッカーW杯。先週、そのプレーオフが世界各地で行われたけれど、トルコとスイスの一戦は、試合後に両チームの選手やスタッフが乱闘劇を繰り広げた事もあって、トルコの2010年大会からの追放も検討されているんだとか。トルコといえば、4~5年前にもイスタンブールで行われたUEFAカップ決勝戦の前日に、リーズ・ユナイテッド(イングランド)のファンがイスタンブール市内で刺殺されている(事件の前、多くのイングランド・ファンが市内でトルコの国旗を燃やしたり、破壊行為を行っていたのも事実)。そして、先週水曜日の夕方、我が家の近くにあるスポーツ・バーでもテレビで試合を観戦していたトルコ人とスイス人のファン同士が喧嘩を起こし、1人が前歯を全部折られてしまったらしい。この話をバーのオーナーから聞いた時、僕や友人はトルコ人が喧嘩を仕掛けて相手の歯を折ったものだと思ったんだけど、実際に喧嘩を吹っかけて相手に怪我を負わせたのはスイス人の方だった。犬が人に噛み付いてもニュースにならないけれど、人が犬に噛み付けばニュースになるのと同じで、スイス人による大立ち回りの話はちょっとした話題となっている。スイス人が喧嘩する姿…、今も想像するのが難しいんだけどなぁ。

スラン・ゴ・フォル(Goodbye for now...)

2005-11-19 13:42:08 | イラク関連
昨年夏、ブルッキングズ研究所のピーター・シンガー上級研究員と話をした時の事。当時からすでに米メディアが話題として取り上げていたイラク国内の「民間警備員」について、幾つか質問をしてみた。民間軍事会社と契約した元軍人がイラクで警備の仕事に就くケースが多いとは聞いていたけれど、この問題を以前から調査してきたシンガー氏の話によると、仕事を発注しているはずのペンタゴンでさえイラク国内にいる民家警備員の正確な数を把握していなかったらしい。警備業務だけに限らず、莫大な税金が投入されて行われているイラク復興事業の詳細を、一般のアメリカ人が知る機会はほとんど存在しない。18日のワシントンでは、この問題に対して上院がアクションを起こす用意があると発表していて、以前から復興事業をめぐって黒い噂が付きまとうハリーバートンやその子会社が調査対象になるようだ。きょうは、ニューヨーク・タイムズ紙が報じたイラク復興事業に関する新たなスキャンダルの話を。個人的には、あくまで氷山の一角だと思うけど…。

イラク復興事業にからむ汚職事件で16日に告訴されたアメリカ人実業家が、90年代にアメリカ国内で起こした別の犯罪で有罪判決を受け懲役刑を科せられていたにもかかわらず、米占領当局に会計監査間として採用されていた事実がニューヨーク・タイムズ紙の取材によって明らかになっている。ノース・カロライナ出身のロバート・スタイン氏は、イラク復興事業において8200万ドルの予算を自由に操るポジションにいたが、その裏で複数の業者から賄賂やキックバックを定期的に受け取っていた。16日にワシントンの連邦地方裁判所が行った刑事告発によると、スタイン容疑者と彼の妻(今回の告発の対象にならなかったため、名前は明かされていない)は別のアメリカ人実業家フィリップ・ブルーム氏が経営する建設会社に便宜を図る見返りとして、少なくとも毎月20万ドルを受け取っていた模様で、スタイン氏は詐欺罪を含む4件の罪状で告訴されている。

ブルーム氏の関連企業からスタイン氏に電子送金で送られた多額の賄賂は、ノース・カロライナ州での不動産購入や、車・宝石類の購入に使われている。賄賂の大部分はイラク国内で警察学校や図書館を建設するために用意された予算から流れてきており、契約受注の見返りとして、ブルーム氏側から多額のキックバックがスタイン氏に対して行われる構図が出来上がっていたものと見られる。スタイン氏はブルーム氏の企業に少なくとも350万ドルに及ぶ建設事業契約を発注していたが、連邦地方裁判所の訴状によると、イラク国内でブルーム氏の建設会社が実際に仕事を行った形跡はほとんど存在しなかったのだという。スタイン氏は14日にノース・カロナイナ州で逮捕されている。スタイン氏の広報担当者はニューヨーク・タイムズ紙の取材に対し、スタイン氏が逮捕翌日に裁判所に出廷した事実を明らかにしたが、それ以外に関しては沈黙を貫いている。

スタイン氏に関する情報は今も多くが明らかにされていないが、過去に陸軍に勤務していた事や、1996年に詐欺罪で実刑判決を受けた事などが裁判所書類から判明している。スタイン氏は刑務所で8ヶ月間を過ごし、約4万5000ドルの損害賠償を支払っている。スタイン氏は2001年から2002年までの間、フロリダ州にある建設会社「グランディ・マリーン建設」に勤務していたが、同社のピート・カルク副社長がニューヨーク・タイムズ紙の取材に語ったところによると、2002年に解雇処分を受けていた。カルク副社長はスタイン氏が給与記録を改ざんしたり、当時受け持っていた空軍基地の工事で実在しない建設機器の領収書を作り、会社に支払わせていたと語っている。また、履歴書の中に書かれた軍歴にも詐称が存在した事が明らかとなっており、ニセ領収書事件で150万ドル以上の損害を受けたグランディ・マリーン建設は警察当局に全ての証拠を提出したものの、スタイン氏が起訴されることは無かったのだという。「あの男は正真正銘のペテン師です」、カルク副社長はそう言い捨てた。

唯我独尊の生き方を貫いたフットボール選手が、金曜日の昼過ぎに突然の退団発表。マンチェスター・ユナイテッドのロイ・キーン選手が18日、突然の退団発表を行った。僕はユナイテッドのファンではないけれど、95年にアイルランドのダブリンで代表の親善試合を見た時から、彼のある意味で非常にアイリッシュ的な生き方に尊敬の念を抱くようになった。ポップスターのような選手が増えたイングランドのフットボール・シーンでキーンは絶滅寸前の「演歌系フットボール選手」だったけれど、今となってはキーンのような選手がゴロゴロいた10年以上前が懐かしい。そんなわけで、今日は朝からずっとスカイ・スポーツのニュースをつけっ放しにして、キーン関連のニュースを聞きながら仕事をしていたんだけど、どうも集中できなかった。ボストンで働くアイルランド出身の友人に電話をしてみた。ボストンにはキーンが生まれ育ったアイルランド南部からの出稼ぎ者も多く(キーンの親戚家族もボストンに住んでいる)、友人の話では、アイルランド人の集まるサウス・ボストンのパブも喪に服したような雰囲気だったそうだ。今シーズンのキーンはチーム内の若手選手を公然と批判したり、相思相愛だったはずの監督との関係にも亀裂が入ったと報じられていて、僕も実際に退団の原因が何だったのかは全く分からない。近年のフットボールで最高のキャプテンシーを発揮してきたキーン、パイントグラスを手にパブで「スランチェ」と言うにはまだ早すぎる。


写真:18日に突然の退団発表を行ったキーン。写真はアイルランド代表時代に撮影されたもの。 (ロイター通信より)