カナダのケベック州で、ボーイフレンドとキスをした15歳の女の子が急死したというニュースが入ってきた。死亡原因となったのが彼女のアレルギー体質だったそうで、ピーナツ・アレルギーの彼女とキスをする直前まで、ボーイフレンドはピーナツバターのお菓子を食べていたらしい。ピーナツ・アレルギーという言葉自体、この国に来て初めて知ったんだけど、場合によっては深刻な呼吸困難を引き起こすようだ。このニュースではじめて知った事がもう1つあって、最近になってアメリカでもピーナツ・アレルギーを発祥させる子供が急増しだしたものの、その原因は完全に解明されていないらしい。野球の試合観戦から食卓まで、この国でピーナツやピーナツ・バターを口にする機会は多いのに、なぜ急に増えたんだろうか?さてさて、今日は偽造IDに関するニュースと、そして家電製品に関する話題を。
社会保障番号カードから運転免許書まで、全米の都市部ではニセの身分証明書を違法に購入する事が簡単に行える。身分証明書の偽造に関わる犯罪組織も近年は高度な技術を取り入れており、そのクオリティは本物とほとんど違わないほどだ。メキシコなどからの不法滞在者が多く集まるロサンゼルスはニセ身分証明書製造のメッカといわれているが、地元警察は最近まで偽造グループの摘発を優先課題として扱わず、本格的な捜査が開始されたのは2003年になってからだった。過去2年間の取締りで一定の成果を挙げてきたロサンゼルス市警察だが、来年1月から施行される新法では偽造IDの製造に使われた機械類を所有する者への逮捕も可能となる事から、今まで以上の摘発が期待されている。しかし、複数の警察関係者がロサンゼルス・タイムズ紙の取材に対して語ったところによると、偽造グループは「カネになる」偽IDビジネスを広範囲で展開しており、ネットワークを一網打尽にするには長い時間を要するとの事だ。
ロサンゼルス市内にあるマッカーサー公園の近くを平日に歩けば、「ミカ、ミカ!」と叫ぶ露天商の姿がそこにはあり、彼らと契約が成立すると別の場所にある写真撮影所に案内される。「ミカ」とはスペイン語のスラングでラミネート加工された身分証明書を意味する。ロサンゼルス・タイムズ紙の取材に答えたホルへ・フローレスさんの話によると、3年前にメキシコから密入国した際に別の移民から市内で「ミカ」の買える場所を聞いたそうで、ニセの社会保障番号とグリーンカードを購入したフローレスさんは、現在は市内でコックとして働いている。「ミカ」の製造工場がロサンゼルス周辺に作られ始めたのが数十年前、当時はメキシコや中米の国から国境を越えて密入国を図る移民が急増し始めた頃で、アメリカ国内で仕事を求める彼らからの需要が非常に高かった。しかし、最近ではギャングのメンバーや仮出所者が身分を隠すために偽者のIDを使うケースが増えており、警察にとって新たな頭痛の種となっている。
ロサンゼルス市警の話では、押収した偽造身分証明書の約95パーセントが実在の人物の個人情報を盗んで作られたもので、犯罪者による利用が急増しているのが大きな特徴ということだ。「20年前、偽造IDの購入者はバーに入りたい学生や職を求める移民だったのですが、そういった固定観念が確実に覆されています」、捜査官の一人はそう語った。複数の捜査関係者の話をまとめると、市警は以前からマッカーサー公園のパトロールを行っていたが、数年前までは偽造IDよりも暴力犯罪の取り締まりに重点が置かれていた。また、市警が定めた内規によって、管轄の異なる移民問題を積極的に扱う事が容易ではなかった背景もある。「ミカ」の本格的な取り締まりに動き出したロサンゼルス市警だが、その効果はすでに表れ始めている。2002年度、偽造ID絡みでの逮捕者はゼロだったが、2003年には73人、2004年には84人、そして2005年11月15日の段階ですでに124人が逮捕されている。
感謝祭も終わり、各地ではクリスマスに向けての商戦が早くもスタートしているが、今年の人気家電製品はアップル社の携帯型音楽プレイヤー「iPod」とマイクロソフト社が先週発売した新型ゲーム機「Xbox 360」の2つで、消費者の間で最もプレゼントとして欲しいアイテムとして選ばれている。全米の小売店と経済アナリストの調査によると、iPodのような携帯型MP3プレイヤーは昨年度の「プレゼントにほしい商品」トップ10にすら入らなかったが、今年は1位に輝いている。昨年度は9位だったテレビゲーム機も、今年は3位と大健闘している。2位はデジタル・カメラだった。業界団体「消費者家電協会(CEA)」が全米の成人1000人を対象に行った電話調査で明らかになった携帯型MP3プレイヤーとテレビゲームの人気。この背景には、順調に売り上げを伸ばすiPodと、最近発売されたばかりのマイクロソフト社製ゲーム機の存在が大きく関係しているようだ。
「Xbox 360」は先週の発売前からアメリカ国内で大きな話題となり、発売日前夜には各地の大型量販店の前に寝袋持参で並ぶ徹夜組まで出たほどで、ほぼ全ての店で売り切れが報告されている。実際の販売価格は400ドル前後だが、ネットオークションではすでに2倍から3倍の値段で取引が行われている。一方、iPodは一昔前のウォークマンや数年前のデジタル・カメラのように、誰でも簡単に使えるシンプルさが人気となり、現在も順調に売り上げを伸ばしている。MP3市場の約70パーセント以上をアップル社が占めており、iPod人気の凄まじさが窺える。その他の人気家電製品には、DVDプレイヤーやコードレス電話といったアイテムがあり、HDTVも前年と同じくランク入りしている。これまでHDTVは販売価格の高さが原因で爆発的な売れ行きを記録する事は無かったが、最近は比較的安めのモデルも発売されているため、これから伸びる可能性は大いにある。
前出のCEAによる調査では、今年の1月から9月までの間に国内におけるMP3プレイヤーの売り上げは約23億ドルを記録しており、残りの第4四半期で7億ドルの売り上げが見込まれている。合計すると30億ドルに達する2005年度の売り上げだが、これは前年度の3倍以上となる数字だ。ウェドブッシュ・モーガン・セキュリティのマイケル・パッチャー氏がニューヨーク・タイムズ紙に語ったところによると、マイクロソフト社は45万台の「Xbox 360」を11月22日の発売日に売り切ったが、生産が追いつかないために、年内にあと55万台を売るのが限界だ。このためMP3プレイヤーでアップル社が1人勝ちしたような状況がテレビゲームの世界で起こる可能性は低く、ソニーはアメリカ国内のクリスマス商戦で約200万台のプレーステーション2を販売するだろうとパッチャー氏は語っている。
映画「メモワー・オブ・ゲイシャ」のキャスティングや内容をめぐって、日本や中国でちょっとした論争が発生しているというニュースがロイター通信経由でアメリカにも紹介された。中国人キャストに加えて、京都ではなくラスベガスのような舞台設定に違和感を覚えるファンが少なくないそうだけど、個人的にはハリウッドの作る映画なんだから仕方ないと思う。極論を言えば、日本人がどう思うかではなく、(チケットやDVDを買ってくれる)アメリカや世界中の映画ファンが持つイメージにマッチすればいいんだから。そう思っていたら、CNNでデーブ・スペクターが映画評論家としてインタビューに出演していた(ちなみに、名前はデービッド・スペクターで)。今回の映画とは直接関係ないけれど、僕はこのインタビューの方が興味深かった。3分弱のインタビューで映画の問題点を的確に指摘するデーブ。日本のテレビで見る3枚目とは180度違う姿だ。こちらのトーク番組に出演したボブ・サップや武蔵丸光洋にも同じ事が言えるけど、しっかりとした意見を淡々と語る姿が印象的だった。日本とアメリカ、どちらの国で見せた姿が本物かは僕には分からない。しかし、今でも日本では「ガイジン」にステレオタイプ的イメージを期待する人が少なくないのではとも感じた。
写真:ロサンゼルス市内で街角のニューススタンドを調べる警察官。偽造身分証明書がこういった場所に隠されるケースが少なくない。 (ロサンゼルス・タイムズ紙より)
社会保障番号カードから運転免許書まで、全米の都市部ではニセの身分証明書を違法に購入する事が簡単に行える。身分証明書の偽造に関わる犯罪組織も近年は高度な技術を取り入れており、そのクオリティは本物とほとんど違わないほどだ。メキシコなどからの不法滞在者が多く集まるロサンゼルスはニセ身分証明書製造のメッカといわれているが、地元警察は最近まで偽造グループの摘発を優先課題として扱わず、本格的な捜査が開始されたのは2003年になってからだった。過去2年間の取締りで一定の成果を挙げてきたロサンゼルス市警察だが、来年1月から施行される新法では偽造IDの製造に使われた機械類を所有する者への逮捕も可能となる事から、今まで以上の摘発が期待されている。しかし、複数の警察関係者がロサンゼルス・タイムズ紙の取材に対して語ったところによると、偽造グループは「カネになる」偽IDビジネスを広範囲で展開しており、ネットワークを一網打尽にするには長い時間を要するとの事だ。
ロサンゼルス市内にあるマッカーサー公園の近くを平日に歩けば、「ミカ、ミカ!」と叫ぶ露天商の姿がそこにはあり、彼らと契約が成立すると別の場所にある写真撮影所に案内される。「ミカ」とはスペイン語のスラングでラミネート加工された身分証明書を意味する。ロサンゼルス・タイムズ紙の取材に答えたホルへ・フローレスさんの話によると、3年前にメキシコから密入国した際に別の移民から市内で「ミカ」の買える場所を聞いたそうで、ニセの社会保障番号とグリーンカードを購入したフローレスさんは、現在は市内でコックとして働いている。「ミカ」の製造工場がロサンゼルス周辺に作られ始めたのが数十年前、当時はメキシコや中米の国から国境を越えて密入国を図る移民が急増し始めた頃で、アメリカ国内で仕事を求める彼らからの需要が非常に高かった。しかし、最近ではギャングのメンバーや仮出所者が身分を隠すために偽者のIDを使うケースが増えており、警察にとって新たな頭痛の種となっている。
ロサンゼルス市警の話では、押収した偽造身分証明書の約95パーセントが実在の人物の個人情報を盗んで作られたもので、犯罪者による利用が急増しているのが大きな特徴ということだ。「20年前、偽造IDの購入者はバーに入りたい学生や職を求める移民だったのですが、そういった固定観念が確実に覆されています」、捜査官の一人はそう語った。複数の捜査関係者の話をまとめると、市警は以前からマッカーサー公園のパトロールを行っていたが、数年前までは偽造IDよりも暴力犯罪の取り締まりに重点が置かれていた。また、市警が定めた内規によって、管轄の異なる移民問題を積極的に扱う事が容易ではなかった背景もある。「ミカ」の本格的な取り締まりに動き出したロサンゼルス市警だが、その効果はすでに表れ始めている。2002年度、偽造ID絡みでの逮捕者はゼロだったが、2003年には73人、2004年には84人、そして2005年11月15日の段階ですでに124人が逮捕されている。
感謝祭も終わり、各地ではクリスマスに向けての商戦が早くもスタートしているが、今年の人気家電製品はアップル社の携帯型音楽プレイヤー「iPod」とマイクロソフト社が先週発売した新型ゲーム機「Xbox 360」の2つで、消費者の間で最もプレゼントとして欲しいアイテムとして選ばれている。全米の小売店と経済アナリストの調査によると、iPodのような携帯型MP3プレイヤーは昨年度の「プレゼントにほしい商品」トップ10にすら入らなかったが、今年は1位に輝いている。昨年度は9位だったテレビゲーム機も、今年は3位と大健闘している。2位はデジタル・カメラだった。業界団体「消費者家電協会(CEA)」が全米の成人1000人を対象に行った電話調査で明らかになった携帯型MP3プレイヤーとテレビゲームの人気。この背景には、順調に売り上げを伸ばすiPodと、最近発売されたばかりのマイクロソフト社製ゲーム機の存在が大きく関係しているようだ。
「Xbox 360」は先週の発売前からアメリカ国内で大きな話題となり、発売日前夜には各地の大型量販店の前に寝袋持参で並ぶ徹夜組まで出たほどで、ほぼ全ての店で売り切れが報告されている。実際の販売価格は400ドル前後だが、ネットオークションではすでに2倍から3倍の値段で取引が行われている。一方、iPodは一昔前のウォークマンや数年前のデジタル・カメラのように、誰でも簡単に使えるシンプルさが人気となり、現在も順調に売り上げを伸ばしている。MP3市場の約70パーセント以上をアップル社が占めており、iPod人気の凄まじさが窺える。その他の人気家電製品には、DVDプレイヤーやコードレス電話といったアイテムがあり、HDTVも前年と同じくランク入りしている。これまでHDTVは販売価格の高さが原因で爆発的な売れ行きを記録する事は無かったが、最近は比較的安めのモデルも発売されているため、これから伸びる可能性は大いにある。
前出のCEAによる調査では、今年の1月から9月までの間に国内におけるMP3プレイヤーの売り上げは約23億ドルを記録しており、残りの第4四半期で7億ドルの売り上げが見込まれている。合計すると30億ドルに達する2005年度の売り上げだが、これは前年度の3倍以上となる数字だ。ウェドブッシュ・モーガン・セキュリティのマイケル・パッチャー氏がニューヨーク・タイムズ紙に語ったところによると、マイクロソフト社は45万台の「Xbox 360」を11月22日の発売日に売り切ったが、生産が追いつかないために、年内にあと55万台を売るのが限界だ。このためMP3プレイヤーでアップル社が1人勝ちしたような状況がテレビゲームの世界で起こる可能性は低く、ソニーはアメリカ国内のクリスマス商戦で約200万台のプレーステーション2を販売するだろうとパッチャー氏は語っている。
映画「メモワー・オブ・ゲイシャ」のキャスティングや内容をめぐって、日本や中国でちょっとした論争が発生しているというニュースがロイター通信経由でアメリカにも紹介された。中国人キャストに加えて、京都ではなくラスベガスのような舞台設定に違和感を覚えるファンが少なくないそうだけど、個人的にはハリウッドの作る映画なんだから仕方ないと思う。極論を言えば、日本人がどう思うかではなく、(チケットやDVDを買ってくれる)アメリカや世界中の映画ファンが持つイメージにマッチすればいいんだから。そう思っていたら、CNNでデーブ・スペクターが映画評論家としてインタビューに出演していた(ちなみに、名前はデービッド・スペクターで)。今回の映画とは直接関係ないけれど、僕はこのインタビューの方が興味深かった。3分弱のインタビューで映画の問題点を的確に指摘するデーブ。日本のテレビで見る3枚目とは180度違う姿だ。こちらのトーク番組に出演したボブ・サップや武蔵丸光洋にも同じ事が言えるけど、しっかりとした意見を淡々と語る姿が印象的だった。日本とアメリカ、どちらの国で見せた姿が本物かは僕には分からない。しかし、今でも日本では「ガイジン」にステレオタイプ的イメージを期待する人が少なくないのではとも感じた。
写真:ロサンゼルス市内で街角のニューススタンドを調べる警察官。偽造身分証明書がこういった場所に隠されるケースが少なくない。 (ロサンゼルス・タイムズ紙より)