セントルイス・カージナルスが27日に行われたワールドシリーズ第5戦で、デトロイト・タイガースを4-2で下し、1982年以来の同シリーズ優勝を決めている。そういえば、今から2年前の同じ10月27日に、カージナルスはホームのブッシュ・スタジアムでボストン・レッドソックスにワールドシリーズ優勝を決められている。80年代には僕の姉もセントルイスで博士号を取得するために学んでいた時期があったんだけど、以外にも彼女のセントルイス時代にカージナルスはワールドシリーズを制していない。24年ぶりの優勝を決めたカージナルスだけど、今回のワールドシリーズはレギュラーシーズンを通して守備力に定評のあったタイガースが度重なるエラーで自滅した印象があり、予想以上に早く決着がついたことに驚きを隠せない。来年はレッドソックスにも頑張ってほしいけれど、自分にとって馴染みのある町のチームが優勝するのも、また気持ちがいいもんだ。さて、今日は全米の有名大学が数十億ドル規模の寄付金集めを開始したというAP通信の記事を。
全米の大学では軒並み授業料の引き上げが続いているが、施設の増設などを目的として、卒業生らに多額の寄付金を求める学校も少なくない。ニューヨーク州イサカにある名門のコーネル大学は今週木曜日にマンハッタンでニューヨーク市長と共同記者会見を行い、その翌日にはイサカのキャンパスに卒業生らを招いて、豪華なディナーパーティーを主催している。パーティーに招待された卒業生の中には、シティグループ元会長のサンフォード・ウェイル氏といった面々も含まれていた。コーネル大学は今後5年間で40億ドルの寄付金を集める計画で、これは毎日160万ドルが大学側に寄付される計算となる。コーネル大学が発表した40億ドルの寄付金キャンペーンは、全米の大学における最大規模のものではなく、コロンビア大学も同じく40億ドルの寄付金を集める計画を発表しており、スタンフォード大学にいたってはその額が43億ドルとなっている。現在、アメリカ国内には10億ドル以上の寄付金を寄付金を集めようとしている大学が24校ある。
最近発表された全米の大学教育にかかるコストに関する調査では、大学教育にかかる費用は依然としてインフレ状態にあり、コーネル大学では1年で約4万3000ドルが必要だ(授業料のみではなく、生活費も含む)。コーネル大学のデービッド・スコートン学長はAP通信の取材に対し、大学側は集められた寄付金を使って、学生向けの奨学金を今よりももっと増やしたいと語っている。コーネル大学はすでに10億ドル分の寄付金を集めており、5年間で40億ドルを集めるという目標も、決して現実離れした話ではない。しかし、コーネルのように順調な寄付金集めが行えていない学校も存在し、UCLAは最近になって30億ドルの寄付金を集める期間を、当初計画していた「数年」から「10年間」に軌道修正している。わずか20年ほど前まで、寄付金集めのイベントといえば、卒業生らを大学のキャンパスに招待して、カクテルパーティーを行うくらいであった。しかし、現在はマーケティングの専門家らが各大学の「寄付金部門」に採用されており(コーネル大学は125人のスタッフを抱えている)、中には年間に20万ドル以上を稼ぐスタッフもいる。
2005年にAP通信が実施した調査では、10億ドル以上の寄付金を集めた大学が47校存在した事が判明し、これらの47校で全国にある全ての大学が集めた寄付金の約3分の2にあたる額を独占していた。しかし、これら47校で学ぶ学生は、大学生25人につき1人の割合となっており、大学間で「持つ者」と「持たざる者」の差が顕著にあらわれる結果となった。「こういった傾向を懸念しています。市民は大学側が授業料を高めに設定しているのにもかかわらず、なぜこういった寄付金集めに走り回らなければならないのかと考えてしまうでしょうね」、コーネル大学のロナルド・エレンバーグ教授(経済学)はAP通信の取材に対してそう語った。コーネル大学では集めた寄付金を、奨学金の増設に加えて、老巧化する施設の改築や、近く退職が予定されているベビーブーマー世代の教授陣に代わる新任の教授を雇い入れる資金として使う見込みだ。
今から3年以上前になる2003年3月10日、女性3人組のブルーグラス・バンド「ディクシー・チックス」が、イギリスのロンドンで行われたコンサートでブッシュ大統領を非難する発言をした。偶然にもコンサート会場は「シェパーズ・ブッシュ・エンパイア」という名前だったんだけど、そのコンサートでメンバーのナタリー・メインズが聴衆に対して「みんなも分かってると思うけど、今のアメリカ大統領がテキサスの出身だということを凄く恥ずかしく思ってます」と語りかけ、その様子は英ガーディアン紙によって大きく報じられたた。イラク戦争が始まる直前だったため、アメリカ国内では(特にカントリーやブルーグラスの人気が高い南部や中西部では)ディクシー・チックスは「国賊」として激しくバッシングされ、彼女達のCDを公の場所で叩き割るイベントなども頻繁に行われた。ラジオ局は彼女達の局を流す事を「自粛」し、その様子をテレビのニュースで見ていた僕は、いつも戦争開始前に頭のネジが外れて、物事を冷静に考えられないアメリカの国民性を象徴するものだと思った。その様子を映画いたドキュメンタリー映画「シャラップ・アンド・シング」が全米の劇場で公開される。バッシング後の彼女達に密着したドキュメンタリーでは、この国の「言論の自由」の本質も垣間見えて、なかなか興味深い仕上がりになっている。
写真:デトロイト・タイガースの最後のバッターが三振に終わり、セントルイス・カージナルスの優勝が決まった瞬間 (AP通信より)
全米の大学では軒並み授業料の引き上げが続いているが、施設の増設などを目的として、卒業生らに多額の寄付金を求める学校も少なくない。ニューヨーク州イサカにある名門のコーネル大学は今週木曜日にマンハッタンでニューヨーク市長と共同記者会見を行い、その翌日にはイサカのキャンパスに卒業生らを招いて、豪華なディナーパーティーを主催している。パーティーに招待された卒業生の中には、シティグループ元会長のサンフォード・ウェイル氏といった面々も含まれていた。コーネル大学は今後5年間で40億ドルの寄付金を集める計画で、これは毎日160万ドルが大学側に寄付される計算となる。コーネル大学が発表した40億ドルの寄付金キャンペーンは、全米の大学における最大規模のものではなく、コロンビア大学も同じく40億ドルの寄付金を集める計画を発表しており、スタンフォード大学にいたってはその額が43億ドルとなっている。現在、アメリカ国内には10億ドル以上の寄付金を寄付金を集めようとしている大学が24校ある。
最近発表された全米の大学教育にかかるコストに関する調査では、大学教育にかかる費用は依然としてインフレ状態にあり、コーネル大学では1年で約4万3000ドルが必要だ(授業料のみではなく、生活費も含む)。コーネル大学のデービッド・スコートン学長はAP通信の取材に対し、大学側は集められた寄付金を使って、学生向けの奨学金を今よりももっと増やしたいと語っている。コーネル大学はすでに10億ドル分の寄付金を集めており、5年間で40億ドルを集めるという目標も、決して現実離れした話ではない。しかし、コーネルのように順調な寄付金集めが行えていない学校も存在し、UCLAは最近になって30億ドルの寄付金を集める期間を、当初計画していた「数年」から「10年間」に軌道修正している。わずか20年ほど前まで、寄付金集めのイベントといえば、卒業生らを大学のキャンパスに招待して、カクテルパーティーを行うくらいであった。しかし、現在はマーケティングの専門家らが各大学の「寄付金部門」に採用されており(コーネル大学は125人のスタッフを抱えている)、中には年間に20万ドル以上を稼ぐスタッフもいる。
2005年にAP通信が実施した調査では、10億ドル以上の寄付金を集めた大学が47校存在した事が判明し、これらの47校で全国にある全ての大学が集めた寄付金の約3分の2にあたる額を独占していた。しかし、これら47校で学ぶ学生は、大学生25人につき1人の割合となっており、大学間で「持つ者」と「持たざる者」の差が顕著にあらわれる結果となった。「こういった傾向を懸念しています。市民は大学側が授業料を高めに設定しているのにもかかわらず、なぜこういった寄付金集めに走り回らなければならないのかと考えてしまうでしょうね」、コーネル大学のロナルド・エレンバーグ教授(経済学)はAP通信の取材に対してそう語った。コーネル大学では集めた寄付金を、奨学金の増設に加えて、老巧化する施設の改築や、近く退職が予定されているベビーブーマー世代の教授陣に代わる新任の教授を雇い入れる資金として使う見込みだ。
今から3年以上前になる2003年3月10日、女性3人組のブルーグラス・バンド「ディクシー・チックス」が、イギリスのロンドンで行われたコンサートでブッシュ大統領を非難する発言をした。偶然にもコンサート会場は「シェパーズ・ブッシュ・エンパイア」という名前だったんだけど、そのコンサートでメンバーのナタリー・メインズが聴衆に対して「みんなも分かってると思うけど、今のアメリカ大統領がテキサスの出身だということを凄く恥ずかしく思ってます」と語りかけ、その様子は英ガーディアン紙によって大きく報じられたた。イラク戦争が始まる直前だったため、アメリカ国内では(特にカントリーやブルーグラスの人気が高い南部や中西部では)ディクシー・チックスは「国賊」として激しくバッシングされ、彼女達のCDを公の場所で叩き割るイベントなども頻繁に行われた。ラジオ局は彼女達の局を流す事を「自粛」し、その様子をテレビのニュースで見ていた僕は、いつも戦争開始前に頭のネジが外れて、物事を冷静に考えられないアメリカの国民性を象徴するものだと思った。その様子を映画いたドキュメンタリー映画「シャラップ・アンド・シング」が全米の劇場で公開される。バッシング後の彼女達に密着したドキュメンタリーでは、この国の「言論の自由」の本質も垣間見えて、なかなか興味深い仕上がりになっている。
写真:デトロイト・タイガースの最後のバッターが三振に終わり、セントルイス・カージナルスの優勝が決まった瞬間 (AP通信より)