IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

パウエルとファーレル

2005-07-20 13:26:20 | 政治
「さっき会社の同僚が話をしてたのを聞いたんだけど、コリン・パウエルのエッチ・ビデオがあるの?」、とメリーランド州で働く友人からいきなりの電話があったのが昼過ぎの事。(そういう趣味は無いけれど)あるんならネタとして面白いかなと思い、とりあえずホントかどうかだけ電話口で聞いてみた。「いやぁ、同僚の話を立ち聞きしたので、よく分からないけど、相手はライス?」などと勝手な想像を膨らます友人に呆れながらも、パウエルのビデオに興味津々。ただ、電話をもらったのが出先だったため、パソコンの前でリサーチを行うのが夕方になってしまった。幾つかのキーワードを入力して、パウエル・ビデオの話があるかどうか検索してみる。下世話な話だが、もしあるんだったら、クリントンとモニカ嬢とのスキャンダルに匹敵するようなオイシイ話。どういう形でニュースにしようかと、頭の中はすでに「取らぬ狸の皮算用」状態で、検索を続けてみた。しかし、出てくるのは別の名前で、パウエルの話は一切無かったのだ。

気になって、残業中の友人に電話を入れてみる。「あのさぁ、さっきの話だけど、もしかしてコリン・ファーレルの事?」、おそるおそる聞いてみた。彼の同僚も残業中だったらしく、確認するために席を離れた友人は少ししてからケラケラ笑って電話口に戻ってきた。「ゴメン、俺の聞き間違いだった。どうもパウエルとファーレルを間違えたみたい。ガハハハ(本当にこんな笑い声)」、久しぶりの大型スキャンダルを期待していた僕の思いは一瞬にして散った。パウエルとファーレル、アメリカ人でも間違えることがあるんだなぁ。しかし、人気俳優のコリン・ファーレルが元カノと2年前にプライベートなエッチ・ビデオを撮影していたのは事実で、この女性がビデオを販売して小銭を稼ごうとしたために、月曜日にファーレルが訴訟を起こしたのだ。有名人にはプライバシーが無いといってしまえばそれまでだけど、今頃になってビデオの消却に必死なのは、きっとファーレルやパリス・ヒルトンだけじゃないんだろう。

下世話な話から入ってしまいましたが、ここで1つお知らせが。アフガニスタンでの取材活動から戻ってきたシカゴ・トリビューン紙の高橋邦典さんからも久しぶりに連絡をもらい、蒸し暑いシカゴで頑張っているとの近況報告が。クニさんはボストン・ヘラルド紙時代にイラク戦争の従軍取材に参加していて、その際に撮影した写真を「ぼくの見た戦争」という1冊の本にして出している。そのクニさんが久しぶりに写真絵本を出すそうで(今月末にポプラ社から)、「戦争が終わっても」というタイトルの写真絵本では西アフリカのリベリアを取材中に出会った少年兵や戦争の犠牲者がテーマになっているそうだ。本を見ないまま(そう、僕はいい加減な男なんです)、クニさんに「販売促進部長をやりま~す」と言ってしまったんですが、本が手に入り次第、このブログで自分なりの感想を書こうかと思っている。ブログを読んでくれている皆さんも、機会があればぜひ書店でチェックを!

ブッシュ大統領は火曜日夜、すでに退官が決定しているサンドラ・オコナー連邦最高裁判所判事の後任に現在50歳のジョン・ロバーツを指名した。ワシントン連邦最高裁判所判事のロバーツは、保守派として知られており、これまで中道派として最高裁判所内のバランス調整役に努めてきたオコナー判事とは政治的に大きな違いを見せる。敬虔なカトリック教徒のロバーツは中絶に関してこれまでも厳しく反対の姿勢を示しており、ブッシュ大統領による指名後に国内の人権団体が反ロバーツキャンペーンを大々的に展開する可能性も出てきた。1979年にハーバード大学のロースクールを卒業したロバーツは、1980年から81年までウイリアム・レンキスト最高裁判事の下で働いていた。

ロバーツは1992年に当時のブッシュ大統領によってワシントン連邦控訴裁判所の判事に指名されるが、議会民主党からの激しい反対にあい、彼の指名が承認されることは無かった。92年の大統領選挙でブッシュ大統領がクリントン大統領に敗れると、ロバーツは民間の法律事務所へ新天地を求めた。2003年になって、ロバーツは再びブッシュ大統領(息子)からワシントン連邦控訴裁判所判事に指名され、約5ヵ月後に承認された。2000年の大統領選挙では、ブッシュ・チェイニー陣営に弁護士として加わり、大統領選挙の舞台裏を支えた1人でもある。ロバーツは中絶とアファーマティブ・アクション(マイノリティー優遇措置)に対して非常に保守的な考えを持っているとされており、環境保護問題に関しても、政府が規制を設けることに反対する立場をとっている。

7月1日にオコナー判事が退官を発表して以来、これまで彼女の後継者に関する様々な憶測がワシントンを駆け巡ってきた。火曜日の夕方までは連邦巡回控訴裁判所の女性判事エディス・クレメントが最有力と考えられ、ある政権高官はCNNに彼女が最終候補者の1人で、先週末にブッシュ大統領と会談を行った事を明らかにしていた。候補者には司法長官のアルバート・ゴンザレスや上訴裁判所のマイケル・ルティッグといった名前もあった。今回の指名発表に、共和党内からは強い支持がすでに出されているが、民主党は慎重な反応に終始している。ロバーツ判事誕生までのプロセスの中で、民主党が議会内でフィリバスターと呼ばれる議事進行の妨害を行う可能性もあり、判事の承認までに一波乱ありそうな雰囲気だ。

全米ライフル協会(NRA)のウェイン・ラピエーレ副会長は月曜日にオハイオ州コロンバスで記者会見を開き、2007年に同市で予定していた全国大会の開催地を変更すると発表した。2年後に予定されていたNRAの全国大会では、コロンバス市に1500万ドル以上の経済効果を及ぼすとも伝えられてきた。「コロンバス市議会のおかげで、6万5000人が2007年にコロンバス・コンベンションセンターにやってくる事はなくなりました」、とラピエーレ副会長は皮肉たっぷりに語った。副会長による記者会見の5日前、コロンバスのマイケル・コールマン市長は軍用セミオート・ライフルの販売を禁止する法案に署名し、この新たな銃規制法は8月12日から実施される。それ以前にセミオート・ライフルを購入した者も、警察への登録が義務付けられる。

コロンバスの市当局者や銃規制団体は月曜日のNRAによる発表を非難しており、NRA側が市議会に対して嫌がらせを行っただけでなく、「地元への経済効果」というキーワードをちらつかせてオハイオ州内での銃規制法案を通過させないよう動いていると指摘する。オハイオ州議会ではコロンバス市と同様の法案を州全体で実施すべきとの意見が出ており、今秋には共和党の州議員が法案を正式に提出する見込みだ。コールマン市長は月曜日の決定を明らかな政治介入だと批判し、「そのようなやり方がワシントンでは通用しても、コロンバスでは全く通用しない」とコメントしている。コールマン市長は来年実施される知事選挙に出馬する意向を示しており、同じ民主党で対抗馬となるテッド・ストリックランド下院議員は銃規制法案に反対してきた事もあって、長年にわたってNRAの支持を受けている。

ラピエーレ副会長はニューヨーク・タイムズ紙の取材に対し、「コールマン市長が選挙前に憲法で保障された自由に反対を示すのは正しくない行為」と語り、2000年の大統領選挙で民主党のアル・ゴア候補が敗退した原因も彼が銃規制を熱烈に支持したからだとの持論を展開した。米議会は殺傷能力の高い銃器類の販売を禁止する法案を通過させていたが、多数派の共和党議員らによって、規正法は昨年9月に失効している。ラピエーレ副会長はコールマン市長が来年の知事選で苦戦する事を暗に予言しているが、コロンバス市の銃規制法支持者は多い。市の警察官組合は連邦法での銃規制が昨年9月に失効して以来、市内における新たな規正法を大々的に支持してきた。コロンバス警察では以前にも増して殺傷能力の高い銃器類を押収するケースが増えており、昨年発生した殺人犯と警察官との銃撃戦では、警察官1名が大怪我を負っている。

昨日、かなりの驚きをもって書いたアリゾナ州フェニックスの殺人的な暑さ、どうも笑い事ではすまなくなってきたようで、すでに11人が熱中症で死亡した疑いがあるのだとか。気になって、フェニックスの天気予報をチェックしてみたら、来週以降は少し(ただし、ほんの少しです)だけ涼しくなるようだけど、今週末まで日中の最高気温が42~3度にまで達する模様。ワシントンも明日の最高気温が摂氏36度を超えるらしいけど、アリゾナの話を聞いてたら、本当にどうって事ないように思えてきた。フェニックス周辺では約8000人のホームレスが生活しているとかで、施設がきちんと用意されていればいいんだけど、それが少し心配になる。大丈夫かなぁ。