福岡県糟屋郡須恵町 リヴ動物病院           こちらで病院紹介を行っています。

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皮膚形質細胞腫のミッキーちゃん

2014年01月30日 | 診療科目

それは、慢性の掻痒症と皮膚炎で通院していたミッキーちゃんが、原因追及のためアレルギー検査をする予定の日のことでした。

ふと見ると足跡に血が付いていたのです。

「どうしました?怪我でもしましたか?」と聞くと、最近足裏から血が出ているとのこと。

そこで、右の後ろ足を確認すると・・・指の間に大きな腫瘤があり、そこからの出血でした。

腫瘤の種類によっては断指や断脚を考慮しなければならないような状況でしたので、①出血を止める事②腫瘤の確定診断をすることを目的に、腫瘤の切除を行う事になりました。

 

↑切除前の様子。腫瘤と指の境界が不明瞭でした。

 

このような場所の腫瘤を切除する際の注意点は、完全切除が出来るかと切除後周囲の機能を維持出来るか(今回の場合は、指としての機能の維持と皮膚欠損を起こさず縫合出来るかということ)ということですが、手術前の見積もりではどちらも厳しい状況であることは明白でした。

今回は目的を達成する為に正常組織と腫瘤組織の境界ギリギリで切開していく必要があった為、半導体レーザーを使用しました。

 

↑半導体レーザーの利点は出血が少ないことと侵襲性が低いことであり、繊細な場所での切除作業に威力を発揮します(今回使用した機器は富士エス・エル・アイのダイオードレーザCHEESEです)。

 

さて、切除を進めていくとやはり最深部に異常と思われる固い組織が残ってしまいましたが、これ以上切除すると指の機能に異常を来すため、今回の切除はここまでにし、念のために最深部にはレーザーで熱処置を施して終了しました。

手術後は5日間の入院治療を行い、その後も術創は比較的順調に治って行きました。

切除した腫瘤は病理検査センターに依頼し、その診断結果は

「皮膚形質細胞腫(高分化型)」

と言う事でした。

また、予想通り最深部においてマージン不明瞭ということで、再発の可能性は充分ありますが、転移性のない腫瘤なので、再発すれば最悪断指だけで済む事も分かりました。

      

↑切除後の様子(カメラ目線は得意のようですね)

現在は再発が無い事を検診しつつ、慢性の皮膚炎の治療を継続しております。


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リンパ球形質細胞性腸炎のチャッピーちゃん

2014年01月27日 | 診療科目

先日「2ヶ月前から徐々にうんちがゆるくなり、最近呕吐やイチゴジャムのような下痢をして食欲が無い」とのことで来院された15才のチャッピーちゃんの紹介です。

各種検査から慢性の胃腸器疾患として治療を開始しました。

 

↑治療開始前の十二指腸のエコー所見です。十二指腸から回腸にかけて拡張所見や壁の肥厚が認められました。

まず初めは状態が悪かったので、入院として一般的な慢性胃腸炎の治療反応を見てみる事にしました。

しかし、入院3日目になっても、全くと言っていいほど症状の改善が認められません。

ここで、疑わなければならないのが、IBDなどの免疫系疾患とリンパ腫などの腫瘍性疾患です。

この鑑別には最低でも内視鏡生検が必要になって来ますが、老齢であることや状態が悪い事で、麻酔が必要な検査にご家族からの同意は得られませんでした。

と言っても、このまま諦める訳にもいかず、更にこのまま続けても治療成果が得られない事は明白なので、試験的にステロイドを併用する事にしました。

すると状態はみるみる回復し、十二指腸の異常エコー所見を除いて外見的には健康な状態まで戻す事が出来ました。

試験的治療に反応してくれた事は喜ばしいのですが、やはり今後の予後を見極める為にも確定診断が必要です。

状態が安定した頃を見計らって、もう一度ご家族に内視鏡生検をお勧めした所、同意を得られたので検査を実施しました。

 

↑胃の出口の腫瘤性病変(出血跡を確認)

↑十二指腸では腸絨毛の長さが不均一

さらに今回は内視鏡の所見をみてリンパ腫の遺伝子検査も同時に実施しました。

そして、病理検査結果は

・・・「リンパ球形質細胞性腸炎」遺伝子検査の結果は「陰性」でした。

↑検診に来たチャッピーちゃん(リンパ腫じゃなくて本当に良かった!)

リンパ球形質細胞性腸炎も決して簡単に治る病気ではありませんが、今後もご家族と力を合わせて頑張っていきたいと思います。


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皮膚組織球腫のリッツちゃん

2014年01月23日 | 診療科目

今回のお話は柴犬のリッツちゃんです。

右後ろ足に出来た腫瘤が大きくなり出血し、本人も気にしているということだったので切除することになりました。

↑切除前の腫瘤

切除後、皮膚欠損が出来てしまう(傷を覆うだけの余裕が周囲皮膚にない)ので、今回は周囲皮膚にスリットを入れて縫合しました。

↑スリット(縫合部が治癒し易いようにする為の処置)の様子

術後はウェット包帯法で管理した結果、術創の回復もよく17日で完治となりました。

腫瘤の病理検査の結果は、皮膚組織球種とのことで、転移再発の心配もないそうです。

この組織球種、約半数は内科で治る事もありますが、増大傾向や出血傾向を示すものは切除をした方がよいですね。

 

↑術後半年経過した様子

↑愛想のよいリッツちゃん。でも嫌な事は嫌という子です(笑)

その後、食物アレルギーの治療を経て皮膚症状も落ち着いたので、治療を終わりました。


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皮膚欠損のタケちゃん

2014年01月20日 | 診療科目

今回は、以前治すのに苦慮したタケちゃんのお話です。

外で自由に生活するタケちゃんは、たまに喧嘩をしていたそうですが、いつもは自然に自分で治っていたそうです。

しかし今回はなかなか治らなかったので、自宅で薬を塗って看病していたそうですが、その結果が・・・

↑鎮静下で傷を洗浄した後。右耳の裏側辺りに大きな皮膚欠損が。

血液検査で分かった事ですが、残念ながらエイズウイルスにも感染していました。

(エイズウイルスは免疫力を低下させるので、傷の治りが悪いことを予想しての治療開始になります)

 

このような大きな皮膚欠損を治す上で重要な事は、どのような方法であれ皮膚と皮下組織を定着させるということです。

初日はまず、皮膚と皮下組織の再生力をみるために無理して傷を閉じず寄せるのみにして反応を見ました。

↑この状態でウェット包帯を実施

 

↑3日後の様子

 

創面の色もよくなり、若干傷が小さくなったので、一度本格的に傷を閉じる処置を行いました。

↑傷の張力をみながら、皮膚移植をせず傷を閉じる事が出来ました

 

今回の処置では60%ほど傷が塞がれば成功と思っておりましたが、結果としては90%の傷を塞ぐことが出来ました。

そこまで至るのに27日間の入院治療、残った傷も小さくなっていたので、ここから通院治療に切り替えました。

 

さて、ここから順調に治ってくれるものと期待しておりましたが、家ではタケちゃんのやんちゃ振りが発揮され、治ってきては外に出て傷が開き、治っては後ろ足て掻いて傷が開きの状態が3ヶ月続きました。

そうこうしている間に、皮膚糸状菌症まで発症して抗真菌療法まで行わなければならなくなり、飼い主の方を説得して、再度入院治療を行いました。

2度目の入院は計20日間の治療期間となりましたが、治療開始から約半年をかけて、どうにか完治に持って行く事が出来ました。

 

今回の反省点としては、もともと傷が治り難いと判断していたのだから、一度目の入院の際に+2~3週間の入院が追加となったとしても飼い主の方を説得して、完治させてから退院させるべきだったと思う所でしょうか。(実際は、ただでさえ長期の入院になっている時点からの入院追加は説明が難しいですが・・・)

最後に、外に一人で出かける猫さんは、たまに喧嘩傷を作って帰ってくる事があると思います。そのほとんどは、小さな傷で自分で治してしまうでしょうが、自分で治せなかった時の大変さを考えれば、「自分で治すから大丈夫。治らなかったら病院に連れて行こう」と自分で判断するのではなく、大事をとって「とりあえず、大丈夫か早めに獣医さんに診てもらおう」と考えた方がよいのではないかと思います。(化膿していない咬傷は、そのほとんどが抗生剤を数日投与するだけで治ります!)

 


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慢性フィラリア症のブチ子ちゃん

2014年01月18日 | 診療科目

先日、フィラリア症末期のブチ子ちゃんが来院されました。

お薬の反応も悪く、話し合いの結果、腹水が貯まってきてキツくなったら腹水を抜いてあげることになっています。(本当は身体によい処置とは言えないのですが・・・)

 

↑お腹が張ってキツそうです

↑局所麻酔をして腹水を抜いています

↑処置後お腹がぺったんこに。(今日は3.3L抜けました)

↑身体が軽くなって一息中のブチ子ちゃん

近々お迎えが来てしまう運命を避ける事は出来ませんが、それまでの間少しでも苦しさを取り除いてあげたいという、オーナーさんの想い応えて行こうと思います。

 

昨年を振り返ってみると、当院では7頭ものフィラリア症の子が来院されました。

最近は予防が広まって来て、フィラリア症の子も少なくなったと思っていましたが、まだまだ予防が浸透していませんでした。

知り合いの先生から聞いた話ですが、マンションの上の方(何階だったか忘れました)に住んでるチワワの子が1回も外に出た事もなく、飼い主の方も部屋で蚊に刺されたことがないのにフィラリアにかかってしまっていたことがわかったそうです。(もちろん蚊が居ないからという理由でフィラリアの予防はされてなかったそうです)

フィラリアにかかると悲しい結末が待つだけです。

そして、予防さえしっかり行えばフィラリアにかかる事はありません。

みなさんはどちらを選びますか?


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去勢手術のラッキーちゃん

2014年01月17日 | 診療科目

去勢手術に来たラッキーちゃん。

↑人懐っこい子でゴロゴロし過ぎて上手に写真が撮れませんでした。

 

当院にご依頼頂きありがとうございました。

ご信頼に応え無事手術は終わっております。


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おもちゃを飲み込んだメレブちゃん

2014年01月16日 | 診療科目

先日、可愛らしいゴールデンレトリバーのメレブちゃんが、隣町の病院の紹介で来院されました。

どうやら、おもちゃの一部を飲み込んでしまったみたいです。

処置前検査で、他の異常がないこと、腸閉塞が起きていない事を確認し胃カメラによる摘出を行いました。

 

↑胃の入り口横に発見

↑出て来たおもちゃの一部です

↑頑張ったメレブちゃん

子犬が誤食をしてしまうのは、よくあることです。

運が悪いと開腹手術になることもあるので、みなさんも気をつけて下さいね。


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タマネギ中毒

2014年01月10日 | 診療科目

「タマネギは犬に食べさせてはいけない」・・・一度は耳にされたことがあると思いますが、今回のお話は、そのタマネギ中毒のお話です。

では、どうしてタマネギは犬に食べさせてはいけないのでしょうか?

ネギ属に分類されるネギ、タマネギ、ニンニク、ニラなどは、有機チオ硫酸化合物という物質を含んでいます。

この物質は赤血球に対して障害作用を持っており、これによって赤血球が破壊され各種の問題(貧血、ヘモグロビン血症による臓器障害など)を起こすことが、食べさせてはいけない理由になります。

 

先日来院された、プリンちゃんは、おしっこに血が混じってるとのことで来院されましたが、血液検査にて溶血性貧血(体の中で赤血球が破壊されて起こる貧血のこと)が認められました。

↑赤いおしっこの写真(この状態は血尿ではなく、血色素尿と呼ばれます)

 

お話を聞くと、「昨日の夕食の材料にでタマネギを使いました。もしかしたら台所で落ちたタマネギを食べたのかも。」とのことでした。

他の疾患を疑わせる異常な所見もないことから、タマネギ中毒と診断して治療を開始しました。

一時は血の濃さが通常の30%ぐらいに減少するまで進行して病状が危ぶまれましたが、8日間の入院治療でなんとか改善しました。

↑退院前のプリンちゃん(笑顔がかわいいですね)

 

日本では、ネギ属は一般家庭でよく使用される食材であり、さらにこの中毒物質は調理(加熱処理等)をしても毒性は消えないので注意が必要です。

実はこの障害には個体差があり、遺伝的に体内の「還元型グルタチオン」という物質が高濃度にある犬ほど、重篤な症状(治療の甲斐なく死亡する例もあります)が出やすいことが分かっているようです。

なので「うちの子はタマネギを食べても大丈夫だった」という話を聞いても、それはたまたま大丈夫な子だったりするので、油断せずに気付いたら即座の対応をして下さい。

タマネギを食べて1−2時間以内であれば、中毒物質が体内に吸収される前に取り除くことが出来るケースもありますので、まずはご連絡下さい。


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子宮蓄膿症について

2014年01月05日 | 診療科目

今回は避妊手術をしていない女の子の病気の一つについてお話しします。

子宮蓄膿症とは?

 子宮蓄膿症は名前からも分かるかもしれませんがメスに特有の犬や猫で起こる病気で、簡単にいうと子宮の中に膿が大量に溜まり、お腹が膨らみ、急性では亡くなってしまうこともある怖い病気です。子宮が膨らむため妊娠してると勘違いされることもあります。

症状としてはお腹が急に膨れ、元気、食欲はなくなるが、水はたくさん飲んで尿も多くなる(多飲多尿)となります。

原因は生理後(発情後)に卵巣から分泌される性ホルモンの一つ(黄体ホルモン)が過剰に分泌されることで、子宮壁が障害を受け、そこに細菌感染が起こることで膿が溜まるとされています。傾向としては比較的長期間にわたって妊娠していない中~高齢の犬や猫で発生することが多いです。

 

今回紹介するのは五歳のミニチュア・シュナウザーの女の子 ヴィヴィちゃんです。

 この子は最初一ヶ月近く生理が続いている(膣から出血している)という症状で来院されました。食欲も少し減っているとのことでした。

そこで子宮疾患や泌尿器系の疾患も考慮し、血液検査、レントゲン検査、超音波検査など精査を進めました。

 

  ↑ 超音波検査による左側の子宮の断面図です(画像の右上)。超音波検査では液体は黒く抜けるのでこれにより子宮に液体が貯留し、直径3cm弱まで拡張しているのがわかります。

また血液検査では白血球が検査機械の測定限界値以上の高値を示しました。

 

これらの結果から比較的ゆっくり進行している子宮蓄膿症と診断し、卵巣・子宮摘出術を行いました。

↑ これが実際に取り出した卵巣・子宮です。左端に卵巣、右端が膣部で、その間の管が子宮です。

子宮が大きく膨れており、中には血液が混ざった膿が溜まっていました。

 

ヴィヴィちゃんはその後、術後経過もよく、順調に退院し、今は元気に過ごしています。

 

今回は持続的な膣からの排膿があったために急激な症状を伴わずに治療することができました。

 

しかし、子宮蓄膿症は急性で起こることが多く、細菌感染が重度の場合や感染細菌が強い菌であった場合はショック症状によって亡くなることや、膣からの排膿がない場合は、子宮に溜まった膿が排泄されないため子宮が急激にふくらみ、2~3日で亡くなることもあります。

そういった場合の治療は緊急手術により、卵巣・子宮摘出を行います。もちろん高齢で状態が悪い動物たちに緊急手術をすることは麻酔によるリスクも大幅に上昇します。

 

そこでこの病気の一番の対策としてはやはり麻酔のリスクも少ない若く健康な時に避妊手術を行うことだと考えられます。また、避妊手術をされていない子はこの様な病気もあるので生理後(発情後)の体調管理は気を付けてください。

この病気のほかにも避妊手術をすることでリスクが大幅に下がる病気もありますので、子供を作る予定がない女の子には早めの避妊手術をお勧めします。

 

不妊手術・避妊手術・去勢手術

 


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本年も宜しくお願いいたします!

2014年01月03日 | 診療時間・各種ご案内

新年あけましておめでとうございます


リヴ動物病院スタッフ一同
動物と共に生きる喜びを感じる事が出来るよう
本年も 心を込めて 皆様のお手伝いを努めてまいります!

2014年も 皆様と動物たち。 Liveにかかわる全ての皆さまが 笑顔のあふれる穏やかな一年を過ごせますよう心よりお祈り申し上げます。


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