今回はお歳を取って甲状腺の病気になった12歳、雑種のジャッキーちゃんを紹介します。
甲状腺とは喉の所にあるホルモンを分泌する器官です。ここから分泌される甲状腺ホルモンが何らかの理由で不足する病態を甲状腺機能低下症といいます。
甲状腺ホルモンは簡単に言うと、身体の代謝を活発にする役割をもっており、これが不足すると全身の代謝が上手くいかず、様々な症状がでます。
具体的には、元気、食欲の低下、肥満、皮膚症状(脱毛や湿疹)、貧血 などなど色々な症状があり、その仔によってどの症状が強く出るかは分かりません。
ジャッキーちゃんは元々、甲状腺機能低下症と診断されていたのですが、飼い主さんも忙しく、薬が飲めていない状況が続いてました。
久しぶりに診察してみると
↑ 内股の部分です。脱毛、赤みがあり、分かりにくいですが
化膿して白い膿胞(ブツブツ)ができています。
↑脇の部分です。こちらも化膿して黄色い汚れがたくさん出ています。
内股、脇を中心に化膿しており、身体も所々脱毛していて、元気も最近ないとのことでした。
治療は甲状腺ホルモン製剤と抗菌剤(化膿止め)の内服、頻回(週2回)のシャンプーを行ってもらいました。
↑2週間後、まだまだ湿疹は続いていますが、化膿性の湿疹はなくなりました。元気も少し出てきたようです。
飼い主さんには根気よく、週2回のシャンプーと内服を続けてもらいました。
↑4週間後、毛が生え変わる時期も重なって、大分良くなってきました。一般状態も良く、治療もこのまま継続していきます。
現在ではすっかり良くなり、抗生剤は中止して、甲状腺ホルモン剤を継続しています。
加齢による甲状腺機能低下症は完治する病気ではないですが、適切な治療を継続するとその後は良好なことが多い疾患です。
ジャッキーちゃんもこのまま治療を継続していければと考えています。
獣医師 小芦