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リンパ球形質細胞性腸炎のチャッピーちゃん

2014年01月27日 | 診療科目

先日「2ヶ月前から徐々にうんちがゆるくなり、最近呕吐やイチゴジャムのような下痢をして食欲が無い」とのことで来院された15才のチャッピーちゃんの紹介です。

各種検査から慢性の胃腸器疾患として治療を開始しました。

 

↑治療開始前の十二指腸のエコー所見です。十二指腸から回腸にかけて拡張所見や壁の肥厚が認められました。

まず初めは状態が悪かったので、入院として一般的な慢性胃腸炎の治療反応を見てみる事にしました。

しかし、入院3日目になっても、全くと言っていいほど症状の改善が認められません。

ここで、疑わなければならないのが、IBDなどの免疫系疾患とリンパ腫などの腫瘍性疾患です。

この鑑別には最低でも内視鏡生検が必要になって来ますが、老齢であることや状態が悪い事で、麻酔が必要な検査にご家族からの同意は得られませんでした。

と言っても、このまま諦める訳にもいかず、更にこのまま続けても治療成果が得られない事は明白なので、試験的にステロイドを併用する事にしました。

すると状態はみるみる回復し、十二指腸の異常エコー所見を除いて外見的には健康な状態まで戻す事が出来ました。

試験的治療に反応してくれた事は喜ばしいのですが、やはり今後の予後を見極める為にも確定診断が必要です。

状態が安定した頃を見計らって、もう一度ご家族に内視鏡生検をお勧めした所、同意を得られたので検査を実施しました。

 

↑胃の出口の腫瘤性病変(出血跡を確認)

↑十二指腸では腸絨毛の長さが不均一

さらに今回は内視鏡の所見をみてリンパ腫の遺伝子検査も同時に実施しました。

そして、病理検査結果は

・・・「リンパ球形質細胞性腸炎」遺伝子検査の結果は「陰性」でした。

↑検診に来たチャッピーちゃん(リンパ腫じゃなくて本当に良かった!)

リンパ球形質細胞性腸炎も決して簡単に治る病気ではありませんが、今後もご家族と力を合わせて頑張っていきたいと思います。


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