先日、おしっこに血が混じっているとのことで来院したのはミニチュア・ダックスフンドのこたろうちゃんです。
多くの場合、血尿は泌尿生殖器の炎症、外傷、腫瘍等によって起こりますが、全身性の出血性疾患、激しい運動や熱射病、腎梗塞などによっても起こります。
こたろうさんの場合、元気食欲は変わりなくありおしっこの回数も昔から変わりないそうです。
出血部位を特定する為に、身体の外側に外傷がないか視診・触診を行いましたが特に異常はありませんでした。
次に尿の検査を行い、確かに赤血球が認められましたが、尿石や膀胱炎等の所見は認められませんでした。また膀胱の状態を画像で見る為に超音波検査を行い、そこで膀胱の後ろに位置する前立腺が大きくなっていました。
泌尿器系(腎・膀胱・尿道・尿管)からの出血を完全には否定できませんが前立腺の肥大が認められたので、まずは前立腺疾患による血尿を疑い、そこに対する治療として去勢(精巣摘出術)を行いました。
◎前立腺肥大は加齢とともに発症し、精巣から分泌される雄性ホルモンであるアンドロゲンの作用によって発生します。最も一般的な症状はしぶりと排尿とは無関係に尿道からの前立腺出血があり、一般的な治療法は精巣摘出術です。
去勢後、超音波検査と尿検査で経過観察を行っていくと、順調に前立腺も縮小していき、血尿もなくなりました。
こたろうちゃんも、よく頑張りました!
今回は前立腺の肥大による血尿でしたが、すべての子が当てはまるわけではないので、おうちでのおしっこの変化(色・におい・回数・量など)がありましたらいつでもご相談ください。
獣医師 平湯