福岡県糟屋郡須恵町 リヴ動物病院           こちらで病院紹介を行っています。

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VMAT結成記念講演会

2013年11月25日 | セミナー参加

最近は随分冷え込んできましたが、皆様の体調管理は大丈夫ですか?

当院ではスタッフ全員インフルエンザワクチンの接種も済み、準備万端!まぁそれでも、風邪は引きますが(笑)何事も備えが大切です。

 

 当ブログでも紹介しておりましたが、先日VMATの結成記念講演会に出席して参りました。

休憩時間しか撮影できなかったのでガランとしてます(笑)

 「VMATってなんや?」と言う方の為に一応説明を!

東日本大震災の経験を機に発案された、大規模災害時や多くの傷病動物が発生した事故などの現場において、48時間以内に活動出来る動物救護の専門的な訓練を受けた獣医療チームのこと。日本では福岡が初の試みです! (詳細は福岡県獣医師会のホームページで!) 当院では、獣医師の佐藤と小芦が一年の研修を受けVMATの正式な一員として登録されました。

 

今回の講演会では、日本獣医生命科学大学獣医学部の水越美奈先生に「災害の備えは普段から」という内容のお話を聞かせて頂きました。(そう!備えが大切です!)

 

いつ起こるか分からない災害、もし避難が必要になった時、皆さんは避難場所に愛するペットを一緒に連れて行きますか(同行避難といいます)?もしくは一緒に連れて行けるでしょうか? 東日本大震災で浮き彫りになった動物救護の問題・・・愛するペットを連れて行けないからと避難しなかった方も居ると聞きました。

「もちろん避難場所の受け入れ体制の問題もありますが、同行避難をしても全ての人と動物が安全に避難できるように、ペットを飼われている方一人一人が普段から気を付ける事は沢山ありますよ。」という内容のお話で、自分自身気付かされる事も多い有意義な講演会でした。


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動物の麻酔について(後編)

2013年11月20日 | 診療科目

今回は前回の麻酔の続きをお話ししたいと思います。


 当院での麻酔はどのように行っているかを実際に全身麻酔をかけて手術を行う様子を写真で示しながら説明していきます。(今回は去勢手術の様子です。)

 

1 導入薬(短時間の麻酔薬)を意識がなくなるまでゆっくり血管内に投与します

  

 投与し始めると2~3分で力が抜けて眠くなってきます。眼瞼の反射の状態や呼吸状態、口に力が入っているかで次のステップに行くかどうか判断します。

 

これが当院にて、主に用いている麻酔導入薬です。人の全身麻酔でも用いられる比較的新しい麻酔導入薬で、以前使用していたものと比較すると麻酔導入が格段に安全になりました。


2 専用のチューブを気管に挿入して、呼吸の管理とガス麻酔薬の投与を行います。

    

  このチューブからガス麻酔薬と酸素を直接肺に入れることで、ガス麻酔がかかり、また呼吸状態をしっかり管理することができます。

  ガス麻酔濃度が安定する頃には最初の導入薬の効果が切れ、この後の手術中などは基本的にガス麻酔薬で麻酔を維持します。

 

        

左が当院で使用しているガス麻酔薬、右が麻酔器です。

右の器械で麻酔薬を気化させて酸素と合わせて吸入させることよって、麻酔がかかります。

 また麻酔器でガス麻酔薬の濃度を増減し、それぞれの動物や手術に適切な麻酔のかかり具合に調整していきます。

 


3 麻酔導入直後、すぐに心電図などのモニターを設置して、心臓の動きや呼吸状態をチェックします。

     

 麻酔中はこのように数種類の機器を装着します。

 

当院では、モニターの項目として主に心電図、パルスオキシメーター(血液中の酸素飽和度と脈拍測定)、カプノメーター(呼吸中の二酸化炭素濃度やガス麻酔濃度測定)、非観血式血圧計、体温 を測定します。

また、麻酔によって呼吸が抑制された時は人工呼吸器によって呼吸回数、換気量、気道内圧を増減させ、体の中の酸素と二酸化炭素の量も調節します。

 

 4 このようにさまざまな項目を確認することで、ガス麻酔濃度や人口呼吸器を用いた呼吸回数の調節、薬剤を投与することで血圧を上昇させたりと体の反応を調節し、異常をなくし、常に全身の状態を確かめながら麻酔を行うことで初めて、安全に手術を行うことができます。

     

 


5  手術が終了したら麻酔を切って動物たちの反応を見ながら機器類を外していきます。

 目が覚める直前に気管チューブを外し、しっかり意識が戻るまで観察します。

 

今回は避妊や去勢など行うときの健康な動物に対しての麻酔方法をご紹介しました。

さらに痛みを伴う手術や心臓や肝臓が悪いなど病状が重い子ではそれぞれの状態にあった局所麻酔や鎮静・鎮痛剤を組み合わせて全身麻酔を行い、予想される麻酔のリスクを軽減することも行います。

当院ではこのようにして常に動物たちの状態を確認しなが麻酔を行うことで、 日々より安全で動物たちの負担が少ない手術や処置を心がけています。


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動物の麻酔について(前編)

2013年11月14日 | 診療科目

皆さんは動物の麻酔はどのように行われていると思いますか?

 

 

 

今回は、あまりよく知られていない動物の麻酔について、お話しようと思います。 

 

麻酔は手術などを行う場合、切っても切り離せないものです。

 

手術では、多くの場合身体にメスを入れるケースがあり、動物達には大きなストレスと痛みを伴います。

 

麻酔をすることの大きな目的は、そのストレスや痛みを感じさせないようにし、安全に医療処置を受けていただく為と言ってよいでしょう。

 

 

 

また、動物では人のようにじっとしている事ができません。

 

確実な処置を行うためにも、局所麻酔ではなく全身麻酔が必要な場合が、人と比較して多いと思われます。

そのため、手術だけではなく内視鏡検査、スケーリング(歯石除去)など各種処置も全身麻酔により動かないようにして処置を行います。

このような理由で、動物では麻酔処置を行うことが多いのですが、それ故に、日々安全な麻酔処置を意識しております。

 

 

 

では実際にどのように麻酔を行っているかを説明して行こうと思います。

 

 

 

1 まず当院では、麻酔前には必ず術前検査を受けて頂いております。

 

 

 

  a 血液検査:全身臓器の一般状態を確認します。麻酔前には全ての動物で実施しております。

 

 

 

        ↑ 全血球計算:白血球や赤血球などの細胞成分の濃度を測定します

 

 

    ↑ 血液生化学検査:血液中の肝酵素や血糖値など様々な成分を調べることができます。

 

 

 

 b レントゲン検査:特に胸部レントゲンで呼吸器系(肺・気管など)や循環器系(心臓や血管など)を確認します。外見上健康でも中高齢の動物達には、必ずお勧めしております。

 

      

 

    ↑このようにレントゲンをモニターで見て評価します

 

 

 

c エコー検査:心臓に問題を抱えている動物は心エコー検査で心臓の確認を、腹部臓器に問題を抱えている動物は腹部エコー検査で腹部の臓器全てについて確認をしております。 

 

 

 

 

 

 

 

 これらの各種検査から得られた情報を基に、動物達にあった麻酔の方法を選択し安全性を高める他、その時に麻酔処置自体を行うかどうかの判断も行います

 

(動物達の状態が悪く、危険性が高いと判断されれば麻酔処置自体の中止もあり得ます)。

 

 この様に、厳しい目で麻酔前にチェックすることによって初めて安全な麻酔処置が行えると考えています。

 

 

 

 また、上記以外にも異なる検査が必要になる場合もあります。

 

 どのような検査を行うにしても、最も大切なことは検査を評価する獣医師の評価が一番のポイントと言えるでしょう。

 

 

 

2、血管確保: 点滴や薬剤を直接血管内に投与するために血管の中に管を入れます。

 

       これにより緊急時などもすぐに対応することができます。

 

 

 

 

 

ここまでが麻酔をかける前に行う処置になります。

 

このように麻酔処置を行う前には様々な検査や準備を行い、ここまでを確実に行うことによって麻酔の安全性が大きく異なってきます。

 

また、動物それぞれの年齢や行う麻酔処置などの違いによって適切な検査だけを行うことで、動物への負担を少なくし、一つ一つの処置を丁寧に行うことで麻酔のリスク自体を少なくする事ができると考えています。

 

少し長くなりましたので、この先の麻酔をかけるお話はまた次の機会にしたいと思います。

 

 


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整形外科症例(橈尺骨骨折/トウシャッコツコッセツ)

2013年11月08日 | 診療科目

今回は左手を骨折してしまった、オスの11ヶ月齢のチワワさんのお話です。

この子はジャンプしてたら左前足を挙げて様子がおかしいからと、福岡夜間救急動物病院に受診されました。

下が、その時のレントゲン写真です。

 

以前は、交通事故絡みの骨折を治療するケースが多かったのですが、最近はこのように「ジャンプして/ソファーから飛び降りて」という理由で手首の少し上の方を骨折して来院される子が急増してます。

チワワ・プードルなどの活動的な小型犬が人気になり、飼育頭数が増えたからです。

このクラスの犬を飼育されている方はくれぐれもお気をつけ下さい。

(特にイタリアングレイハウンドは要注意です/この記事の最後に、お家で出来る予防法をご紹介しますので、是非参考にされて下さい)

 

この部位の骨折の治療は、かなり繊細な作業かつ困難な点があります。

理由は

1.体重を支える骨であるのに、骨自体が細い(小型犬の平均直径6-8mm)

2.骨折の治癒は、骨の中心(骨髄)と周囲の組織からの栄養補給によって行われるが、骨髄自体が細く周囲組織も少ないので治癒反応が遅い

3.活動的な犬が多いため、治癒するまでに過剰な外力が骨折部位にかかりやすい

上記の理由で再骨折や癒合不全(骨折が正常に治らなかった状態)を起こした場合に、完治させることが非常に難しくなります。

ですので当院ではこの部位の骨折は1回で治すことが重要と考えて、ほとんどのケースでプレート(穴付きの板)とスクリュー(ねじ)による内固定をお勧めしております。

今回使用したプレートは

 

<<遠位橈骨用プレート(カッタブル)/キリカン洋行>>

 

以前は2kg台の小型犬の橈骨にあうサイズのプレートがなく苦慮しましたが、このプレートは厚みや幅が非常によいので助かっております。

もちろん、このままでは長過ぎるので必要な長さにカットして使用します。

 

次のレントゲンは手術後4週目のものです。(レントゲンでは橈骨の骨折ラインが分かりずらくなってます)

 この状態になると、固定器具を除去していく時期に入りますが、一度に全部外すことはしません。

骨折は治って来ていますが、まだまだ脆い状態なので再骨折の危険性があるからです。

当院では、この部位の固定器具の除去は2回に分けて行います。

 

次のレントゲンは先日、固定用のスクリューを3本除去した直後のものです。

もともとスクリューがあった場所が黒く抜けているのが分かります。

この部位が周囲の骨と同じくらい白くなってくると、残りのスクリューとプレートを除去することになります。(時期的にはここから3-4週間後)

この子の治療もいよいよ架橋に入ってきました。

まだまだ油断はできませんが、完治目指して頑張りたいと思います。

 

レーザー治療を受けているリルちゃん(気持ち良さそうです)

 

<お家で出来る注意点>

1.犬達の性格は変えられませんが、無意味にジャンプをしない程度に躾けることは出来るはずです。小さい頃から意識して育てることが重要です。

2.家の中で最も危険な場所は、フローリングの部屋にあるソファーや椅子、ベットです。可能であれば、上り下りをするソファー等がある部屋に入れない/もしくはソファー等を撤去するか低いものに変える/無理ならスロープの設置や着地する場所にラグやカーペットを敷いて滑らないようにする。階段があるお宅では、赤ちゃん用のバリケード等もお勧め。

3.骨折する子の多くは、爪やパットの間にある毛が伸びていることが多いです。

 

この状態は非常に滑りやすいので危険です。定期的に爪切りと毛刈りをしてあげましょう。

 

 


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手術用縫合糸への配慮

2013年11月03日 | 診療科目

動物たちが手術を受ける場合、多くのケースで切開した所を縫ったり、出血を止めるために血管を糸で結んだりしますが、今回は体の中で使用する糸についてのお話です。

通常、体の中で使用する糸は、体の中に一生残る糸(非吸収性縫合糸)や一定期間で体に吸収される糸(吸収性縫合糸)、細い繊維を編み込んだ糸(ブレイド)や1本の繊維で出来た糸(モノフィラメント)などがあります。

状況によって使い分けをするのですが、一般的には吸収性縫合糸は体の中で使用し、非吸収性縫合糸は体の外(皮膚など)で使用されます。

 

ブレイドの特徴は、網糸なのでほどけにくいということと、糸がしなやかなので縫合の操作がしやすいというところでしょうか。

昔から絹糸が医療で使われておりますが、これもブレイドの一種類ですね。

ただし、ブレイドは網糸の性質上しかたないのですが、糸の中に細菌感染を起こすことがあります。

 

モノフィラメントの特徴は、ブレイドよりほどけやすく、糸が固く、コストが倍近くかかります。

これを聞くと、メリットがないように感じますが、これを補って余あるメリットが一つあります。

それは、ブレイドより細菌感染を起こしにくいということです。

簡単に説明すると、使う側には力量が求められるが、動物には優しい糸ということですね。

 

当院では特殊な事例を除いてモノフィラメントの縫合糸を使うようにしております。

実際、当院で使われている糸は以下のものです。

株)ジョンソン&ジョンソン社製 PDS*II(モノフィラメント吸収性縫合糸)

 

 株)ジョンソン&ジョンソン社製 エチロン(モノフィラメント非吸収性縫合糸)

 

この2つの製品は、同系統のものに比較して非常に扱いやすく、手術の傷口が綺麗に治るように感じております。

 一般の方には少しマニアックなお話だったかもしれませんが、獣医師として動物に優しい医療を提供出来るように、使う製品にもこだわりを持ち続けたいと思います。

 

 


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