皆さんは「ペットの医療費」について、どんなイメージをお持ちでしょうか?
以前当院で実施させてもらったアンケートには治療費についてのご質問が多く書かれていました。
医療分野では、それぞれの治療内容が異なり(全てがオーダーメイド)、当然治療費も様々になりますので、詳細は個別にご相談しながらということになりますが、今回は全般的な話をペットの医療の考え方から医療費の事についてお話ししようと思います。
医療の側に立っている獣医師は、飼い主の方がペットの治療を希望した時に、その時点で最高の医療を提供できるように自己研鑚を続けていく責任があり、その点では人の医療と何ら変わりません。
しかし、一つ「人の医療」と同じように考える事ができない点があります。 それは、
「ペットに最高の治療を受けさせることが必ずしも”ペットやご家族の幸せ”には繋がらない」
ということです。
皆さんは何のためにペットと一緒に暮らすのでしょうか?
皆さんそれぞれ様々な答えが返ってくると思います。
私は「共に幸を感じるため」という答えが本質だと考えます。
皆さんはどうですか?
ペットは、人に無償の愛を注いでくれる存在で その表情や仕草は、人に心の安らぎを与えてくれます。
だからこそ、「ペットは家族の一員」という気持ちで、ペットが病気になったら動物病院へ連れていらっしゃる方が多いですよね。
ただし、ペットが重い病気にかかってその治療や介護に多大な自己犠牲が必要になった時に多くの方が悩まれると思います。
その時、私は
「ご家族で出来ることをすればよいですよ。無理をしすぎてはいけません。
この子の為に無理がない範囲で何が出来るかを真剣に考えてあげれば、
後悔することは少ないと思います。」
とよくお話しします。
無理をすれば、必ず心に「負の気持ち」が生まれます。先ほどもお伝えしましたが、私が考えるペットと一緒に生活する本質は「幸せを感じるため」ですので、ペットの病気の治療や介護のために、その「負の気持ち」が生まれては 本質を犠牲にしているので気持ちの上で不幸せになりかねません。
人によって「無理をする」という定義は異なりますが、私は
個人個人が良く考えて「無理のない最大限の愛」を注いであげれば、
多くの人が「ペットと一緒に生活した日々」を、幸せだったなと思える
と信じています。
以上が、私のペット医療に対する考えですが、実は医療費についても同じように考えております。
ペットの医療費は、人のように国民健康保険のような税金でサポートするような仕組みがありませんので、実費負担になります。
(逆に言えば、人のように高い国民健康保険税を払わなくて済んでいると言うことなのですが)
その意味で言えば、動物に対する医療費は、個人で自由に決められると言うことです。
この自由に決められるということは、一見良いように聞こえますが
「個人で責任を持って下さい」
という事でもあります。
ここで、また考えるべき事は
「責任を持つ」=「人の生活に無理がきても、ペットを治療する」ではない
という事です。
先程のペット医療の考え方と同じようにそのペットにかけられる治療費についても 「無理なくできる範囲」でかけてあげられれば、よいのです。
私は、
出来ること出来ないことを、きちんと判断することが「責任をもつ」ということ
に繋がると考えています。
また、近年「ペットの任意保険」も普及してきました。
ペットの医療が進歩すればするほど医療費が高くなることは人の医療をみても明らかです。
人も同じですが、ペットもいつ病気になるかわかりませんので、いざという時の為に保険に加入することはペットと一緒に生活される人にとって大きな助けになると思います。
*今回の話は完全な私見ですので、読まれた方はその点をご留意下さい。