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タマネギ中毒

2014年01月10日 | 診療科目

「タマネギは犬に食べさせてはいけない」・・・一度は耳にされたことがあると思いますが、今回のお話は、そのタマネギ中毒のお話です。

では、どうしてタマネギは犬に食べさせてはいけないのでしょうか?

ネギ属に分類されるネギ、タマネギ、ニンニク、ニラなどは、有機チオ硫酸化合物という物質を含んでいます。

この物質は赤血球に対して障害作用を持っており、これによって赤血球が破壊され各種の問題(貧血、ヘモグロビン血症による臓器障害など)を起こすことが、食べさせてはいけない理由になります。

 

先日来院された、プリンちゃんは、おしっこに血が混じってるとのことで来院されましたが、血液検査にて溶血性貧血(体の中で赤血球が破壊されて起こる貧血のこと)が認められました。

↑赤いおしっこの写真(この状態は血尿ではなく、血色素尿と呼ばれます)

 

お話を聞くと、「昨日の夕食の材料にでタマネギを使いました。もしかしたら台所で落ちたタマネギを食べたのかも。」とのことでした。

他の疾患を疑わせる異常な所見もないことから、タマネギ中毒と診断して治療を開始しました。

一時は血の濃さが通常の30%ぐらいに減少するまで進行して病状が危ぶまれましたが、8日間の入院治療でなんとか改善しました。

↑退院前のプリンちゃん(笑顔がかわいいですね)

 

日本では、ネギ属は一般家庭でよく使用される食材であり、さらにこの中毒物質は調理(加熱処理等)をしても毒性は消えないので注意が必要です。

実はこの障害には個体差があり、遺伝的に体内の「還元型グルタチオン」という物質が高濃度にある犬ほど、重篤な症状(治療の甲斐なく死亡する例もあります)が出やすいことが分かっているようです。

なので「うちの子はタマネギを食べても大丈夫だった」という話を聞いても、それはたまたま大丈夫な子だったりするので、油断せずに気付いたら即座の対応をして下さい。

タマネギを食べて1−2時間以内であれば、中毒物質が体内に吸収される前に取り除くことが出来るケースもありますので、まずはご連絡下さい。


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