今回は、当院でも耳掃除に通われている方も多い動物の外耳炎についてお話したいと思います。
まず、外耳炎とは、耳の穴の入口から鼓膜までの間(外耳道)が、炎症を起こし、赤く腫れている状態のことです。飼い主さんが気づく症状として、いつも耳を掻いている、頭をブルブル振る、耳が臭い、耳垢(みみあか)が増えたなどで来院されることが多いです。
↑ 垂直耳道と水平耳道を合わせて外耳道といいます。外耳炎はここが赤く腫れている状態です。
外耳炎の症状は分りやすく診断はつきやすいのですが、様々な悪化要因も多く、原因は複雑です。
原因としては、食物有害反応(ジャーキーなどのおやつや、パン、チーズなど人の食べ物による刺激)、アレルギー性皮膚炎の一症状として、ミミダニの感染(顕微鏡でしか見れない小さなダニ)などが考えられます。その他にも、腫瘍や免疫の病気などもあります。
↑ ミミダニの写真。このダニが耳の中で炎症を起こします。
特に慢性化していると、掻き傷により炎症がひどくなったり、耳の皮膚が炎症により厚くなり、耳の穴が狭くなることで、さらに悪くなり、元々の原因が分かりにくくなってしまいます。
しかも、外耳炎は湿度にも深く関係しています。垂れた耳、耳の中の毛、耳道狭窄(耳の穴が狭い)など元々生まれた時からの要因や、夏の時期の高温多湿、水泳やシャンプー後の乾燥不足なども、外耳炎の悪化要因となります。
このため、一度、診察しただけでは原因が特定できず、治療しながら原因を調べていくことが必要となります。
治療としては、定期的に耳掃除を行い、耳の中の汚れを洗い流し、耳の中の環境を正常に保ちます。
それと同時に耳垢から、ミミダニや細菌の感染を検査し、耳鏡カメラで耳の中に異物(草や砂、毛など)や腫瘍があるかどうか、また、耳垢の量や耳の中の状態をチェックします。加えて、飼い主さんからの食生活や生活環境のお話なども重要です。
その結果に合わせて、外用薬や内服薬、食事療法や免疫療法も行い、一つ一つ疑わしい原因を除外しながら診断していきます。
そのため、外耳炎は、複雑化していると特に、治療期間が長引くことがあります。
↑ これが実際の耳鏡カメラの映像です。耳の奥まで状態をチェックします。
↑ これは耳の中の毛が多い子の写真です。通気性が悪く、汚れが溜まりやすくなります。
このように外耳炎は、色々な要素が絡んでおり、治療も難しくなることも多いので、「最近うちの子、耳かゆそうにしてるなぁ」と思われたら早めにお耳のチェックをしましょう。