福岡県糟屋郡須恵町 リヴ動物病院           こちらで病院紹介を行っています。

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動物の外耳炎について

2013年12月28日 | 診療科目

今回は、当院でも耳掃除に通われている方も多い動物の外耳炎についてお話したいと思います。

まず、外耳炎とは、耳の穴の入口から鼓膜までの間(外耳道)が、炎症を起こし、赤く腫れている状態のことです。飼い主さんが気づく症状として、いつも耳を掻いている、頭をブルブル振る、耳が臭い、耳垢(みみあか)が増えたなどで来院されることが多いです。

 ↑ 垂直耳道と水平耳道を合わせて外耳道といいます。外耳炎はここが赤く腫れている状態です。

 

外耳炎の症状は分りやすく診断はつきやすいのですが、様々な悪化要因も多く、原因は複雑です。

原因としては、食物有害反応(ジャーキーなどのおやつや、パン、チーズなど人の食べ物による刺激)、アレルギー性皮膚炎の一症状として、ミミダニの感染(顕微鏡でしか見れない小さなダニ)などが考えられます。その他にも、腫瘍や免疫の病気などもあります。

   

   ↑ ミミダニの写真。このダニが耳の中で炎症を起こします。

 

特に慢性化していると、掻き傷により炎症がひどくなったり、耳の皮膚が炎症により厚くなり、耳の穴が狭くなることで、さらに悪くなり、元々の原因が分かりにくくなってしまいます。

しかも、外耳炎は湿度にも深く関係しています。垂れた耳、耳の中の毛、耳道狭窄(耳の穴が狭い)など元々生まれた時からの要因や、夏の時期の高温多湿、水泳やシャンプー後の乾燥不足なども、外耳炎の悪化要因となります。

このため、一度、診察しただけでは原因が特定できず、治療しながら原因を調べていくことが必要となります。

治療としては、定期的に耳掃除を行い、耳の中の汚れを洗い流し、耳の中の環境を正常に保ちます。

それと同時に耳垢から、ミミダニや細菌の感染を検査し、耳鏡カメラで耳の中に異物(草や砂、毛など)や腫瘍があるかどうか、また、耳垢の量や耳の中の状態をチェックします。加えて、飼い主さんからの食生活や生活環境のお話なども重要です。

その結果に合わせて、外用薬や内服薬、食事療法や免疫療法も行い、一つ一つ疑わしい原因を除外しながら診断していきます。

そのため、外耳炎は、複雑化していると特に、治療期間が長引くことがあります。

    

     ↑ これが実際の耳鏡カメラの映像です。耳の奥まで状態をチェックします。 

     

     ↑ これは耳の中の毛が多い子の写真です。通気性が悪く、汚れが溜まりやすくなります。

このように外耳炎は、色々な要素が絡んでおり、治療も難しくなることも多いので、「最近うちの子、耳かゆそうにしてるなぁ」と思われたら早めにお耳のチェックをしましょう。


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手作り食の方におすすめのサプリメント(ベジタブルサポート)について

2013年12月25日 | 診療科目

今回は当院でもお勧めしている犬猫用栄養補助食品(サプリメント)のベジタブルサポートについてお話します。

ベジタブルサポートは野菜を中心としたサプリメントです。

 

 

 ↑ 粉末タイプと錠剤タイプがあります。動物に合わせて、食べやすい方を選べます。

 

犬や猫は元々、野菜の消化・吸収を苦手とする動物です。祖先である狼や野生の猫などは、草食動物のお腹で消化された野菜を内臓ごと食べることで、体に必要な野菜の栄養を取り入れてきました。なので今でも犬は生野菜を食べたとしても消化が上手に出来ず、栄養を吸収しづらい生き物なのです。

今では、ドッグフードやキャットフードにより、栄養を簡単にバランス良く摂取することができますが、中にはフードが体に合わない子や、健康維持のために、手作り食にされる方もいらっしゃいます。

野菜の栄養は、熱を加えることで低下してしまうものも多く、手作り食では栄養のバランスが、偏ってしまうことがあります。

また、体の中の栄養を調整する肝臓に問題がある子も、同じ様に偏ってしまうことがあります。

ベジタブルサポートは、野菜に熱を加えず、特殊な方法で作られているので、生の野菜に近い状態で食べることができ、不足しがちな野菜の栄養を、効率よく取り入れることができます。

よって、当院でも、手作り食を行われている方や、肝臓の調子が悪い子を中心におすすめしています。

 

ベジタブルサポートの食べ方

 

病院猫のまるまりくんや、その兄弟の そのこちゃんも、肝臓の調子が悪く、べジタブルサポートを毎日食べています。

実際に、べジタブルサポートを、どのようにして食べているかを、ご紹介します。

    

↑ 粉末タイプを、栄養バランスが良いご飯に混ぜています。

     

↑ そのこちゃんが食べている様子です。いつも、ペロリときれいに、平らげてくれてます。



このように猫ちゃんでも美味しく食べてくれます。

 

 

ここからは、実際にベジタブルサポートの何の成分がどういいのか、少し詳しく、お話ししますので、難しいかもしれませんが、興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

 

皆さんは、BCAAという言葉を聞いたことがありませんか?最近、人でも注目されている筋肉で使われる必須アミノ酸の一部で、テレビでもこれが入った清涼飲料水のCMもあり、人では運動前に飲むとエネルギー源になるとされています。

 

 ベジタブルサポートは簡単に言うと、犬猫用のBCAAのサプリメントです。

 

◎必須アミノ酸?BCAA?

 

まず、アミノ酸とは、肉や魚の主成分であるタンパク質を分解して細かくしたものです。その中でも、必須アミノ酸は体の中で合成できないアミノ酸で、食べ物から取り入れる必要があるものです。

 

必須アミノ酸は大きく分けて、2種類あり、一つは肝臓で使われるアミノ酸(チロシン、フェニルアラニンなどのアミノ酸)、もう一つが筋肉で使われるアミノ酸(バリン、ロイシンなどの分岐鎖アミノ酸:BCAA)です。

 

この2種類の必須アミノ酸のバランスが大事で、いくらBCAA以外の必須アミノ酸が多くても、BCAAが少なければ、体に必要な量の必須アミノ酸は、不足してしまいます。

アミノ酸は、体を作るタンパク質の元になるものなので、アミノ酸が不足すると、体調が悪くなり、元気が出なくなります。

 

◎どんな子に必要なの?

 

手作り食で栄養バランスに偏りがある子や、体のタンパク質を調整している、肝臓に病気を持つ子の多くは、アミノ酸のバランスが悪くなりがちです。

BCAAを摂取することで、初めてBCAA以外のアミノ酸も、効率よく吸収され、アミノ酸のバランスが良くなります。BCAA自体は筋肉で使われるので、肝臓への負担も少なくなります。

 

◎その他にも体に良いことが

 

 元来、犬や猫は、野菜の吸収を苦手とする動物です。野菜には動物たちにも必要な、食物繊維やビタミン、ミネラルが多く含まれています。

 

ベジタブルサポートは、野菜を中心に特殊な方法で作られています。そのため、吸収されやすい食物繊維を多く含むことで、腸内環境を整えます。

また、コレステロールを下げる効果もあり、最近では、この食物繊維を、さらに多く含む、「ベジタブルサポート ファイバー」という商品も開発されています。

 

その他にも、野菜が持つ、ビタミンやミネラルを、熱を加えずに、生の野菜に近い状態で、取り入れることができます。

 

少し難しい話になりましたが、最後まで読んでくださって、ありがとうございました。気になる方は、何でも気軽にご相談ください。


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イヌの出産について(中編)

2013年12月21日 | 診療科目

中編ではイヌの出産についての基本的な知識と母イヌのケアについて説明をして行きます。

 

[ 基本知識 ]

イヌの性成熟:8~12ヶ月  イヌの妊娠期間:62日  イヌの出産頭数:2~8匹

イヌの交配:一般的には出血を認めてから12日目(10~15日目)が一番良いとされる。

メスよりも体格の小さいオスを選んだ方が安全(オスが大きいと胎児も大きくなる傾向があるので、難産になりやすくなると言われている)

交配については実際にブリーディングをされている方の意見を参考にされた方が良いと思います。実際に交配で医療が介入する必要があるのは、そのイヌが不妊の場合です。

妊娠診断:交配から4週間後以降から行える(正確な妊娠頭数の判断は妊娠後期に行います)

 

[ 母イヌのケア ]

1.環境ケア

(育児室(産室)について)

母イヌが子犬を邪魔すること無く立って寝返りを打てるくらい充分な広さの育児室を作る必要があります(産室をそのまま育児室にすればよい)。箱の側面はすきま風が入らない高さにし、母イヌはまたいで出ることが出来るが、子犬は出られない高さの面を作ると良いでしょう。人に覗かれるのを嫌うようなら屋根も必要です。

(敷物について)

出産時の汚れた敷物などは、清潔なものに取り替え、母子共通の感染症や寄生虫繁殖を防ぎます。使い捨てあるいは洗濯出来るタオル・マットなどは子犬がすべることなく寝床に適しています(使い捨てのペット用シーツもよい)が、柔らかすぎる敷物は母イヌが引っ掻いて全て自分の体の下へ敷き込んでしまったり、子犬が隙間に挟まれて窒息する恐れがあるので注意が必要です。また、ほつれやすい布地は糸が子犬の手足に絡むことがありますし、深いフワフワし過ぎた寝床も子犬の窒息の原因となりえます。

(室温について)

室温は20~24℃で、全面ではなく暑くなると移動出来るように一部の面にヒーターマットのような暖房を施すこと(防水性のあるものがよい)。

(食餌と排泄について)

過度な湿気、細菌やカビの繁殖、子犬が濡れたり窒息することなどを防ぐ為にも、母イヌの食事と水を与える場所やトイレは育児室とは別に作ると良いでしょう。

排便の状態、量、回数を毎日観察することは重要です。

 

2. 身体ケア

(出産前にしておくこと)

長毛種は出産1週間前に会陰部と乳房周囲の毛を刈り、綺麗に洗っておくと良いです(出産後も出来るだけ清潔に保つようにして下さい)。

母イヌの爪を切ったり、歯の手入れをしておく。

妊娠前には、子犬に移るような病気の予防をしておいた方が良いでしょう(ワクチンやフィラリア、寄生虫、ノミ、耳ダニ/妊娠後には予防出来ないものもありますので交配2週間以上前にお近くの動物病院に相談されて下さい)。

(出産後にしておくこと)

病気の予防の為にも毎日のきめ細かな観察が必要です。

定期的(1~3日)に体温を測定、おりものなどで乳房や外陰部が汚れてないか、乳腺の色、熱、痛みの有無を毎日チェックして下さい。

授乳中は母イヌの栄養要求量が増加しますので、食餌量を増やすか栄養価の高いフードをあげて下さい。

 

3. 行動ケア

母イヌが落ち着かない場合は、母親に病気が無いか?場所が悪くないか?を考えて下さい。

母イヌの性格を考慮し、子犬を守る本能が強い場合は、外来者に遠慮してもらった方が、思わぬ怪我(母イヌに人が咬まれる)を防げます。

 

以上が出産育児期の母イヌに対するケアです。参考にしてみて下さい。

次回、後編は子犬に対するケアを載せる予定です。


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イヌの出産について(前編)

2013年12月18日 | 診療科目

昼間以外は随分と涼しい季節になってきました。

今回のお話はイヌの出産についてです。

人の妊婦さんが、妊娠5ヶ月目に入ると腹帯をまいて母子の健康を祝う日があります。

この日が「戌の日」と言われるのはイヌのお産が軽いことに因んでいると言われています。

 

 

しかし、イヌのお産が軽いと言われたのは昔のこと、現在日本で飼育されているイヌは、以前と違い難産になるケースも少なくありません。

(難産になると状態が悪い中での帝王切開や出産介助となり、母子ともに命の危険がでてきます)

では、どうしてイヌのお産が変わって来たのでしょうか?

以前は中型犬以上のイヌを庭で飼育するケースが多かったのですが、現在では小型犬が主流を占め室内で飼育されるケースが増えたのが一つの要因と考えています。

体格が小さくなればなるほど、陣痛に耐えうる体力も無く、赤ちゃんが出てくる産道も小さく物理的に出産が難しいものになりますし、室内で飼育されている小型犬は自立していないケースが多く、精神的に出産に集中出来ない(人間が心配しすぎて構いすぎてしまう)イヌが増えているのではないでしょうか。

 

それでも、イヌの出産に立ち会うことは、すばらしい感動を得られますし、多くの方が最愛のペットの子供を欲しいと思われるのは当然のことと思います。

 

前述の通り以前よりは難しくなった(命の危険がある)イヌの出産に挑むわけですから、前もっての準備が必要です。

 

まず第一に、準備することは人の気持ちです。

イヌを飼育されている方は二通りに分けられます。それは何かと言うと「我が子だけが好き」と言うことと「イヌが好き」の2つです。

前者の方は、現在飼育しているイヌに「もしものことがある」ことなど考えられないでしょうから、危険を伴う出産に挑むことはお勧めしません。

後者の方は、その犬種自体が好きなのですから自宅で飼育している犬種をずっと飼育していくために出産させるのは理にかなってますので、他の問題がなければ挑戦する価値が高いと思われます。

上述の考え方はどちらも「イヌが好き」ですが、根本的に考え方が異なりますので、自宅でイヌの出産を考える方は「自分たちはどちらなんだろう」とよく考えることがまず大切になります。

 

 

 ↑最近、当院にて帝王切開をおこなったチィちゃん

 

 

 

↑お腹にはこんなにたくさんの新しい命が

 

では、次の記事にてイヌの出産についての注意事項等を説明して行きます。


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マダニについて

2013年12月14日 | 診療科目

最近、急に朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。皆さんお体の調子はどうですか。風邪をひかないように気を付けてください。

今回は、前回お話したノミと同様に、動物の皮膚に寄生し、吸血するマダニについてお話しします。

 

マダニの生態

マダニは草むらの中に生息している、3~4 mm程の小さな虫です。マダニは昆虫類のノミと違って、足が8本あるためクモの仲間になります。そのため、ダニは卵→幼ダニ→若ダニ→成ダニと成長し、ノミとは全く違うライフサイクルを行います。

林の中など草木が茂る場所に多くいますが、マダニが寄生している犬の散歩コースにも落ちます。草むらの中で、脱皮や産卵を行って、成長した後、同じコースを通る他の動物に取りつき、2週間かけて小さな体の8~10倍になるまで吸血を行います。急に大きな黒い塊ができるので、イボができたと勘違いすることもあり、よく見ると足が生えていて、少しずつ動いて、びっくりされる方もいらっしゃいます。

 ↑ 右が吸血前、左が吸血後のマダニです。こんなに大きくなります。

マダニは、種類にもよりますが、基本的に、すべての段階(幼ダニ、若ダニ、成ダニ)で吸血を行います。しかも、同じ動物に寄生し続けるわけではなく、各段階で、一回離れ、脱皮をした後に、また別の動物に寄生します。


このようにマダニは一匹が複数の動物で吸血を行います。ここで問題になるのが、細菌や寄生虫などを他の子に移してしまうことです。

 

ダニによる病気

マダニは吸血を行うので大量に寄生すると貧血を起こします。

また、少量寄生でも命に関わる病気を伝播することがあります。

特に重要なのが、バベシアという血液中の赤血球に寄生する小さな虫です。赤血球とは血液の成分の一つで、全身に酸素を運ぶ役割があります。バベシアは、この赤血球内で増殖し赤血球を破壊することで、重度の貧血を引き起こし、これにかかった動物は、全身に酸素を送れなくなり、死亡することも多い病気です。

 

↑ 薄紫色の丸が赤血球です。中央付近の赤血球の中にいる濃い紫の楕円形の丸がバベシアです。

マダニの対策

マダニの対策としては、ノミと同じで、月一回の駆除薬を投与することが、一般的で、一番確実に予防できます。

また、マダニは吸血時に、口を皮膚に突っ込んで固定しています。そのため、無理に引っ張ると胴体と頭がちぎれ、マダニの口器が皮膚に残って、その部分に長期間、かゆみが残り、悪化すると、化膿する場合もあるので、むやみに吸血しているマダニをむしり取らないようにしてください。マダニを発見された場合は早めに駆除薬を投与しましょう。

 駆除薬については前回のブログを参考にしてください→駆除薬について


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ノミについて

2013年12月10日 | 診療科目

残暑厳しい日が続いていますね。今回は暑い時期に増加し、当院でも今だに被害が見られるノミについてお話したいと思います。

ノミの生態

ノミは動物の皮膚上に寄生して、吸血することで栄養を取る昆虫の一種です。昆虫なので卵→幼虫→さなぎ→成虫と発育します。この中でも吸血を行うのは成虫のみで、他の成長段階では環境中で増加します。

 

ノミの卵は、表面がツルツルなので、寄生されたペットが室内を移動するたびに、ペットから生活環境中に落下します。卵はふ化すると幼虫になり、カーペットの中や動物の寝床などに隠れ、成虫の糞などを食べて、さなぎになります。

 

ノミのさなぎは、殺虫剤に抵抗性があり、駆除が難しく、また、ノミの繁殖に適さない環境(低温・低湿)でも生存できるので、寒くなって一度落ち着いても冬を超えて翌年の春からまた被害が出てくることがあります。

しかも、最近は暖房設備の普及によって、冬でもノミの発生がみられるため、季節を問わず注意が必要です。

 

その後、成虫になり、動物が近づくとジャンプして寄生し、吸血を始めます。

 

ノミは繁殖力がとても強く、1日20~50個もの卵を生み、2週間程度で成虫になります。

もし5匹ノミを見つけたら、95匹の卵や幼虫などの予備軍がいるといわれています。

 このように、ノミはそのライフサイクルと繁殖力から、動物に寄生した成虫を、駆虫しただけでは卵や幼虫から再感染するので、完全に駆除するのは大変です。

 

ノミによる病気

ノミによる被害として刺されることで起こる発疹やかゆみはもちろん、大量に寄生された場合には吸血による貧血や、その他にも病気を引き起こすことがあります。

 

・ノミアレルギー性皮膚炎

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミに対するアレルギーによって、皮膚のかゆみや炎症などの症状が現れる病気で、特に複数回寄生されることで、体が過剰に反応しやすくなり、発症します。

ノミアレルギー性皮膚炎を起こすと、赤い発疹ができ、犬はとてもかゆがるようになります。ひどくなると、一晩中眠れないくらいかゆみが強くなることもあります。

 

・瓜実条虫症

瓜実条虫症は、瓜実条虫という寄生虫が犬や猫の小腸に寄生することで下痢などの症状を起こす病気です。

瓜実条虫はノミを介して動物に寄生します。寄生された猫や犬が便とともに、卵を排泄します。その卵をノミの幼虫が食べ、幼虫の体内で瓜実条虫が発育し、このノミを、猫や犬が毛づくろいのときなどに口に入れてしまうことで、瓜実条虫に感染します。

また、瓜実条虫症は人にも、ノミを介して寄生します。

 

 

 

この様に、ノミは様々な問題を引き起こし、駆除しきることが難しいので、月に一回の予防をしっかりと行うことをお勧めします。少なくとも、もし見つけた場合は早めの駆除を行いましょう。

駆虫薬については前回のブログをご覧ください→駆虫薬について

 

 

 


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交通事故にあった子猫さん

2013年12月09日 | 診療科目

 今回のお話は救急対応についてのお話です。

 

 先日当院の患者さんが、「車で走っていたら、道端に子猫がうずくまっていた。なんとか助けて下さい」とのことで、慌てて来院されました。

 連れてこられた、その子猫は意識がもうろうとしていて、昏睡状態にありました。

 状態から、おそらく頭部を激しく打っていると判断し、救急対応を行いました。

 (当院では、命に関わる状態の動物が運び込まれた場合、診察順番にかかわらず、すぐに対応をするようにしております。・・・当日、快くお待ち下さった皆様ありがとうございました。)

 

↑来院時の子猫(意識が混迷しており、鼻出血も認められる)

 

 各種検査によって、上顎(あご)および下顎骨の骨折も認められましたが、拾われた方のご希望で治療を行うことになりました。

 上顎の骨折はズレが酷くないので保存治療(自然治癒を期待し外科的な固定を行わない治療)とし、下顎骨折はワイヤーにて固定を行いました。

 問題は、頭部打撲による脳障害の程度がどの程度かということですが、どちらにしても数日の経過観察が必要なので入院して治療を行うことになりました。

 治療開始数時間後には意識の回復は認められましたが、極度の痛みと鼻呼吸が出来ない為にかなりつらい状態が、これから数日続きました。

 連れてこられた方が途中諦めかけるほど見た目の状態は悪かったですが、がんばって入院治療を続けたところ、受傷後6日目には自力でペースト状のフードを食べれるようにまで回復し、7日目に無事退院して通院治療に切り替えました。

 

その後状態は安定し、頭部打撲の後遺症も認められなかったので、治療開始約4週間で下顎を固定していたワイヤーを除去し、治療を終わりました。

 

↑ワイヤー除去後の様子(すごく人懐っこい子で、リラックスして寝てます)

 

 名前も「完ちゃん」とつけてもらい、これからは幸せな生活を送ってくれることを祈っております。

 

 

 


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アレルギー性皮膚炎のスプレータイプのかゆみ止め

2013年12月05日 | 診療科目

皮膚のアレルギー疾患は人と同じように犬や猫でも多く,当院でも通われている方も多い病気です。

今回は今年新しく発売されたアレルギー性皮膚炎の治療に用いるステロイド剤(かゆみ止め)についてご紹介します。

 

ステロイドとは?

 

ステロイドというお薬を聞いたことがありますか? ステロイドは副作用も多いためあまり良いイメージがない方も多いようです。

一般的に言われているステロイドとは、元々どんな動物の体の中にも存在する副腎皮質ホルモンをお薬にしたものです。

このホルモンはケガをした時やストレスを受けた時などに分泌され、炎症を抑えたり、血糖値を上昇させたりして、体を様々な刺激から守ります。

 

 

そのため、ステロイドは主にアレルギー性疾患などの炎症を抑えるために使います。

効果も強く、症状を上手く緩和できる反面、副作用もあり、嘔吐や細菌感染などを併発するため、使い方に注意が必要な薬でもあります。

 

 

 アレルギー性皮膚炎の動物では炎症を鎮め、かゆみを効率よく抑えるために用いられます。しかし、長期にわたって使用することが多く、今までは飲み薬や注射薬が主流でした。

塗り薬もありましたが、動物は体毛があるため皮膚に直接塗りにくく、ベタベタしているため本人が気にして舐めることも少なくありませんでした。

 

 

今回紹介するコルタバンススプレーの特徴は、スプレータイプなのでサラサラしていて、すぐに乾きやすいため、今までの外用薬よりも動物に使いやすくされています。また、飲み薬や注射薬とは違って、局所に使用するので副作用も大幅に軽減されます。

 

さらに、もう一つ『 アンテドラック・ステロイド 』と言う大きな特徴があり、皮膚の表面では強く作用しますが、皮膚の深部に行くと分解されて作用が弱い物質に変化します。

この変化により、効果は保ったまま、副作用だけをさらに防ぐことができます。

 

もちろん使い方を間違えれば問題も起こるので獣医師の処方をよく聞いて、一緒にアレルギー性皮膚炎と上手く付き合って行きましょう。 

詳しい情報は下記のリンクをご覧ください。

 コルタバンススプレー製品情報


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飲むタイプのノミ・マダニ駆除剤について

2013年12月02日 | 診療科目

梅雨が過ぎ本格的に暑い季節になってきました。

この時期に最も気をつけないといけないのは、フィラリアの被害(今年の検査では、残念ながらすでに6匹の犬がフィラリアに感染していました・・・)ですが、次いで多いのはノミとマダニの被害です。

よく「何処で移るんですか?」という質問を受けますが、ノミは生涯動物の体で生活する寄生虫なので、ノミに寄生されている動物が近くにいた場合に移るそうです。例えば、家の近くをうろうろしている猫から・友達の犬から・美容室にたまたま同じ日に来た犬からなど・・・病院にもノミに被害を受けている犬猫が来ますので注意が必要です。マダニは草むらで排卵するので、主に散歩コースや家の庭の草むらで移るようです。

ちなみに、家の中の犬猫にノミが感染したのを見逃すと、爆発的に増殖するのでさらに注意が必要です。(ノミは1日あたり最大50個もの卵を産卵します)

 

10年以上前は、このノミとマダニの駆除には「ノミ取り首輪(マダニにも効果のあるもの)」が主流でした。

その頃からでしょうかスポットオン(犬猫の体に液体をつける)タイプで効果的なものが日本で販売され、その当時は「首輪を着けないで済んで、さらに駆除効果が飛躍的に高まった」ということで画期的な薬剤が出たと記憶してます。

 

 ↑フロントライン(この製品には、長い間助けて貰いました。現在では、フロントラインプラスとして更に効果が良くなっています)

 

また、フィラリアを同時に予防出来る製品も出て、より一層利便性が上がった製品も出てます。

 

↑レボリューション(こちらの製品はフィラリア予防の効果もついてます)

 

スポットオンタイプが発売されてからノミ・マダニの駆除効果は飛躍的に高まり多くの動物病院で使われてきましたが、いくつかスポットオンタイプの薬が使いにくいケースが出て来ていました。

1.薬が着いたところを動物が気にする

2.薬の臭いが気になる

3.動物が嫌がって薬をつけれない

4.体をよく洗うから効果が落ちることが心配(メーカーからは効果は落ちないと聞いていますが)

などです。

 

そこで今回紹介する製品は、飲むタイプのノミ・マダニ駆除剤です。

飲むタイプの薬で、ノミとマダニの両方に効果があり、効果の持続期間も1ヶ月とスポットオンタイプと同等ということで、かなり使いやすい製品となっています。

当院では昨年から少しずつ使われる方が増えて来ていますが、満足出来る結果を出しているようです。

 

 

 ↑コンフォティス(飲むタイプのお薬)

 

主な注意点は


a.まれに吐くことがあるそうですが、対策としては食事と一緒に飲ませると少なくなるようです。それでも毎回吐いてしまう犬猫はスポットオンタイプがよいですね。

b.けいれん発作(てんかん等)の既往歴がある子は慎重に投与となっていますが、この場合出来るだけスポットオンタイプを使うべきでしょう。


c.皮膚の寄生虫疾患(カイセンや毛包虫)の治療で高用量イベルメクチン療法を行っている犬猫には使用しないほうがよいでしょう。 

 

その他の情報は下記のリンクから参照して下さい。

コンフォティスの情報はこちらから

 

 

それぞれの利便性を考えると

1. 薬を飲まない犬猫には、フロントラインプラス

2. 皮膚が弱くてスポットオンタイプが使えない犬猫にはコンフォティス

3. フィラリアも一緒に予防したい犬猫にはレボリューション

とするのがよいでしょう。

 

今年もノミとマダニの被害を受ける犬猫が少ないことを祈っています。

 

 

 


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