「天国はまだ遠く」 瀬尾まいこ
23歳の保険セールスの女の子が仕事や人間関係に耐えられず
自殺未遂をおこすが失敗し、滞在した山奥で暮らす人々と景色に
触れていくうちに前向きな自分を取り戻す、
というシンプルなストーリーで、文章はきわめて軽快。
自殺する人は国内だけで年間32,000人もいる。1時間に3.7人。
国内の自殺者数は20年前と比べると1万人も増えていて、
しかも40割近くが60歳以上のお年寄り。
(参考:H19年6月発表 警察庁統計資料より)
苦しさに耐えうる心の強度は千差万別ですが、
いろんな人生の引き出しを持っておくと
心のくすりになる。
即効性があったり、漢方薬みたいにじっくり、というのもありますが
人生を小さな引き出し1つにだけ閉じ込めるのはもったいない。
とはいえ、どん底にいるときには引き出しの存在も忘れてしまうか、
開けても空っぽだったりするかもしれませんが。
いずれにしても寿命をまっとうして死にたいもんです。
愛情を受けて育ててもらったんですから。
「天国にはまだ遠く」はそんな重いテーマが主題ではなくて
なんかこう、深刻に悩む人の肩をバーンとたたいて
「あほちゃう?」という拍子抜け感がいいかも。
個人的には「幸福な食卓」のほうが好きでしたが。
この小説で笑ったのは、主人公が遺書を書くのを忘れてしまい、
別れかけてる恋人に遺書らしき文章を携帯メールで送信する箇所。
太宰治様、芥川龍之介様、時代も変わりました。
話は逸れますが、かの有名な白洲次郎が家族に宛てた遺言書には、
「葬式無用、戒名不用」
とだけ簡潔に書いて逝っている。
身長185cm、容姿端麗、スポーツ万能、良家の子息、頭脳明晰で
吉田茂の側近だった白洲次郎。
天に二物も三物も与えられた彼の潔い人生観が
簡潔な二言に詰まっている気がする。
CCつれづれ日記
白洲次郎は1951年~59年まで東北電力の会長を務めたという。
となると、亡き祖父が同社で働き盛りだった頃だ。
今となってはエピソードを聞くことができないが、
きっと白洲伝説を残したのではないかと想像する。
場所はタイのランタ島です。
島に上陸するときに、このふにゃふにゃ揺れる橋を
歩くんですが、夜中に到着したとき真っ暗闇で
なんともスリリングでした。
キレイですね。