
恩田陸の「夜のピクニック」という本を読んで
大学の頃のナイトハイクというイベントを思い出した。
今はもうなくなってしまった行事かもしれないが、
私がいた頃は毎年実施された伝統行事で、
街のキャンパスと郊外のキャンパスを結ぶ40数キロの道のりを
ただひたすら歩くというもの。
私は大学1年のときに一度だけ参加したことがある。
夕方6時頃、サークル仲間とともに街のキャンパスをスタートし、
途中コンビニに寄って軽食などを食べながら
延々夜の国道を歩き続け、朝までに完歩するというイベント。
出発してしばらくは、周囲の友達とやんややんや騒ぎながら
楽しく歩いているが、15キロも過ぎると無口になり、
最後のほうはほとんど単独でゴールをひたすら目指し、
ラストスパートに顔を出す長~い上り坂を恨めしそうに見上げながら
山のキャンパスに向かって重い足を進める。
40キロといえばフルマラソンの距離だが、私は18歳であったあの頃ですら
完歩した後はあまりの疲労に口もきけないほどだったが、
マラソン選手があの距離を2時間足らずで走り続けるというのは
ほんとうに想像を絶する超人的営みだと思う。
夜のピクニックは高校が舞台で、私たちの倍の80キロを歩く、
実際に作者の母校で行われた行事だそうだが、
読み進めていると一緒に歩いている気になってきて
息切れがしそうになる。
たしかナイトハイクは入学後まもなくだったので
親しくなり始めた友人たちといろんな話をして親密になったり、
気になる先輩のお近づきになったり、
「夜のピクニック」のように、たった一晩のイベントの中でも
いろんな人間模様があった(かもしれない)。
私はよく覚えてないが、たぶんそんな妄想も抱きつつ、
革靴で参加したために足の裏が痛くてそれどころではなかった
ような気がする。40キロを甘くみてはいけない。
ゴールにたどり着き、ぐったりして功労賞のトン汁を飲んでいる
自分の顔がやけに険しかったのを写真を見て思い出す。
今思うとあの行事の目的は何だったんだろう。
根性を試すほどではないし、風光明媚な場所を歩くわけでもなく
ひたすら甲州街道沿いを西へ進むだけ。
しかしなかなか40キロの距離を歩くなんて機会はないだろうから、
あれはあれで面白いイベントだった。

友人が恵比寿にある焼き鯖寿司のおいしいお店に連れていってくれた。
ヒデキカンゲキ。
味も雰囲気もちょっと人に教えたくないお店だった。
だから恵比寿って好き。
山手線一周のナイト俳句、ではなく、ナイトハイク。夜10時にハチ公前を出発して、山手線の内側にはいらないように一周歩く。
革靴もそうかもしれないが、登山用の靴でコンクリートを歩いてもひどい目にあう。
最初は会話も多く、群がってあるいていたのが、だんだん1人ひとりになり、無口になる。そのころ、うっすらと明るくなり、早朝の街の活動がはじまる。
三越のライオンの背にまたがったり、やりたい放題は、明るくなるとできなくなる。
また、日常の世界にもどる。
ぶらり途中下車の旅で滝口順平には会いませんでしたか?
一周するにはどのくらいかかるんでしょう。
内回りでもいいから一度スニーカーでトライしたいです!