日,暮らし

明日は明日の風が吹く。

「その日のまえに」重松清

2005-10-06 | 日々の読書
「昨日までの暮らしが,明日からも続くはずだった。それを不意に断ち切る,愛する人の死・・。生と死と,幸せの意味を見つめる最新連作短編集」とオビにある。随分前に,土曜日の王様のブランチで筑摩書房の松田さんが絶賛していたのだ。松田さんって,私と同年代なのかなぁ・・・。重松清さんは,多分そうだったと思うんだけど・・(^^;

40代。結婚して,子供もそれなりに大きくなって,男性なら,社会的にも責任ある仕事をしていたり,女性であっても,働いていたらもちろんそうだろうけど,専業主婦でも,そこそこ自分のやりたいことを見つけて頑張っているような年代。

若いというには,少し無理があるだろうけど,でも,平均年齢からいったら,まだまだ人生の半分。何にでもなれるというわけではないが,何かを始めるのに遅すぎるというときでもない。

最近,こんな連作短編集をよく読んでいるような気がするが,これも中の7編のうち,最後の3編は1人の視点で書かれている。ほかとは直接的に続いてはないのだけど,でも,本当はつながっていて,前の登場人物がそこここで出てくるのだ。

実は,この本は一緒に「王様のブランチ」を見ていた息子が読みたいと言ったので買って,私も読んだけど,息子も読んだ本なのだった。

同じくオビに「涙,涙,涙」とある。息子は「お母さん,じ~んとしたけど,泣かなかったよ」と言ったのだが,実は私はうるうるしてしまった。だってね・・・やっぱりこれは,40代の話だもん。あんたのような中学生は,まだぴんとこなくて当然だろうと思うのだよね。

自分がなんとか生きてきて,今ここにいる。家族がいたり,仕事があったり,でも,それが何もかも無になるのだ。それを全部残して,自分は死ぬ。もちろん,残された家族の話もあるのだけどね。だから,最初のひこうき雲は,少し気持ちが分かるかもしれないけど,多分それ以外は,まだまだ本当には分からないだろうな・・と,息子が言うのを聞きながら思った。でも,きっといつか,どこかでこの本のことを思い出すことがあるかもしれないよ・・とも。

とはいうものの・・・私だって,分かるのか,おまえ,ホントに分かるのか・・と言われれば,ごめんなさいと言うしかないかもしれないけど・・・

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