日,暮らし

明日は明日の風が吹く。

記憶の中にある映画の話が・・・。

2009-07-31 | 日々の生活
夏休みという言葉を聞くと,なんとなくうきうきしてくる。どこへ行くということもなく,せいぜい実家への墓参に行くぐらいではあるけれど,夏の青い空とか,わき上がる雲とか,蝉の鳴き声とか,・・・それでも,かつては明らかにあったはずの夏休みの気配がするから。気がつけば,7月も今日で終わりで,8月に入ると,こんな夏休み気分もあっと言う間に終わってしまうんだろうなとは思う。とはいえ現実は,予備校生がいる我が家では,相変わらずの日々

いつか書いたことがあるかもしれないけど,洗濯物を干しながら,たまに思い出す映画のワンシーンがある。多分,十代のころにテレビで見た映画なんだけど,主人公の桃井かおりが,バイト先の美容院で屋上に洗濯物を干すシーン。タオルを干していたら,美容院の亭主が,少ない洗濯ばさみでいかにうまくタオルを干すかという方法を得意げに主人公に教えるのだ。その後,その亭主は,浮気が原因かなにかで,美容師の奥さんにはさみで刺されたと記憶しているんだけど,覚えているのはそれだけ。何の映画だろう,題名も分からないし・・・とずっと引っかかっていた。

つい先日,新聞を読んでいたら,映画について書かれた連載のコラムがあって,その日は,「もう頬づえはつかない」(東陽一監督・1979年)だった。何気なく読んでいたら,なんとそれが気になっていたその洗濯物の映画だった

早大生見延典子の卒業制作でベストセラーになった小説の映画化。そのコラムを書いた方は,リアルタイムで映画館で見たそうだけど,期待していたが,あまりピンとこないで,
「とにかくこの映画といえば,主人公のバイト先の美容院の亭主(伊丹十三)が,物干し場で,『少ない洗濯ばさみでタオルを干す方法』をとうとうと教える場面を思い出す程度だったのだ。」ということだったらしい。おお・・私と同じ場所が印象に残っていたとは・・・確かに,あれはなんとなく忘れられないシーンだったんだよなぁ・・・。

しかし,今もう一度映画を見直したら,とてもよくできた作品だと再評価されていて,もちろん,最後の結末は,見てのお楽しみということだけど,とても褒めていたのだった。

1979年公開の映画だとすると,私が見たのは大学生のころになるんだろう。あのころ,どんなシチュエーションで見たのか,全く思い出せない。大学へは自宅通学だったから,見たとしたら家のテレビのはずなのだけど。

あのころの自分は,一体何を考えていたのかなぁ・・・。

もう一度見たら,今度はどんな印象を持つかな。私も,1人でじっくり見たいと思っている。あのころを思い出しながら・・。

「逆襲,にっぽんの明るい奥さま」夏石鈴子

2009-07-06 | 日々の読書
夏石鈴子は,ちょっと怖い。以前読んだ本に,一緒に暮らしている男の人が,主人公に向かって,自分は玉ねぎがみそ汁に入っているのが嫌いだ。だから,もしも僕のことを嫌いになったら,みそ汁に玉ねぎを入れてくれ。そしたら黙って出て行くから,と言うところがあって,朝御飯にみそ汁を作りながら,よくそのことを思い出す。私なら,嫌いになったわけじゃないけど,うっかりと入れそうな気がして,そう思うと怖い。

この物語は,著者後書きに「だいたいの人は,悲しみ苦しみがあっても,それは外には見せないものだ。だから,そんなことを今回,物語にしてみました。」とある8人の主婦(専業だけではない)の物語。

手のかかる子どもにイライラさせられてる私は,そんな子どもから逃げるようにスーパーのレジ打ちのアルバイトを始める。てきぱきした本多さんという先輩と休憩時間に話をしているとき,今はやりたいことを辛抱する時期だと言われて,

「わたしもそうだった。他の人が楽しそうでうらやましくてしょうがないときがあった。でも,別に毎日いいことがあるわけじゃなくて,いいことってたまにしかないなぁって,最近は思う。今,我慢していれば,それが報われる時が必ず来るから,それを楽しみにしなさいよ。(略)」(「レジ打ち奥さま」P.47)

と言われる。また,共働きで,まだ小さい子どもが2人いる私は,食事のときに行儀の悪い子どもを口うるさく注意するのだが,夫はそんな妻にいらだち,非難する。そんな夫に対して,心の中で,

「この男は,わたしの味方であったことがあるのか。あるいは,味方になろうとしたことはあるのか。もしかしたら,味方にならなくてはいけない,ということすらいちども考えたことがないのかもしれない。(中略)この男のやっていることは,他人よりもひどいことだとわたしは思う。」(「加味逍遙散奥さま」P.107)
「「こんな時,ああ誰かと心の中で思う。(中略)誰か私を知って欲しい,とおもう。そして優しい声で言われたい。忙しいのに,あなたはがんばっていて本当に偉いねえと,どうか言ってくれないか。(中略)そんな風に一度でもいい,誰かあたたかい手で,私の手を握って言ってくれないか。」そんなふうに言われたら,きっと晴れ晴れとした気持ちで早足で家に帰ることができるだろうと思う。(「加味逍遙散奥さま」P109)

優しい心は,元気と違って自分1人の力で手に入れるのは難しいもののような気がする。(「にせもの奥さま」P155)

心の奥底にあるだろうたくさんの気持ちのうちの,その幾つかは,何年か前,もっと我が子が小さかったときに,確実に自分の中にもあった気持ちだ。だから,なんとなく他人事のような夫も,だれかに優しくされたいと思う気持ちも,自分のことのように分かる。そして,分かるんだけど,でもね,もうちょっとしたら,もうちょっと,本当にちょっとずつ,きっと楽になるよって言いたくなる。

先日,私とそう変わらない年の友達と話をしてたとき,その人とは,とあるボランティア活動で一緒なのだけど,その会にいるもうちょっと若い人たちのことを話していて,熱心なんだけど,こちらがちょっと近づこうとすると,するりと逃げるような気がすると言っていたっけ。私たちよりも,一回りくらいは年下の彼女たち。この物語に出てくる奥さまと,それからその義母との話を読みながら,逆の立場から見たら,はてさて・・・と思ったりもした。

自分の身の回りのあれこれを,もう一度いろいろ考えた本。まあ,生きていれば,いろいろとある。いいことばかりでもないが,悪いことばかりも続くモンでもないし・・と

適材適所

2009-07-03 | 日々の生活
仕事するのは,やっぱり向き不向きというのはある。きっちりしたことが得意な人も,単調な仕事が向いてるという人も,営業が得意という人もいる。いつごろから,自分にこの仕事が向いてるというのが分かるんだろう。外で仕事するだけじゃなくて,自分は主婦業が向いている・・という人だっているだろうし,主婦業から発展して,それが人様からお金をいただけるというくらいの仕事になる人もいるだろうな。

昨年,近所にスーパーができて,便利になった。クリーニング屋も入っているので,利用している。このクリーニング屋は,仕事のシフトが午前と午後にわかれているようで,何度か通ううちに,なんとなくよく会う店員さんとは馴染みになった。そんな,世間話をするような感じではないけどね。

一月ぐらい前から,朝のシフトで新しいアルバイトの人が入ったようだった。名札に研修中と書いてある。初めのうちは,ベテランの方が指導しながら仕事をしていた。最初は誰でも仕事は慣れないのは当然で,クリーニングの受付は,洋服の種類によって,値段は違うし,キャンペーンしてたら値段変わるし,まあ,いろいろと大変だなと見ていた。で,またこの人が慣れない。慣れないというか,・・・正直言って,あなたは向いてないのではないでしょうか・・という感じ

何週間か,ベテランの方がそばについていたけれど,ベテランの方が,本当にじれったい・・・と思っているのが,待っているこちらにも分かるくらいだ。気の毒に・・。

よく言えば,丁寧。はっきり言って,時間がかかる。で,なんというか・・・その人の時間の流れは,普通の人,少なくとも私とは,違っているような気がした。慣れない仕事だからというのとは,また別の問題のような気がする。

待たせて悪いなという気持ちはあるようで,申し訳ないとは思っているようだけど,しかし・・・とにかく時間がかかるのだ。間違えてはいけないと思っているのだろうけど。


その日も,出かける予定はないにしても,仕事の予定はあって,午前中これこれしたら,昨日の続きのこの仕事を仕上げて送らねば・・・と思って,あれこれ家事をして,買い物ついでにクリーニングを出しに行ったら・・・研修中のその人しかいなかった。出し忘れていた旦那の冬服を何点か持って行ってた。しまったと,一瞬思ったけど,この人だけということは,そこそこ慣れたのか・・と思って,でも,今日はすいているしと思っていたのだけど,相変わらずだった。何にそれだけ時間がかかるの・・という感じ。しばらくしたら,別のお客さんが待っていたのだけど,シビレを切らして帰ってしまった

こちらがイライラしてもしょうがないので,じっと我慢で待っていたが,お金を払って,点数に応じてポイントを押してくれるのにまた時間がかかり,引換券をもらい,ああ,やっと終わった・・・と思って,スーパーで買い物をしていたら・・・「すみません。お釣りをお渡しするの忘れてました」と,お釣りを持って来られました私ってば,何してんだか。

クリーニング出すだけで,なんか一日分の仕事をしたような気がして疲れた私。今度からは,時間をずらして行こう。とにかく,急ぎは無理だということだ。でも,人のこととはいえ,慣れるときが来るのだろうか。

しかし,その人を見ていて,もっと違う仕事のほうが向いているんじゃないかなと思ってしまう。何かと言われると困るけど,でも,スーパーのレジとか,クリーニングの受付とかではない,もっと違う何か・・と,てきぱきしたスーパーのレジの人を見ながら思った。全く余計なお世話なんだけど