熱帯果樹写真館ブログ

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吊り棚ネットでマンゴーの台風対策

2014年07月12日 | マンゴー

 2014年7月8~9日に台風8号(ノグリー(NEOGURI))が沖縄島に接近しました。

 台風8号は、沖縄本島地方と宮古島地方に暴風と波浪、高潮の特別警報が発表された“非常に強い台風”でした。
 台風発生時には沖縄島直撃かと進路が予想されていましたが、 結果的に久米島(那覇市の西約100kmに位置する)の西側を抜け北上しました (図1)。



図1.2014年 の台風8号進路

画像引用:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140708-00000112-mai-soci


 沖縄島への直撃は免れたものの台風8号は規模が大きかったため、沖縄島南部にある南城市の沖縄気象台糸数観測所では7月8日11時20分に風速50.1m/sを観測しました。
 また、台風8号による沖縄県の農作物への被害金額は速報値で11億円以上、うち果樹の被害額は1億9600万円と発表されました。

 そこで今回は、今後の台風被害を少しでも抑える参考になればと思い、沖縄島北部の名護市で小規模ながらマンゴー栽培を行っている知人(以下、K氏)が行った台風対策事例を紹介します。

 K氏は数年前に間口6m、奥行き15m程度の中古の野菜用パイプハウスを移築し、足場パイプで補強し、その中でマンゴー3樹(成木2樹+幼木1樹)を栽培されています(写真2)。



写真2.中古の野菜用パイプハウスを補強してマンゴー栽培。



 昨年の秋に、K氏から「マンゴーが成木になったので、来年以降の台風対策のために安く設置できて、簡易に対策実施と解除、収納ができる方法を考えて欲しい」と相談を受けました。

 これまでもK氏のほ場では、台風に備えハウスの補強や防風垣の設置等の対策は行ってきました。
 それでも沖縄県で農業を行う場合、二重三重に台風対策をしなければ安定生産を実現させにくい厳しい現実があります。

 そこで、私は「マンゴーの果実吊りの紐を掛ける吊り棚上にネットを張る方法(以下、吊り棚ネット)」を提案しました(図2)。



図2.マンゴーの吊り棚ネットのイメージ



 吊り棚ネットに用いるネットは、ハウスの張り替え時の中古ネットでも良いのですが、K氏のほ場には中古ネットがなかったので幅2mの2mm目合いの防虫ネットを1巻(50m)を購入しました。

 防虫ネットは12.5m の長さ(4枚)に切り分け(K氏は前述のハウスを2棟お持ちなので、各ハウスに2枚のネットが必要)、その長辺に1m間隔で真鍮製の鳩目を打ちました(写真3)。



写真3.ネットへの鳩目の打ち方(ねこがため風)
※写真のネットへの鳩目打ちでは、文中とは異なる防風ネットを用いています。


 以上の手順に従い、大人(初心者)2名でネット50m分の鳩目打ちを4~5時間を要しました。

 農業資材業者に注文すると、当て布を縫い付けてくれたり、丈夫な当て布(トラックの幌資材等)を用いてくれたりとプロの技が見られます。

 ネットの鳩目打ちが完了したら、ハウス側面の吊り棚の上にネットを束ねて設置します(写真4)。



写真4.ハウス側面の吊り棚の上にネットを束ねて設置。



 このとき、鳩目にハウスバンドを適当な長さで取り付けます。
 この作業のポイントは、ハウス側面のパイプにネットを取り付けやすい様に、ハウスバンドの左右一方を長くしておくことです(図3)。



図3.鳩目に「ひばり結び」でハウスバンドを付ける。



 また、ネットを広げた際にハウス中央側になる側面のハウスバンドは、左右共にさらに長いものとし、ネットを束ねた状態で固定するのに使います(写真5)。



写真5.ハウス中央側の紐は長くとり、ネットを束ねるのに用いる。



 さて、ここまで事前の対策をしておけば、台風襲来の予想を受けてからの作業は早いです。

 ネットを束ねたハウスバンドを解き(片蝶結び等の解きやすい縛り方をしておきましょう)、ネットを吊り棚上でスーっと滑らせ、ハウス中央を縦断するパイプに固定します(写真6)。



写真6.ネットを広げハウス中央で固定。



 長さ12.5m のネット2枚を広げて固定するのに要した時間は、大人1人で15分弱でした(写真7)。



写真7.吊り棚ネットを広げた状態。



 さて、肝心のネット効果ですが、台風後にK氏から「吊り棚ネットは効果抜群で(果実が)1個落ちたのみ」と台風被害報告が届きました。


○参考サイト
 ・「最新台風進路情報2014
 ・「沖縄気象台
 ・「琉球新報;2014.07.10.; 台風8号 農業、流通に打撃




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