熱帯果樹写真館ブログ

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沖縄県のマンゴー新商標 「夏小紅」&「てぃらら」

2012年07月15日 | マンゴー

 7月15日は、沖縄県農水産物販売促進協議会が制定した「マンゴーの日」です。
 今年は、その2日前に沖縄県農林水産部から「新しいマンゴー」として「夏小紅(なつこべに)」と「てぃらら」が発表されました。

 その模様は7月12日夕方のNHKニュースで放送されたのを皮切りに、翌日には県内新聞の「琉球新報」と「沖縄タイムス」にも記事が掲載されました。
 各紙の記事にはそれぞれ独自性のある文章がありましたので、今回はそれらを統合して発表内容をお伝えします(オリジナルの文面は、記事下のリンクからご参照ください)。
 
  2012年7月12日(木)に沖縄県農林水産部は新しい県産マンゴーとして「夏小紅(なつこべに)」と「てぃらら」を発表した。
 これらは、沖縄県農林水産部が2003年に米国農務省から譲り受けて導入した18品種のマンゴーのうち、沖縄県農業研究センターが沖縄の環境に適しているとして選抜した2品種である。この2品種は、2007年頃から今帰仁村や宮古島市等で試験的に栽培してきた(NHKニュースでは豊見城市の農家圃場が紹介されていた)。
 沖縄県は選抜した2品種「リペンス」「バレンシアプライド」をそれぞれ「夏小紅」「てぃらら」という名称で2012年6月8日付けで商標登録した。
 これら名称は、20代~60代の女性にグループインタビューし候補を出して貰い、その中から沖縄をイメージした名称を選んだ。

 「夏小紅」は丸い果実で甘みが強く、「てぃらら」は細長くて甘酸っぱい食味が特徴である。
 今回発表された2品種の沖縄県での収穫時期は、7月下旬から9月上旬とのこと。
 これは従来沖縄県内で栽培されている「アーウィン」の収穫が終わる時期と「キーツ」の収穫が始まる時期の間に当たる。

 今期生産量は「夏小紅」が1.680kg、「てぃらら」が440kgが見込まれており、県外の高級フルーツ店等での販売が検討中。
 なお、本格的な生産(出荷)は来年度以降となる見込みで、5年後の生産量の目標値は「夏小紅」が100t、「てぃらら」が71tとされている。

 沖縄県の知念武農水部長は「県産ブランドとして差別化を図りたい。農家の所得向上にもつながる。今後のマンゴー産地づくりに期待したい」とPRした。





写真2.夏小紅





写真3.てぃらら



 「熱帯果樹写真館」は「夏小紅」と「てぃらら」が沖縄県のマンゴー産業を新たなステージに導いてくれることを願っています。


○参考サイト
 ・「新たな沖縄産マンゴー(キャッシュ)」.NHKオンライン.2012年7月12日.
 ・「県がマンゴー新品種 「夏小紅」「てぃらら」」.琉球新報.2012年7月13日.
 ・「新県産マンゴー「夏小紅」&「てぃらら」」.沖縄タイムス.2012年7月13日.

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4 コメント

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Unknown (waitaka)
2012-07-20 18:47:20
おお!ちゃくちゃくと日本産のオリジナル品種が誕生していっているんですね(^^
こんな品種が開発されているなんで、知りませんでした♪
今までアーウインなど海外品種しか無い状態でしたが、これから色々日本人好みのマンゴーが増えてくれるとうれしいです。
最近はこちら本土でもアーウインマンゴーの価格が下がりつつありますが(300g一玉1000円ぐらい)、栽培品種を増やしていくことによってミカン栽培のように単価の下落を防ぐ事が出来るかもしれないですね。
まだメジャーではないですが、今後PRも含め多くの人にマンゴーの魅力が知れ渡って欲しいです(^^
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国産品種ではありません (ねこがため)
2012-07-21 04:11:44
>waitakaさん
 書き込みありがとうございます。

 「夏小紅」と「てぃらら」は国産品種ではありません。
 アメリカで60年程前に育成された品種を導入し、試しに作ってみたら日本人好みの美味しい品種だったのでブランド化しよう、という動きです。

 これまで国産マンゴーと言えば ほぼ「アーウィン」、一部「キーツ」でした。
 品種のバリエーションが増えれば、より「自分好みのマンゴー」を見つける機会が増えます。
 「好きな品種を選べる」っていうのは、国産マンゴーでは新たな価値観になるかもしれないので期待大です。
 
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Unknown (waitaka)
2012-07-25 00:31:33
ねこがためさん

ご返信ありがとうございました。
なんとブランド戦略の一環だったんですね。
これからの展開に期待したいです(おもに食べる側として・・・笑)

所で、一つお尋ねしたいのですが、一般に紅金煌として出回っている実や苗はいわゆるイコール玉文6号だと情報があるのですが、こちらの真偽ご存知ないでしょうか?
現在自宅で両方育てているのですが、沖縄からお取り寄せした実や、苗の葉っぱを見比べてみても同じ特徴には思えないのです。実は紅金煌は玉文6号より金煌マンゴーに味や色や形が近く、葉っぱの特徴も玉文6号、金煌より細長ですらっとしています。

上記の特徴から別の品種なのでは?と疑っています。
ただ玉文6号のように金煌とアーウインを
掛け合わせた品種ではあるとおもうのですが。

以前紅キーツの正体を調べ上げていたねこがためさんならご存知かと思い、質問させて頂きました(^^;
もしご存知でしたらご教示頂ければ幸いです。
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「紅金煌」について (ねこがため)
2012-07-26 06:47:45
>waitakaさん

 近年国内(主に沖縄県内)で「紅金煌」という名前で流通しているマンゴーの品種名についてです。
 私は恐らく「紅金煌」≒「玉文6号」だと思っています。
 台湾では「玉文6号」は評価が高く「紅金煌」の名で流通している様ですので、「紅金煌」の名前で売られている苗が「玉文6号」である可能性は高いと思います。

 ただし台湾では過去に「紅龍」という品種も「紅金煌」の名で流通していたことがある様です。
 また、品種「玉文○号」のシリーズについて、玉井郷農會のHP内の「芒種介紹」¥「玉文6號」に

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 臺南市玉井區果農郭文忠先生以金煌為母本,愛文為父本選育玉文一~十九號等19個品種

 台南市玉井区の果樹農家である郭文忠氏は、「金煌」を母本、「アーウィン」を父本として「玉文1~19号」の19品種を育成選抜した。(ねこがため訳)
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 と記されています。

 以上のことから、台湾では「金煌」の様に果形が長楕円形の品種で果皮が赤ければ「紅金煌」と称される可能性が高く、その様な形質の後代が出そうな育種も結構やられている様です。

 大切なのは、「玉文6号」の苗が欲しいのであれば、「玉文6号」の苗を買うことです。
 「紅金煌」の苗を買って「玉文6号」ではない長楕円形で赤い果実がなるかもしれません。
 それだと文句の言い様がありません。

 特に経済栽培を志す方が新しい品種を導入する際は、必ず導入希望をする品種の果実を食べなければいけません。
 そして、自分より先にその品種を栽培している農家に栽培特性を確認することです。
 新品種と言えば「既存の品種に+αの特性」と捉えがちですが、実際は「どこか良ければ、どこかが悪い」のが普通です。
 米品種のスーパースター「こしひかり」だって既存品種より味は抜群に良かったけれど、苗が倒れやすくて作りにくかったらしいですよ。
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