熱帯果樹写真館ブログ

 熱帯果樹に関するトピックスをお届けします。

「いずみ紅」の出荷が始まっています

2006年12月17日 | 柑橘類
 12月13日より沖縄本島北部に位置する本部町伊豆味から「いずみ紅」という柑橘類の出荷が始まりました。

 はじめに、「いずみ紅」とは、伊豆味果樹生産組合の農家が作っている「大紅蜜柑(オオベニミカン)」という柑橘類を販売する際に用いる地域ブランド名(商品名)のことです。


写真1:大紅蜜柑の果実


 大紅蜜柑の学名は Citrus tangerine hort. ex Tanaka であり、英名はダンシータンジェリン(Dancy tangerine)又は単にタンジェリン(Tangerine)と言います。
 大紅蜜柑の特徴は、㈱養賢堂から出版されています「果樹園芸大辞典」には、

 赤蜜柑、赤ツラなどの異名があり、インドのマドラス原産でフィリピン、海南島、アメリカのフロリダ州やカリフォルニア州などに栽培され、日本では鹿児島、高知、宮崎、和歌山などに点在するが、南西諸島にはまだかなり残存している。果実は扁球形をなし、果皮はとう紅色を呈しなめらかで光沢がある。大きさはウンシュウミカンとほぼ同じくらいであり、外観美麗で害虫抵抗性強く、栽培も容易であるが、食味が淡白でそう快味がなく、種子も多い。
 アメリカのダンシータンジェリンは本種の実生から出た優良系統で、かなりの生産額を有する。



 と記されています。

 また大紅蜜柑は、田中長三郎氏の分類によると後生柑橘亜属のミカン区のうちコミカン亜区・かん(柑)香類・大果亜類というポンカン等と同じグループに属しています。

 さて、その様な大紅蜜柑ですが、沖縄県では近年12月中下旬に出荷される柑橘類として人気を集めています。
 人気の理由は、濃い紅色の美しい外観であること、果皮が剥きやすいこと、優良な果実は瑞々しく食味が良いこと、同時期に競合する沖縄県産マンダリン類がないこと等が考えられます。

 出荷期間が短い柑橘ですから、購入・注文は早めに行うのが良いと思います。

 伊豆味果樹生産組合により生産された大紅蜜柑「いずみ紅」は、本部郵便局(TEL.0980(47)2302)を通して注文できる様ですので、沖縄本島北部まで足を運びにくい方は、ゆうパックで注文するのが良いかもしれません。
 価格は、5kg入りで沖縄県内向け3,300円、沖縄県外向け3,500円、10kg入りは県内外とも5,500円(価格は全て送料込み)となっている様です。

○参考文献
 ・「園芸学用語集 園芸作物名編」.1979.園芸学会(編).㈱養賢堂.
 ・「第2次改訂追補 果樹園芸大辞典」.佐藤公一ら.1986(第2次改訂追補後の第6版).㈱養賢堂.
○参考サイト
 ・「琉球新報;ほのかな酸味味わって「いずみ紅」きょうから出荷:06/12/13」