熱帯果樹写真館ブログ

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うるま市が「中晩柑(あまSUN)」の拠点産地に認定

2006年12月14日 | 柑橘類
 平成18年12月5日に、沖縄本島中部に位置するうるま市が「中晩柑(あまSUN)」の拠点産地として沖縄県より認定を受けました。


うるま市ホームページより抜粋・加工


 沖縄県が認定する拠点産地とは、沖縄県のホームページ中の「県民ハンドブック;第3部しごと(農業・林業・水産業)」の項に以下の様に説明されています。


 県は、沖縄県農林水産業振興計画に基づきサヤインゲン、ゴーヤー、カボチャ、キク、マンゴー等を戦略品目と定め、市場競争力の強化や有利販売に取り組んでいます。園芸作物の生産振興を図るため、県では、定時・定量・定品質を出荷原則に、市場の信用とおきなわブランドの確立による拠点産地の形成を進めています。



 また、平成18年12月現在における果樹拠点産地は表1の通りです。

表1:果樹の拠点産地認定一覧(平成18年12月現在)

沖縄県農林水産部園芸振興課ホームページ;園芸の拠点産地の項より抜粋・加工


 今回の拠点産地認定は、果樹では8カ所目、中晩柑類では初めての認定となります。

 ここで気になるのは「あまSUN」という聞き慣れない名称です。
 実は「あまSUN」とは、「天草(あまくさ)」の名称で品種登録されている柑橘類の沖縄県産ブランド名(商品名)です(写真1)。


写真1:天草(あまSUN)の果実


 因みに「あまさん」とは、沖縄の方言で「甘い」という意味です。
 「あまSUN」を食べた際は是非「でーじ あまさん(とっても甘い)」と口にしてみて下さい。

 さて、「あまSUN」もとい天草の特長については、農林水産省の品種登録ホームページによりますと、


 この品種は,(「清見」×「興津早生」)に「ページ」を交配した交雑実生であり,果皮色が紅橙で,果面が滑らかで果皮が薄く,果重が200g程度になる,育成地(長崎県南高来郡口之津町)において12月下旬から収穫できるかんきつである。 樹姿はやや開張,樹の大きさはやや小,樹勢は中である。枝梢の節間長は中,太さはやや細,とげの多少は少である。葉身長は長,幅は中,葉形指数は中,面積は大である。翼葉の長さは長,幅は中である。花の大きさ(花蕾の重さ)は軽,花弁の長さは短,幅は狭,色は白,数は4枚である。雄ずいの分離の程度は分離,数は少,花粉の多少は少,子房の長さは短,直径は中,形は短球である。果実の外観は扁平,果梗部の形はやや球面,果頂部の形は平坦,果面の粗滑は滑,油胞の凹凸はやや凸,果皮の色は紅橙(JHS カラーチャート1306),赤道部果皮の厚さは薄,剥皮の難易は中である。じょうのう膜の硬さは中,中心柱の大きさは小,果実の大きさは大(200g程度),砂じょうの色は橙,大きさは小,形は紡錘である。果汁の多少は少,甘味は中,酸味及び香気は少である。発芽期は晩,開花期は中,成熟期は早で,育成地において12月下旬~1月上旬である。 「清見」と比較して,果面が滑らかであること,果皮の色が紅橙であること,成熟期が早いこと等で,「ページ」と比較して,葉身長が長いこと,果実が大きいこと等で,「南風」と比較して,葉の幅が広いこと,果実の外観が偏平であること,果皮の色が紅橙であること等で区別性が認められる。



 とのことです。

 沖縄では12月に収穫される「あまSUN」は食味と外観の良さから近年人気の贈答用果樹として取り扱われています。
 今期の出荷は、うるま市だけで37t、沖縄県全域(と言っても沖縄本島中北部)で80tを見込んでいるそうです。この全量が沖縄県内で消費されてしまいますので、沖縄県内の店頭で「あまSUN」を見かけた方は是非一度は購入してみて下さい。
 出荷期間は12月いっぱいとのことですから、逃してしまいますと来年まで味わえません。

 「あまSUN」を食べるときは、果皮がとても薄く剥きにくいので、包丁で縦に4~8分割してオレンジの様に食べると食べやすいです。

 甘酸っぱくジューシーな「あまSUN」を食べて、「でーじ あまさん!」と笑顔になりましょう!

○参考文献
 ・「あじまあ.2005年1月号.沖縄県農業協同組合」

○参考サイト
 ・「うるま市ホームページ
 ・「沖縄タイムス 経済ニュース;あまSUN/拠点産地にうるま市:06/12/05」
 ・「琉球新報 経済;「あまSUN」の拠点産地 県農水部がうるま市に認定書:06/12/05」
 ・「沖縄県園芸振興課
 ・「農林水産省;品種登録ホームページ