志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

「100年の恋物語」と「猿之介ショック!歌舞伎を守れ」の『文藝春秋』の特集が興味深い!『週刊文春』の広末涼子と鳥羽周作W不倫も兼ねた特集か!売れる雑誌編集なんだね!

2023-07-07 00:23:16 | 日本の芸能・口承文芸
よく小説を読みまくっている友人がラインでなんと『文芸春秋』の「100年の恋物語」(猿之介ショック!歌舞伎を守れ)七月特別号をグループラインで紹介していた。最近、あまりコミットできないままだが、グループの「女性の会」に参加できない状態で、でもラインのメッセージは目を通していた。

家族の物語に関心を持って読みまくっている彼女がどんな思いでこの特集を紹介したのか、気になって、たまたま近くのイオンスーパーに置かれていたのを買ってきた。『文芸春秋』を買うのは芥川賞特集の時くらいだが、今回、日本演劇学会の特別対談でもお話をうかがったことがある演劇評論家の渡辺 保さん(日本芸術院会員) の論評が掲載されていて、読みたくなった。
「歌舞伎研究者」の渡辺さんは多くの専門書を出版されている。そのなかで『女形の運命』 『明治演劇史』 を読んだくらいだが、『テアトロ』でも現代劇を含め評論を掲載していた。
 友人は歌舞伎のことがよく分かりましたと書いている。普段歌舞伎座まで行って歌舞伎を観るわけではない彼女が、渡辺保さんの「猿之介は未来への希望だった」と、関 容子さんの「伝統芸能はドロドロもないと」を読んでどう理解したのだろうか。七月の「女性の会」のランチミーティングでもっと感想を聞きたいと思う。
 スーパー歌舞伎で華やかな猿之介さんの一家無理心中事件はまだ解決されたわけではない。渡辺さんは「猿之介を励ます会」の発起人になっていいと宣言している。また「一年、二年、十年後でもいいから、苦難を乗り越えて舞台に戻ってきてほしい。その時、宙乗りでも早替りでもない、彼の真の才能をちゃんと認められる歌舞伎界であることを願っています。」と閉めている。
 『女性セブン』のパワハラやセクハラリーク記事に関しては「だからどうした?」と居直ればよかったのです。とも書いている。『女性セブン』は一家心中事件にまで至った歌舞伎界の内部のプライバシーや関係性についての記事がもたらした結果にどう対処しているのだろうか。渡辺氏は「虚構の世界では人殺しもセックスもあるのですから、現実の論理をそのままあてはめるのは無理があります。とその論拠を書いている。
 現実社会のコンプライアンス(社会的規範)のもたらす弊害があるのだろうか。それゆえに守られる愛や恋、家族やシステム(慣習)がある一方で、それが逆方向へ行く可能性も秘めているようだ。中村勘三郎さんのように「不倫でなく、”倫”にかなった可倫なんだ」とジョークが言える度量がなかったと暗に関 容子さんも指摘している。
 たとえ週刊女性誌がパワハラやセクハラを記事にしたとしても、歌舞伎役者としての矜持をもって、社会的批判を受け入れ、謝罪すべきところは謝罪し、それを超える芯の強さで伝統歌舞伎役者の粋を見せてほしかった。政治家の心臓に毛が生えるほどの悪どさ、嘘や偽善に対して、役者の猿之介の逆に純粋な点が感じられるが、繊細なナイーブさがあった証左だが、一家の不安や絶望を相談する第三者が存在しなかったことが悔やまれる。一人で、あるいは家族のみで抱え込まないことが大事なのだと、つまり悩みや葛藤は、開かれることによって道は改善されるのかもしれないのだ。

一方、6月8日発売の『週刊文春』で、ミシュラン1つ星のフレンチレストラン『sio』のオーナーシェフ・鳥羽周作氏とW不倫が報じたれた広末涼子の記事がネットでも毎日のように更新されている。交換日記まで公開する週刊誌の個人の尊厳(プライバシー)を超えた記事は問題にはならないのだろうか。『週刊誌』も『雑誌』も売れてなんぼなのらしい。売れるための記事を、つまり読者の好奇な欲望をくすぐり満たすための記事が満載である。
 すべてはマーケティングの売れるための特集、記事に集約されている。一般大衆の日常の基本的な関係性に訴える一部グロくても好奇心を満足させる記事がずらりと並ぶ。小林秀雄の書いた「…生きている人間というのはどうも仕方のない代物だな。・・・生きている人間とは人間になりつつある一種の動物かな」をまた思いだしてしまう。

関 容子さんが「純真もドロドロも総てが魅力」と書いているのはうなずける。「女方(女形)が男に惚れることも含めて総てが歌舞伎の魅力なのだ」と書いている。「日本の宝である歌舞伎の灯を消さないように、役者をあんまり追いつめないでほしいですね」と閉めている。
 「100年の恋物語」は昨今の「女性セブン」や「週刊文春」そのもののプライバシー侵害のような記事に呼応したような特集に見えた。それも売れるマーケティングが巧妙に計算されているイメージがする。
 より本質的な生命にかかわる国や社会システムの構造的「悪」を追求するわけではなく、かなり俗な人間の関係性の綾をこれでもかと取り上げている。テレビはないので見ないが、ネット記事もその色に染まっている。
人間の属性は、業のようなものは、変わらない。物語はそこに溢れているのらしい。

今月の芝居 – 渡辺保の歌舞伎劇評  渡辺保さんの歌舞伎評のサイトです!
渡辺保 - Wikipedia  ←すごい方ですね!一度東京の某劇団の舞台を観た時に渡辺さんも同席していたことが思い出されます。

*****(備忘録) 
言問団子が気になった! ⇒ 名にし負はば いざこと問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと
名にし負はば いざこと問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと

名にし負はば いざこと問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと
(古今和歌集 九 四一一 在原業平)
「名は体を表す」と言います。そしてそれは鳥の世界にも通用する、かどうかは知りませんが「都鳥」という名前で呼ばれている鳥(ユリカモメと言われています)に「都にいる愛する女性について」を質問したのが、この歌です。(「ありやなしや」は「私が都へ帰るのを待っているのかどうか」という意味。)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。