志情(しなさき)の海へ

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3月11日の「劇場と社会」のシンポジウムは実はこの間の沖縄芸能の問題(核)を突いていたのです!

2012-03-19 11:34:08 | 琉球・沖縄芸能:組踊・沖縄芝居、他
二回のシンポジウムの編集に入っているが、急いでまとめる必要がある。それにしても狩俣恵一先生の論文は「目からうろこ」で大胆な提言だったという事に驚いている。それは沖縄県の教育庁や、組踊劇場を推進してきた方々の功罪がまた炙り出されるシンポでもあったという事に驚いている。

私は単純に四間四方の張り出し舞台に驚いたのだが、多目的ホールだと言い切った宜保現常務理事さんの素直な発言は正直で素敵だけれど、池宮正治さんや大城學さんなどがそれを容認してきたのだろうか、すると学識経験者の問題がかなり大きくなる。文化庁なり国が主体的に現劇場を設立していった推移も気になる。

組踊の様式もあいまいなままで固定化がなされつつある。琉球王府時代の型もあいまいだ。「執心鐘入」の鐘一つとってもつりさげられるはずはなかった?「伝統組踊保存会」はもっとしっかりしないといけないという事ですよね。

従来の型の曖昧さを板谷徹先生は問題にしているのである。女踊り一つとっても現代はかなり変容して大和化してきたのである。祈りが思いに代わり、もう額縁劇場の観賞用の花々の登場である。民衆劇場でもなく、民衆のための琉球舞踊でもなくなりつつある。それを古典化なり古式化という定義で狩俣先生は論を展開されている。

もともとがアマチュア芸の組踊で形式もあまりに詰まっていなかった。観衆に晒される中で型が幾分できていったレベルだったのか?それにしても、沖縄芝居役者たちが組踊を担ってきたのである。そこで貫かれていたのは古典音楽である。そして8886の詞章か?全く様式がないわけではない。変質・変容してきた。身体の型もまた玉城成盛や渡嘉敷守良など異なっていたのである!

戦後の変容もある。昭和10年が大きなポイントでもあろうか?琉球・沖縄が絶えず日本との文化接触の中でその芸の質も中身も変容させてきた。ある意味で独自な方法で日本にすり寄りながら幸喜良秀芸術監督が言う「沖縄風」を創り上げてきたのである。そして氏は道半ばとお話を閉じた。戦後、新劇運動から沖縄の伝統芸能の演出もするようになった氏のこの間の実体験はまた戦後沖縄の総合芸術創造の生みの苦しみであり花を舞台に描く文化運動の現代でもあるが、『組踊』の型の問題、様式化は今まさに焦点なのである。おそらく現在の国立劇場は改修される必要があろう!古い型にこだわるならば、三間四方にすべきだし、またそれを三方向から立体的に見る劇場であるべきである。また近代以降、額縁舞台で上演された組踊を無視できないとすると、従来の型を捨てることなく踏襲するのか、も興味がある、どこまで型を追求するのか?柔軟な曖昧さを維持するのかそれとも型を枠にはめていくのか?などなど、興味は尽きない。

しかし国立劇場おきなわの理事には「沖縄タイムスや琉球新報の社長」も顔をつらねている。メディアはもっと真摯に文化の在りかを取材すべきであろう。より本質的な問いかけが成されたと言えないだろうか?事大主義的な沖縄芸能の素顔が明らかになったようである。与えられた劇場、与えられた冠を懸命に守ろうとしている風に見えなくもない。しかし、板谷先生が「モデルがいないだろう」とおっしゃるのも無理はない。また琉球舞踊の型にしても変質してきたのである。変容・変質の現在、すでに元に戻せない型があり、思いこみがあり、また組踊にしてもどこに戻るのだろうか?今、型を様式を整えているのである!やれやれ!幸喜芸術監督も言い切った、村々の組踊が面白い!と。ならばその村々の組踊からもっと学ぶべき所があるはずである。現在の組踊劇場は沖縄パブリック劇場にして、首里に御冠船時代の仮設舞台を屋根付きで造り、それを室内にもってきて、組踊劇場を新たに設立したらいいと思う。現在の国立劇場沖縄には風が通っていない。風とは真に民衆の呼吸に呼応できる光と空気である。それがない!それでいいのですか?沖縄県?文化リーダーのみなさん?欺瞞的ですね?

古典の様式もままならないところで新作とは?の疑問も飛び交っている。しかし現代の新しい感性に伴う組踊の創作であり、これはまた古典化への意思の反転にも思える。皮肉なのは新作の大胆な舞台こそこの組踊劇場にあっているのである!

弁証法的に沖縄芸能は「正反合」を繰り返しているのではないだろうか?統合されたのが新作組踊で張り出し舞台ではない。劇場のすべての機能を使った面白さがはじける舞台はそれでいい!しかし組踊はそこではじけない!それでいいのだろうか?

ネーミングだが、アジア演劇の主流は歌舞劇である。どうも沖縄も歌舞劇が主に見える。新たに琉球歌劇に対して新琉球歌劇でもいいし、沖縄歌舞劇となずけてもいいかもしれない。昨今の新作組踊はほとんどが歌舞劇である。歌舞の面白さが中心だ。だから沖縄歌舞劇の名称でもいいね。沖縄オペラでもいい。沖縄ミュージカルはどうだろう?でも琉球歌舞劇がいいのかもしれない。琉球歌劇に舞を入れて≪琉球歌舞劇≫が新しい統合された沖縄の舞台芸術とするも、悪くはないと思うが、どうかな?(琉球歌劇、琉球史劇)=沖縄芝居である。そして≪琉球歌舞劇≫である!昨今の組踊と沖縄芝居の融合は琉球歌舞劇にしたらどうだろう?新作組踊ではなく琉球歌舞劇!?まぁー、新作組踊でも観衆がOKならそれでいいと思う。それも二極あって三間四方の舞台の枠に入るのは新作組踊で、それ以外の大胆に舞台装置を総べて使うのは≪琉球歌舞劇≫にしてもいいかもしれない!

沖縄の近代化の過程の現代=日本への同化の現代である。その同化の過程で失われた物、反発しながら統合し、新しい沖縄芝居や雑踊りを生み出してきたウチナーンチュの創造力は誇りにしていいのだと考える。そして現在、型も曖昧だった組踊が華やいでいる。新作組踊、なんと大城立裕氏は21作の創作。それに続く方々も増えてきそうな現在。新たなルネサンスに成り得るか?

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2012年3月24日、沖縄県博物館・美術館講堂で「御冠船踊り」-近世琉球の自己表象のシンポジウムが開催されます!
      対中国外交の場に生成された琉球の身体の副題がついています。
      午後1時から5:30分で長時間です。
≪御冠船踊りとは何であったか琉球芸能の原点を再発見する≫とコピーが書かれています!是非沖縄の芸能の原点にこだわるかたは参加してください!おそらく綿密な近世の琉球芸能の素顔が立ち現われてくるのは確かだと思います。
 平成20-23年度科学研究費補助金基盤研究(B)研究代表板谷徹(沖縄県立芸術大学教授)そして金城厚教授、細井尚子教授が登壇されます。またコメントも内田順子氏、張中学氏、原口泉氏です。学術的研究の報告・論議の場としてこの間の研究成果が存分に出されると期待できます!

入場無料
連絡:itaya@okigei.ac.jp

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