志情(しなさき)の海へ

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西江喜春先生、人間国宝に推挙・認定おめでとうございます!

2011-07-20 00:47:56 | 琉球・沖縄芸能:組踊・沖縄芝居、他

2010年の1月、そして2009年11月と「海の天境」の新作組踊公演で名古屋とアメリカLA公演にご一緒した時、西江先生とお話する機会があった。寡黙に見える方だが、本音でお話される方で、そして意外とひょうきんな所ももっておられる。

舞台での歌・三線はすばらしく、その美声に酔った。沖縄芸能の真髄はやはり歌・三線の魅力が大きな鍵になっている。それゆえに地謡(歌・三線)の声の質やトーン、歌唱の響き、もはや魂の震えのようなもの、それは琉球民族の情念そのもののリズムでもあり、それが失われることはないと信じているが、その永遠の美をどう継承していくかは、常に問われるのだろう。

お能の地謡のコーラスのような声音が日本の魂の響きのような唱えでもあれば、それが笛や鼓でキーンとした響きをもたらすあの清浄なる空間の一瞬の稲光のような悼み・痛み・傷みのような音だとすると、沖縄の音階は生温かい風のような湿りをもっていてそれがゆるやかに流れ、時にア―キ―のようにひときわ高まりのある声で人の再会や別れを声がその瞬時の歓び・痛み・傷み・悼みを彩る。感情を掻き立てる音色・声音がある。

古典音楽の美が琉球音楽の美そのものが情感に訴えるものの大きさがある。それは社会の下部構造を突き抜ける何かでありえる。

そういえば先月6月19日に横浜能楽堂でお会いした時、西江先生は能楽堂の空間は歌いごこちがいい、とおしゃった。そして地謡は表に出た方がいいともーー。

昨今問題になっている地謡の舞台上での位置は、今後大いに論じられると思うのだが、昨日の新作能「沖縄残月記」の地揺の位置はまた参考になるやもしれない。御冠船時代のどの時期に焦点を当てるのかによっても古典組踊の舞台形式は変わってくると言えようが、1719年初期の再現だと地謡はしっかり舞台上に坐している。その辺の舞台も見てみたい。幕内で隠れた舞台の再現が1838年の戌の御冠船だとすると、初元の形態をまた復元することも面白いに違いない。

それから「沖縄残月記」で清水寛二さんは身体の大きい方でシテを演じておられた。国立劇場おきなわの四間四方の張り出し舞台が現代人の身体の大きさに合わせた、なんて、池宮正治さんも宜保栄次郎さんも企画政策室の上地さんも決しておっしゃるべきではない。能楽堂のあの豊かな空間は三間四方である。沖縄にぜひ「三間四方の組踊に特化した劇場」ができるべきである。

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以下は琉球新報の記事の転載である!

国の文化審議会(西原鈴子会長)は15日、国指定重要無形文化財「組踊音楽歌三線」(各個認定)保持者=人間国宝=に琉球古典音楽・安冨祖流絃聲会(げんせいかい)会長の西江喜春氏(70)=那覇市仲井真、伊平屋村出身=を認定するよう高木義明文科相へ答申した。

 重要無形文化財保持者の中でも個別の高度な技術を認められる「各個認定」を受けた場合、通称「人間国宝」と呼ばれる。県内では11人目。芸能分野では「琉球古典音楽」の島袋正雄氏、照喜名朝一氏、「組踊音楽太鼓」の故・島袋光史氏、「組踊音楽歌三線」の城間徳太郎氏、「組踊立方」の宮城能鳳氏に続いて6人目。
 今回は西江氏と歌舞伎立役の中村吉右衛門(本名・波野辰次郎)氏(67)=東京都=の2人が新たに認定を答申された。9月下旬ごろ、官報に告示され正式認定となる。現在、活動中の人間国宝の人数は、東京(49人)、京都(14人)、石川(9人)に次いで沖縄(8人)が全国4番目となる。

 組踊音楽歌三線は、組踊の各場面の背景や登場人物の心情などを繊細な三線の演奏に乗せて歌う。演技者のせりふの最後にかかるように歌い出したり、動作に応じて微妙な緩急をつけるなど組踊の筋の展開や演技、せりふに合わせて表現する。
 文化庁は西江氏を「長年の研さんで組踊音楽歌三線の伝統的な演奏技法を高度に体現するに至った。組踊の登場人物の心情や各場面の背景などを繊細かつ情感豊かに歌い出す表現力と技芸の的確さ、安定感で高い評価を得ている。後継者育成や組踊の振興にも尽力している」と評価した。

西江喜春氏(にしえ・きしゅん) 1940年、伊平屋村生まれ。63年に安冨祖流の故・宮里春行氏に入門し琉球古典音楽を学ぶ。県指定無形文化財では96年に「沖縄伝統舞踊」保持者、99年に「沖縄伝統音楽安冨祖流」保持者に認定。国指定重要無形文化財(総合認定)では2001年に「組踊」、09年に「琉球舞踊」の保持者となった。県立芸大の助教授や教授も務め若手の育成にも貢献。08年から伝統組踊保存会常任理事、安冨祖流絃聲会会長。


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(アメリカ公演の際の西江先生のお写真など結構たくさん撮っているのですが、このブログでは画素数が良すぎてUPできません。残念です。ブログ用の普通の画素数があるかどうか調べる必要があります!)
≪写真は吉屋チル―の場面「花染ぬ手布」より≫


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