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OSTRICH FEATHER BOA

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MOON SAGA-義経秘伝-

2012-10-07 14:16:59 | LIVE

 

これもかなり前の話ですが、Gacktが総プロデュースを手掛けた舞台、「MOON SAGA」の舞台に行ってきました。
もともとYFCが解散する前後にこの舞台のサイトが挙がっていたのがきっかけかな?デザインがCLAMPで、物語が「MOON SAGA」で、っていう。舞台自体に興味があった訳ではないけど、行こうと思ったのは原作、演出、脚本全てGACKTで、MOON SAGAの物語だから、なんじゃないかと。もっとも、彼自身はエンターテイメントとしてとらえてますが。そんな訳で、千秋楽の8/16の夕方公演です。
というか舞台に行くのは初めてなんですよ。

 会場は福岡市民会館。お盆とはいえ普通の平日だったので、行ったのは開演10分前位でしたが、グッズの行列の嵐が出来てました。
ちょうど2階席の前から2,3列目でまあまあ視界は良好。オペラグラスまで用意している人も。
正面の幕にはサイトとかで載っているあのMOON SAGAのエンブレムが写されていました。 

 開演と同時に和風なイメージを感じさせる曲が流れ始め、幕が開けた瞬間に主要キャストが配置にいるという構図。
その中心にいたのはGACKTでした。
舞台には段差のような仕掛けがあって、LEDの映像を駆使して表現されていました。世界観は義経義伝という所から鎌倉時代の物語なんですが、衣装が昔っぽくなくてデフォルメされてたりと、あまりその昔の時期や設定にこだわらず、むしろファンタジックな世界。

 肝心のストーリーは義経というよりはむしろ巴御前と木曽義仲がメインだったように思います。GACKT演じる義経は、この舞台の主役ではあるんですが、割と争いを好まない無邪気で子どもっぽい人物のような演出をされています。はっきり言ってパンフレットのように高々と舞ったりはしてないです。終盤まで。先陣切って戦いに行くというより、周りに押されて渋々やるという感じ。しかも1回も戦わないし。
以前の映画「MOON CHILD」もそうですが、GACKTの演じる役の境遇には通じる物を感じます。まあ同じ人が作ってるから自然なんでしょうけど。物語の序盤では中心では無く、無関心を装っているけど、元々中心になっていた人がいなくなった事で変わってしまったという。あと、子供っぽい所も。
もっとも義経がそういうキャラクターなのか、それとも演技としているかは、さすがに1回では分かりませんでした。

 今回、GACKTも「義仲への思い入れが強い」と語ってましたが、実はこの舞台の主役は義仲だったのかななんて今振り返ると思っています。義仲はその生い立ちからも、戦果を挙げても評価されるどころか、逆に疎まれる存在。報われる事が無いんですよね。疎まれている源頼朝からの戦の命も明らかに義仲達を始末する事が明々白々なんですが、義仲はそれでも戦い続けていく。でも義仲を慕っていた巴御前は戦の中で義仲の為に戦死し、義仲は巴御前や部下を守れなかった怒りから、頼朝達への復讐鬼となります。
義仲や巴御前は、頼朝の命での戦の前に、義経やその部下達と家族のようにいつも杯を交わしますが、義仲にとっての安住はその瞬間だけだったのではないかなっていう情緒的な描かれ方をされています。だからこそ、最終的に頼朝の命で義仲討伐する事になった義経の、お互いの事情は分かっているけど、戦わざるを得ない場面は、その描かれ方も荒々しかったので対比が印象的でした。
かつて親友だった者達が敵となって殺し合う...このあたりも「MOON CHILD」を感じます。

 作品が「MOON SAGA」である為、「人にあらざる存在」という所で、「物ノ怪」「物ノ怖」というテーマや、登場人物が異能を持つ等の設定であったり、実際妖怪なんかも登場するんですが、実のところ、人と人との結びつきを重用とする「絆」なのかなと感じました。
GACKT自身が一番大切にしてる事で、彼が一番伝えたい事でもあるのかな...と。
しかもまだたぶん続くのかな?

最後の最後に「雪月花」が流れる演出は妙やと思いました。MOON SAGAの1章は日本の平安期が舞台で「DIABOLOS」のアートワークにも登場してくるんですが、密接なリンクを感じます。これからもこのMOON SAGAを多種多様な形で魅せて欲しいです。
 
あとは、早乙女太一さんや大和悠河さん等の生粋の舞台経験者の演技も、テレビドラマには無い、本質のようなものを感じました。
新たに知らなかった世界を見る事が出来た気がして、貴重な体験ができたと思っています。